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機動戦士Gundam GQuuuuuuX 第5話「ニャアンはキラキラを知らない」感想

世界は私の思うがまま

読めなかった……ニャアンがここまでの暴走列車だったとは!!このリハクの目をm(ry

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  • 抑圧された心が“キラキラ”と共に溢れ出す

 前回とはまた違う形で衝撃が巻き起こったガンダムジークアクス5話。何と言ってもこれまで影の薄かったニャアンがクランバトルに参加することで、その苛烈さが露になっていく展開に度肝を抜かれました。色々あって遅れそうなマチュの代わりにジークアクスに乗った時はいつも通りオドオドとした態度でしたが、追い詰められたことで豹変、凄まじい形相で相手マヴを圧倒してきたので驚きを隠せなかったです。戦法に関しても赤いガンダムを首根っこ掴んで盾として引きずり回すという、おおよそ味方にやる手段ではないのがショッキング。*1大人しそうなニャアンがキレるとここまでするとは、誰も予想しえなかったでしょう。

 しかしニャアンの怒りようそのものは非常に興味深かったです。突然キレたように見えるものの、実際はこれまで溜め込んでいた不満や鬱憤が今回の痛みをきっかけに爆発したものであることが何となくですが読み取れました。普段から難民として不当な扱いを受けてきたのは過去の描写を見る限り明らかですし、そうした日々で蓄積した怒りが今回のニャアンを引き起こしたのでしょうね。マチュがその場その場の不満に即座に反発するのに対し、ニャアンは普段は我慢するものの追い詰められるとヤバいタイプ、といった感じに主人公2人で異なる「反骨心」をそれぞれ表わしているのが何とも面白いところです。

 そしてニャアンの怒りに反応するかのようにジークアクスのオメガ・サイコミュが起動、彼女も“キラキラ”を見る展開はこれまた恐ろしさが勝っていましたね。マチュのようにキラキラの美しさに感動していただけでなく、ニュータイプの力が引き起こす自由な万能感に酔いしれていた様子にどこか危機感を覚えます。何より「私が世界に合わせなくていい!」というセリフで、彼女が普段どれだけ抑圧されているのかも伝わってきました。息苦しい日々で自分を抑えつけていたニャアンが、キラキラを前に世界が自分に合わせる感覚を知ってしまった……その結果相手の殺害も厭わない存在に成り果ててしまった印象があるので、以降のニャアンを見るのが怖くて仕方ありません

 

 

  • 私だけの特別を奪われて……

 そんなニャアンの快進撃とは裏腹に大いに曇らされたのがマチュ。軍警に追われエグザベと一緒に隠れる羽目になった時はどうなるかと思いましたが、ニャアンがジークアクスを使いこなしたことでそれどころではない目に遭っていて驚きましたね。自分だけが使えると思っていたジークアクスを、自分以外が使える事実にマチュが受けたショックはかなり大きかったことでしょう。前回のシイコの件で殺すという選択肢に悩んでいた矢先、ニャアンが容易くそのラインを越えてマチュの先を行ってしまった辺りも彼女の道化的なイメージを助長していたように感じます

 個人的には雨の中走りながらの「キラキラは私とシュウジだけのものだったのに!」という独白が印象に残りました。キラキラの万能感とシュウジとの繋がりを何度も味わってきたマチュにとって、これらが今の自身を形作るアイデンティティだったことは言うまでもないでしょう。その特別感に浸っていたのも間接的に読み取れるため、その特別を何でもないと思っていた友人に奪われたことにとてつもない喪失を感じていそうですね。ニャアン自体はマチュの力になろうとしてたのがわかるので、この後巻き起こる修羅場にドキドキせずにはいられません

 マチュに関しては背中を押してくれたアンキーの存在も目に付きました。前回のことで塞ぎこんでいる(割にはエンジョイしているっぽいですが)マチュに、それっぽいアドバイスを授けるシーンは「悪い大人にそそのかされている」印象が強かったです。良いことを言っているようで自分のために利用しているとしか見えないアンキーにドン引きしつつ、まんまと乗せられているマチュにも思うところがありますね。今回のマチュは総じて若さゆえの“浅慮”な部分も見え隠れしていたと思います。

 

 

  • 戦場から逃れられない落ちた二連星

 毎回ファーストガンダムから何かしらのキャラが出演している本作ですが、今回は「ガイア」「オルテガ」という原点でも有名な2人が登場したのがちょっとした目玉でした。劇中の写真のみで出てきた「マッシュ」を合わせて「黒い三連星」の異名で活躍したジオン軍人が、本作の世界では戦後クラバで路銀を稼ぐ日々にまで落ちぶれていた事実は彼らを知っている人ほどショックが大きかったと思います。一方でマッシュのみどこかで市長になっているのも、意外過ぎて目が点になりましたね

 冒頭の会話を聞く限り、シャアの赤いガンダムに活躍を奪われた結果軍を辞める羽目になったとのこと。三連星ほどの実力者を追い出さなければならないほどジオンの財政がひっ迫しているのも驚きですが、軍人でなくなった後もリック・ドムを持ってクラバに参加していることにどうにも痛々しさを覚えます。戦わない職を探す選択肢はあったであろうはずなのに、わざわざ当時の機体を持ち出して戦うのは軍人以外の生き方を知らない背景が何となく見えてきますね。(ガンダムたちを倒した後に傭兵になろうとしているのも同様、戦うこと=生きるという考えが彼らの中に根付いていそうです)

 マッシュがスキャンダルに追われているものの安定した生活を手にしているのもあって、それが出来なかったガイアとオルテガの悲哀が相対的に増していたと思います。元軍人としてクラバでかなりの技量を見せつけていたものの、2人だけではどうにも真価を発揮出来ていなかったのも切なかったですね。「マッシュさえいれば!」というセリフが本当に悲しい……戦場に囚われて生き方を狭め、結果戦いの中での無念の死を迎えてしまった……そんな戦争に心を置いていってしまった人間として、前回のシイコに続いて鮮烈な存在になっていました

 

 

  • 連なる電光流れ動く、黒き星々の重三脚

 元・黒い三連星のガイア&オルテガが搭乗した“MS-09”「リック・ドム」。ザクに続いてジオンが元々運用していた機体が、まさかの黒い三連星と共に本作での登場を果たしました。陸戦用重MSとして開発された「ドム」を宇宙戦用に改修したバージョンで、巨大な足裏に膨大なバーニアを設置して宇宙での高速飛行を可能にしているのがウリ。見た目のマッシブさも相まって原典でも人気の機体ですが、シルエットがほぼそのままで出てきたのはかえって意外でしたね

 しかし本作ならではの相違点として目を引くのが、背部に搭載されたフレキシブル・ブースター。リック・ドムの脚部と同程度に巨大な造形になっており、高速飛行時に展開し両足のバーニアと合わせて凄まじい推進力を発揮するようです。さらに展開中は実質3本足の異形MSになっており、これを活かした柔軟なホバー飛行も難なくこなしている模様。純粋な人型ではないビジュアルに様変わりしたものの、不思議と違和感がなく合理的とも思えるブースターの配置に驚きを隠せません。

 装備に関してはヒートサーベルやジャイアントバズーカなど従来のドムと同様のものの他、電撃を発生させる特殊なワイヤーも披露していました。これを相手の機体に引っ掛け放電することによって、操縦しているパイロットごと電気ショックをお見舞いする中々にエゲつない装備です。(またそのままドムの推進力で引きずり回しても切れない辺り、かなり頑丈なワイヤーなのが伺えますね)さらに黒い三連星の代名詞でもある戦術「ジェット・ストリーム・アタック」も披露され、前回に続いて元軍人の底力が描かれていたと思います。しかし縦列に並んだ3機による波状攻撃がジェットストリームアタックの強みであったため、マッシュを欠いた2人だけではその威力を発揮しきれなかったのですが……

 

 

 毎回何かと不憫な目に遭っているエグザベが、今回特に頑張っていたものの報われなかったのもちょっとした注目ポイント。ジークアクスの所在を求めてマチュを問い詰めるのかと思いきや、軍警に追われた彼女を助ける形であぶり出そうとした作戦に感心しました。結果としてはジークアクス奪還は失敗に終わったものの、怪しいと睨んでいるマチュとの接点が生まれた点では前進していると言えるのではないでしょうか

 その一方で謎の人物と電車内での密会を繰り広げていたのが意外。会話の内容は端的に察するに「シャリアが何か企んでいるから気を付けろ」という警告で、エグザベなりに彼に疑念を抱いていることが伺えました。同時に相手方がキシリア側の間者らしいので、エグザベも同様キシリアに付いている可能性が高いですね。現状はとにかく可哀想なエグザベですが、ここから不遇を巻き返すほどの活躍を見せる、かもしれません。

(余談ですが今回のニャアンを見る限りジークアクスが「“怒り”といった強い感情」に反応している可能性が出てきたことで、真面目なエグザベがオメガ・サイコミュを起動出来なかったのも仕方がないと納得したりそうでないとジークアクスが美少女にしか応えてくれない変態MSになってしまうし……

 

 

 というわけで次回はマチュとニャアンの間に不和が巻き起こるのは当然として、さらにシュウジの隠れ家がバレてしまう危機に突入してしまうとのこと。ここまで上手く隠してきたものの時間の問題だと思っていたので、むしろシュウジが如何にして逃げるかが本番とも考えられますね。子どもたちが目まぐるしい状況に置かれているので、見ている側もハラハラさせられそうです。

 さらにはイズマ・コロニーにザビ家の長女・キシリアが訪れる模様。さらにサブタイは「キシリア暗殺計画」と、嫌な予感しかないモノなので今から戦々恐々です。(暗殺を企てているのはやはりギレンでしょうか)原典でギレンを撃った彼女が今度は狙われるのは興味深いほか、本作でのキシリアがどのような性格になっているのかも気になります。少女たちとジオン軍それぞれの危機に、次回は波乱の展開を迎えそうですね

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:ただ自力では動けなかったシュウジが相手の攻撃に反応して攻防に転じることが出来ていたので、この作戦自体は的確だった可能性は高いのだが