現在放送中のアニメ『夜桜さんちの大作戦』が、7月から第2クールに突入するとのこと。連続2クールであることは事前に調べていたものの、上のPVの物々しい雰囲気に驚かされました。太陽の家族や六美の母親を手にかけた謎の敵の存在が明かされ、それらと戦うことになるらしいのですから結構予想外です。黒百合党のエピソードのようなシリアスバトルが待っているということでしょうか。ここまでは基本ほのぼのハートフルギャグとして見ていたので、その温度差に風邪を引きそうになります。
ただ太陽の家族の死といった謎については以前から気になっていたので、それらについての掘り下げがされるのは個人的にもワクワクさせられます。そして最強の夜桜家が繰り広げるガチバトルや、衝撃の真相などにも期待したいところ。2クール目のOPを謳うのがfripSideであることも含めて、アニメ夜桜さんがより楽しみになってきた次第です。
というわけで以下、今週の簡易感想です。
夜のクラゲは泳げない
第12話(最終話)「JELEE」
待ちに待った最終回では、まひるのゴリ押し交渉によって実現したJELEEとサンドーのコラボイベントが描かれることに。未だ母との件を引きずっている花音への不安が残っていましたが、多くの人からの後押しを経て乗り越える瞬間にテンションが大きく揺さぶられました。特にメロの叱咤で顔を上げる瞬間が印象的で、俯いたままでは見られなかった絵の景色も彼女のおかげで見られたと思うとグッとくるものがあります。そのうえでまひると直接対面することなく歌い切ったというのが最大の評価点ですね。母にまひると相手に依存していた花音が、ようやくそれらを振り切ってみせたことで彼女の物語の完成を見ました。
イベントを終えた後のエピローグ、まひるたちの卒業式の様子も印象深いです。花音は母から大きく独り立ちし、他のメンバーもそれぞれ自分たちの道を見据えているので感慨深いものを覚えます。そして卒業したその日のうちに、JELEEみんなで壁の絵を塗り替える作業を楽しんでいたのが微笑ましかったですね。みんな何かしらに寄りかかっていなければ心を保てなかった中で、最後には正しい距離感を以て仲間に戻れたように感じました。ハッキリと口にした解決ではないのがかえって絶妙な味わいとなっており(花音の父親についても最後にちょっとだけ仄めかす程度でしたし)、少女たちの青春群像劇としては十二分に爽やかな終わりで楽しかったです。
総評
歌と絵の組み合わせで送るグループの青春を描いたオリジナルアニメ。好きなことややりたいことが不明瞭な宙ぶらりんの少女が、創作の場で大勢を湧かしていくコンセプトには序盤から大いに魅せられました。学校生活などが馴染めないといった問題も抱えながら、それでも自分の心を精一杯表現していく過程はわかりやすく爽快感に満ちていたと思います。多少のギスギスした展開もほど良いスパイスになっており、世界に上手く馴染めずにいる人を優しく受け入れる懐の深さは個人的にも惹かれるものがあります。
また本作に関してはメインキャラが本名とは異なる“名前”を持っていたのが面白い特徴があり、その辺りが結構なお気に入り要素です。ペンネームだったりかつての芸名だったりと様々ですが、いずれも「今の自分とは異なる形」という共通点がありました。そんなもう1つの名前を主人公たちが理解し、そのうえで本来の自分を確立していくストーリーが大きな魅力でもあります。自分のことを好きになれずにいる彼女たちにとって、別の名前はまさに別の「なりたい自分」そのもの。そのなりたい自分と好きになれない自分両方に寄り添うことで、適切な距離感で自分を表現してく作品に仕上がっていました。
ささやくように恋を唄う
第9話「計画と、失敗と、波乱と。」
先輩たちが仲良くなれるように試食会に呼んで話し合いの場を設けよう!!
↓
紆余曲折の末ローレライ側のマネージャーをすることになりました。
そんな3週間ぶりの本編で巻き起こった怒涛の展開に困惑が止まりませんでした。まず上のひまりの仲直り作戦が見えている地雷すぎたのに、ひまりと依先輩が付き合っている事実を志帆が知ってさらに拗れた時の空気感は本当に重苦しかったです。というかひまりの楽観的な考えにバカな真似はよせーっ!と内心焦りまくりましたね。善意と好意に満ち溢れているひまりの純粋さが、志帆の天の邪鬼な姿勢を大いに刺激してしまった結果に何とも言えない苦々しさと高揚を覚えます。それはそうと志帆のひまりのお願いを聞いてあげる発言、「亜季との仲直り」をお願いされたらどっちみち結果は同じなのでは……?
しかしSSSGIRLSとローレライ、各グループの様子は基本良好でホッとしました。志帆もひまり個人に対しては気さくですし、変にギスギスせずに済んで良かったです。(この辺りは誰とでも仲良くなれるひまりの明るさとコミュ力の高さが伺えますね)一方のSSSGIRLSも依先輩の独占欲が良い形でモチベーションに繋がっており、バンド対決の真剣みがより増していたと感じます。何より恋人が相手のチームのマネージャーをしている、という奇妙な状況に陥っているのに、全く問題ないとばかりに2人の時間を楽しむひまりと先輩は今回の貴重な清涼剤となってくれましたね。
夜桜さんちの大作戦
第12話「プリズン・ジジイ・ブレイク」
六美たちの祖父「夜桜万(よざくら・ばん)」参戦。エスパー伊藤みたいな登場にビビったのも束の間、太陽を振り回す姿に面食らうこととなりました。情報収集と脱獄の達人なのに美女に情報漏洩しまくる、というキャラクターがまず強烈です。そんなプレイボーイな一方で妻の「夜桜京子(よざくら・けいこ)」に一途と、一見相反しているような個性が見事に混ざり合っているのが面白いですね。妻との馴れ初めや愛情を語る際のギャップも魅力的で「愛は無限でも命は有限」という格言に舌を巻くばかり。夫婦の先達として太陽と六美の愛を確かめたという意味では、素敵なお爺ちゃんと言えるでしょう。
続く後半は兄弟全員集合のエピソード。家族総出の買い出しということでただの買い物ではないだろうと身構えていましたが、ガチャガチャを回して手榴弾がドバドバ出てくる絵面には度肝を抜かれました。裏社会のモノも取り扱うモールの珍妙な店の数々、そして地下の闇市場とトンチキな展開にシュールな笑いが止まらなかったです。(バキボキ鳴らしている整体師がかろうじてまともという魔境っぷりよ)極めつけは闇市場での夜桜兄弟大暴れのくだりで、モールが丸々1階分沈下というワードの破壊力はかなりのもの。家族のほのぼのとギャグの勢いを同時に味わえる面白い回でしたね。
遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!
第114話「闇の城」
ジャンジャジャーン!今明かされる衝撃の真実ゥッ!!
とばかりに判明したダークマイスター、その正体である遊歩の姿。これまでの描写から薄々そうではないかと感じていたので予想通りな反面、久々に見られた遊歩が神妙な面持ちだったことへのショックは大きかったです。またユウディアスと彼女のラッシュデュエルの最中、遊飛が終始嫌な予感を察知していたのも印象深いですね。始まりから少しずつ溜まっていた不安を、最後の最後に解き放たれたような感情を覚えました。
またデュエルの最中に「ダークマター空間は外からの者はダメージを受ける」といった設定や、ダマムーとダークマター帝国の関係性も徐々に明らかになってきました。ダークマター=遊歩のダメージをクヤムヤが肩代わりしていた事実で上の正体が判明したわけですが、ならクヤムヤは何者?といった疑問が湧いてきますね。これに関してはダマムー(アースダマー)が増えたことから、クヤムヤの正体は遊歩のアースダマーと個人的には考察していますが果たして……?
他にはダークメンたちのデュエル中に名前だけ何度も出てきたダークマター・ミストの本物が召喚されたのも注目ポイント。これまで名前だけをコピーするモンスターばかりなのが気になっていましたが、ダークマイスターだけがミスト本体を使えると明かされて納得しました。ミストなど選ばれた者以外は代用するほかないカード、というのは面白い設定だと思います。
トランスフォーマー アーススパーク
第38話「おおあばれグリムロック」
念願のトランスフォームが出来て大満足のジョウブレイカーでしたが、グリムロックが暴走を始めたことでそれどころではない事態に発展。前回の時点では洗脳の影響かと思っていましたが、どちらかというとトラウマに近いような描写とわかりかえってグリムロックの痛々しさを感じ取りました。マンドロイドや観客から暴れん坊として扱われた事実、PTSDに近い心の傷を患ったグリムロックに同情の念を覚えずにはいられません。
他にもジョウブレイカーが焦る理由として「決めつけられるのが嫌だから」という心情を吐露したのが興味深いですね。他人にレッテルを張られてこうあるべきと押し付けられる辛さは、侵略者として扱われている本作のトランスフォーマーの現状を考慮すると余計に考えさせられます。だからこそなりたい自分になれる=トランスフォームしたかったのだとわかった時の納得感は大きかったです。(その会話でモーが前回ジョウブレイカーに発したレッテル張りをさりげなく謝罪するシーンもここすきポイント)
そんなジョウブレイカーが、グリムロックを止める瞬間には大いに感動させられました。グリムロックの優しさを理解しているからこそ、暴れまわる彼に寄り添える優しさは何とも心地よかったです。周囲が決めつけるイメージよりも、自分の本質を理解してくれる仲間の大切さも伝わってきましたね。
夜桜さんといえばYouTubeで配信されているミニアニメ『夜桜さんちのミニ作戦』の方も毎週楽しみに視聴しています。各キャラのデフォルメビジュアルの可愛さもさることながら、彼らのコミカルなやり取りには何度も癒されますね。
……………と言いたいところなのですが、最新話の内容には軽く引いてしまいました。というのも前回のアニメ本編に登場した月夜と殺香と六美が、太陽をモチーフにしたコラボメニューを楽しむ光景があまりにも異質で吹き出してしまったからですね。まぁ月夜と殺香はまだいいとして(よくない)、六美は自分の旦那を何だと思っているんだ!?と困惑せずにはいられません。本編では可愛らしい妻ですが、こっちでは割とはっちゃけているヒロインがあまりにも衝撃的な短編エピソードでした。
ではまた、次の機会に。