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2024年春アニメ簡易感想 その33

 

 

 

 昨年末に公開されたアニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』がフランスの「アヌシー国際アニメーション映画祭」にて、特別賞にあたるポール・グリモー賞を受賞したニュースが発表されました。このアニメーション映画祭は世界中のアニメ映画を評価する世界最大級のアニメ映画祭で、長編部門・短編部門それぞれが賞を競い合うものとのこと。日本のアニメ映画も数多く受賞しており、その中には『紅の豚』『時をかける少女』『つみきのいえ』『夜明け告げるルーのうた』『この世界の片隅に』といった名作が名を連ねています。

 

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↑トットちゃんの感想については上の記事を参照。

 

 さて窓ぎわのトットちゃんがその輝かしい映画祭で評価されたわけですが、以前映画館で鑑賞した身としても非常に喜ばしい話です。黒柳徹子氏の幼少期をそのまま描いているということもあり、実感に満ちた記憶を目撃しているような映画体験は個人的にも印象深く面白い作品でした。また小林先生こと小林宗作氏、NHK交響楽団の創設者であるヨーゼフ・ローゼンシュトック氏といった日本の史実における重要な人物が数多く登場する点も大きな魅力。それらを含めて、本作のリアルな戦中の様子を目の当たりにすることが出来た次第です。まだ本作を見ていない人も、機会があればチェックしてほしいですね。(本作に関する個人的な余談に関しては下に続く

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

※今週の『ささやくように恋を唄う』はお休み(総集編)だったため感想はありません。

 

 

 

 

夜のクラゲは泳げない

第11話「好きなもの」

 めいの魂の叫びと歌が花音を引き戻した前回に続いて、今度はキウイとまひるのターンに突入。身バレという配信者にとっての厄ネタを抱えながらも、決死に立ち向かっていくキウイの姿に感銘を受けました。ゲーセンでかつての同級生に遭遇するシーンの悪意には胸を締め付けられましたし、まひるたちのことを「変だ」の一言で一周する残酷さにも腹立たしくなってきます。それだけに好きなものを晒す怖さに向き合う、キウイの叫びが響きました。7話での委縮した時のことを知っているからこそ、これが私だ!文句あっか!!の勢いを見せてくれたのは非常に感動的で心にきますね。

 そんなキウイをヒーローとするまひるの成長も今回の見どころ。まず雪音Pとの仕事が上手くいかず、妥協案を出された時の悲壮感は半端なかったです。自分の絵が好きでないことも指摘され息が詰まりましたが、上述のキウイの叫びがまひるを鼓舞する展開に繋がってからは一気にテンションが上がりました。キウイとはまた別ベクトルで自分に対する“好き”への抵抗感を抱いていたまひるが、指定に逆らってでも自身の絵を提出してみせたラストにはこれまた舌を巻くばかり。好きに対するトラウマに苛まれながらも、友人との触れ合いと肯定によって乗り越えていく少女の力強さが印象に残る回だったと思います。

 

 

夜桜さんちの大作戦

第11話「夜桜の怪談/スパイ免許証 (ライセンス)」

 今回の前半は夜桜家長女・二刃がメイン。言動風格共に非常に頼もしい印象のある彼女がまさかのお化けが苦手、という弱点には意外に感じました。(ただ怖い理由が「得意な合気で倒せないから」というのはちょっと納得)わずかな物音にすら怯える様は見た目相応で、ちょっと可愛らしく見えてきますね。六美たちが世話を焼いたり、謎の極道桃太郎を読ませるくだりも含めて大いに笑わせてもらいました。しかし二刃が本当に怖いのは大切なものを守れないことだと判明した瞬間には一転涙がほろり。家族のためなら怖がりな姿を見せてでも強がる、長女としての意地と矜持が垣間見えたと感じました。

 さらに続く後半では太陽がスパイ免許証(ライセンス)なる会員証獲得の試験を受けることに。試験内容の壮絶さにも驚かされましたが、それ以上に太陽に付きまとう「星降月夜(ほしふる・つきよ)」のキャラが衝撃的でした。太陽へのストーカー染みた愛情への深さなど、イケメンでも隠し切れないレベルの気持ち悪さにドン引きせざるをえません。実は試験官としてスパイの人間性を計っていたという事実はお見事でしたが、それはそれとして太陽への愛は本物というのがタチが悪いですね。またもや変態スパイが出てきたことに変な笑いが出てくるものの、太陽の試験突破には何だかんだで微笑ましさを覚える一幕でした。

 

 

遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!

第113話「ダークマター空間」

 何なんだコレは……!?いやマジで何なんだコレは!?ダークマター空間に辿り着いてダークマター帝国と決戦!するのかと思ったのも束の間、放り出されたユウディアスたちのあまりにもトンチキなやり取りに唖然となりました。ダークマター物質なるものでマグロ寿司を握ってみるわ、温泉かと思って入ってみたらうどんを茹でるお湯だったとか、す例によってカオスの連続で脳が理解を拒みま。最終的にカレーうどんを気球の燃料にし出す展開にはかえって笑うほかなかったです。(前作といいカレーを燃料扱いするの何なんだよ!!

 そんな珍道中にCPTそっくりの「CPU」が一時加入しましたが、こいつもこいつでかなりの曲者という印象でした。丁寧な物腰のようで案外失礼なキャラもそうですが、記憶の大半を覚えていないというが厄介。しかし自分が生まれた理由すら知らないために捨てられた可能性を考えて落ち込むCPUを、ユウディアスがラッシュデュエルに誘う展開は普通に素敵でしたね。デュエルのカードそれぞれに役割があるように、CPUにも役割は存在するという励まし方はなるほどユウディアスらしいと言えます。

 そして最後にズウィージョウらしき書き置きや、バリベルギャーの同胞たちのペラペラになった姿が発見されたのが最大の収穫ですね。ようやくズウィージョウ復活の理由が仄めかされ、同時にみんなが復活する可能性が提示されたことに素直に嬉しくなってきます。話の流れこそ意味不明でしたが、ちゃんと意味のあるラストに繋がったのは流石といったところです。

 

 

トランスフォーマー アーススパーク

第37話「トランスフォームだ!ジョウブレイカー!」

 長い間相性のいいスキャン対象がなかったジョウブレイカーがついにトランスフォーム!指導してくれるグリムロックへの憧れを見せてから、同じ恐竜であるスティギモロクのビーストモード(パキケファロサウルスかと思ったら近縁種の方でした)を獲得したラストには大いに興奮しました。兄弟たちの中で自分だけ変形出来なかったことに少なからずコンプレックスがあったことも描かれていましたし、ジョウブレイカーの念願が叶って良かったと思います。

 その一方でグリムロックとの訓練で若干周りが見えなくなってきているのが不安なポイント。まだまだ子どものやんちゃの範囲で済んでいますが、その内みんなを傷付けてしまいそうでハラハラさせられます。何よりジョウブレイカーは無邪気で心優しい性格が最大の長所にして魅力だと思うので、彼にはその優しさを失わないでほしいところです

 あとはやはり正気を取り戻した後の理性的なグリムロックに驚かされました。過去作のグリムロックの乱暴さを知っているだけに、ジョウブレイカーへの気のいい兄ちゃんみたいな態度は中々に興味深いです。凶暴性を知っているからこそコントロールしている、さながらハルクのようなキャラクター性を持つグリムロックも大いにアリですね。(マンドロイドの洗脳の影響がまだ残っているっぽいのが不安ですが……)

 

 

 ここからは余談、窓ぎわのトットちゃんに登場する小林先生について。映画にてトットちゃんたちの良き保護者だった小林先生は物語終盤、空襲によって燃え落ちるトモエ学園を目撃するシーンがあるのでここで亡くなってしまったのだろうと読み取ったのですが、映画鑑賞後に調べてみた結果、史実の小林宗作氏は普通に生きてたと知り仰天しました。恐らく映画でも先生は生き残っていることなのでしょう。

 しかも戦後幼稚園を設立したほか、国立音楽大学の講師も務めたという話はあまりにも衝撃的でした。生涯最後まで、子どもたちの指導者であり続けたのだと実感させられます。(障がいを持った子どもへの対応や、音楽を使った教育方針も個人的には高く評価しています)戦争など時代の荒波に屈することなく、劇中で発した「次はどんな学校を作ろうか」をある意味で有言実行してみせた小林先生には感服するほかなかったですはい。

 

 

 ではまた、次の機会に。