仮面ライダーガヴ 第30話「最凶の大統領令嬢」感想

団結と混乱がもたらすモノ

主人公たちとは関係ないところで降格されている大ボスがかつていたであろうか

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• 4人寄れば文殊の絆

 リゼルの乱入、そしてジープの宣戦布告によって始まった今回のガヴ。ストマック社が彼女によって大きな混乱をもたらされましたが、まずは人間界でオチルを探すショウマたちの様子に注目していきたいところです。グラニュートによる失踪事件ということで絆斗も合流し解決に当たる展開には大いにテンションが上がりましたね。長いこと絆斗との間に不和があったことを考えると、それが解消されて彼も含めた4人で行動出来るようになったのは嬉しい限りです。（余談ですが4人それぞれ別々のものを食べながら作戦会議するシーンがここすきポイント）

 そんな絆斗によって主人公チームの捜索にちょっとした変化が見られたのが注目ポイント。オチルを探しても見つからない中で、逆に被害に遭った行方不明者の立場になって行動する発想を示してきた時は膝を打ちました。そのまま辿り着いた銭湯*1で番台をやっていたオチルを発見する流れは唐突でしたが、絆斗のライターとしての腕が思う存分発揮されていること自体は中々に面白かったですね。戦力としても頼もしくなってきましたし、絆斗が帰ってきてくれてよかったと改めて思います。

 他にもショウマたちが戦っている間に幸果を連れたラキアがヒトプレスを回収するなど、登場人物それぞれが活躍を果たしているのが見事。前回のバスケの試合でショウマが学んだ「チームワーク」というものを、図らずも実現している構図が何とも素晴らしいです。絆斗とラキアが互いにマウントを取り合っているのが微笑ましくも懸念点ではあるものの、ショウマたちが種族や立場を越えて団結してきているのが伝わってきました。日常シーンの塩梅もちょうどいいですし、この調子でドンドン仲良くなっていってほしいですね。

• 混乱引き起こす大統領父娘

 一方問題となったのがグラニュート側の描写。ボッカ大統領に頭を下げることになったランゴは前回の時点で相当不遇でしたが、リゼルが社長になったことで仕入れ担当にまで降格させられたラストには思わず面食らってしまいましたね。もちろんボッカのコネで富裕層に闇菓子を勧めることが出来ましたし、大統領という強力な後ろ盾を得たことで表向きは成功していると言えます。しかし実際はほぼ会社を乗っ取られたようなものなので、悪事とはここまで真面目に頑張ってきたランゴに思わず同情してしまいましたね。まさかランゴ兄さんの格がショウマと戦わないまま落ちるとは思っていなかったよ……

 そしてストマック社を手中に収めてみせたジャルダック親子の底の知れなさも印象に残りました。中でも娘のリゼルは一線を画していて、自分の好きなものを集めながら父親の利になることを同時に果たす手腕には舌を巻くばかり。自分本位なわがまま令嬢なだけかと思いきや、意外と計算高い面もあると言うべきでしょうか。そんな彼女によって副社長になったジープが完全に虎の威を借る狐状態ですが、ここまでくると利用してナンボとすら思えてきますね。（それはそれとしてジープがシータの姿になって自分を慰める様子にはドン引きしましたが……）

 大統領といえば序盤でラキアがボッカについてをショウマたちに説明していましたが、「金持ちが勝手に決めているだけ」という話にはギョッとしました。大統領とは言うもののグラニュート界の一般人は政治に参加すら出来ていなさそうな事実に少々慄いてしまいます。恐らくは一部の富裕層にとって都合のいい社会が形成されているであろうと何となく読み取れてきました。（ストマック社が富裕層の取り込みを画策していたり貧乏な中毒者を駆り出すのもそういった背景が関わっていそうですね）グラニュート界全体と戦う必要は無さそうですが、グラニュート界の歪な社会構造は今後の大きな課題になりそうな予感です。

 他の見どころといえば、ショウマが偶然立ち寄ったお菓子屋さん「ひだまり」でのワンシーンが重要そうでした。優しそうな店主の男性が、探し人の話に強く反応している様子に意味深なモノを感じます。行方不明者についての態度といい、この人も身内や友人が行方知れずになっているのでしょうか。それどころかショウマとのやり取りといい、彼との深い関わりを勘ぐらずにはいられません。もしかしたら、この人こそショウマの母（井上みちる）の家族かも……！？

 また戦闘シーンに関してはガヴ＆ヴァレンによる久々のタッグ戦が印象的。何でも投げてくるオチルを追い詰めつつ、ブリザードソルベフォーム＆フラッペカスタムの氷結系フォームのダブルライダーキックにも興奮しました。絆斗が立ち直った直後に見たいと思っていたものがストレートに出てきたようなものなので、最後の最後にスカッとさせてくれる展開に大満足の一言です。（オチルのキャラも肥後さんの「聞いてないよ～！」といったダチョウ倶楽部のギャグが炸裂していて実に愉快でしたね）

 そして次回はまさかの絆斗＆ラキアの主役エピソードになる模様。敵グラニュートの特殊な攻撃で互いの腕がくっ付き、離れられなくなったというあらすじだけで笑いが込み上げてきます。現状仲が良くない2人が嫌でも顔を合わせなければいけない……どちらかというとスーパー戦隊シリーズでやりそうな展開に早くも期待してしまいます。是非とも彼らにはコミカルな仲違いコントを繰り広げつつ、最終的に仲良くなってほしいですね。

 ではまた、次の機会に。

*1:ちなみに今回登場した銭湯のロケ地は、恐らく『仮面ライダーリバイス』に登場した「しあわせ湯」と同じ場所ではないかと思われる。