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仮面ライダーガヴ 第40話「追憶のアラモード」感想

悲しみを認め

喜びを守る

プリンアラモードが精進落としの役割を果たす瞬間を見られるのは仮面ライダーガヴだけ!

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  • 悲しみ堪え、別れを受け入れ……

 デンテおじさんがあっさり退場するという衝撃的な終盤をかましてきた前回。そこから幸果をはじめとして誰もが意気消沈したまま40話が始まり、その静かな空気に早速胸が痛んでしまいました。特に幸果は大切な人を間近で奪われるという、ショウマたちが既に経験したことを初めて味わったことによるショックに打ちひしがれているのが嫌でも印象に残ります。普段明るく振る舞っている彼女でさえこうなってしまうほど、おじさんの死は重く悲しいものであったことが伝わってきますね。

 そんな状況でショウマが毅然とした態度でみんなを支える光景に驚きつつも感動しました。ラキアに対して「悲しいに決まってるだろ!」と返す以外では、声を荒げず穏やかだったのが目に付きます。恐らく大切な人を失う悲しみを知っているからこそ、その想いをこらえて他人を思い遣れているのでしょう。泣いているだけでは何も変わらない、悲しみを打ち砕くには動き出さなければいけない……といった彼の確かな経験が見えてきます。どこか切なくなってくるものの、痛々しさは全くない辺りにショウマの強さを実感した次第です。

 そうしてデンテおじさんのために作ったプリンアラモードを食べたり、おじさんがゴチゾウ越しに残したメッセージを視聴する様子がこれまた印象的。どこかお通夜や葬式、告別式のような雰囲気で進行しているかのようで身近なものを感じます。(リアルで参列する機会が多くなったメタレド的にはこの辺りの描写がかなり突き刺さります)故人を悼みつつ和やかに進む流れは、残された人たちの気持ちの整理として必要なことであることが理解出来ますね。悲しみに包まれてばかりではなく、賑やかで楽しかった思い出を振り返りながら共に別れを受け入れていく展開をニチアサで描いたことに感心するばかりです。

 

 

  •  憎しみではない、守るための怒り

 そして最大の見どころであるラキアの変化も今回ハッキリ描かれていました。コメルとデンテ両方を奪われた怒りでグロッタを探していた彼が、ショウマの言葉にハッとさせられる展開には大いに納得しましたね。復讐者ではあるものの、元は穏やかで家族想いなラキアならショウマの想いも即座に理解出来るだろうという確かな説得力があります。今のラキアなら家族の死に胸を痛めながらも、涙を堪えて今出来ることを精一杯するショウマの強さも読み取れたことでしょう。

 そしてデンテおじさんのビデオメッセージを受け取ったことで、自分の為すべきことを見つけるラキアの姿にグッときました。後述のグロッタによって家族を奪われた人たちを目の当たりにして、復讐ではない怒りの感情を静かに燃やしていくシーンも同時に描かれていて素晴らしかったです。ショウマと同じく家族を失う苦しみを理解しているからこそ、同じ目に遭う人たちを助けようとする決意を固めるのはまさにラキアの善性を表わしていますね。復讐からくる憎悪ではなく、大切なものを守るための義憤に目覚めた瞬間に心が震えました。

 といった感じでラキアの復讐心に決着を付けた点が個人的には非常に見逃せないポイントでした。前回の感想で触れた「ラキアの心の向き合い方」について、中々に理想的な答えを出してくれたことに満足感を覚えます。重要なのは憎い相手への報復ではなく、自分自身の心の整理の付け方をラキアや仲間たちを通して見事に描いてみせたと言えるでしょう。コメルの仇云々でいくらか不満を口にしましたが、今回の展開で概ね納得のいくものを見られて個人的にも良かったと思っています。

 

 

  • ぷるぷる+ボナペティ!強き想いで守りを固めよ

 

\ンジャ~ゾ~イ/

 

デザートオン!

ドロップミー!

ドロップミー!

 

ディッシュアップ!

メイキング!

メイキング!

スイーツメイキング!

 

コンプリート!

 

アラモードモード

ボナペティ!

 

 デンテおじさんを想うショウマがオシャレで可愛いプリンアラモードを食べたことで生まれた「プリンテゴチゾウ」をラキアがヴラスタムギアにセット、中身を抽出することによって生まれた姿「アラモードモード」。ヴラムの新たな強化フォームです。プリンカスタムと同じくプリンをモチーフとしていますが、こちらは付け合わせのフルーツや銀食器で盛り合わせたプリンアラモードということでビジュアルも豪華なものに。全身が銀色の鎧に包まれており、最低限の装甲しかなかったヴラムのフォームから一転して重厚なシルエットと化しています。(額にはチェリーが付いているのがチャームポイント)それでいてプリンカスタムの特徴であった、スプーンが突き刺さったプリンの意匠が胸部に残っているのがグッドです。

 戦闘能力に関しては銀色の鎧を纏っているため、防御力が格段にパワーアップした模様。あの怪力グロッタの攻撃をものともせず、すぐさまこちらの攻撃に転じてくる描写からして相当堅牢な装甲を得たことが伝わってきます。さらに専用武器として「シルバディフェンサー」という盾を手に入れたのも見逃せません。某メロンの君の盾のリペイントだけど同じメロンがモチーフになっているから問題ないなヨシ!この長大な盾と全身の装甲と合わせて相手の攻撃を一切寄せ付けず、自分の攻撃を一方的に叩き込む攻防一体の戦いが可能となっています。

 何よりヴラム(ラキア)自身の攻撃的な戦闘スタイルと相性が良く、彼の戦闘シーン特有の脱力した様子も相まって鮮烈に映っていました。ヴラムブレイカーの遠近両方に合わせた攻撃性能に、敵を寄せ付けない防御性能が合わさったことによる安定感は本作のライダーの中でもピカイチと言えるでしょう。(劇中を見る限りプリンテゴチゾウは消滅していないようなので、変身出来るフォームに制限がある味方側にとってはありがたい戦力となりそうですね)復讐ではなく多くの人々を守るために戦うと誓ったラキアに相応しい、まさしく守護者としての力を持った形態と言えるでしょう。

 

 

  • 意地っ張り長女が最期に認めたモノ

 ラキアやショウマたちがデンテおじさんの思い出に浸る中、グロッタは前回同様悲惨なことになっていました。おじさんを手にかけたことが明らかにメンタルにダメージを与えていて、帰ってきた矢先に取り乱すシーンにハラハラさせられます。兄弟たちとの思い出をフラッシュバックさせながら「私は寂しくなんかない!」と必死になっているのも痛々しいです。ショウマたちがおじさんとの別れを済ませた中、対照的に彼女はどこまでも自分の心と向き合えていないのがわかりますね。

 その結果リゼルから渡された毒で、一般人を次々とヒトプレスにしていく行動に出たのも見逃せません。1人1人に毒を吹きかけて後ろの部下に回収させる光景はあまりにも効率が悪くてシュールですが、グロッタ的には「ランゴ兄さんのように」と目指しているのが切なかったです。きっと彼女にとってランゴは決して揺るがない強さを持つ、理想的なグラニュートなのでしょうね。その強さを目の当たりにしていたがために自分の感情を認められず、兄と同じ成果を目指しても非効率になってしまう……どこまでもグラニュートの“強さ”に囚われたグロッタへの哀れな感情が止まりません

 それだけにヴラムの必殺技を喰らった後、実は生きていたランゴ(脈絡なくしれっとでてきたので面食らいましたね)に看取られながら息を引き取る瞬間は彼女にとって救いだったかもしれません。兄を幻覚だと勘違いしたからこそ、自分が寂しかったことをようやく認められたのは何とも皮肉。しかし最期に自分を知ることが出来ただけでも上等だと思います。そしてそんな妹の最期を前に、ストマック社の立て直しを決意するランゴにも悲壮なものを感じますが果たして……?

 

 

 今回の戦闘シーンは強化フォームお披露目にして、幹部のグロッタ撃破回でもあるのでかなり気合が入っていました。壊れた柵に掴まりながらのアクションなど、どうやって撮っているのか非常に気になる絵面ばかりで見応えがありましたね。中でも上から様々なモノがスローで落ちていく演出がお気に入りで、監督の中澤祥次郎氏特有の「見せ場をしっかり魅せる」姿勢を感じます。(そして新たに流れたFANTASTICSさんの挿入歌「Shake it off」もオシャレで良きかな)

 「ダメージを蓄積して自分の攻撃力に変換する」というグロッタの能力に対し、攻撃と耐えながらガヴ&ヴラムのコンビネーションで飽和攻撃を浴びせる戦闘描写も見事の一言。ケーキングが久々に活躍するなど嬉しいサプライズもあって、強化フォームの初登場として申し分ない迫力を味わえたと思います。

 

 

 さて次回はまた新たなビターガヴが出現……!?謎の黒ずくめの男を探す最中にニエルブと遭遇し、次なる実験体であるビターガヴをぶつけてくるようです。気になるのはその正体ですが、予告でも徹底的に隠されているだけにかなりショッキングなモノであることは間違いないかもしれません

 そのうえ絆斗の洗脳フラグが立っているのが不穏。予告映像にてショウマたちに襲い掛かる光景が映っており、敵の策略に嵌ってしまっているのが見て取れます。しかしハンティが罠にかかるとするなら、上述のビターガヴの正体はもしや……!?「にじり寄る眼鏡」とかいうシュールなサブタイに反して、エゲツない展開が待っていそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。