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仮面ライダーギーツ 第39話「創世Ⅰ:俺のデザグラ」感想

「戦う理由」を探して

「社会的に立場がなくなること」が如何に怖いかを教えてくれるのは高橋脚本の定番である

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  • ヒーロー・浮世英寿は何を想い戦う?

 スエルを撃破しグランドエンドを止めることに成功した英寿。今回のギーツは彼が創世の力で作った「俺の世界」での戦いが描かれていました。何と言っても後述の謎のジャマトから人々を守るために戦うという、ギーツのヒーローらしい活躍には思わず惚れ惚れさせられましたね。以前から民間人を助ける描写はありましたが、今は「母との再会」という目的がない分、見返りなしに戦ってくれている英寿の善性が感じられます。(助けられた人々から感謝される描写もあって、本作始まって以来最もヒーローっぽいシーンだったと感じました)

 そんな英寿が自分のデザイアグランプリを開催すると言い出した時は思わず首を傾げましたが、道長の「あいつなりの償いなのかもな」という言葉を聞いて少しだけ納得することが出来ました。創世の力によって変わってしまった世界やジャマトの残党など、デザグラ運営の置き土産を全て排除することで元の世界に戻そうとしているのかもしれません。利用してきたのは運営ですが、母の力で世界が歪められたから息子としてけじめをつけようとしているのだと思うと腑に落ちます。何より母と約束した「誰もが幸せになれる世界」を実現させようとしているであろう点に、今回の英寿が如何に真剣なのかが読み取れますね。

 

 

  • 彼ら彼女らの戦う理由は……

 そんな1人でも戦い抜こうとする英寿やそれに協力してくれるツムリ&ウィンが映える中、景和たちが戦う理由について模索していくのも今回の注目ポイント。英寿の力によってライダーの記憶が蘇り破壊されなかったIDコアも復活したことで再び変身出来るようになったものの、見返りが存在しないデザグラに参加するか否かと迷う景和と道長の様子には大きく共感を覚えました。(余談ですが、この回の景和と道長は普通に仲良さそうで見ていてほっこりさせられます)彼らもまた自分たちの目的のためにデザグラで戦っていたわけですから、そのように考え込むのも仕方ありません。何より英寿の行動に若干の不可解さを覚えている中で、景和たちが素直に参加してくれるのかは怪しいところです。

 他には祢音や沙羅といったコアを破壊された組も気になりますね。記憶は戻ってもIDコアがない以上変身出来ないため、彼女らは実質デザグラから完全に開放されていると言えます。そのうえで自分たちだけ今の平穏を過ごすことを良しとするのか、といった選択に注目したいところ。中でも祢音は父と鞍馬財閥が大ピンチというニュースを聞いたうえで事の重大さを理解するシーンがあったので、すぐではなくとも覚悟を決めて戦いそうな予感がします。コアの問題をどうするのかはまだわかりませんが、祢音たちが戦いに向かうまでの過程に目が離せなくなりそうです。

 そんな感じでライダーたちがそれぞれ「戦う理由」を模索する回でもあったように思いました。これまではデザグラという舞台で自分の理想のために戦っていたわけですが、それが完全に取っ払われた今、彼らは何を想って戦いの場に赴くのか……という問いかけがされている内容に不思議と胸の高まりを覚えます。上述の通り英寿が覚悟を決めて戦う一方で、他ライダーたちが本当の意味でヒーローになれるかの正念場に立たされていると言っていいかもしれません。

 

 

  • 影で蠢き企む者たち

 ライダーたちの葛藤の傍らで大きく蠢いている影も見逃せません。今回はその中でも新たなジャマトの存在に衝撃を受けました。小さなジャマトが人間に取り憑くことでいつものジャマトになる絵面は中々にショッキングです。しかもそのジャマトを飼育しているのが大智という事実には仰天するほかなかったです。何でまたお前が暗躍しているんだよ!?というこちらの疑問をよそに狂気じみた笑顔でジャマトを作り、「パラサイトゲーム」なるものを始めようとする大智に困惑が止まりませんでしたよえぇ。

 他にも現代に残ったケケラとベロバがそれぞれの推しに接触したシーンも印象的。何故グランドエンド後に消滅していないのかという疑問に「37話で女神に願いを叶えてもらっていた」という答えで解消してくれたのは良いものの、それぞれの「最高の笑い」と「最高の不幸」を見たい願いには思わずしかめ面をしてしまいました。そこまでして推しの自分好みにしたい未来人の執念には最早恐怖を覚えてしまいます。特にとうとう人間態で景和の前に現れたケケラに、底知れぬ不安を覚えずにはいられません。今度は如何にして景和をヒーローに仕立て上げるつもりなのでしょうか……

 そしてラストにはスエルが送り込んだ新たなゲームマスタージット」も登場。正直言うと上述の大智やケケラたちのインパクトが強すぎて新キャラであるこっちの印象が薄くなってしまった感は否めませんね。とはいえこの男の暗躍はここからはじまるのでしょうし、彼の言う「ツムリを第2の女神にする」目的にも期待がかかります。明確に敵対するべき存在がはっきりしてきた中、各敵サイドの動向にも注目したいです。

 

 

 というわけで39話の感想でした。英寿自身の力で世界か書き換わった「創世」編突入ということで、かつてないクライマックスの印象を受けましたね。毎回変化するOPもメインライダー4人のみ、しかも全員暗い顔で背中を向けるものに変化しており、終盤に突入したことを否が応でも実感します。恐らくは最終章であろうギーツの物語、最後まで見届けたいと改めて思いました。

 また今回他の見どころとしては上述でも触れた祢音の父・光聖が政府に責任を押し付けられた辺りでしょうか。祢音の家に家宅捜査が入ったというニュースが劇中で流れた時は、ちょっとシュールながらも洒落にならないトカゲの尻尾切りだなと感じましたね。ジャマトがニュースになっている今、スポンサーだった鞍馬財閥が社会的に追い詰められている光景に危機感を覚えます。

 というか檀黎斗然り天津垓然り、高橋悠也氏の書くライダー作品は徹底して社会的制裁が強いですね。妙なところでリアリティを感じさせてくれるスタイルは結構好きだったりします。

 

 

 そして次回はジャマトによるパラサイトゲームが始まり、それを止めるためにライダーたちも応戦してく模様。そんな中で沙羅が行方不明になったとのことで、景和が彼女を探す展開にドキドキが止まりません。ライダーとして戦う決意を固めた矢先に大事な姉に危険が迫っているかもしれないという、どこまでも景和を追い詰めようとする内容は中々に恐ろしいです。どうやら沙羅は大智と接触したようですが、これがケケラの仕込みなのかも気になるところ。

 そんな景和への心配をよそに、タイクーンの新フォームらしき姿が確認出来たのが衝撃的でした。ついにタイクーンにも強化フォームが!?という喜びはもちろんあるのですが、予告に映った真っ黒なタイクーンの姿にはどことなく闇堕ちオーラを感じます。これはもしや沙羅を失った悲しみとかで変身した闇堕ちフォームなのではなかろうか……?といった妄想が止まりません。まだ憶測の域を出ませんが、少なくとも次回は景和が多いに曇らされることを覚悟した方が良さそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。