カグヤ様は輝きたい
この主人公、天然人たらしがすぎる……!
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- 伝説たちのゴージャス頭脳戦?
今回のガッチャードは引き続きレジェンドの客演エピソード。前回のラストで全てを持っていったカグヤ様こと鳳桜・カグヤ・クォーツが、ガッチャードの世界でゴージャスを振りまくフリーダムっぷりを発揮していました。約5か月前に公開された『ガッチャードVSレジェンド』の頃から変わらぬ傲岸不遜な態度に、少々安心感を覚えましたね。
↑宝太郎とカグヤ様の出会いについては上の感想を参照。
その結果宝太郎の補習に乱入するわ、街頭インタビューに答えるわ、学生たちを魅了するわとやりたい放題。予告の時点で宝太郎たちがカグヤの行動にタジタジになるのは予想していましたが、いざ実際見てみた時のシュールさは流石のモノでした。(個人的にはこれまでのギャグ回でもキャラが崩れなかったスパナでさえ、インタビュアーたちを誤魔化すのに必死だったのが特におかしかったですね)そのうえ宝太郎との共闘で勝手にカードを装填したりホッパー1を使ったりしていましたが、苛立つ宝太郎に拗ねてしまう様子が何とも面倒くさくて可愛らしかったです。
このままだとわがままな男のイメージのままになりそうなところを、バトラーの説明のおかげでカグヤの不器用な一面が明らかになったのが大きな見どころ。幼い頃に家族を失い、その後1人孤独にハンドレッドと戦ってきたカグヤにとって宝太郎という「友達」の存在が如何に大きかったかが伺えます。要は友達との久々の再会に舞い上がってしまったということでしょう。その結果暴走してしまい、叱られて不機嫌になったのだと思うと途端にいじらしく見えてきますね。
また上のガッチャードVSレジェンドで明かされた「カグヤが自身を輝かせる(目立つ)ことで敵の狙いを自分に集中させてきた」説明を改めて受けて、カグヤがそれ以外のコミュニケーションを知らないことを察し愕然としました。昔からヒーローとして振る舞ってきたために一般的な常識を知らないままだっただったのだと考えるとそれはそれで悲しい話です。それ故に生まれてしまった友人とのすれ違いに、何とも言えない切なさを覚えてしまう描写だったと言えます。
- 忘れてほしくないからこそ
そんなカグヤの掘り下げの中で興味深かったのが「忘れられてしまうこと」に触れる内容。宝太郎がカグヤたちのことを忘れていた理由が明かされる(割とあっさり宝太郎の記憶が戻ったことには地味に驚きましたね)と同時に、そのせいでカグヤが抱いた寂しさに気付く宝太郎の姿にグッときました。錬金術師の掟で一般人の記憶を消してきた宝太郎たちでしたが、消す側が友達から忘れられる辛さを学んだことに大いに感心させられます。同時にカグヤの上述の行動全てが「宝太郎に覚えてもらうため」だということもわかり、より彼に愛着を覚えましたね。
幼少期の宝太郎と遊んだホッパー1とスチームライナーや、宝太郎自身が加治木とのやり取りで事前に彼に忘れられる側の喪失感を味わわせているのも見事。そのおかげで、宝太郎は忘れられたカグヤの心情を慮るシーンにも不思議と感動させられます。何と言いますか、記憶操作が基本になりつつある本作の作風に、忘れられてしまうことへのメスを入れてくるのが素晴らしいと感じますね。人間とケミーの絆が思い出などにあることも考えると、ここで記憶の問題に触れたのは大きいでしょう。カグヤの掘り下げをしつつ、錬金術の掟の問題提起にもなった今回の描写には舌を巻くばかり。これがいずれ宝太郎の目指す「人間とケミーが共に暮らせる世界」実現のために解決すべきこととして、繋がっていきそうな予感がしてくる描写でした。
- 伝説を超える伝説を着飾る煌めく荘厳華美
LEGENDKAMENRISER!
FINAL CHEMYRIDE!
LE LE LE
LEGENDARY LEGEND!!!
カグヤがバトラーと共に開発・調整していた「レジェンドカメンライザー」に専用のレジェンドライダーケミーカードを装填、レジェンドライバーのバックル部分に換装して変身した強化形態「仮面ライダーレジェンダリーレジェンド」。ガッチャードを差し置いて先にお披露目してきたレジェンドの最強フォームです。ディケイドをモチーフとしているだけあってその姿はレジェンド版コンプリートフォームと言うべきもので、額にレジェンダリーレジェンドのカードがピタリ。そして首元には歴代の平成・令和の仮面ライダーのカードがズラリと巻き付く歩くゴージャスライダー図鑑状態と化しています。
この姿は何といってもこのカードで出来た束がマフラーのように巻き付いているのが絶妙で、襞襟のような気品とライオンのタテガミのような勇ましさを同時に感じます。(実際にエリザベス1世の襞襟がデザインモチーフの1つにあるのだとか*1)歴代ライダーを着飾りながら、自分自身を主張するかのようなデザインとなっており、自分も先輩も立てるような塩梅が心地いいです。まさにカグヤ自身のヒーローたちに向けたリスペクトの表れとなっていますね。
その戦闘力はレジェンダリーレジェンドの状態の時点でダークキバ(サイゲツ)を退けるほど。カグヤの優雅かつ余裕に満ちた戦闘スタイルがマッチしており、敵を容易くいなす様子に惚れ惚れさせられます。さらにレジェンドカメンライザーから発射する必殺技で、ダークキバのウェイクアップ3(何かかめはめ波みたいな技になっているのはどういうことなの……?)を押し返す瞬間には驚きましたね。他にもホッパー1といったケミーカードを装填し、ケミーの力をエネルギー弾にして放つなど多彩な技が目立ちます。
しかしそれ以上に特徴的なのが歴代の平成・令和主役ライダーの最強フォームに変身するファイナルケミーライド能力。レジェンドカメンライザーにセットしたカードに描かれた最強フォームに、レジェンダリーレジェンドの装飾を追加したゴージャスバージョンに変身することが出来ます。劇中では「仮面ライダーゴージャスゼロツー」などに変身し、それぞれの能力を金ぴか&豪華なエフェクト付きで使いこなしていました。レジェンドの何もかもを自分色に染め上げるスタイルが正統派パワーアップを遂げ、より豪華絢爛になった最強形態と言えるでしょう。
というわけでこれまた豪華な34話でした。前回はラストにしかカグヤが登場しなかった分、今回大いに目立たせてどんなキャラなのかをはっきり示したきた印象です。実際そういえばカグヤってこういう奴だった~!と思い出すことが出来ましたし、「ゴージャスの居所が悪い」といった謎ワードを連発してくるところに大笑いさせられました。さらには宝太郎を友人と思っているが故に不器用になってしまうという、新たな一面が見られたのも面白かったですね。ただ豪華なヒーローをしているだけではない、カグヤ自身の等身大の悩みや可愛さが生まれていたと言えます。
それにしてもカグヤがここまで宝太郎に重い感情を見せてきたのは意外でしたね。彼に誰?と言われた時や叱られた時などの表情も絶妙で、これだけでカグヤなりの友情が発揮されていました。しかも宝太郎からしたら何故そこまで入れ込むのかよくわからないので見ている側としてもため息をつくばかり。りんねや加治木、静奈ちゃんやホッパー1とこれまで周囲の人やケミーにじっとりとした感情を抱かせてきた宝太郎……とうとうカグヤまでも巻き込むその天然タラシっぷりに慄いてしまいます。
また前回に引き続き、歴代のライダー要素をぶち込んだ戦闘シーンも見逃せない注目ポイントでしたね。ビルドジーニアスやディケイドコンプリート&電王ライナーなど、主役ライダーの最強フォームの大盤振る舞いで活躍したレジェンドには惚れ惚れしてしまいます。さらに半ば無理やりクウガとファイズのカードを入れられての変身ですが、ファイヤーガッチャード エクシードマイティを拝めたのも嬉しいところ。
敵側もサイゲツが今度は仮面ライダーアークゼロ&仮面ライダーアークワンに変身したのも意外で、アークゼロ→アークワンへのラーニング変身を遂げる展開はかなり衝撃を受けました。そのうえ最高だったのがゴージャスゼロツーVSアークワン!変身者は原典とは異なるものの、『ゼロワン』本編で叶わなかったマッチングをここにきて実現してくれたことには感謝しかありません。相変わらずライダー好きのスタッフが同じくライダーが好きな人たちに送ってくれたような内容に、感動させられる30分でした。
そして次回はレジェンド客演シリーズ最終章。ハンドレッド幹部によって起動した謎の終末時計(時計の形が『REAL×TIME』で見たような……)が起動すると共に、カグヤが宝太郎に拳を振るうという意外過ぎる展開が待っているとのこと。これは十中八九宝太郎を巻き込まないために敢えて突き放しているのでしょう。そんなカグヤの自己犠牲精神と、不器用なところに涙を禁じえません。加えて冥黒王ギギストによってアークワンから生まれた謎のマルガムも出現するのだとか……
さらに戦闘シーンではレジェンダリーレジェンドのこれまたゴージャスな戦闘シーンが拝める模様。予告を見る限りではゼロワンとジオウの各フォームが一挙集結するという、敵からしたら恐怖でしかない絵面が展開されていて笑ってしまいました。相変わらず先輩ライダーの力を豪快に使うカグヤ様。次回の彼の輝きが非常に楽しみです。
ではまた、次の機会に。
*1:仮面ライダーWEB(https://www.kamen-rider-official.com/gotchard/35/)を参照。