彼らの“仲間”として
どの宇宙にも何か「食べ物を怖がる枠」がいるという事実
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- 石堂シュウの大切な心情
オニキスの一件も一応は解決したものの、何やら不穏な始まりを告げてきた今回のアーク。目玉は何と言ってもシュウとの別れに関するエピソードで、冒頭からその話題が出てきて胸がザワザワすることとなりました。本来の任務が完了した時点でわかっていたものの、劇中でハッキリと「科学局に戻る」ことを告げられるとドキッとしますね。SKIPでの最後の出向日でも、そっけない態度でユウマと会話しているシュウの姿に切ないものを覚えました。(あの高そうなコーヒーメーカーを置いていく発言はおかしかったのですが)
しかし幽霊のようなモグージョンの調査・対応の中でシュウの内なる心情を知ることが出来たのが非常に興味深かったです。まずモグージョンの光を浴びてしまったことで「ユウマたちから別れを告げられる幻覚」を見たのが印象的。暗い演出もあって心苦しいシーンな一方で、シュウ自身SKIPのみんなとの別れを惜しんでいることがわかって嬉しくなりました。表面上は何てことのないように振る舞っていても、彼らを仲間として十分に慕っていることを隠しきれていない辺りが何ともいじらしいです。
そして街に現れたモグージョンの被害から、人々を避難させる時のシュウの姿に惚れ惚れしましたね。「私たちなら出来ます!」とみんなを鼓舞し、庇ってくれるアークにも「こっちは任せてくれ!」と言ってのけるシーンの熱さは中々の一言。声を荒げながらも必死かつ誠実に、仲間を信じて自分の出来ることを精一杯こなす様子が見ていて響きます。何よりSKIPの一員としての自負を身に着けているのが素敵でした。シュウが隠していた熱い一面は、ここまで見ていたからこその感動があったと言えます。
事件解決後も屁理屈でSKIPに残ったり、ユウマに名前で呼んでもらったりと胸熱なシーンの連続でした。生真面目な彼が融通を利かせるようになり、宇宙人を理解しようとする姿勢を見せるなど、ユウマとの交流で変わっていたことが伝わってきます。個人的にも彼のことは本当に好きになっていたので、自分から残ろうとする意志を見せてくれたことは喜ばしい限り。初登場から魅力的な人物として描かれていた、石堂シュウの成長の物語としてかなり胸打たれましたね。
- 恐怖を呼び起こす亡霊の光
ザディーメが残した次元の裂け目から現れた謎の物体より出現した怪獣「幻視怪獣 モグージョン」は前作『ブレーザー』にて初登場した地底怪獣。*1昨年登場した時と同様の多彩な能力と戦闘力を発揮しつつ、今回ならではの厄介な部分を引っ提げて早くも再登場を果たしました。何と言っても幽霊のような半透明の状態になっていたのが特徴的で、物理的な攻撃を全てすり抜ける実体のなさが目に焼き付きます。しかも途中からのモグージョン側の攻撃だけが実体化して当たるという、理不尽の極みのような状況には余計に驚かされましたね。
本体の特徴についてはブレーザーを視聴済みの方なら説明する必要はないかと思いますが念のため。最大の武器である手のひらから放つ光は健在で、劇中でも大勢の人たちにそれぞれの「最も恐れるもの」の幻覚を見せていました。前作のおはぎに続いて何か「湯豆腐」を怖がっている人がいましたが……ただしサングラスなどで光を防げることも判明したほか、モグージョン自身にも効果があることがわかったのが面白かったです。劇中のアークがアークアイソードの反射部分を使い、モグージョン自身に光を見せてきた時は膝を打ちましたね。精神的な方法で恐怖を振り払った前作とは対照的に、実に合理的な判断で光を対処していたのがまた素晴らしかったと思います。
光以外にも伸びる腕や回転するトサカといった能力は当然持ち合わせているほか、今回から初披露した要素も多め。トサカから光弾を発射したり、地中に隠れ潜みながら奇襲を仕掛けるなど、技・戦術共によりバリエーションが増していました。アークとザンギルのコンビネーションに苦戦しながらもそこそこ応戦していた点も含め、前作同様地味ながら隠れた強豪怪獣としてのイメージを保っていましたね。
- 魑魅魍魎を斬り鎮める、彷徨の侍再び
そして今回まさかの出演となった「宇宙侍 ザンギル」も、同じくブレーザーにて初登場した宇宙人。登場することは以前から告知されていましたが、予想していた回に先駆けて姿を現わしたので本当に驚きましたね。(声も以前と同様唐橋充さんが担当です)謎のコートの男の行動からしてもしや……!?と思わせておいて、終盤その予感が的中する流れも前作を見ていただけに興奮を覚えました。
劇中では突如としてアークたちの前に出現し彼らを困惑させていましたが、アークアイソードを拾ってあげるくだりで即座に信頼を勝ち取っていたのが印象的。即席ながら抜群の連携でモグージョンを追い詰めてみせました。途中何やら苦しみだして戦線離脱してしまったのが惜しかったものの、アークに仲間だと認識してもらったのは大きかったと思います。また右腕の剣と頭の刃を駆使した、持ち前の剣技も久々に見れて嬉しかったですね。物騒な見た目とは裏腹に、変わらぬ実力と人柄で頼もしい味方として活躍してくれて何よりです。
そんなザンギルですが、彼がブレーザーの時と同じ人物であるのかどうかが気になりますね。性格や声色からして十中八九同一人物かもしれない一方で、既に成仏した彼が何故再び現世に現れているのか……?そしてラストシーンにてユウマたちの前に現れ、警告してきた「ヘルナラク」なる存在(こちらは上述のモグージョンが見た幻覚のシルエットの正体でしょう)との関連性も同様に謎。次回明らかになるであろう、ザンギルに何があったのかが今から楽しみです。
さて次回はユウマたちに協力を求めてきたザンギルとの共闘が描かれる模様。曰く別次元から現れた「冥府の闇将軍」たる怪獣が、こちらの地球に次々と怪獣を送り込んでいるとのことです。それらを対処するためにザンギルと力を合わせるSKIPの活躍に、いきなり胸躍らせずにはいられません。
他にも予告映像から確認する限り、ゲードスやタガヌラーといったブレーザー怪獣の登場も見逃せません。そしてアークが何故か分身して3種のアーマーをそれぞれ装着するなど、驚きの絵面がてんこ盛り。これはいつになくド派手で豪華な戦闘シーンが見られるかもしれませんね。
ではまた、次の機会に。
*1:余談だがブレーザーにてモグージョンが初登場した回は奇しくも今回と同じ第16話である。