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仮面ライダーガッチャード 第23話「いつも心にズッキュンを」感想

君の幸せを願っている

誰もが目を奪われてく 君は完璧で究極のガッチャ!!

アスノキボウヲ(ry

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  • 優しき想いを認めて受け止める

  今回のガッチャードはズキュンパイアのエピソードの後編。宝太郎たちがズキュンパイアを止めるために奮闘する様子が描かれました。全ての人間を魅了しようとするズキュンパイアの目的がかなりの規模ということもあって深刻な事態だったものの、度重なるズキュン発言の多さで変な笑いが出てしまう回でもありましたね。フルパワーズッキュン」というパワーワードの破壊力も凄まじかったですし、今回話にあまり絡まなかったスパナやグリオンが大真面目に「ズッキュン」と口にするシーンもじわじわきました。こういった細かい部分で笑わせてくるのが本当に面白いです。

 

 とはいえ本筋はズキュンパイアを巡る「善意」と「愛情」を大真面目に繰り広げており、内容そのものには感動させられるものがありました。まずズキュンパイアが今回の事件を引き起こした原因が「山下結逢(やました・ゆあ)」という女性との出会いに会った辺りが興味深かったです。泣いている結逢を助け、彼女に「元気になった」「あなたなら世界中の人を幸せに出来そう」という言葉を貰った経緯には大いに納得させられました。これまで同様、ケミーは自ら悪事に手を染めることはないことがよくわかります。

 彼女のように悲しんでいる人たちを救いたい一心で行動していたズキュンパイアのいじらしさに胸打たれたものの、一方で“心の健康”と“体の健康”は大きく異なることを理解していなかったことには顔を覆ってしまいます。自分の生命力を奪う能力も把握していなかったようですし、人間の常識と倫理を知らないままで暴走してしまったことも理解しました。これらの描写の数々は他のケミーと同じであり、純真無垢であるがゆえに暴走する危険性も孕んでいることを表しているのでしょう。

 それらの動機や真実を知ったズキュンパイアが激しく後悔する姿から見ていて彼への同情が湧いてきましたが、そんなズキュンパイアを叱咤激励する宝太郎たちに一転して救われました。何といっても「やり方に問題はあったけど、人々を幸せにしたい気持ちは決して間違いではない」とズキュンパイアの想いを肯定してくれるのが気持ちいいですね。加えてズキュンパイアの魅了の力を利用した必殺技「ズキュン斬り」でカマンティスたちを救出し、利用しようとしていたクロトーを撃破する展開も相まって爽快感抜群でした。過ちを認めて、自分の力を正しいことに使おうとするズキュンパイアの成長物語として実に堅実だったと言えます。

 

 

  • きっと忘れないで 幸せになるために生まれたと

 ズキュンパイアに救われた今回のゲストキャラ・結逢周りのエピソードがしっかりしていたのも今回の大きな見どころ。回想シーンでは既に落ち込んでいる姿が映っていたので背景があまり語れていなかったものの、様々な描写を以て彼女に何があったのかが読み取れるようになっていたのが大きかったと思います。(特に後述の元カレの登場で大体のことが察せられるのが上手い)そして失恋による深い悲しみをズキュンパイアに癒してもらったことが、彼女にとってかけがえのない救いになっていたことも伝わってきました。彼のことを想うあまり体の疲弊を話せなかったいじらしさも相まって、そんな結逢への好感度は個人的に高めですね。

 何より結逢がズキュンパイアと別れ、記憶を消された後の展開が見逃せない注目ポイント。突然現れてヨリを戻そうと提案してきた例の元カレに対し、「無理」とハッキリ断る瞬間には思わずガッツポーズを取ってしまいましたね。消えた記憶の中でかすかに残ったズキュンパイアの言葉を胸に、勇気を持って吹っ切れる結逢の姿に素晴らしい解放感を覚えました。(ズキュンパイアから貰った花を押し花にして保管している描写もここすきポイント)これらはズキュンパイアの想いが間違っていなかったことの証明であり、何よりこの出逢いが両者に大きな成長をもたらした結果とも捉えられます。久々となる人間とケミーの良き関係の描写に、爽やかな気持ちで見ることが出来ました

(余談ですが今回登場した元カレの「たっちゃん」は、実は14話で間辺さんにありえない記事を書かせようとしていた感じの悪い編集者と同一人物であるとのこと。*1あの辺りのシーンは地味にフラストレーションが溜まったので、今回フラれたシーンであの時の溜飲がちょっと下がりましたね

 

 

  • 猛撃を絡め取る、鋼糸と刺突の錬成

 

  キャッチュラ

CATCHULA!

 

トライケラ  

TRICERA!

 

ガッチャンコ!

 

トライキャッチャー!!

 

 今回宝太郎が新たに披露した「トライキャッチャー」は「キャッチュラ」と「トライケラ」を組み合わせたガッチャードの派生形態。久々となる新規のワイルドのみのガッチャンコで、降り注ぐフルパワーズッキュンのパワーからりんねたちを守るファインプレーを見せてくれました。見た目はトリケラトプスのツノが生えたクモという奇妙な見た目ですが、クモの糸から作り出した防護ネットなどトリケラトプスの要素が臼気がするのが残念なところ。ともあれこうした単発の形態を久しぶりに出してくれるのは嬉しかったですね。

 

 

  • 深き悲しみを晴らす、三頭と月光の聖錬成

 

   ヨアケルベロス

YOACERBERUS!

 

ネミネムーン    

NEMINEMOON!

 

As above, so below. As above, so below.

 

ガガガガッチャンコ!

 

スリーヘッドスリーパー!

ムーンケルベロス!!

 

 グリオンがけしかけてきた黄金マルガムを倒して救出してきた「ヨアケルベロス」と「ネミネムー」で錬成(ガッチャンコ)したマジェードの派生形態「ムーンケルベロス」。りんねが新たに見せた2つ目のフォームです。マントなどで神聖なイメージを醸し出していたサンユニコーンとは対照的に、どこかこじんまりとした印象を受けます。それでいて胸部や両肩などに結晶パーツが設置されており、涼やかなイメージも与えてくる面白いビジュアルをしています。また頭部のケルベロスの装飾がお団子頭のように見えて結構可愛らしいと思います。

 戦闘では徒手空拳をメインに戦う模様。両腕に装備されたツメ付きのガントレットが高い攻撃力を誇り、劇中ではクロトーのマルガムを怯ませるほどの打撃力を発揮していました。総じて高威力のパンチやキックなどを多用する近接形態と言えましょう。これまでの敵の攻撃を華麗にかわすマジェードのイメージとは大きく異なる攻撃的な点は、今回ズキュンパイアの想いを歪めるクロトーに見せたりんねの憤りをそのまま反映させているかのようで個人的にもかなり好みでしたね。

 

 

  • “鍵”を前に邪悪はほくそ笑む

 さて今回は笑いあり涙ありと実にガッチャードらしいほっこりとしたお話でしたが、例によってグリオンら敵陣営の描写が不穏だった点も見逃せません。中でも戦闘から帰ってきたクロトーをからかっていたグリオンが宝太郎を見て一言、

 

「鍵は順調にケミーに影響を与えているようだ……」

 

 と呟いた時は耳を疑いました。“鍵”とは間違いなく宝太郎のことを指しているのでしょうが、彼の行動がグリオンの手のひらのうえにある可能性にゾッとさせられますね。また宝太郎がケミーに影響を与えているというのは、ケミーの成長を促す要因になっているといった意味なのか、それとも宝太郎自身に何か特別な力が宿っているのか……そういった意味合いについても考えてしまいます。(少なくとも公式によると「ズキュンパイアが人間の姿になれたのは宝太郎が関わっている」とか……)いずれにしてもここから恐ろしい展開が待っていそうで、早くも戦々恐々してしまいます。

 

 

 そうした不安を早速形にするかの如く、次回は宝太郎が所持しているケミーカードがほぼ全て消失するという非常事態が発生。これは消しゴムのケミー「ケスゾー」が関わっているようですが、これ自体がグリオンの謀略によるものらしくこの男の恐ろしさが予告の時点で垣間見えます。さらにはドレッドの新フォームも登場するようですし、新たなピンチがすぐそこに迫ってきていることが伝わってきました。

 そんな状況で宝太郎は残ったスチームライナーと新たな指輪を駆使して新たなフォームに変身する模様。中々に厳ついビジュアルをしていて強そうなガッチャードが映っていましたが、如何にも暴走フォームっぽい見た目にかえって心配してしまいますね。サブタイの「急転直下」もこれまた不穏ですし、とんでもない展開が待っていることを覚悟しておいた方がいいかもしれません。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:仮面ライダーWEB」(https://www.kamen-rider-official.com/gotchard/24/)にてキャストも演じているキャラも同じであることが明かされている。