共に生きるから
“呪い”が“祝い”に変わる時、少女たちの未来が始まる
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- 対話が導く呪いからの解放
ついに始まった水星の魔女最終回。エアリアル(エリクト)が大破してしまう衝撃的なラストがどう着地するのかとドキドキしながら見始めた結果、前に進んだスレッタとミオリネ、そしてガンダムの力によって収束する展開に舌を巻くことになりました。わけのわからない場面も多々ありましたが、キャリバーンにエアリアルのガンビットが合体してからの流れ全てにテンションが上がりに上がりまくったのであまり気にならなくなりましたね。
また今回は「対話」という形で決着をつけたのも大きなポイントでした。まずスレッタが母親やエリクトと正面から向き合い、自分のやりたいことをはっきりと口にして行動したのが感動的です。自分の意見と言葉を以て家族と対話し、みんなを守ろうとする「欲張り」な面はこの状況では非常に頼もしかったです。ミオリネもベネリットグループ解散という奥の手で議会連合側の大義名分を奪うなどの活躍を見せたのも見事で、こちらも総帥として宇宙のお偉方に言葉を送ったのが決め手となったのが良かったですね。劇中の誰も彼もが本音で話すことを避けてきた本作だからこそ、はっきりと言葉で解決へと導いていく過程にカタルシスを覚えます。
他にもエラン(強化人士4号)の登場を皮切りに、散っていったガンダムパイロットたちが次々と登場してきた時は衝撃を受けました。死者と通じる構図はガンダムあるあるですが、「データストームの中に意識が残された」という解釈である程度納得出来るのが素晴らしいです。そしてこれらの再会を経ることで、スレッタやプロスペラたちの心残りを解消していく展開にこれまた膝を打ちました。特に自分を許せずにいたプロスペラに対して多くの人たちが肯定しつつも止めてあげる様子に胸打たれましたね。データストームが亡き人と対話する最高のツールになってくれた構図も興味深いです。
そして上述の通り、ガンダムたちによってILTSの砲撃が止められるシーンが印象的でした。ガンダム特有のオカルトではあったものの、ここまでの流れのおかげである程度受け入れられる土台は出来ていたと思いますね。何より本作における全ての始まりとなったガンダムが人々を守り役割を終える、疎まれていた存在が最後に希望となったことに感激しました。ガンダムから始まった”呪い“が、ミオリネたちを救うことで解放されたとも言えます。忌むべきデータストームの件も然り、人々を蝕む呪いはみんなを守るための“祝い”になったわけです。それを切り拓いてくれたのがスレッタたちの対話だと考えると中々にエモい話ですね。みんな生き残れるのか?という不安を見事に拭い、対話から始まる希望を以てスッキリさせてくれた終盤だったと思います。
- そして彼女たちの物語は続いていく
そうしてクワイエット・ゼロにまつわる事件が収束してからはいきなり3年後に話が飛んだので思わずギョッとしてしまいました。みんなのその後をいきなり描いたのは唐突でしたが、後日談を見せてくれること自体は嬉しかったです。こういったその後が少しでもあると、終わりを実感してすんなりとみられるところもありますからね。
ニカは出所してみんなのところに戻り、グエルはエラン(オリジナル)と契約しながら会社を立て直し、エラン5号は絵の場所を探す日々……シャディクは全ての罪を背負っていきましたが、ミオリネとの関係にもある程度整理をつけたからか爽やかな態度で後を去れたのが救いでしょうか。その他大勢のキャラも一瞬ながら少しでも多く映してくれる姿勢には好感が持てましたね。(ペイル社のCEO4人までサラッと描かれていたことに思わず吹き出してしまったのは秘密)
そして肝心のスレッタは少しずつ体を慣らして地球で過ごしていたことに安心しました。プロスペラやエリクトも無事と、何だかんだでスレッタは自分の欲しいものを全て守ることが出来たことに感心させられます。ミオリネも小姑エリクトに小言を言われながらも仲良くやっているのが微笑ましかったです。代償はある程度払ってはいるものの、主人公たちが戦いの果てで何も失わずに済んだことにホッとさせられましたね。
アーシアンとスペーシアンの軋轢や宇宙に吸われた資産など、本作の世界を取り巻く問題は未だに山積みのまま……結局のところプロスペラを止められただけなのも気になるところ。とはいえ本作はスレッタたち子どもたちが成長し、前に進めるようになるまでの物語であるのでそこまでやらなかったのも当然と言えます。スレッタたちの力は結局のところちっぽけで、世界を丸ごと変えられることは出来なかった。しかし彼女たちはここまでの出来事を経て自分を見つけ、しっかりと自分の足で立つことが出来たので、この戦いは決して無駄ではありませんでした。むしろ最後に世界を変えるきっかけを残して終わったのはかなり物語としては好意的なハッピーエンドだと思いますね。戦いを終え、彼女たちの希望の未来の始まりを見守る後日談のおかげで、最後まで余韻に浸ることが出来ました。
というわけで水星の魔女最終回の感想でした。いやぁ色々あったもののハッピーエンドで負われて良かった良かった!!気になる問題や引っ掛かる面もいくつかあるものの、スレッタとミオリネの幸せそうな様子を見るだけでまぁいいか!と細かいことを気にせずスッキリできます。登場人物の結末が視聴者から最も注目される昨今、スレッタたちの描写に最後まで力を入れて終わらせてくれただけでも非常にありがたかったです。毎回情報量の濃い作品でもあったので、SNSが発達した今でこそのガンダムとして見事やり切ってくれたと思います。最終回放送当日にTwitterで色々問題が発生したのが非常に惜しかったのですが……
また本作のガンダムについて、最後にはポジティブに捉えられたのが個人的には最高のここすきポイント。呪いのMS(モビルスーツ)として序盤から厄介な存在のように描かれていたガンダムですが、そのガンダムの力が対話を以て少しでも世界を変えてみせる最終回の活躍には思わず感極まってしまいましたよえぇ。ガンダムという作品は「人と人が言葉と想いを交わすことでわかり合っていく物語」だと解釈している身としては、その“想いの光”のオマージュとも取れる展開でガンダムの存在感を出してくれたことが何よりも嬉しかったです。改めて本作もまたガンダムだったのだと、実感を得て楽しめることが出来ましたね。
さて本作の総評ですが、当ブログのスタイル通り後日に個別の記事として投稿する予定です。本作の好きな点や評価点、不満点に問題に感じた点、そして各キャラの所感などを交えて自分なりの水星の魔女への想いをまとめていきたいと思っています。なのでそちらの方も読んでいただけたら幸いです。最後にここまで感想を読んでいただき、本当にありがとうございました!!
ではまた、次の機会に。