遊戯王OCG(オフィシャルカードゲーム)に登場する各テーマの世界観をアニメ化するショートアニメシリーズ『Yu-Gi-Oh! CARD GAME THE CHRONICLES』の第1弾「閃刀姫」が先日公開されました。様々な武装を切り替えて戦う少女たちを、短くも見事なアニメーションでよく表現してみせたと感心するばかりです。主人公である《閃刀姫-レイ》が囚われの身である《閃刀姫-ロゼ》を救い出すために奮闘する、少女たちの友情模様もシンプルながら胸熱でしたね。(レイが発動した《閃刀術式-アフターバーナー》の威力があそこまで高いのかと地味にビビったり)
ただストーリーに関しては動画内で全くと言っていいほど説明がなく、いきなりクライマックスな場面から始まったのがネックでしょうか。しかし個人的には「遊戯王マスターデュエル」のソロモードに収録されたストーリーを読んだおかげで、ここに至るまでの流れはある程度把握しました。背景ストーリーを理解しているファン向けアニメなので、初見は訳がわからないものの雰囲気だけでも十分見ごたえがあると言えるかもしれません。この先を知らないのでこの後どうなるのか全く予想が付かないのですが、来月の更新も楽しみにしています。
というわけで以下、今週の簡易感想です。
LAZARUS ラザロ
第3話「LONG WAY FROM HOME」
今回もスキナーを探して西へ東へ、様々な場所に足を踏み入れて大忙し。特に後半のイスタンブールではリーランドが腕を切り落とされそうになったり……とまたもや危険な荒事に首を突っ込んでいるのでハラハラしっぱなしでした。未だにスキナーの居場所は特定出来ていないものの、ラストのカメラを探しだした瞬間など着実に近づいているようにも見えますね。(あとスキナーの自宅で発見された薬が明らかに何らかの伏線っぽいが……?)
そうした捜索の過程でスキナーの人となりが少しずつ解き明かされていくのが注目ポイントでした。「ダグ」の恩師からは「成果を求め没頭しすぎる天才」と評された一方で、スキナーの祖母代わりの人物にとっては「優しい普通の子」と、親しい人物かそうでないかでまるで印象が異なるのが興味深いです。前回の説明と合わせて、高潔すぎたが故に人類に絶望してしまったという人物像が見えてきます。果たして彼は今何を考えどこにいるのか、改めて気になってきました。
他にもホームレスの生活や貧富の差、差別など様々な要素を作中で自然に盛り込んでいるのが見逃せません。特にアクセルの知り合いの男が今ではトランスジェンダーになっている話は、アニメ作品では結構珍しいので感心しましたね。こうした描写を特別なモノではなく、“ごく当たり前の日常風景”として視聴者に見せてくれる作風は個人的にも非常に好みです。
ボールパークでつかまえて!
第4話「魂のアナウンス」「ご意見箱事件《前編》」「ご意見箱事件《後編》」
今回の前半は球場のウグイス嬢(場内アナウンス)を務める「佐藤なぎさ(さとう・なぎさ)」さんがメインとして描かれました。スターティングメンバーの選手をイジるアナウンスが評判になってしまったばかりに、ネタが尽きて悩む姿が何ともおかしかったです。(視聴後アナウンスでの選手イジりは元ネタがある話だと知りびっくりしたり)そこからルリコの助けを得て、いつもイジッている選手への感謝や好意をアナウンスする流れは意外ながらもどこかほっこりさせられました。中々トンチキですが、佐藤さんの純粋な気持ち自体は素敵だと思いますね。
佐藤さんのアナウンスを手助けしたルリコが、ご意見番を巡る謎に挑む前後編もこれまた愉快。自分宛ての手紙を送ってくれた相手を探偵気取りで探すものの、イマイチ進展していないので見ていて肩の力が抜けてきます。しかし10枚もの意見用紙それぞれが、別々の人が書いたものだと判明する流れは納得した一方で驚きましたね。いつもの人たちだけでなく、以前の野次を飛ばしたおっさんやナンパしてきたチャラ男といった人物も真摯な想いを綴る事実に胸が暖かくなってきます。涙もろいルリコと合わせて、頑張りを見ていてくれているとわかる人情話には個人的にもかなりウルっときました。
ある魔女が死ぬまで
第4話「祝福は開門と共に」
「祝福の魔女」こと「ソフィ・ヘイター」との交流を描いた今回。メグと同じ年ながら天才と称される彼女のローテンションに癒されつつ、当人が抱く魔法への複雑な感情に聞き入ることとなりました。魔法が呪いとして忌避されている生まれ故郷にて、才覚を発揮した結果両親と離れざるを得なかったのは何とも言えない歯がゆさを覚えます。(そんな彼女の魔女としての二つ名が「祝福」なのも皮肉めいてる……)それでも魔法を憎みきれず、人の役に立つことで自分の居場所を得ようとするのが何ともいじらしくて切なくなってきますね。
そんなソフィの身の上を知ったうえで、ラピスの町での思い出を作ってあげようとするメグのひた向きさが大いに癒しになってました。変に取り繕うのではなく、心の底からこの町を好きになってほしいと今のソフィに対して思える点は見事。「故郷は何も生まれ故郷だけではない」といった旨の言葉のように、さり気なく寄りそえる優しさが彼女の最大の長所なのかもしれません。異界の者を招くという「異界祭り」のトラブルにも鼻血を流しながら果敢に対応するなど、主人公としての魅力を改めて認識した次第です。
ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ
第13話「ウルトラマンゼロ THE MOVIE ~燃えるマグマ~」
『ベリアル銀河帝国』テレビ放送版の2回目は、後に仲間になる者の1人、“炎の戦士”グレンファイヤーとの出会いからスタート。最初は誤解からド派手な殴り合いへと発展したものの、ベリアル軍の襲撃と共に即座に共闘に移行する展開の早さは流石といったところです。グレンの短気で喧嘩っ早いもの、義理人情に厚い性格はこの時点で読み取れますね。またゼロも彼とのバトルですぐ意気投合するなど、今と比べると大分荒っぽい部分が強くて何だか懐かしくなってきます。(そして変身回数に制限があるゼロが即座に変身したことに驚くセブンがここすきポイント)
あとはそんなゼロの昔話をベリアロクが熱心に聞いていたのが面白かったですね。冒頭どこまで話したか忘れていたゼロに、前回までのあらすじを簡潔にまとめて語り切ったシーンには目が点になりました。直後にゼロに話を急かす様子といい、思った以上にベリアロクがこの戦いに興味津々なのが伝わってきます。それどころか意外なまでに食いついてくるのでゼロが終始困惑気味だったことにもクスっときたり。
トランスフォーマー ワイルドキング
第4話「心優しきハイドロファント」
水のエナジーを持つエナジービースト「ハイドロファント」の登場回。ビーストモードがゾウと厳つそうなイメージに反して、臆病で人懐っこいキャラクターに早くもノックアウトされました。ゾウの姿のままはしゃいだり怯えて竦んだりする様子が何とも可愛らしくて、見ている内に庇護欲が掻き立てられてきます。戦いを怖がる自分の性格に悩んでいるようですが、それだけにここからどうやって“勇気”を獲得していくのか見ものではありますね。だからオプティマスは早々に仲間に引き入れようとするのやめてやって!
他にも恐竜族から土のエナジー持ちの「スピリチュアン」が登場。静かな態度とは裏腹に好戦的で、敵サイドのトランスフォーマーらしいと言えばらしいです。しかしそれ以上にオプティマス相手に「不吉な影が見える」などと、名前の通りのスピリチュアルな言動をしてきたのが印象的でした。トランスフォーマーでこういった迷信めいた発言をするキャラは珍しいG1スタースクリーム「メガトロン様噴火です!これぞ不吉の前兆!」ので、かえって新鮮に感じますね。
遊戯王アニメに関しては他にも歴代アニメシリーズを順次配信しているのが嬉しいポイント。深夜帯でリマスター版として放送している『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』や、数話まとめた動画で投稿されている『遊☆戯☆王5D’s』など、過去の作品を見返すのにちょうどいいですね。テレビアニメシリーズの新作はいったん終了してしまったものの、こうして懐かしの作品を浸らせて話題を作ってくれるだけでもありがたいモノかもしれません。
ではまた、次の機会に。
