黒き超越者は嘲笑う
「理解するぞ」と言いつつやってることがグリオンと変わりねぇぞコイツ!
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- 脱色され消え失せる絆
ラストにとんでもない衝撃と困惑を与えてきた今回のガッチャード。冥黒王ギギストが本格的に動き出し、宝太郎からケミーを奪ってマルガムにする展開は予告の時点で読み取れる展開でした。が、倒した結果スケボーズが真っ白になった時は思わず絶句してしまいましたね。真っ二つに折れるなどではないものの、これだけでスケボーズが“死”の間際にいることを感じ取った次第です。(倒した瞬間晴れていた空が曇天に切り替わる演出も不穏な空気を加速させていました)ケミーにも死の概念が存在するのかといった、悲観的なことを考えてしまうには十分なほどショッキングな絵面だったと思います。
何といっても、宝太郎が錆丸たちを助けるために敢えてマルガムを倒してしまったのがエゲつなかったですね。「暴走する仲間が他の仲間を傷付ける前に何とかしようとする」という構図はかつて12話でドレッド(錆丸)と戦っていた時のことを彷彿とさせます。あの時の宝太郎は最後まで手を出すことは出来ませんでしたが、今回は実際に倒してしまい、その結果スケボーズを傷付けてしまった事実が重くのしかかりました。明らかな違和感があったはずなのに、最悪の結果を招いてしまった宝太郎の心情や察するに余りあります。
そんな劇中の人物と視聴者全員が愕然とするような状況を招いたギギストの狡猾さ、それを前にして「その気持ち、理解する」と言い放つ態度には憤りを覚えます。この理解者面は、この件をさも宝太郎のせいのように語っているからこその腹立たしさが湧いてきますね。(アトロポスとグリオンといい「お前のせいだ」と精神攻撃してくる敵ばっかだなこの作品)何より本作の特徴であるケミーと人間の絆が綻ぶのに、最も効果的な方法を出してきた点に否が応でも唸らされます。総じて宝太郎とケミーたちの関係をじっくり描いてきたからこそ、今回のギギストのやり口に驚き悲しみに暮れるほかありませんでした。
- 謎多き冥黒王
そうして宝太郎のメンタルを的確に削いできた憎きギギストですが、それ以外にも超越者としての驚異的な能力を発揮してきたことも見逃せません。いきなり錬金連合本部に乗り込むや否や幹部やスパナを翻弄するわ、宝太郎たちを別の空間に呼び出すわ大いに暴れていました。面白いのが神働術(テウルギア)*1を基とした空間を行き来する術で、背景がそのままひっくり返って転換されるような演出が何ともメタ的。上位から世界のジオラマを作り替えている感覚で弄ぶ辺りに、ギギストが規格外の存在であることが伺えます。そのため前回の「壊れたなら創り直せば良い」という言葉にも説得力が生まれていましたね。
またギギストが始祖のケミー(ドラゴナロスとガイアード)を作ったという事実も判明。(ただその理屈だとこいつが所有権主張出来るのはその2枚だけの気がしますが、「ケミーにはギギストの細胞が入っている」とかの設定もありそうですね)加えてケミーの本質は「人間に害をなす存在」とのことで、その力の邪悪さを主張してきたので驚愕せずにはいられなかったです。そしてケミー単体でマルガムにしてくるシーンも仰天もので、「スケボーズマルガム」という名前*2からしてケミーそのものが変質してしまったことを読み取れました。おかげで敵の力を使って戦う仮面ライダーの要素を回収しつつ、ケミーそのものの起源を操作してくるギギストに興味深いものを覚えます。
また今回りんねが語ったおとぎ話「黄金の丘に咲く黄金の花」との関連性も気になるところ。大いなる悪魔を払った暁の錬金術師が辿り着いたとされる世界ですが、黄金ということでグリオンが目指していたエルドラド(黄金郷)のことを思い出しました。グリオンが目指していた冥黒の扉の先にあるのがもしやこの黄金の丘なのでしょうか。だとすると、そこから現れたギギストは暁の錬金術師なのでは……!?と妄想がドンドン湧いて出てきます。異様な力を発揮し、ケミーを生み出したとされる冥黒王の正体に目が離せません。
というわけで36話の感想でしたが……改めて胸が痛い……という言葉が真っ先に出てくる内容でしたね。とうとうケミーが死んでしまう展開が来てしまったことにショックを受けずにはいられませんでした。特にスケボーズは2話で助けて仲間にしたこともあるうえ、宝太郎自体ケミーとのやり取りをしっかり見せてくれていたからこその絶望感があります。最早冒頭のラケシスを笑わせるためのコント劇場が懐かしくなるほどのシリアスだったと言えます。
あと気になるのはサラッとガッチャ出来たタイムロードでしょうか。時間を操る強力なケミーでここまで全く見つからなかっただけに、こんなあっさりと出会ったのは正直意外でした。しかも何で八百屋でアボカドに紛れてたの……?と思わずにはいられません。(ちょうどいい具合に熟すまでアボカドの時間を進めていたりして)ただ以前デイブレイクも使用していたのもあって、時を超える能力が後々役に立つのかもしれないとも感じました。活躍についてはまだまだ未知数ですが、タイムロードにも頑張ってほしいところです。
そして次回は何とホッパー1、はじめてのおつかい!スケボーズの件で意気消沈する宝太郎を元気付けるために、例のおとぎ話に登場する「黄金の花」を探すとのことです。その過程で色々と苦労するようですが、元々の可愛さもあって微笑ましく感じますね。何より宝太郎を想って行動出来るその健気な姿勢に感動出来るので、ホッパー1のことを純粋に応援したくなってきます。
しかし物語は決して甘くはない模様。ギギストがアントルーパーをマルガムにしてけしかけるようです。スケボーズに続いてアントルーパーと、初期の頃から付き合いのあるケミーたちが次々敵の毒牙にかかっているのでさらに胸が痛むことになりそうです。というかこの調子だとホッパー1も危ないのでは……?
ではまた、次の機会に。