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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第19話「一番じゃないやり方」感想

想いを知る時

今わかりました、宇宙の心は誰かへの思いやりだったんですね!

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  • 潰えた少女の望み

 スレッタが曇ったと思ったら今度はミオリネが曇ったでござる……

 というわけでまたもや心折れそうになる展開が待っていた今回の水星の魔女。ミオリネが総裁選に向けてアーシアンとの交渉に行くものの上手くいかないだろう、とは予想していたのですが、プロスペラに後ろから撃たれる形で彼女の頑張りが打ち砕かれるとは思ってもみなかったです。一度はアーシアンの人たちの心を開かせたもののプロスペラに汚名を着せられるのは、下手をしたら彼女自身の力不足に終わってしまうことよりもショッキングに感じましたね。

 ミオリネが交渉を頑張っていたのも今回の悲惨さに拍車をかけていたと思います。地球の現状やアーシアンの生の叫びなどを前に上手くいかないところがあったものの、決して引かずに前を進み続けた彼女の姿には惚れ惚れさせられました。特に株式会社ガンダム(地球寮)のメンバーを「大事なパートナー」と言ってくれたことに感動させられますね。そんな彼女の懸命さが実って信頼を勝ち取ったかと思ったからこそ、すぐさまその信頼を失う展開に胸が痛みました。(後述のノレアもそうですが、大人の企みに子どもが振り回される様子は見ていて辛いですね)プロスペラに利用され、アーシアンから大罪人の烙印を押されてしまったミオリネのことを思うと気が気でなくなりそうになる回でした。

 

 

  • 兵器に変えた者と報復する者

 そんなミオリネを利用したプロスペラには憤りを覚える中、彼女が地球に訪れた本当の目的である「オックスアース」には衝撃を受けました。プロローグでのみ名前が出たっきりで、デリングに潰されただけ会社がここにきて登場するとは思いもしなかったです。長いこと明らかになっていなかったウルとソーンの出所という事実にも驚きを隠せません。大量の量産型ルブリスが保管されている地下倉庫など、一連のシーンには唖然しっぱなしでした。

 しかしヴァナディーズ機関のスポンサーであり、GUND技術を兵器に転用させた張本人であることを考えると納得ではあります。本来医療のためのGUNDを戦争の道具にした存在として、黒幕ポジションに収まるのも妥当なのかもしれません。(実際オックスアースの名前が出てきた時はなるほどそうきたかぁ~!と膝を打ちました)同時にこのオックスアースの生き残りを支援していた宇宙議会連合の中枢もきな臭くなってきましたね。ここにきて戦争を引き起こす元凶のような存在感を出してきたオックスアースに今後も注目したいところ。

 それ故にプロスペラがルブリスを真っ先に排除したことも理解出来ました。彼女にとってデリングだけでなく、GUNDの理念のを捻じ曲げたオックスアースも復讐の対象であるということでしょう。とはいえそのせいでミオリネが総裁選に勝ち上がれなくなったらどうするつもりなのか、と疑問を感じるところもあります。(娘を窮地に立たせることでデリングにも復讐しているとか?)最早総裁選を待たずしてクワイエット・ゼロを実行する算段でもつけているのでしょうか。いずれにしても、今回でプロスペラの怒りや憎しみの一端が垣間見えた気がします。このまま進み続けるであろう彼女も、これからどうなってしまうのでしょうか。

 

 

  • 話して、知って、理解する

 そして今回の重要な見どころになったのがスレッタ覚醒(?)までの流れ。冒頭の引きこもる様子には胸が痛みましたが、地球寮のみんなとの食事で少しずつ心を開いていく過程にほっこりさせられました。前回プロスペラが言った通り、学園がスレッタの胸の穴を埋めてくれる存在になってくれたことがよくわかります。あの母親の言うとおりになっているのが少々癪ですが。スレッタのことを心配しつつ、いつも通りに接してくれるチュチュたちの優しさには心が暖かくなりますね。

 その後のマルタンの罪の告白、そして地球での事件を受けて「理解したうえで相手の想いを推し量る」ようになったのもスレッタの大きな成長と言えます。これまで何も知らず蚊帳の外だった少女が、ようやく全てを知って前に進んだのだと実感出来ます。今回のサブタイである「一番じゃないやり方」も相手のために選ばざるを得なかったことを指しており、まさにエアリアルがそれにあたるのだと理解するスレッタには驚きを感動を覚えました。どこか人の心を理解出来ずにいる子どもから、他人への思いやりを知る子どもへと変われたんだなぁ……と親戚のおじさんの如く感極まってしまいます。

 そんなスレッタの成長のきっかけになったのがマルタンというのも感慨深いです。ニカの件をずっと1人で抱え込んでいた彼が、「みんなを守りたかったから」という必死な想いと共に全てを話してくれたのですからこれまた感激してしまいます。そして彼の本音を引きずり出し、謝罪のきっかけを作ってくれたセセリアにはもっと感激させられますね。間接的に主人公の覚醒を手伝ってくれた存在として、彼女への個人的な好感度が一気に上がりましたよえぇ。マルタンをパシリにするギャルっぷりも含めて最高でしたよセセリアさん!!

 

 

  • それぞれの意外な活躍

 スレッタやミオリネたち以外にも例によってたくさんの登場人物が大いに活躍していた今回。まずはグエルがかつて関わっていたセド少年と再会することでシャディクの暗躍を知る展開にグッときました。地球での出来事でグエルが行った人助けが、巡り巡って自分に返ってきたとも取れる流れにテンションが上がります。(普段おちゃらけているようでいて重要な情報は見逃さないケナンジ隊長もスゲェ)プラントやオープンキャンパスでの事件を引きおこしたシャディクを糾弾するため、ここから彼と戦うであろうグエルにワクワクが止まりません。一方で「汚したなミオリネを……!」とグエルに憤るシャディクはさぁ……

 他にも前回ベルメリアさんを捕らえたマツコフェン・ジュン」の活躍も目に焼き付きました。宇宙議会連合の諜報員として最初こそ警戒しましたが、蓋を開けてみれば無益な争いを止めようとしていたのは本当らしかったことにびっくり。しかもベルメリアさんを庇ってゴドイに撃たれた最期に唖然とさせられました。これまでは怪しかったものの、戦争を起こさないために命を張った彼女への好感度がいきなり上がりましたね。大量の脇役の1人には収まらない名シーンを魅せてくれたと思います。

 あとはノレアの本音が聞けたのも印象的。スペーシアンへの殺意や周囲への怒りなどをぶつけまくる狂犬ぶりを見せていた彼女が、ソフィを失った悲しみと「死にたくない」という悲痛な叫びを漏らしたことにウルっときてしまいました。そうだよねこんな幼い子どもが普通はガンダムに乗って死にたくはないよね……と同情せずにはいられなかったです。加えてその気持ちを理解したうえで寄り添うエラン5号の優しさも少々意外でしたね。総じて今回はセセリアやケナンジ隊長、フェンにノレア&5号とサブキャラが意外な一面を魅せてくれる興味深い回でもあったと思います。

 

 

 次回のサブタイは「望みの果て」。誰かの望みが潰えてしまうかのような題に早速戦々恐々してしまいます。現状ミオリネの望みが最もそれに当てはまりそうですが、この作品のことだからまた予想を外して衝撃を与えてくるのだろうなぁ、とも思います。ともかくエアリアルたちの真意を理解したスレッタがどのように動いてくれるのか、次回を楽しみにしたいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。