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機動戦士Gundam GQuuuuuuX 第3話「クランバトルのマチュ」感想

そして少女は戦いの舞台へ

「シュウジ×マチュ×ニャアンの多角形CPはいいぞ」とガンダムが言っている

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  • 非日常に飛び込む思春期

 本作の一年戦争の顛末が明らかになったところで、再び現代へと時系列が進んだガンダムジークアクス3話。今回はマチュが些細なことがきっかけで、MS(モビルスーツ)同士の試合「クランバトル」への初参戦を果たす様子が描かれました。1話の時同様マチュのブレーキの無さがそれとなく発揮されており、嫌々やるかと思ったクラバにノリノリで挑むまでのスピード感にはこれまた圧倒されます。ニャアン相手にグイグイくるところも興味深く、軽く知り合った相手にここまで話しかけられるのも彼女の怖いモノ知らずっぷりが強調されていましたね。

 それでいて要所要所でマチュの女子高生らしい一面を覗かせていたのも大きな魅力。母親「タマキ・ユズリハ」と何気ない塾の話をしたり、後述の「シュウジ・イトウ」との出会いにドギマギしたりと妙に可愛らしかったです。(八つ裂き光輪みたいなポーズしているのがここすきポイント)気に入らないことには過敏な反面、それ以外の感情にはまだまだ疎いようにも感じます。その中でもクラバに関しても目くらましを喰らって初めて“死”の恐怖を感じるのが秀逸でした。戦いの過酷さに面食らい怯える様子は、どこまでいっても等身大の少女に過ぎないことを印象付けてきたと思います。

 

 個人的にはこの回にマチュの“未知なるもの”を求めようとする精神性が読み取れましたね。何事もなく過ぎ去る日々に退屈していたところに、未だかつて経験したことのない“キラキラ”を味わった衝撃は彼女にとって重要だったのでしょう。刺激的な非日常のために危険も厭わず飛び込んでいく……ここまでのマチュはまさに無謀で危なっかしい思春期の子どもといった様相だったと言えます。その気持ちは何となく理解出来るものの、やはりはたから見ていて危うさばかりが目立ちますね。今回はシュウジのサポートと自身のニュータイプ能力で何とか勝利出来たものの、果たしてこの快進撃はいつまで続くのでしょうか

 そんなマチュを戦いに導いたシュウジについても見逃せないところ。ついに登場した主人公格3人目の彼は、不思議少年として中々に強烈だったと思います。いきなりマチュの髪の匂いを嗅ぐ変態ムーブをかまし、文無し腹減りなところも見せつけるのでインパクトはそこそこ。それでいてあの赤いガンダムを乗りこなしていたり、キラキラを「向こう側」と称すなどミステリアスな面が魅力と言えるでしょう。(彼が連れているロボットの愛媛みかんの箱コンチ」も可愛いです)上述の通り心配なところもありますが、マチュとシュウジそしてニャアンを合わせたこの3人は何だかんだで見ていて微笑ましいので注目が止まりません

 

 

  • 輝きの先で舞い上がる赤き戦士

 かつてシャア・アズナブルの愛機として活躍し、今現在はシュウジ・イトウが乗りこなす機体“gMS-α”「赤いガンダム」。言うまでもなく、前回登場した白いガンダムをジオン側のものとして改修した姿です。ジークアクスに並んで本作のカギを握る重要なMSとして、最も注目すべき存在かもしれません。その見た目に関しては基本白いガンダムをそのまま赤くしただけなのですが、背部にサイコミュ兵器である6基のビットが装備されているのが最大の相違点。シャアと同じ赤色に変更しただけでなく、連邦軍にはない兵器を搭載することでこの機体は既にジオン公国軍の所有物であるとアピールしているようにも見えますね。

 ビットによる戦闘能力は絶大で、パイロットのニュータイプ能力によって無人の遠隔操作兵器として使用。それにより四方八方どの場所の敵にも対応出来る、オールレンジ攻撃で戦場を圧倒することも可能です。さらにこのビットは大型でかつビームの威力もかなりのものなので、攻撃を集中させれば単騎で戦艦を撃墜することも難しくはないでしょう。(最もシャアレベルでサイコミュを使いこなせなければ器用に扱えないのでしょうが)これまでのガンダム作品同様、全方位をカバーする力がどれほどの脅威かを知らしめていると言えます。

 惜しむらくは現在はビットが全て破壊されている点。1話時点で残り2機しかなかったビットもエグザベ操縦のジークアクス戦で全て大破し、現状武器はガンダムハンマーだけとなっています。正直クランバトルの時点では相手チームのザク2機のコンビネーションに押されがちでしたし、かつての伝説ほど頼りになるとは言い難いですね。とはいえシュウジのニュータイプ能力もかなりのモノのようですし、今後は彼の実力が試されるかと思います

 そしてこの赤いガンダムについて触れておきたいのが多くの謎。何故シュウジがこの機体に乗っているのか?その点は現状明かされていないので気になるばかりです。そのうえシュウジの「○○とガンダムが言っている」というセリフも意味深で、まるでこのガンダムそのものに意志があるかのような口ぶりです。シャア失踪の件も含めて、この機体の謎が明かされるのが楽しみになってきましたでも「シャアの意識がこのガンダムに乗り移っていてシュウジはその声を聴いている」みたいな真相だったらどうしよう……

 

 

  • 赤い彗星を追う者

 マチュたちが意気揚々とクランバトルに臨む裏側で動いていたのがシャリアの部隊。軍警に捕らえられた「エグザベ・オリベ」少尉を引き取るために、ホワイトベースになるはずだった「ソドン」をコロニーに突っ込ませる絵面は何度見てもギョッとします。しかし天気予定を聞いてから行動に出たり、エグザベの怪我を予想して絆創膏を用意するシャリアの粋な判断にちょっと惚れ惚れしてしまいますまぁそもそもこの人の無茶な命令の結果エグザベくんが苦労しているんですけどね!それでいてサイド6の大統領補佐官になっていた「カムラン・ブルーム」に接触したりと、キッチリ義理を通す辺り抜け目がありません

 他にもクラバの中継映像を眺めながら、ジークアクスや赤いガンダムに興味深そうな視線を向けるシーンも印象的。赤いガンダムに乗っているのがシャアではないこと見抜きながら、それぞれのパイロットが何者かを探っているのが見て取れました。特にジークアクスを駆るマチュの操縦テクニックに感心し、彼女が相当のニュータイプであることを見抜いているのは明らか。(他にもクラン「ポメラニアンズ」のリーダー「アンキー」もニュータイプに詳しそうな言動を取っていたので気になっています)シャア大佐ではないものの、意外な才能を見つけたシャリアが次にどのような行動に出るのか。大人組の代表でもあるシャリアにも目が離せません

(あとは今回の会話からジオンが今もなお貧乏であることが示唆されているのがかなり重要そうなポイント。戦勝国といっても、やはり財力など諸々で連邦には全く歯が立たないのは変わらないようで出世知辛いものを感じずにはいられません

 

 

 また今回でクランバトルとマヴ、それぞれの説明が入ったのも印象に残りました。前者は『Gガンダム』のガンダムファイトや『水星の魔女』の決闘を彷彿とさせながら、前提が非合法の賭け試合である点が面白いですね。(それでいてコロニーのお偉方もある程度黙認しているっぽいのがまた生々しい)難民などを抱えた世界観らしい、アングラな空気を漂わせたバトルが個人的にもたまりません

 そして「マヴ(M.A.V)戦術」が2機のMSによる連携戦術であることにも説明が入りました。ミノフスキーが散布された戦場で優位に立つために互いの死角をカバーし合う……そんな技術が劇中では巡り巡って「親密な相棒」のようなニュアンスとしても浸透しているのが興味深いです。度々会話に出てくるのでこの自分の欠けたものを補ってくれるマヴが、この先の展開でも重要な要素になりそうな予感がしてきました。

 

 

 というわけでこれで先行上映版で流れたエピソードは全て放送されました。一応映画館で先に干渉したのですが、改めてテレビで見返すと色々新たな発見があって面白かったですね。また本作がどういう世界観なのか?主人公たちがどういう人物なのか?といった疑問を解消しつつ、覚えておくべき基本設定を余すことなく描き切っているのが見事の一言。この序盤の3話だけである程度把握出来るからこそ、先行上映版はここまでまとめていたのだと今になって実感した次第です。

 そして次回からは映画でも公開されていない未知の領域に突入。映画鑑賞勢としては、ここからが本番ですね。予告映像を見る限り大人しめの少女がジムらしき機体に乗っているようですが、これは連邦側がついに登場するということでしょうか。本作の連邦軍は現在どのような立ち位置なのか、それが判明するかもしれないので早くも楽しみです。(そしてサブタイに「魔女」が入っているせいで前作を思い出してしまったり……

 

 

 ではまた、次の機会に。