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ウルトラマンアーク 第1話「未来へ駆ける円弧(アーク)」感想

解き放て!想像の力!!

若者の空想が今、未来を切り拓く最強のヒーローとなる!!

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 ついにスタートしたウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンアーク』。放送前から昭和ウルトラマンを彷彿とさせる要素などで話題になっており、いざ第1話が始まってからは意外かつ驚きの要素のオンパレードで世界中を大いに盛り上がりました。(前作『ウルトラマンブレーザー』に続いて世界トレンドに作品タイトル名が上がったことにもびっくり)僕自身、スタンダードと奇抜さの合わせ技に早速惚れ惚れとしてしまった次第です。というわけで今回から新ウルトラマン・アークの感想を書いていきたいと思います。

 

 

  • “巨人”がいる街を訪れて

 さてアークの第1話を見て真っ先に驚いたのが、物語の開始時点でアークが活躍していたことですね。冒頭からニュースで“謎の巨人”として取り上げられており、既に何度か怪獣たちと戦って人々を助けてきたことが描かれていました。(余談ですがニュース映像で確認出来るアークと戦った怪獣に、ゴモラレッドキングといったお馴染みの連中が映っていたのが良き)物語としては第1話でも、主人公視点の始まりではないというのはウルトラマンシリーズでは結構珍しいと思います。

 そして主人公の「飛世ユウマ(ひぜ・ユウマ)」は想像通りアークへの変身にこなれており、スタートからウルトラマンとして戦う覚悟を決めているのが要所要所で伝わってきました。普段は危なっかしい行動が目立つ若者ですが、戦うことを決めた瞬間のキリっとした表情がたまらなくカッコいいです。彼が何故ウルトラマンになり、怪獣相手に立ち向かうようになったのか……ユウマのオリジンとも言えるエピソードが早くも気になってくる始まりになっていましたね物語の冒頭では3話に登場する予定の怪獣が早速映っていたことから、ユウマが初めて変身するエピソードは3話で描くことが予想されていますが果たして……?

 他にも物語の舞台である「星元市(ほしもとし)」は怪獣被害が多発していること、世界中で怪獣が同時出現した16年前の事件「K-DAY(ケーデイ)」の話など、序盤から多くの情報が流れてきたのも面白いところです。事前に知っていないと混乱しっぱなしの情報量の多さでしたが、作品の雰囲気を掴むのには十分だったと言えるでしょう。そしてユウマが所属している「SKIP(スキップ)」と、怪獣相手に戦う地球防衛隊は別の組織であることもわかりやすく言及されていたのが好印象。怪獣を倒すことは向こうに任せ、生態調査や避難誘導といった役割を1話の時点でしっかりと印象付けてくれました。

 あとは劇中の登場人物ですが、ユウマ以外で最も印象に残ったのはやはり「石堂シュウ(いしどう・シュウ)」でしょうか。知的で冷静沈着・そのうえ礼儀正しいと完璧超人化と思われていた彼が、コーヒーがSKIPの事務所にないと知った途端取り乱すギャップには面食らいました。さらに防衛隊からSKIPに転属すると同時に、コーヒーメーカーを持参するラストで笑いが止まらなくなりましたよえぇ。序盤からおもしれー男として視聴者の記憶に焼き付いたシュウと、まだまだウルトラマンとしての謎が多いユウマ。その他のキャラも含めて、大いに期待させられる始まりを見せてもらった気分です。

 

 

  • 希望の円弧を空に描く、想像を纏いし光の戦士

 飛世ユウマが「アークアライザー」に指定の「アークキューブ」をセットし、アライザーを回転させることで変身した姿「ウルトラマンアーク」。本作の主役ウルトラマンであり、ユウマが光の使者「ルティオン」と一体化した形態です。見た目は幼少期のユウマが描いたという「さいきょうのヒーロー」の絵に酷似しているなど、変身の経緯含めて謎が多いウルトラマンでもあります。(中でもアークがユウマを抱きしめるよかのような変身シークエンスが気になりますね。まるで親が子どもを抱きとめるかのような……

 そのビジュアルは前作のブレーザーとは打って変わって非常にシンプルで、特に胴体は赤と銀を中心にデザインされています。(ただし首周りにのみ黒いラインが存在する)模様やカラータイマーの形状も複雑ではないですし、パッと見は光の国のウルトラマンを彷彿とさせるものを感じますね。対して頭部は情報量が多く、車のカウルを彷彿とさせる隙間が存在する頭部や、非常に鋭い目つきが特徴的。首から上の方が凝っているのもユウマの絵に忠実な部分で、まさに子どもが生み出したヒーローとしての意匠を引き継いでいることが伺えます。

 戦闘においてもオーソドックスな部分と、度肝を抜いてくる部分の両方が混在していました。まず前者は体当たりやチョップに光弾技「アークテラショット」で牽制しつつ、トドメの光線技「アークファイナライズ」で決めるという、多くの人が想像するウルトラマンの戦闘イメージに忠実だったかと思います。さらには両目と額のクリスタル部分を模した剣型武器「アークアイソード」でウーズを振り向きざまに斬り捨てる瞬間など、カッコいい攻撃も多くて大いに興奮させられます。

 そして後者の方は、防御用の盾である「アークギガバリヤー」を攻撃に使うとんでも戦法で視聴者を驚かせてきたのが印象的。板の状態のバリヤーをそのまま敵に叩きつけるのは序の口で、割って出来た破片をナイフの如く突き刺すシーンには思わず吹き出してしまいました。アーク(ルティオン)がユウマに「想像力を解き放て!」とアドバイスしていましたが、この戦い方故その想像力って常人では思い浮かばないような発想という意味かな?などとつい思ってしまいますね。敵の攻撃の被弾回数も多いですし、まだまだ粗削りなユウマが持ち前の想像力を駆使して乗り越えていくのがアークの基本戦術となるのでしょうか。

 他にも首を傾げたと思ったら、突然ハッと飛び起きるかのように顔を上げる……といった謎の動作も気になります。これは直前にルティオンが上述の言葉を口にしていたことから、ユウマとルティオンが交信している最中なのではないかと今の時点では予想しています。何はともあれ未熟な部分や未知数な部分と色々気がかりなものが多くとも、ヒーローとしての安心を持ったウルトラマンであることを実感しましたね。

 

 

  • 硬い甲羅の鎧獣隠れ潜む寄生獣

 今回アークが戦った怪獣の名前は「鎧甲殻獣 シャゴン」。本作の世界では既に存在が認知されている原生怪獣で、普段は地上の人間や家畜を襲うことで恐れられているとのことです。後述のビジュアルに反して性格は非常に獰猛らしく、劇中では5mくらいの段階でもユウマを発見するや否や襲い掛かってくるほどの凶暴さを発揮していました。これらの情報に加えSKIPのメンバーから生態が把握され対策が講じられていることからして、クマのように害獣として扱わている様子だったのが興味深いですね。(この辺りの描写から本作の“怪獣の存在の捉え方”が何となく読み取れます

 そんなシャゴンの見た目はかなり独特。亀の甲羅に巨大な胴体が付いて起き上がっている、といった感じのビジュアルは見れば見るほど奇妙な印象を受けます。つぶらな瞳は結構可愛らしく見えるものの、顔と肩の発光体が大体同じ位置にある点に不自然さを覚えますね。そのうえアークとの戦闘では亀の如く首をにゅいーんを伸ばしてくるのでちょっとビビってしまいました。他にも口から酸を吐いたり、発光体を光らせ目潰し、甲羅から光る破片を発射して攻撃と技も非常に多彩で見ていて飽きなかったです。甲羅の頑丈さも相まって、1話からかなりの強豪怪獣であると感じました。

 そんなシャゴンを暴走させていた「宇宙寄生生物 ウーズ」も見逃せません。こちらは別名通り宇宙から飛来した寄生生物で、赤いイソギンチャクのようなビジュアルは一目見ただけで気持ち悪いという感情を抱かせてきます。このウーズに寄生されたことでシャゴンは50m級にまで巨大化させられ、主食の炭酸カルシウムを摂取させられたとのことです。本来肉食であるはずの怪獣に鍾乳洞やアスファルトなどを食べさせ、無理やり成長させるやり口は寄生生物ながらゾッとするレベルの悍ましさがありますね。幸いシャゴンに寄生して巨大化していたウーズはアークが撃退したのですが、まだまだ他のウーズが隠れ潜んでいるのではないかと心配せずにはいられません。

 

 

  • 懐かし&驚きの演出に目が離せない!

 さてストーリー以外だと、様々な部分で凝った演出が目に付きましたね。本作は以前から『帰ってきたウルトラマン』を彷彿とさせる要素が多めとファンから指摘されていましたが、実際アークの基本の構えが帰りマンことウルトラマンジャックそっくりだったので結構驚きました。他にもアイキャッチに光るタイトルを入れる演出もあったりと、監督の辻本貴則(つじもと・たかのり)氏の帰りマン好きがふつふつと伝わってくる作風満載で微笑ましいものを感じます。

 そして戦闘シーンですが、こちらでは驚異の長回し風演出に舌を巻くことに。助けられたシュウがスマホでアークの姿を映す様子から、アークVSシャゴンへとシームレスに切り替わる時点で感嘆の声を漏らしました。その後も同じカメラの視点でずっとアークたちを映しており、まさかこのままやるのか!?と驚きと確信を視聴者に与えてくる過程も見事です。(あくまで長回し“風”なので、要所要所でカットを入れているのも確認出来ます)何よりビルに残っている人たちが窓から覗くアークたちの姿に驚く場面など、人間の等身大の視点でウルトラマンの巨大感を表現しているのがたまりません。

 あとは画面上に表示されたタイマーカウントも面白かったですね。最初はよくわからなかったものの、戦闘限界時間である3分を計測しているのだと理解した時は思わず膝を打ちました。ウルトラマンといえば3分だけ戦えることで有名ですが、それを劇中のリアルタイムで測るのは前代未聞。戦いを終えたアークが飛び去った瞬間のカウントが3:18:40(3分18秒40)という点から、正確に3分ではないことがわかった点にもニヤリときます。(また個人的には『牙狼<GARO>』の99.9秒の鎧召還時間を表示する演出を思い出しました)

 総じて今回の戦闘は上の長回し風も含めて、視聴者にウルトラマンが実際に戦っていることを体感させてくれる斬新な演出だったと言えます。リアルタイムでウルトラマンの戦闘を見ているような錯覚を覚え、臨場感を味わわせてくれるアトラクションのような映像に仕上がっていて楽しかったです。(特にタイマーが3分に近づく度にあと数秒しかない!とハラハラしましたね)我々と画面の先の垣根を取っ払った辻本監督に感謝を覚えつつ、次はどんな体感型アクションを魅せてくれるのかという期待が湧いてきました。

 

 

 というわけでアーク1話の感想でした。初っ端からウルトラマンらしい要素を持ち合わせつつ、主人公が既にウルトラマンになっているなどといった珍しい展開で目を引かせる作風に早速魅了されましたね。K-DAYといった物語の気になる謎も仄めかしつつ、それでいてストーリーそのもののは明るさやわかりやすさを念頭に置いている作風にも好感が持てます。

 OP&EDに関しても同様で、作品の前向きで心地よい空気感をよく表現していたと感じます。絶版おじさん貴水博之さんのボーカルで有名なaccess(アクセス)さんの「arc jump'n to the sky」とアニメ『SYNDUALITY Noir』などでもタイアップを務めたARCANAPROJECT(アルカナプロジェクト)さんの「メラメラ」と、いずれの歌詞も「夢」や「未来」といったフレーズを多用して困難に対しても突き進む強さに溢れていました。

 まとめると本作はまさに夢や希望を子どもたちに届ける、そんな作品になってくれるのだろうという感触を得られてワクワクが止まりません。ともかく今年も約半年の期間、新たなウルトラマンを大いに楽しめそうで非常に嬉しい限りです。

 

 

 そして次回は建設現場にて発見された謎の遺跡と、森の伝説にまつわる出来事が展開される模様。工事を進める中で、封印されていた怪獣が目覚めて暴れ出すというシリーズではよく見られるエピソードになりそうな予感がします。これまたオーソドックである分、何かしらのサプライズが隠されているかもしれません。まずは伝説を信じて工事に反対する少年とユウマの友情とその伝説について(予告に太平風土記らしき古い書物が確認出来ましたがもしや……?)に注目して次回を視聴したいところです。

 

 

 ではまた、次の機会に。