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仮面ライダーガッチャード 第18話「駆け抜けろ!進化のファイヤーロード」感想

その手で未来を掴め!!

正体がわかってからのデイブレイクの「宝太郎っぽさ」は異常

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  • 己の力で勝利を選ぶ時

 ミナト先生が学園にいなくなった場面から始まった今回のガッチャード。先生の存在が他の生徒たちの中から消されている事実にショックを受けたのも束の間、りんねたち仲間がムーンマルガムに囚われるとピンチが次から次へと襲い掛かってくる前半はまさに怒涛の展開でした。残された宝太郎1人にはならずデイブレイクの助力が無ければ、絶望感は今よりマシマシだったかもしれないと思います。

 そんな状況を打開するために新アイテム・ガッチャーイグナイターを手にするまでの過程が描かれたのですが、宝太郎が貰うのではなく自ら作り出す選択を取ったのが良かったですね。デイブレイクから渡されたイグナイターで解決するのではない、現代の自分自身でケリをつける姿勢には感動させられます。以前のエクスガッチャリバーのように強化アイテムをただ貰ってばかりではいざという時誰も助けられないという、宝太郎なりの覚悟が読み取れるのも興味深かったです。

 また過去の自分のお宝であるゴーグルを託されてイグナイターを作る様子はハイテンポながら見入るものがありました。上述の貰ったような状況ですが、宝太郎にとっての「この世にたった1つの宝物」という点を考えるとある意味では自分自身で勝ち取ったモノと言えるのかもしれません。そして彼の決意の言葉が本作特有の錬金呪文のシーンになる演出には痺れましたね。これまで錬金術要素が薄かった宝太郎がりんねたちとはまた異なる錬金術を習得してみせた……そんな成長の構図に胸が熱くなります。その直後の新フォームでの戦闘シーンも合わせて、前回までの鬱屈とした空気を見事に吹き飛ばしてくれました。

 あとはやはり宝太郎の進路調査表の話もちょっとしたここすきポイント。未だに出していなかったのかという驚きはさておき、改めて大物錬金術師になることを書きこんで宣言するラストにはほっこりさせられました。他人に頼ってばかりではなく、自らの力で未来を切り開く宝太郎の過程が描かれた今回。ミナト先生の庇護下を離れたタイミングもあって、見ていて元気づけられる独り立ちの物語だったと言えます。

 

 

  • 未来への灯を点火する、熱き跳躍と蒸気の炎錬成

 

ガッチャーイグナイター!

 

ターボオン!

 

 ホッパー1

HOPPER1!

イグナイト!

 

スチームライナー  

STEAMLINER!

イグナイト!

 

ガッチャンコ!

ファイヤー!

 

スチームホッパー!!

アチー!!

 

 宝太郎が過去の自分から貰ったお宝を元に造り出した「ガッチャーイグナイター」をガッチャードライバーと合体(ターボオン)させ、ホッパー1とスチームライナーの組み合わせで錬成(ガッチャンコ)した姿「仮面ライダーファイヤーガッチャード スチームホッパー」。スーパーガッチャードに続く中間フォームです。レベルナンバー10を掛け合わせたスーパーガッチャードに対し、こちらはドライバーと従来の形態そのものの性能を底上げした強化になっている模様。そのため普段のスチームホッパーをさらに発展させたようなビジュアルに変化しています。

 その見た目はまずファイヤーの名前に違わぬ、全身の至るところにファイヤーパターンが追加されている点が特徴的。スチームホッパーの形状はそのままに、より鋭くなった印象を受けますね。さらに背中のマフラーが変化した、背中のX字の形状の巨大ブースター四門が特に目を引きます。その結果これまでのガッチャードの中でもひと際大きなシルエットになりました。個人的にもこのバックパックのゴテゴテっぷりには惹かれるものがあります。

 戦闘ではその出力を活かした高速戦闘でムーンマルガムを圧倒している様子が印象に残りました。ブースターから噴射される炎を纏って連続攻撃する様は、この形態の攻撃的なスタイルを実によく表していると思います。さらにパワーも同様に向上しており、相手が落としてきた隕石をあっという間に破壊する攻撃の数々は圧巻もの。これだけで強力なフォームであることが伝わってきます。

 極めつけの必殺キックもポイントで、繰り出す前に背中からアンカーを発射して体を固定、ブースターの炎が青い最大出力になった瞬間鎖を引き千切る勢いで蹴り上げるビジュアルのカッコよさには惚れ惚れさせられました。加えて再生能力持ちの敵を再生が追い付かないほどの摩擦熱で燃やし尽くし、向こう側の山まで一瞬で吹っ飛ばす絵面のインパクも凄まじかったです。自らの力で未来を勝ち取った宝太郎に相応しい、鮮烈な新フォームのお披露目でしたね

 

 

  • 現在に繋がる2つの新事実

 また今回はガッチャード世界にまつわる「過去」と「未来」の話も大きな見どころ。まずは過去ですが、時間を飛び越えるケミー・タイムロードの力で向かった先で様々な伏線が回収されたことに驚かされました。特に少年時代の宝太郎がホッパー1たちケミーと会って友達になっていたこと、その記憶をりんねの父・風雅に消されていたことが判明する瞬間には思わず唸らされます。以前から気になっていた過去の秘密が一気に明かされたことで、宝太郎がケミー最初から懐かれている理由や風雅が彼にドライバーを託した理由が間接的にわかってスッキリさせられましたね。あとサボ助(サボニードル)がグリオンに傷付けられるシーンから、彼が臆病になった理由を察したり……

 他にも風雅の裏切りの真実がグリオンの記憶改竄のせい、という事実にも仰天。単純な裏切り行為ではないとは思っていましたが、ここまでシンプルな敵の妨害が原因だったことにはちょっと肩の力が抜けてしまったり。しかし視聴者が気になる謎を引っ張らずにさっさと明かして話を進めるストーリー構成には好感が持てますね。(謎を明かしたうえで「少年宝太郎は何故ウロボロス界に迷い込んだのか」という新たな謎を用意しているのもグッド)クロスウィザードをはじめとしたレベルナンバー10を使役する風雅の実力者っぷりも見られて満足度高めのタイムスリップでした。

 

 そして未来に関しては言うまでもなくガッチャードデイブレイクについて。前回の感想で散々予想した通り、彼の正体が未来の宝太郎だった事実に大きく納得させられました。劇中では直接明かさず、セリフの節々で間接的に察せられるように仕向ける描写はベタながらニヤリとさせられますね。ムーンマルガムに勝利した宝太郎を見て「流石俺……!」と呟く辺りが実に宝太郎っぽいのも、視聴者としてはかなりわかりやすかったです。(ちなみに現代宝太郎が過去でケミーと仲良くしている自分を見て似たようなセリフを吐いているのがミソ

 一方でデイブレイクが来た未来がとんでもなく絶望的な話はショッキングでした。こちらもある程度予想していたとはいえ、いざ崩壊した世界を見せられると少々胸が痛んでしまいます。そのうえ現代の宝太郎が未来を変えたことで、デイブレイクの未来がパラレルワールドになった事実*1も悲しいですね。本筋は前向きになっているとはいえ、向こうの未来の宝太郎にも救いがほしいとつい思ってしまいます。今後デイブレイクの出番があるかはわかりませんが、何らかの形で彼の世界に行って助けてあげる展開に期待したいです。ここ(特別編)に平行世界を渡れるシステムを開発したゴージャスなライダーがいるじゃろ?

 

 

 というわけで18話の感想でした。12~13話の時と同様、前回の内に追い詰められた主人公勢が新フォームで反撃する構成はやはり良いなぁ……と実感させてくれる回でしたね。次のエピソードの内に解決してくれるので、多少の暗い雰囲気もその後のカタルシスに繋がると感じて興奮させられることを改めて感じ取りました。おかげでガッチャードという作品ではその前後の展開に期待が持てる、という確信を得た次第です。(タイムスリップの「過去の自分に会ってはいけない」云々のガバガバ具合は、まぁ細かいことを気にしないこの作品らしいと言えます)

 またミナト先生のような頼もしい大人から離れ生徒だけで立ち上がる展開、そして未来や過去の出来事に関しての話の絡め方もシンプルかつ盛り上がりやすいので、見ている側としても楽しんで見ることが出来ます。今回の戦闘シーンで流れた挿入歌「What's your FIRE」も、シチュエーションの熱さによって久々登場のRIDER CHIP’Sさんの歌声に聞き惚れることになりました。見ていて前向きになれるガッチャードの良さが存分に発揮されていて、今回も実に面白かったです。

 

 

 さて次回はりんねが主役。今回の件で宝太郎が手にした風雅の真実を彼女も知ることになるものの、突然の真実と現在の状況が合わさって色々混乱していく模様。掟を遵守していたりんねにとって、今の自立をどう受け止めるべきなのかが描かれそうな予感がしますね。そして襲い来るアトロポスを前に、ついに本編で変身を果たす展開も注目ポイント。冬映画で先行登場したマジェードの活躍、加えてアトロポスとの決着に期待がかかります。

 他には次回の脚本を井上亜樹子氏が担当するという情報も見逃せません。数々の東映特撮に携わってきた井上敏樹氏の娘がついにライダーに進出事実はオタク的にはたまらない話です。プリキュアや多くのホビーアニメ(何より2018年以降の『デュエル・マスターズ』アニメシリーズ全てに関わっている事実もデュエマを嗜む身としては重要)を手掛けてきた亜樹子氏のガッチャードも実に楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:デイブレイクの正体含め、「仮面ライダーWEB」(https://www.kamen-rider-official.com/gotchard/19/)を参照。