ドラ娘ストーリー編第2章も4話目に突入。予想通り今回の主役となったギャイのストーリーは「引っ越し」という身近な別れから、彼女の本心を引き出す内容となっておりベタながら安心感を覚えました。特に昔から一緒だったメガとのやり取りは、序盤から定期的に描かれていただけに胸にくるものがありましたね。というわけで今回ギャイ編の感想を軽く書いていきたいと思います。
- わがままに、自分に正直に!
メインキャラの1人「地封院ギャイ(ちふういん・ギャイ)」はメガの幼馴染にして関西弁のツッコミ担当。生徒会メンバーの中では比較的マトモなポジションに置かれており、しっかり者でコミュ力高めという隙のなさ……なのですが個人的にはそれが地味に感じることもある不思議なキャラクターです。メガと一緒に行動することが多く、ギャル要素も彼女に次いで多いのも魅力の1つですね。元ネタのカード《地封龍 ギャイア》は高いロック性能を備えたドラゴンとして初登場から評価されていた1枚。十王篇出身で暴拳王国を種族に持っているのですが、何故かギャイの方がカード化された際にその種族が削除されていたのは語り草となっています。*1
そんなギャイですが、上述の通り親の仕事の都合で引っ越ししてしまう問題に深く悩んでいたのが印象的。というのもみんなと離れ離れになりたくないものの、両親を困らせたくないから諦めている様子が目に焼き付いたからです。誰かに迷惑をかけないように空気を読んで、自分に嘘をついて本音を抑え込む姿はどこか物悲しいものがありました。上で書いたようにギャイを地味に感じたのも、彼女のこうした“主張をしない”面があったからかもしれませんね。子どもが子どもらしくいられない様子って見てて痛々しいものを覚えるんですよね……ただ他のキャラ同様、これまで長所とされていた性格の弱い一面が出てくるのは趣深いところでもあります。
しかし謎の学校に吸い込まれ、幼い頃の記憶の世界で漂うギャイが覚醒するシーンには胸打たれました。以前話題に出ていた小学生時代の引っ越しの話を描きつつ、当時の後悔から自分に正直に生きる姿勢を手に入れるくだりはベタながら素敵でしたね。幼少期のメガの「思った時に動かないと後悔する」という言葉、そして父親の思いやりがギャイを動かすきっかけになっているのでこれまた目頭が熱くなってきます。また2話の時点で自分と向き合ってドラゴン化する展開の意外性は、本気になれば強いギャイの底力を表わしているようにも見えました。
彼女を突き動かした生徒会のみんな、そして両親の存在も見逃せません。まず「それでいいのか?」と問いかけるすずや一緒の時間を共有するアーシュと、各キャラの性格が反映されたギャイへの声掛けから彼女たちの友情が伝わってきます。(この中だと敢えて突き放すような言い方でギャイの本心を引き出そうとすずちゃんが好きぃ……)そしてギャイの本心を聞いて受け入れてくれた、両親の言葉にもウルっときました。今回登場したキャラの誰もが周りに合わせられる点をギャイの良さとして受け入れ、そのうえで彼女に我儘であってもいいことを教えてくれる優しさに溢れていたのが素晴らしかったです。
続いて本作の見どころの1つであるクリーチャーの元ネタも当然ながら触れていきます。今回はいつもと比べて目に留まった部分が多いので、やや文章量が多くなってしまいましたがあしからず。
- ギャイの両親
強面ながら優しそうなおとん(お父さん)とサバサバしたおかん(お母さん)というビジュアルが、如何にもギャイの両親らしかったお2人。家族仲も良好で転勤による引っ越しは仕方ないにしても、ギャイの本音を聞いてくれる理解のある親として描かれていたので非常にほっこりしました。こんな優しいおとんが単身赴任になってしまったことには少々気の毒に感じたものの、娘の自立を応援してくれる姿勢は本当に評価したいところです。(それにしてもおとんの仕事が「たこ焼きを売る営業」なのはいいとして、海外進出するって一体……?)
元ネタのカードは明言されていませんが、おとんが《剛力羅王 ゴリオ・ブゴリ》、おかんが《世界獣龍 テライグニス・アクアエル》かと思われます。(前者は顔が実にゴリラっぽい)いずれもギャイの元ネタであるギャイアと同じ暴拳王国のクリーチャーで、なるほど統一感があるのも納得のチョイスと言えますね。こうした関連性の付け方は中々に面白いです。
- 怖い犬
ヒイィ~ッ怖い犬!!と『ドラゴン娘のどこでもないゾーン』のギャイが怖がっていることで有名な犬。現実世界で別に怖くない大人しい犬でも怖がるギャイに吹き出しましたが、過去世界にてかつて犬に襲われかけた背景が判明して納得しました。2話終盤から敵として立ち塞がるシーンも特徴的で、今回のエピソードでは徹底してギャイが乗り越えるべき“恐怖”や“困難”であるかのように描かれていたのが興味深かったです。
そんな怖い犬がギャイと戦う際《ギガベロス》の姿になった時は度肝を抜かれましたね。かつてSNS上で《ケンゲキオージャ 〜究極火焔〜》説が出ていた犬の正体を、デュエマ第1弾で収録されたマイナーカードに据えるセンスには脱帽するばかり。あくまで本作ならではの解釈ですが、正直膝を打った例として覚えておきたいところです。
- 《学校男》
ギャイとメガが通っていた小学校の校舎に取り憑き、ギャイを過去の世界に引きずり込んだ張本人。学校ということでまさにそのまんまの登場ですね。モンスターハウスの如くギャイを呑み込む学校の絵面は、何ともゴシックめいた幻想的怖さがありました。(またその様子から1話の時点で予想していましたがドンピシャで当たってちょっと嬉しかったり)
そしてギャイのみを引き入れ残りのメンバーを外に締め出すことから、これまでと同じ敵クリーチャーかと思いきや違った様子だったので驚きました。幼いギャイの生霊のような描写もあって、この学校男はギャイの過去の後悔や今の悩みを解消するために力を貸してくれたのかもしれません。人を害を与えるだけでなく、こうして助けになってくれるクリーチャーが短編同様に出てきたのは少し喜ばしいです。
- ギャイの過去の記憶世界
上の学校男によって小学生時代のギャイの記憶の世界が展開されましたが、どうやら2013年の頃だった模様。アニメ『デュエル・マスターズ ビクトリーV3』のポスターが出てきた時は思わず二度見してしまいましたね。他にも滝川クリステル氏の「お・も・て・な・し」や『あまちゃん』で使われた「じぇじぇじぇ~」など、当時の流行語の連発に妙な懐かしさを覚えます。(余談ですがギャイがギガベロス戦で「倍返しや!」と言っていたのは、『半沢直樹』シリーズの原作小説1作目が2013年に出版されたからではないかと思われます)
そんな当時の世相を思い出しつつ、この子たちが小学生だった頃ってそんな昔なの!?という事実に打ちのめされてしまったり……デュエマV3もといエピソード3が既に10年以上前のものだと思うと、時の流れの早さに愕然としてしまいます。とりあえずは今の中高生は子どもの頃CGのデュエマ見ていたことに微笑ましさを覚えておきたいところです。
そして次回のストーリー編ですが、何と今年冬に完結することが告知されました。あまりにも急故これでドラ娘は終わってしまうのか、それとも第3章があるのか、そういったことが気になってきます。(少なくとも日常パートの短編動画は続きそうですが)ともあれ1周年を迎えようとする中で、物語に一区切りを付けようとする姿勢には好感が持てますね。
ちなみに次はアーシュ編かと思いきやアオハル編、つまりドーラ率いるアオハル組がメインになる模様。短編でも中々出番が無い彼女たちにようやくスポットが当たるようで非常に楽しみです。2章でちょくちょく出ている宝石や、ドーラたちにドラゴンの力を与えた「謎の存在」の正体についてもここではっきりと描いてくれることにも期待したいです。
ではまた、次の機会に。
*1:一説には「十王篇特有のアイコンがあるので他のドラ娘のカードと並べて浮いてしまわないように削除した」と考察されている。