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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第13話 「葬送」 感想

戦士に贈る華
お葬式ではちゃんと保護者してたのに名瀬さんったらもう!






















・海賊との決着
 昌弘が昭弘を庇い凶弾(というよりはハンマー)に倒れるという衝撃のラストで終わった前回、必死になって昌弘を救出しようとする昭弘は瀕死の彼がヒューマンデブリの最期や生まれ変わりについての話をする中でたとえ死んでも生まれ変わった先で迎えに来てくれるという想いが伝わってきますね。最期に昌弘が「兄貴」呼びから「兄ちゃん」になった場面は涙が止まりませんでした。
 一方三日月は太刀の使い方を理解していき、グシオンの硬い装甲の隙間を狙うことで徐々にクダルを追い詰めていきますが、その際にクダルに「人殺しを楽しんでいる」と指摘されます。確かに先程からうっすらと笑みを浮かべてきてるのがわかります。三日月も最初は少し動揺する物の、

 三日月「まぁ……いいか。こいつは死んでいい奴だから」

 と言ってあっさりクダルを撃破。普通の主人公なら色々迷ったりする場面でも容赦なく敵を倒す三日月のとんでもなさを改めて感じました。(この調子だとスパロボコンパチヒーローで他作品と共演した時にはいざこざが起こりそうだなぁ。特に同期のタケルと大地はやばいぞこれ!)
 そんなこんなでブルワーズとの交戦は前回の激闘の割にはあっさりとした幕切れになりました。これがまだアバンなことがすごい……。


・紳士マッキー
 一方地球では何やらパーティーが開催され、マッキーことマクギリスがガエリオと共に参加していました。招待客から「妾の子」などと不穏な言葉が交わされる中、綺麗なお嬢さんたちに誘われるマクギリスとそれをからかいながらもフォローしてやるガエリオの関係が非常にいいです。
 さてそんな婚約者を探していた小さなレディーアルミリアは周囲の女性と自分との差、さらに他の客が零した心無い言葉に思わず会場のテラスまで飛び出して必死に涙をこらえる羽目に。(ガエリオお兄ちゃんはその客に怒ってもいい)しかしそこにマクギリスが現れ、全てを察したのかアルミリアを優しく慰めてあげます。「あなたを笑う者がいたら私が許さない。あなたはここにいる誰よりも素敵なレディーだ」という言葉はまさにロリコン紳士そのものです。
 しかしこの紳士、アルミリアが涙をこらえて走っていく姿を見つけた時や彼女を抱き上げた時に浮かべた笑顔がすごく怪しいです。結局何を目的に動いているのかわからないのもあって底知れない何かを感じさせます。


・発つ者と送る者のための式
 さて場面は戻って鉄華団タービンズに。海賊の船長から船と資材をごっそり奪い、さらにヒューマンデブリの少年たちを迎え入れた鉄華団ですが、一方で犠牲も多く、敵艦への潜入で死んでいった仲間たちを率いていたシノは特に落ち込んでいました。彼はこれまでユージンと冗談を交わし合ってばかりいたイメージだったので随分印象が変わりますね。さらにオルガは10機ほどあるというMSも昭弘の弟を殺したものを使うわけにはいかないと全て売却することを伝えます。
 そのように悲しいムードが続いている中、メリビットさんの提案でお葬式が執り行われることに。この世界では葬式をする習慣がないのかオルガたちはピンと来てないようで、特にオルガは不満げな態度を見せます。それに対して「誰もが仲間の死に納得できているわけじゃない」「葬式は生きている人の為にもある」と返すメリビットさんの言葉が深いです。オルガも反論できずにこっそりおばさん呼ばわりする辺り可愛いですね。

 そうして行われたお葬式はどうやら宇宙でするようで船の上で棺に次々と遺品を入れ、宇宙に放つという「宇宙葬」ともいうべきものでした。納得できていないオルガもきちんと取りしきり、みんなが静かに棺を見送る中、ヤマギの提案で推進剤用の水素で作った氷の花火を弔砲として打ち上げる場面は素晴らしかったです。鉄華団のメンバーの多くが目に涙を浮かべ、名瀬さんが泣いてもいいと言っても意地でも涙を見せないシノもかっこいい。これまで仲間たちが死んでいく場面は何度か描かれましたが、こうやって誰かの死について考えるようになっていく場面は少年たちのささやかな、それでも立派に成長している証とも取れていいですね。


・イチャイチャもほどほどに
 お葬式も終わり、年少組の中に泣きだす子も出て来た鉄華団。フミタンも言ってましたが子どもだからこそ無意識に押し込めた感情が時として表に出てしまう危うさを感じさせてくれます(おっぱい目当てでアトラよりもフミタンを選んで抱き着いたクソガキにこの野郎……と思ってしまったのは秘密)
 シノがヤマギに自分が死んだ時もあの花火を作ってほしいと頼んだり(「死なないでほしいと」のていで断られたけど)、昭弘が弟との思い出と共に生きたいと想いからグシオンを使うことを決意したり(ガンダム、売るよ!にはならなかったか……)とそれぞれが前に進み始めている中、名瀬さんが人目をはばからずアミダさんとラブラブキス(しかも明らかにディープなやつ)を始めた時には仰天してしまいました。「人死にが多い年は出生率が上がる」とか「隣の女がすごく可愛く見えてくる」とか言ってますが子どもの教育に悪いからほどほどにしろ!

 その後三日月はクーデリアお嬢様と鉢合わせしますが、そこで自分の手が震えていることに気が付きます。どうやら先程クダルに指摘された「自分が人殺しを楽しんでいる」ことに少なからず動揺しているようです。あの時はまぁいいかで済ませていたもののやはり命を奪うことに何かしら思うところがあるのでしょう。
 それを見たお嬢様が三日月を抱きしめて落ち着かせようと母性を感じさせる行動に出ますが、それに対する三日月の対応が…………

 ズキュウウゥン!!

 さすが三日月!俺たちに出来ないことを平然とやってのける
 そこにシビれる!あこがれるゥ!

 ……………………と言えばいいんでしょうか。(※上記はあくまで個人的な印象です)まさかこんなところで三日月とお嬢様のキスが成立するとは思いませんでした。しかも三日月の「可愛いと思ったから」という動機は名瀬さんの言っていたことを変な方向に間違えて受け取ってしまったとしか思えません。そのせいでお嬢様が動揺する場面の後にアトラを映す演出は狙ってやっているようにしか見えなくなってしまいましたどうしてくれる!


 というわけで今回はあっさり終わった海賊との戦いの後、死んでいった仲間たちと残された者たちのためにお葬式をあげるというしんみりした回でした。そうやって大切な人に死を考え、受け入れていくという人の成長に意外と関わってくる要素を丁寧に描いていたと思います。
 まぁそれはそうと困ったのは名瀬さんですね。葬式が終わるまでは保護者として子どもたちを見守っていてすごく良かったのにアミダさんとのイチャイチャのせいでただでさえちょっとかわった三日月が変なことを覚えてしまったじゃないですか!本当にこの人は視聴者的にも、登場人物的にも、子どもの教育に悪影響を及ぼしそうな人ですね……(そこもまたこの人の魅力なんだけど)


 次回はこれまた鉄華団がトラブルに巻き込まれそうな予感。しかも今回のラストに映っていたフミタンですがもしや彼女は…………?


 ではまた、次の機会に。