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仮面ライダーガッチャード 第42話「レッツ捜索!102体目と兄の想い」感想

そこに眠る記憶の形は

スパナが普通にギャグに参加するようになって僕も嬉しいよ……

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  • ただならぬ金剛ラボラトリー

 今回のガッチャードは鶴原錆丸の実質的な主役回。存在しないはずの102体のケミーが出現したとの報告を受け、錆丸が生まれ育った施設である「金剛ラボラトリー」に訪れ奇妙な事件に遭遇する序盤のようなエピソードが繰り広げられました。これは一般的な錬金術師の様子やケミーを作る意味など「初期にやりきれなかった要素を拾っているから」とのこと*1で、おかげで非常に興味深い内容に仕上がっていたと思います。ラボの錬金術師たちが一般的かは疑問ですが、連合のいざこざなどに巻き込まれていないという点では珍しく、世界観がある程度広がった印象を受けましたね。

 その中でも錆丸の兄「鶴原鍵一(つるはら・けんいち)」と、金剛ラボラトリーの所長「金剛真美(こんごう・まみ)」の描写は中々に不穏の連続でした。まず前者は錆丸に対して「すぐに帰れ」と言い放つといった辛辣な態度が目に付きますね。アイザックを開発するなど画期的な成果を上げており、宝太郎たちにそれらを話す時はイキイキとしているだけに余計に気になります。後述の謎のケミーの創造に関して弟とただならぬ因縁があるようですし、邪険に扱う理由がどこにあるのかに注目したいところ

 そして後者は謎のケミーに対する執着と、グリオンとの意外な関係を仄めかしているのが印象的でした。特にグリオンに対する妙にしっとりとした感情を向けるシーンは、普段のガッチャードらしくない雰囲気全開で否が応でも目に焼き付きます。マッドサイエンティスト気質の豹変ぶりも相まって、この所長への恐怖を抱くのに十分な演出ばかりだったと思います。ともあれ異様に濃い新キャラの登場で、既存のキャラの掘り下げに繋がるのはベタながら実にワクワクさせられる展開ですね。特に錆丸の過去に何があったのか、その辺りが次回明かされるのかに期待したいです。

 

 

  • 掴めぬ正体不明(カメドーン)

 予告の時点から話題になった謎の102体目ケミーも、今回の独特な空気感を作り出す要因になっていました。何と言ってもそのケミーと真美所長によって生まれた「謎のマルガム」がかなり異質でしたね。亀のようなビジュアルになったかと思ったら戦車の見た目に変わり、フラフラと人を襲う様子で既に困惑を覚えます。また亀の時は「守る」ことを、戦車の時は「壊す」ことに執着したようなうわ言を繰り返すのも怖かったです。これまでのマルガムと比べて、明らかに正気ではないことが伝わってきました。それにしてもカメバズーカといいカメックスといいカタパルトタートルといい、亀モチーフのモンスターは何故か大砲と合体させられがち……

 そうして何とか倒してガッチャしたケミー(劇中の描写からして名前は「カメドーン」である模様)も、黒いスライムのような姿になって消え去った時はこれまた衝撃を受けました。さながら意志を持った絵が、水に濡れてただのインクに戻ってしまったかのような印象を受けますね。しかもその可能性を証明するかの如く、錆丸が残した絵にそのケミーそっくりの姿があったのも見逃せません。これらの情報をまとめると、このケミーは錆丸の絵を基に生まれたものの、実体化するためのパワーが足りず絵に戻ってしまっているということでしょうか。

 しかしこのケミーを作ったのが鍵一兄さんという情報が気になりますね。モデルは明らかに弟の絵なのに、兄の方が制作者という奇妙な話に首を傾げずにはいられません。総じて鶴原兄弟の因縁然り、正体不明のケミー然り、不明瞭のまま物語が進むのもあってかつてないほど不気味なものを覚える回になっていたと感じています。

 

 

 上述の通り今回は割とホラー的なテイストもありましたが、それ以外にもガッチャードらしく笑えて楽しい部分・敵側の不穏な部分もありました。特にグリオンは復活するや否や、ギギストたちに啖呵を切れるほどの存在感を発揮していたのが印象的でしたね。冥黒王を「人外に成り下がった者」と見下すシーン(この発言からしてギギストたちも元は人間だったのでしょうかね?)もあって、突如ラスボス候補としての風格を出してきたように思えます。

 あとはコミカル要素なのですが、謎の液体で動けなくなって不参加のりんね以上に、スパナが大分面白おかしく描かれていたのが良かったです。ラボで勉強している「亜琉美(アルミ)」ちゃんの舐められ、振り回される様子にまずクスっときました。生意気な子どもに張り合ってしまうばかりか、「超A級錬金術師だ!」と主張しまくるプライドの高さが良い意味でスパナのキャラを軟化させていたと思います。加えて戦闘シーンでレインボーガッチャードが呼び出したガッチャーブラザーズ マッドパイレーツの人間大砲にされたりと、宝太郎に気を許しているからこそ成り立つギャグチックなバトルにも笑いが止まらなかったです。

 それでいてケミーの違法な制作に言及したり、錬金術と現代技術の融合に異を唱えたりと厳しい一面をしっかりと披露してくれたのもここすきポイント。一般社会に錬金術が知れ渡る危険性に触れていたりと、以前から見せている体制を重んじる姿勢が実にスパナらしいと言えます。ギャグ描写に巻き込まれながらも、本来のキャラクターが崩壊しない程度に留めているスパナへの塩梅が非常に心地よかったです。

 

 

 そして次回は金剛ラボラトリー回後編。真美所長が恐れているグリオンが実際にラボにやってきたことで、状況が一変するとのことです。102体目のケミーが目的であろうグリオンとの戦いもそうですが、このラボで起きた鶴原兄弟の過去もあるので気になる要素が多めになりそうです。

 さらに予告で錆丸がドレッドに立ち向かうシーンがあり大興奮。かつて無理やりドレッドに変身させられた錆丸が、そのトラウマの対象そのものと戦う展開はあまりにも胸熱で早くもテンションが上がります。生身のままですが、錆丸には是非ドレッドに打ち勝ってほしいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:仮面ライダーWEB」(https://www.kamen-rider-official.com/gotchard/43/)を参照。