新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

ウルトラマンタイガ 第21話「地球(ほし)の友人」感想

憎悪理解

パンドンを可愛いと思ったのは今回が初めてです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • レッテル貼りの復讐者

 今回のタイガは「田崎修(たざき・おさむ)」という若者の物語。地球に隠れ潜みながら生活する宇宙人たちを描いてきたこの作品についに登場した「宇宙人を憎む地球人」で、18話で暴れまくったゼットンの破壊活動に母親と共に巻き込まれたという経緯(まさかここに繋がるとは思わなかった)から宇宙人に復讐しようとE.G.I.S.に入社してきました。そんな彼の興味深いところは「宇宙人はみんな同じだ」と決めつけて宇宙人全体を憎んでいる点です。多様化が進んできた現代ではかえって珍しいくらいのストレートな差別意識で、宇宙人というだけで事件とは無関係な相手にまで暴力を振るう姿は「怪獣使いと少年」のようなおどろおどろしさがあります。そしてそんな彼が(知らなかったとはいえ)宇宙人の1人であるホマレ先輩を慕ったり、霧崎(トレギア)に騙され利用されてしまう様子から結局のところ「”宇宙人”というレッテルしか見ていない」ということがよくわかるため、滑稽でもあり、同時に哀れささえ感じました。(個人的にホマレ先輩が「それなら俺だって同じ宇宙人だ。お前は俺も憎むのか?」みたいな説得を修にしてくれる展開を妄想していました)

 そんな修が無抵抗のゴース星人に対して最初は疑心暗鬼のままだったものの、パンドンを倒そうとするウルトラマンに懇願する様子から「自分と同じ」だと気づいて彼と協力する場面はベタながら良い演出だと思いました。近年のウルトラマンは宇宙人に対して最初から友好的な地球人が多かったので忘れがちですが、宇宙人や地球人といったレッテルさえ取っ払えば、彼らもまた家族を想う1人の人間であるということに気づくのは簡単なようでいて、実はとても難しいことなのを再認識させてくれます。始めから他人のことをわかっている人間はまずいないからこそ、修のような理解出来ない相手に敵意を向ける人物も現れる。しかしそれを乗り越えれば互いに理解を深め合えることを今回わかりやすく伝えたかったのだろうと思いました。

 

 

  • 忠犬パン公

 ゴース星人の電撃受けというマニアックなプレイご主人の危機に対し今回立ち上がった怪獣は双頭怪獣パンドン。近年キングパンドンやマガパンドンといった派生形態ばかりが登場していましたが、ついにノーマルのパンドンがテレビに戻ってきました。『ウルトラセブン』に登場した初代パンドンと比べると眼の有無など微妙な違和感がありますが、それでもクチバシが左右に付いているデザインは相変わらずなのでかなり懐かしいです。

 何かと侵略者たちに使われることが多かったパンドンですが、今回はただ親のように慕っているゴース星人を助けたい一心で動き出す親思いな怪獣として戦っていたのでついついこちらを応援してしまいました。リドリアスやリトラといった鳥がモチーフの心優しい怪獣は以前から存在していてとても可愛らしかったのですが、パンドンもまたその面子に入ったと考えると赤いボディやゴース星人を前にしておとなしくなる姿がなんだか愛らしく感じてしまいましたね。この作品はよく既存の宇宙人や怪獣のイメージを覆してくれるので見ていて楽しいです。

 

 

  • 大いなる企み

 そんな愛らしいパンドンを八つ裂きにして殺した許せぬ外道トレギア!修にゴース星人を襲わせた奴の目的はなんと彼の所持していた地底ミサイル使って地球のエーテルを放出し、宇宙が恐れおののく存在を呼び寄せるというものでした。四大元素エーテルについて懇切丁寧な説明までしつつ(四大元素について反応するのがフーマなのが個人的に良き)、その存在を前にどのような選択をするのかとタイガに問いかけるところから、トレギアは再びタイガを追い詰めようとしているのがわかります。

 問題はその宇宙が恐れおののく存在とは一体どのような物でしょうか。19話にてピリカの瞳に映った謎の隕石と酷似したものが宇宙で動き出した描写からして彼女と何か関係があるのかと思われますね。子の存在こそが本作のラスボスなのかもしれません。

 

 

 さて次回は懐かしのオイル怪獣タッコング、さらにアーストロンと関係がありそうな新怪獣ギーストロンが登場!特にタッコングがまさかのお茶の間に復活するという情報に驚きを隠せません。さかなクンもきっとびっくりすることでしょう。

 

 

 ではまた、次の機会に。