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機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning- 感想

今君の声が遠く聞こえてる

光っていく

“もしも”の先の輝きを求めて、今こそ新たな宇宙を舞う

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 ガンダムシリーズの最新作にしてサンライズとカラーの共同制作という夢のような企画の元発表された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。その先行上演版として制作された劇場映画『-Beginning-』がつい先日公開され、多くのファンが公開日から衝撃を受けたとのこと。僕自身、あのカラーが関わることでどんな化学反応が生まれるのか。『フリクリ』や『龍の歯医者』などで知られる鶴巻和哉氏を監督に据えたガンダムはどんな色なのかが非常に気になっていたので、今回の映画も楽しみにしていた作品だったりします。

 そんなわけで先日映画館に足を運んだわけですが、開始数分でやりやがったよコイツラァ!!と仰天する羽目になりましたよえぇ何となく予想はしていたものの流石にそこまではしないだろうと思っていたことを全力投球、かつ好き放題にやってみせてきたので困惑と衝撃が止まらなかったです。そこからの緩急も激しくて、映画2本分を見せられたかのような満足感を味わいました。そんなオタクの強烈なブローを決めてきたガンダムGQuuuuuuXの感想をこれから書いていきたいと思います。

 

※ここから先は作品の内容に触れているのでネタバレ注意!!

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  • 願望が詰まった“もしも”の一年戦争

 というわけで映画前半の『-Beginning-』について早速触れていきたいのですが、上述の通り始まってから数分で驚かされることとなりました。1979年に放送された初代『機動戦士ガンダム』の有名なナレーションらしき説明が流れ、視聴者にもしや?と思わせてくるところがまず絶妙。そこから聞き覚えのあるタイトルコール、見覚えのあるサイド7侵入シーン、言わずと知れた「シャア・アズナブル」の登場で本作が初代ガンダムの序盤をなぞっていることを一気に意識させられました。声こそ別の方が担当しているものの、シャアが出てきた時のインパクトは計り知れなかったです

 さらに本作が「シャアがガンダムを鹵獲し、自分の機体にして活躍する」「ジオン公国が連邦政府との一年戦争に勝利する」というifルートを辿っていったのも衝撃的でしたね。アムロ・レイが参戦しなかった場合どうなるのか?といった可能性を描くのは過去のガンダムゲームでこそあれど、アニメでやってみせる度胸には舌を巻くばかり。マ・クベをはじめとした原典で戦死した人物も生き残り活躍する様も描かれており、さながらジオン側を好む人の想像したパラレルワールドを映像化したような内容を淡々と見せられた気分です。ただ制作側が“やりたいこと”というのがすぐに読み取れたので、こちらも構えて鑑賞することが出来たのは幸いと言えるでしょう。

 それだけならまだしも、構図をはじめとした演出の数々にファーストガンダムのオマージュやリスペクトが散りばめられているので困惑しっぱなしでした。 まずシャアがガンダムを操縦して繰り広げた最初のMS(モビルスーツ)同士の戦闘シーンは、原典のアムロのガンダムVSザクの初戦決着シーンそのままなのでかえって変な笑いが出てきます。さらにシャアがアムロを意識したセリフを次々と呟くなど、完全に主人公の立ち位置を奪い取る勢いで描かれていたのもおかしかったですね。初代ガンダムを深く読み込んでおり、そのうえで自分の好きなようにアレンジしたいという制作陣の願望が詰まっているかのように思いました。

 Beginningについてまとめると「ガンダムオタクたちの夢と妄想を叶えたかのような“もしも”の物語」といったところでしょうか。ビグザムの大群など原典以上に暴れている機体やキャラも多く、架空戦記としても結構見応えがある印象でしたね。それだけに40年以上の歴史があるファーストガンダムでこんなやりたい放題アレンジしてみせた制作側の胆力に慄かずにはいられません。そしてパンフレットによるとBeginningの脚本を担当したのは庵野秀明氏であるとのことで、正直納得せざるを得ませんでした。カラーというオタク集団の「自分の願望を叶えようとする」底力を、意外な形で確認した次第です。

 

 

  • “もしも”の選択の先に広がる世界

 そしてジオンが勝利した一年戦争から5年後を描いた『GQuuuuuuX』本編ですが、一転して普通の女子高生が謎の機体との戦いに巻き込まれていく……もとい首を突っ込んでいく様子が繰り広げられることに。それまで普通にファーストガンダムっぽい雰囲気だったのが、カラフルで透明感のある少女たちの物語に移行していったのでびっくりしましたね。こちらは予告で感じ取った通りの雰囲気ではあるのですが、Beginningとのギャップにこれまた困惑させられます。

 こちらは軍事的な要素から離れ、少女の地に足付かない日常が変化していく様を描いていったのが特徴的。しかし主人公の「アマテ・ユズリハ(マチュ)」がスマホといったもののために厄介ごとに関わっていくキャラクターなので、あれよあれよという間に話が進むテンポの良さに圧倒されます。おかげで衝動的に動くマチュに驚きつつも、「ジークアクス」に乗り込むまでの流れも自然に受け入れることが出来ました。(この辺りのシーンは米津玄師さんが歌う主題歌「Plazma」が流れる演出も相まって鳥肌が立ちましたね)平均的な日々にどこか飽き飽きしていたマチュの人生が、この選択と同時に感じ取った“キラキラ”によって変わっていく様は見ていて惹かれるものがあります。

 さらにBeginningにてシャアと共に行動した「シャリア・ブル」とその部隊の視点も同時に進攻し、本作の宇宙世紀の様子が断片的に読み取れるのが興味深かったです。ジオンが勝利したところでスペースノイド全員が救われたわけではなく、問題は依然多いままという実情は中々に生々しいの一言。「ニャアン」のような宇宙難民は軍警に睨まれ、遠慮なく蹂躙される様に苦々しいものを覚えます。さらに「クランバトル」なる非合法の賭け試合が行われている話も印象的でした。弱い立場にある者たちが生き辛い世界を必死に生き抜こうとする、アングラな世界観が見て取れます。まさにある種ガンダムらしい苦しみに満ちた内容でもありますが、ただ上述のマチュたちの透明感のあるシーンもあるのでそこまで重苦しく感じずに済んだのでイマドキの見やすさもありましたね。

 総じて若者に向けたジュブナイル要素を散りばめながらも、従来のガンダムに因んだエピソード(ガンダムに乗り込む流れとかニュータイプのエフェクトとか)も多めなのがジークアクス本編といったところでしょうか。まさにマチュは本来関わるはずのない世界に、“もしも”の選択の連続で飛び込んできたのでシームレスに作品の変化を楽しむことが出来ました。ここから「赤いガンダム」に乗っていた「シュウジ」やシャア失踪の謎など、Beginningに繋がる物語も展開されていくであろう点が楽しみで仕方ありません。

 

 

 では以下、各キャラクターと機体についての所感です。

 

 

アマテ・ユズリハ(マチュ)

 本作の主人公。予想していたイメージと大きく異なっていたキャラクターその1で、思っていたよりもはるかにアクティブでアグレッシブな女子高生でした。スマホの画面を壊されたからという理由で怪しいバイトの現場まで付いていき、ムカつく軍警を倒そうとMSに乗り込む様子には終始唖然とするばかり

 とにかく物怖じしない性格なのが強烈で、誰に対してもグイグイ近づいてきて不満もハッキリと言うので見ていてハラハラさせられます誰が呼んだか「女子版カミーユただ軍警に立ち向かうシーンなどから、理不尽なものに対する憤りも感じられるので何だかんだで好感が持てますね。暴走しがちで非常に危なっかしいものの、根っこには優しい正義感を秘めた少女でもあるということなのでしょう。

 それでいて距離感の近いシュウジに対してキョドったり照れたりするなど、意外と可愛いところもあるのが魅力的。また何でもスマホで調べたり、家での母との会話もイマドキの女子高生といったところでしょうか。ガンダム主人公らしい熱い衝動に満ちた行動力を持ち合わせながらも、等身大の少女としての悩みや不安も抱えた趣深い主人公になりそうです。

 

 

ニャアン

 メインキャラの1人にして予想していたイメージと大きく異なっていたキャラクターその2。当初はクールな子どもかもと思っていたのですが、蓋を開けてみればオドオドとした態度を見せてくるのでこちらも意外性抜群でしたね。サングラスなどちょっとズレているところもあり、強気なマチュとは対照的に何かとビクついているように見えました。現状マチュにからまれて厄介ごとに巻き込まれそうな雰囲気を醸し出している、不憫枠になりそうでちょっと可哀想に思えてきます。

 その一方で宇宙難民としての境遇に不満を抱えているのも面白いところ。他のシーンと比べても、軍警に追い回された時を話す声からはハッキリとした抑揚が感じ取れました。このことから劇中のポメラニアンズ同様、権力に支配されたスペースノイドの苦しみを代表する存在として描かれるであろうことが既に予想出来ます。今の利用されるだけの立場からどこまで這い上がれるのか、彼女の行く末にも期待がかかりますね。

 

 

シュウジ・イトウ

 メインキャラの1人である愛媛ミカンの箱不思議少年。登場そのものは映画本編の中だと結構遅めでしたが、その分マチュへの距離感が近い態度などで一気に印象付けてきました。常識に疎そうな様子に加え、何かに付けて「ガンダムがそう言っている」といった発言を繰り返すので少し見ているだけでこいつはまともじゃない……!と直感が告げてくるタイプのキャラに仕上がっていたと思います。(そもそもガンダムに乗ってやっていたことが「コロニーの壁にキラキラの落書きを描いていた」ですしロックにもほどがあります

 そしてマチュの見た“キラキラ”を共有する存在であるのも特徴的。ニュータイプであることは確実なのですが、それ以上の“何か”の可能性もあるので結構油断なりません。シャアと同じくキラキラを「向こう側」と呼んでいたのも気になりますし、何より赤いガンダムを乗りこなしているのも不思議なものです。案外彼の言う「向こう側」の世界からやってきた異世界人かもしれませんね。とにかくこのシュウジのおかしなキャラと正体にも注目してしまいます。

 

 

シャリア・ブル

 「緑のおじさん」ことBeginningと本編を繋ぐ重要な存在。ファーストガンダムの登場人物でもあるのですが、最初鑑賞していた時はこんなキャラいたっけ?と思ってしまい後で調べることとなりました。(その後原典での登場回を見返してあぁこの人かぁ!そいやいたなぁ!となった次第)それほどまでに印象の薄い人物だっただけに、本作ではシャアの相棒にしてキーパーソンになるとは思いもしなかったです。大胆なシャアに驚きながらもついていく堅実な性格も非常に噛み合っており、ある意味この作品最大の出世頭と言えるでしょう。

 本編に入ってからは落ち着いた雰囲気と親しみやすい態度で、部下との仲も良好と中々に好感を抱かせてくる人になっていました。(上司にも言うこと言う様子から部下はみんな「戦争を知らない世代」感が出ていましたね)しかし言動の節々からシャアへの重い感情が見え隠れしており、その湿っぽさに思わず息を飲んでしまいます。マチュとシュウジの戦いを見ながら「大佐がマヴの先陣を他人に譲るわけがない」と言い切るシーンは特に面食らいますね。彼もまたシャアという存在に脳を焼かれた人物であることが伝わってきたので、ここから先の大佐好きっぷりが発揮されるのがやや楽しみです。

 

 

シャア・アズナブル

 言わずと知れた赤い彗星。映画が上映されてすぐさまこちらの視線を独占し大暴れした実質Beginningの主役とも言える人物です。ついにガンダムを作戦通り手に入れて獅子奮迅の活躍を果たし、その一方でザビ家を倒すための謀略を続ける辺りにいつものシャアらしさを感じました。その後の展開にも大きく影響を与えていることから、宇宙世紀という舞台においてシャアもといキャスバルの存在は重要かつ必要不可欠であることを意識させられます。(ガンダムはアムロがいなくても成り立つものの、シャアは出生の根本から宇宙世紀の歴史に組み込まれていますからね

これまでと異なるのは上のシャリアを部下として引き入れた点で、彼と共に戦場を駆ける光景は中々に楽しそうでした。正直『Zガンダム』の時以上にエンジョイしているようにも感じましたね。そのためガルマのように心を許せる友人を得たうえで、現場で戦い続けるのがシャアにとって最も幸福なのかもしれないと改めて痛感します。それだけに謎の“キラキラ”と共に行方不明になったラストの困惑も計り知れなかったです。良くも悪くも周囲に影響を与えまくったうえで突然消える、シャアの迷惑さ加減を令和になってまで味わったことに何とも言えない味わいを覚えます

 

 

ジークアクス

 本作の主役機。ジオン最新鋭の試作型MS(モビルスーツ)とのことですが、現状はまだまだ詳細は不明といったところです。ガンダムらしいカラーリングに加えて、見ている内にガンダムらしい顔付きだと意識するようになりました。頭部が変形して、昆虫のような巨大なツノが展開されるギミックも個人的にはかなり好みですね。(ユニコーンガンダムのような変形機構を備えた機体はどれも大好物です)

 現状装備は軍警のザクから奪ったビームアックス(?)あるいはヒートホーク(?)くらいしか披露されていませんが、シャリア隊の描写を見る限りまだまだ武器を持っている模様。特にマチュが乗ったことで発動した「オメガ・サイコミュ」なる機能は非常に怪しく感じますね。コックピットからもう1つの腕のような操縦桿が出てくる辺り、パイロットとの一体化を図った機体なのかもしれません。何よりこの機体は果たして「ガンダム」なのか、その辺りも気になるところです。

 

 

赤いガンダム

 本作における「ガンダム」。その経緯からして原典のRX-78-2に相当する機体であることは言うまでもありませんが、如何せん謎が多いです。ビジュアルに関してはかなりのアレンジが加えられており、鹵獲される前から目が4つあるので少々ギョッとさせられました。(『エヴァンゲリオン』のエヴァ初号機を彷彿とさせるのはカラーならではのアレンジなのでしょうか)さらにシャア専用に赤くされたので、ますます異形の機体のイメージが強くなった気がします。

 他にも巨大なサイコミュ兵器を積んでいたりとかなりゴテゴテしていますが、それ以上にシュウジが乗ってきたのが謎。5年しか経っていないとはいえ、未だに凄まじい性能を発揮しているのもあってシャアが乗っていた時とは別物の機体になっている可能性をつい考えてしまいます。シュウジが語るガンダムの意思も、もしかしたら「機体に染みついたシャアの心」とかだったりして……といった妄想が止まりませんね。エアリアル「わかる」フェネクス「あるあるだよね」

 

 

 というわけで機動戦士ガンダムジークアクスビギニングの感想でした。ファーストのifとかいうとんでもないサプライズをかましつつ、現代的なガンダムに繋げる手腕には本当に舌を巻きましたね。古くからのガンダムを愛する古参のファンと、ガンダムをあまり知らない若者それぞれに向けた2つの作品を同時に摂取した気分です。それらを多少の違和感はあるものの、1つの同じ世界観の物語としてまとめているのですから恐ろしいです。(ガンダムを知らない層がファーストを見る導線にもなっているのが見事)ガンダム好きが集まっているであろうカラーとの共同で、こうした新しい刺激をもたらしたガンダムシリーズの今後にも期待が持てます。

 そしてジークアクス本編がいつ放送されるのかについても気になってきました。現状は全く発表されていないものの、早くて今年の春か夏くらいにはテレビシリーズが放送されるだろうと予想しています。映画の熱を逃がさないためにも早く続きを見せてほしいものですね。僕自身新しいガンダムの幕開けを見届けたいと思っているので、続報を心待ちにしていく所存です。とりあえずはパンフレットなどを読みながら、2回目の映画鑑賞も視野に入れていくつもりです。

 

 

 ではまた、次の機会に。