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仮面ライダーガッチャード 第19話「りんねの夜明け!変身・マジェード!」感想

この一言で私は変わる

マルガムにも微妙な反応される主人公の創作料理ェ……

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  • 己がルールで使命(やりたいこと)を果たす

 今回のガッチャードは待ちに待ったりんねの主役回。父親のことやアトロポスへの精神的攻撃でずっと表情に影を落としていたりんねが、如何にして冬映画以来の変身を果たすのかまでを丁寧に描いていました。何といっても彼女がずっとこだわっていた錬金術の掟に背を向けて、自分のルールを定めていく過程が見ていて気持ち良かったです。映画の初変身とは全く異なる形で、彼女の十分なオリジンを魅せてきたことには驚かされるばかり。何より父に対する誤解も解け、りんねもようやく一歩前進を果たしたことにホッとさせられましたね。

 前半は何といっても上述の通り、りんねが掟に関して悩む様子がポイント。「キッチンいちのせ連合」という新たな活動の場で錬金連合の教えを守り続けるべきなのか……と彼女の真面目な一面がこれでもかと発揮され戸惑いの中にあるのが印象に残りました。そんな中で前回過去に飛んだ宝太郎から父の真実を知りつつ、「掟よりも守るべきもの」について宝太郎から学ぶシーンに胸打たれます。さながら品行方正が売りだった優等生が、自分の本当にやりたいことについて真剣に悩んでいる様子を描いているかのようでした。

 そうしてりんねが得た答えが「私のルールは私が決める!!」ちょっと不破さんっぽいという中々に大胆不敵なものだったので最初見た時は唖然となりましたね。とはいえ後述のアトロポスを助けるくだりや友人を求めていた過去の話などを思うと納得出来るものもあります。ルールや孤独に縛られ生きてきた少女が、仲間を得ることで「自分が今やりたいこと=自分の本当の使命」をハッキリと口に出せていることが感じられました。それが敵味方関係なく、助けを求める声に応えることなのですから個人的にも見ていて気持ちが良かったです。(言うまでもなく宝太郎たちと会えたからこそここまでこれたのでしょう)ラストのケーキを生き生きと食べる様子も相まって、今回を以てりんねは宝太郎とはまた違う形で独り立ちを果たしたと言えます。

 

 

 

  • 強き信念を携え飛翔する、一角と陽光の聖錬成

 

アルケミスドライバー!

 

アルケミスリンク!

 

  ユニコン

UNICON!

 

ザ・サン  

THE SUN!

As above, so below. As above, so below.

 

ガガガガッチャンコ!

 

プロミネンスホーン!

サンユニコーン!!

 

 九堂りんねが父・風雅より託された「アルケミスドライマー」と「ハイアルケミストリング」を同調(リンク)させ、ミナト先生が渡してくれた「ニコン」と「ザ・サン」のライドケミーカードを装填・錬成(ガッチャンコ)した「仮面ライダーマジェード サンユニコーン」。昨年公開された冬映画に初登場し、満を持して本編でも変身を果たしたりんね仮面ライダーとしての姿です。映画先行登場という懐かしの要素を引っ提げつつ、初の「女性2号ライダー」の称号を持つ記念すべきライダーでもあります。

 その見た目は白を基調にした清潔感溢れる色合い、かつ錬金アカデミー制服を着用したりんねを彷彿とさせるローブ(マント)がまず目を引きます。そして頭部のツノや蹄のようなハイヒールからは一角獣、各所に設置されたオレンジの結晶体からは太陽のイメージが読み取れますね。何より騎士のような佇まいが良い意味でこれまでの女性ライダーとは異なっており、華奢ではないガッシリとした体つきはりんねの優しさと勇ましさを両方内包しているかのようでグッときます。

 戦闘では相手の攻撃を受け止め、そこから受け流しつつ攻撃を加えていく合気風のバトルスタイルを披露。徒手空拳においてはガッチャード以上であろう身のこなしで、一方的に蹴りなどを加えていく様子は爽快感抜群でした。特に必殺技の連続蹴りは、宙に浮いてからの連撃ということもあって非常に軽やかでしたね。加えて映画で敵の魔術的な能力を無効化する力も発揮しており、特殊能力持ちにも滅法強いタイプのライダーと言えるでしょう。錬金術師、そして仮面ライダーとしての資質を手に入れたりんねに相応しい、華麗で勇猛なライダーだと思います。

 

 

  • 敵側各々の心情事情

 今回は他にも成長したりんねの周囲で、グリオンたち敵陣営にちょっとした動きが見られたのも大きな見どころ。まず目に留まったのがアトロポスで、操っていた「ケルベロスマルガム」に襲われていたところをりんねに助けられる展開にはかなり驚かされました。「私と同じ」という言葉で共鳴を得る場面も描かれており、口ではツンケンしているもののりんねへの困惑と共感が目に見えて伝わってきましたね。(対して心配していた風グリオンに対する心底冷めた目つきも良い……)果たしてこれがアトロポスのグリオンへの離反フラグとなるのか、はたまたりんねに対してさらに拗らせていくのか、非常に見ものです。
 そしてもう1つ見逃せないのがミナト先生の動向。最初りんねの前に現れた際は掟を突きつけ追い詰めていったものの、上述の件を経たりんねに微笑む素振りを見せてきた時は思わず感銘を受けましたね。「自分の道が決まったんだな」というセリフからも読み取れますが、その様子は生徒が強い意志を以て自立を果たしたことを喜ぶ教師の姿そのものでした。何よりここからミナト先生は心から宝太郎たちを裏切っているわけではない確信が得られて、個人的にもすごく喜ばしかったです。

 あとは余談ですが、ミナト先生が2度目のドレッド変身をした後も平気そうだったのが気になりますね。錆丸が1度の変身でボロボロになって死にかけていたことを考えると明らかに異質に思えます。そのことからミナト先生は普通の人間ではないのでは?その出生にグリオンが関わっているのでは?といった想像が膨らんできます。(クロトーやラケシスもドレッドに変身してピンピンしていましたし、彼女らと同一の存在である可能性もあります)これからはミナト先生の正体も見逃せないことになるかもしれません。

 

 

 さて前回の感想でも書いた通り、今回の脚本を担当したのは井上亜樹子氏。プリキュア

シリーズや数々のホビーアニメを手掛けてきた脚本家(個人的には2018年の『デュエル・マスターズ!』以降、デュエマアニメに毎年関わっている印象が強いです)で、平成ライダーや『ドンブラザーズ』で有名な井上敏樹氏の娘としても有名な人です。昭和ライダーを書いた祖父・伊上勝氏と平成ライダーを書いた父・敏樹氏に続いて、とうとう実写の令和ライダーに関わって親子三代の制覇を成し遂げたのはオタクとしても注目したいポイントです。

 そんな亜樹子氏が書いた今回は、食事シーンがいつもより多かったのが特徴的でした。父親の書くライダーが食事シーン多めという有名な話がありますが、まさか娘の方までそんな特徴を引き出すとは思ってもみなかったです。(少々公式が擦りすぎな気もしますが)また大体の食べ物が美味しそうだった中、宝太郎が作った「シュー肉まん」には笑ってしまいましたね。敵マルガムにすら投げ捨てられるのも納得ですが、宝太郎のかつてないほどショックな叫びのせいで何ともシュールな絵面を生み出していました。こうした食べ物に関わるシーンやギャグは結構好みなので、他の方々の脚本回でも見てみたいところです。

 

 

 そして次回はスパナにスポットが当たる模様。宝太郎やりんねの成長ぶりに焦りを抱く彼の元に、死んだはずの両親が現れるという異常事態が発生するとのことです。十中八九グリオンの罠でしょうが、亡き家族を前にスパナが引っ掛かってしまいそうで不安になってしまいます。というか予告の時点で彼の悲痛な叫びが響いていますし……

 また鏡花さんが宝太郎たちの前にようやく姿を見せ、彼らに「10年前の事件」の全貌を語る展開にも注目したいところ。風雅が裏切り者と言われるきっかけとなった事件とは何か?そこでスパナとその家族に何があったのか?ずっと仄めかされていた重要な出来事の開示に、胸の高鳴りと恐怖が止まりません。少なくとも次回はとてつもなく暗い話になりそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。