邪悪と課題とそして家族と
冥黒ギリギリ!!ぶっちぎりのヤバい奴(かもしれないジェルマン)
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- 進化と愛を謳う欺瞞の冥黒王
ギギストを倒し、ケミーを101体全ガッチャしてめでたしめでたし!だった前回とは打って変わって、一気に主人公側が追い詰められてきた今回のガッチャード。何と言ってもギギストに並ぶ「冥黒王ジェルマン」と「冥黒王ガエリヤ」が登場が最大の見どころで、しれっと復活していたギギストと合わせてラスボス候補が3人に増えたことに慄いてしまいます。彼ら冥黒の王は三位一体とのことですが、その割には連中の仲が微妙に悪そうだったり、特にギギストがナメられている辺りに不穏なものを覚えました。(実際この3人はニジゴンの中に埋め込まれている「賢者の石」を誰が手にするかで競い合っている模様)
中でも今回猛威を振るったのがジェルマン。軽薄な口調で「人間を愛している」とのたまいながら、正しい進化として人間全員をマルガムにしようとしているイカレっぷりが強烈で印象に残ります。特に前半、風雅を守りながらの戦闘で見せた俺は人間を愛している!→だからケミーをよこせ……!といった軽い豹変だけでもぞっとするものを覚えました。また錬金術師の祖として実力も高く、無機物から生み出した「ゴーレム」のシンプルな強さには度肝を抜かれましたね。ギギストがケミーを失う絶望を与える存在なら、ジェルマンはさしずめ純粋に勝てる気がしない絶望を与えてきたと言えるかもしれません。
あとはジェルマンの口からグリオンが人形だった事実が判明したことも見逃せません。アトロポスたち人形の姉妹を生み出した当人すら人形だったという、『五星戦隊ダイレンジャー』を彷彿とさせる話には地味に驚かされます。そのためミナト先生がかつて尊敬していたグリオン本人を消し去り、その人形をグリオンと成り代わらせたのかも?といった考察が捗りますね。加えてそのグリオンも27話の時にジェルマンに喰われてしまったことも同時に明かされ、アトロポスの願いが潰えたのが印象深いです。父の復活が不可能だと知るや否や、りんねと取り引きをしてジェルマンへの復讐を企むアトロポスの未来はどっちだ!?
- 向き合うべき人とケミーの問題
冥黒王の襲来以外にも大きな問題に直面していた宝太郎。上述の通り前回でケミーコンプリートした矢先に、とうとう錬金連合によるケミー回収の指示が下った時は思わず内心身構えてしまいました。元々そういう命令の元ケミーを集めていたので当然といえば当然なのですが、ここまで何もしてない連合が全部持っていくのは正直納得がいきません。そのうえ例によってケミーのことを危険な道具扱いしているのも気に入らなかったですね。(この辺りのケミーの扱いは後述のスパナが言った「人間は自分と異なるものを簡単に受け入れはしない」に通じるものがあると思います)
さらにスパナが「ケミーと仮面ライダーが必要でない世界を作ればいい」と進言するシーンが印象的。ショッキングな提案ではあるものの、確かに争いの元そのものを断ってしまえば問題はなくなるので合理的とも言えます。むしろ周囲がケミーを守ることを前提としている中で、臆さず言えるスパナには感心するものがあります。(また「手放しで賛同することは出来ない」とワンクッション置く辺り、かなり理性的で好印象)それとこの考えがスパナ個人のものであるのか、それとも連合解体を目論むミナト先生も関わっているのか気になるところ。先生のことですから、生徒の未来のためなら連合と同時にケミーもどうにか処理しそうですね。
とまぁケミーガッチャという物語当初の目的を果たしたことで、次なる課題が生まれてきた回でした。人間の悪意でマルガムになってしまう点などケミーの危険性がこれまで何度も描かれてきたので、「ケミーは人間と共存することが出来るのか?」という問題に直面するのは必然と言えるでしょう。(本作の世界は野生の悪人と揶揄されるような人間が跋扈するレベルですし)とはいえ悪意に負けないくらいケミーと人の触れ合いや希望を見出してきた展開の数々を考えれば、決して希望を捨ててはいけないことも確か。むしろここから宝太郎がどのような答えを出してくれるのか、期待を胸に秘めて応援したくなってきたところです。
- 時には家族の話でも
この回の放送日はちょうど「父の日」。ということもあってか、ストーリーの要所要所に父親含めた“家族”の要素が散りばめられていたのもちょっとした注目ポイントとなっていました。何気に家族関連のストーリーが多い作品ということもあってこの辺の描写にも結構見入りましたね。
まずはやはりりんねとアトロポスについて。ついに義体ではない風雅本人が登場し、ボロボロながら生存が確定しました。りんねと風雅の親子再会は軽く流されたものの喜ばしい話です。ピラミッドパワーみたいな感じで体を治癒していた絵面には吹き出しましたが……その一方で父親が帰ってこないことがわかってしまったアトロポスとの対比が少々辛いので、りんねとアトロポスが指きりで約束をするシーンに希望を見出したいと思ってしまいます。
そして例によってクロトーの暴走も目に焼き付きましたね。今度はジェルマンからのパワーアップを受けてクロトー・レビス形態がさらに強くなったのですが、明らかに命を削っているような描写もあってドンドン不安になってきます。「家族はいつでも1つだ!」という叫びに反して、バラバラになっている姉妹の様子は悲痛でしかありません。(それはそれとしてラケシスVSクロトーの「鉄鋼&黒装」の掛け声はカッコいい!とか思ったり)ここまでくると全員は無理かもしれませんが、冥黒の三姉妹には何かしらの救いを用意してほしいと願わずにはいられなかったです。
さて次回はニジゴンの掘り下げをやる模様。今回突然いなくなって困惑しましたが、予告で引っ越しのお手伝いをする様子が映ってズッコケてしまいました。どうやら自分に出来ることをしようと人助けをしているようですが、状況が状況なのでそんなことしてる場合か!?とツッコみたくなってきます。(ただスパナの発言を受けて「ケミーが人の力になれることを証明したい」と思っているのかもしれません)そんなニジゴンが出会ったある少女のダンスに関する悩みが何なのか、結構気になってきます。
そしてジェルマンとの決着も見逃せません。りんねがアトロポスとの約束を果たそうと張り切っているので、ここはマジェードの活躍に期待したいです。そして予告で映ったガッチャードの各形態揃い踏みの絵面のインパクトが凄まじいですね。これは次回ド派手なバトルでジェルマンを倒してくれそうです。
ではまた、次の機会に。