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デュエル・マスターズ!! 第51話(最終話)「正義か?友ジョーか?運命回すぜ!超天フィーバー!」感想

回せ運命!目指せ超天!今こそその手に掴めてっぺん!!

過酷な戦いや運命さえもなんのその、少年たちの物語は続いていく・・・・・・!!

デュエル・マスターズオリジナルサウンドトラックI

デュエル・マスターズオリジナルサウンドトラックI

  • アーティスト:五十嵐淳一
  • 発売日: 2018/02/21
  • メディア: CD
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 決闘決着!正義と友ジョーの狭間で・・・・・・

 前回キラとの真のデュエルでサッヴァークを出すという胸熱な展開を見せてくれたジョー。今回はさらにサッヴァークの攻撃時に≪天ニ煌メク龍終ノ裁キ≫(これもデッキーに作ってもらったのだろうか?)を唱えるというこれまた熱いプレイングを見せてくれました。他にもサッヴァークがモモキングをシールド送りから守り、さらにワイルド・シールド・クライマックスが自身の盾をモモキングに渡すなど今のジョーの切り札であるモモキングを徹底的にサポートしたプレイングが個人的に非常に好みで熱くなれました。決着自体はジョーのクリーチャーたちによる総攻撃であっさりついてしまったのですが、中々に熱かりしデュエルだったと思います。

 その後キラの記憶の件はどうするのか、という疑問に関してはジョーが描いたキラとの思い出の絵をデッキーが食べてキラに浴びせるという若干意味不明な力技で解決して困惑しましたが、キラにとってジョーとの記憶が異質であったこと、それ故に自身の信じる正義が正しいのかと苦悩していたからこそその記憶を封じていたということが彼の口から明かされた時はかなり腑に落ちました。思えばキラという少年は登場時から自分の正義の在り方について悩み続けていて、その考えの中心にはいつもジョーがいました。もしかしたらキラにとってジョーの存在は大切であると同時に重荷であったのかもしれません。ジョーとの戦いと経た後、デュエル・ウォーリアを裁かず元の世界に帰した際にも悩み続けていたこともありましたし、その真面目さとジョーとの思い出がかえって彼を苦しめていたと考えるとかなり納得がいきます。ジョーに関する記憶のみを封じられていたのも、一種の防衛本能が働いた結果でもあるのでしょう。

 しかし今回思い出を取り戻したことで、両親に縛られることなく「自分の正義」を追い求めることを決意したキラ。これまで悩み、苦しみ続けてきた彼がこうして両親からの呪縛を断ち切って吹っ切れたことに感動を覚えます。また、自分の正義について母親と話をする行動をとったことも素晴らしいと感じました。かつてキラがジョーと行った最初の真のデュエルを経た後、母親の思想との決別といった描写をしなかったのは個人的にモヤモヤを感じていた部分なので(前作では母の愛がクローズアップされていたので出来なかったのだろうとは思います)、今回ようやく親とキッチリ話す機会が出来たのはいいことだと思います。ともかく今回、これまで自身の正義について迷ってきたキラがようやく答えを見出して前に進むことが出来て本当に良かった・・・・・・!とつい親戚のおじさんのような目線で感極まってしまいましたね。

 

 

  • (主人公以外)超天フィーバー!!

 こうしてキラの記憶騒動もひと段落し、桜の木の下で花見デュエマをすることになったジョーたち。(せっかくの花見なのにここにももちゃんがいないのはすごく惜しい・・・・・・)これまで過酷な出来事があっただけに、命や世界をかけたデュエルではなくただ友達と楽しく遊ぶためにデュエマが出来る状況に安心感と感動を覚えます。

 しかしデュエマ中、ジョー以外のメンバーがそれぞれ超天フィーバーを発動させて戦いを盛り上げていていたのに対し、ジョーだけ超天フィーバーを使っていないのはかなり気になりました。超天フィーバーを持つジョラゴンがいなかったから仕方なかったとはいえ、周りがド派手なバンク映像を使っているのに主人公だけそれがないというのは何とも寂しいです。どうせならモモキングのキリフダッシュに専用のバンクを用意してほしかったなぁ、とも思ってしまいます。あとサブタイトルにも超天フィーバーが入っているしどうにかならなかったのか一方でジョーが引いた最後のシールドがはずれポンの助だったなど、ジョーの日常でのへっぽこな部分がオチに使われたのは結構好きですね。ジョーたちが日常に戻れたことを感じさせてくるちょっとした粋な演出だったと思います。

 

 

 ということで無事終わったジョー編3年目の最終回。過去2年のジョー編の最終回は出演者全員によるはやぶささんのOP合唱があったのですが、今回はそれがなかったのが非常に残念でした。しかしジョーとキラから始まった物語の締めに2人の友情、そして平和な日常に戻ってくるジョーたちを描き切ってくれたことには非常に満足でした。本当にお疲れさまでした!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュエル・マスターズ!!』総評

 

 2017年から始まった切札ジョーの物語も3年目。製作会社がアセンションからブレインズ・ベースに変更になりましたが、ジョーたちの性格や戦いへの姿勢などは変わらず描かれていて、最後までやりきってくれました。

 

 

 まずは評価点について語りたいと思います。

 最初は主人公であるジョーについて。本作はジョー編の締めくくりとしての側面がありましたが、それを反映するかのようにジョー自身の成長の結果が描かれていました。1年目の『デュエル・マスターズ(2017)』では真のデュエルで危険が及ぶ度に目に涙を浮かべ怯えていましたが、2年目の『デュエル・マスターズ!』では危険な目に遭っても動じないだけの強さを手に入れ、そして3年目の本作では自ら戦いに赴くだけの行動力と勇気を発揮していました。大親友のキラを目の前で消されるという出来事の前ではさすがにデュエマをやめると言い出してしまうほどに傷ついていましたが、最終的に友の意思を受け継ぐ決意を抱くなど”年相応の普通の男の子”が”友と世界のために立ち上がるヒーロー”になるまでが見事に描き切れていました。3年間ジョーを見てきた視聴者から見たらこれほど感動出来る成長もありません。

 続いてジョー以外のキャラクターについて。こちらは主にジョーの親友として1年目から登場していたキラと水文明編のキーパーソンであるキャップとギャップを中心に語りたいと思います。キラは1年目から自分の正義に対する疑問や不信、そして親友との付き合いに関して常に悩んでいましたが、本作ではそれが暴走したかのような行動が多く、彼の真面目さと正義への盲目さが悪い方向に出ていました。しかし記憶喪失や今回の最終回を経て、ようやく親の考えに囚われなくなったのは3年間で培われてきた彼の成長の結果と言えましょう。ある意味でキラはジョー編のもう1人の主人公だったと言えます。

 一方キャップとギャップの兄弟はマザーブレインから与えられた水文明を救うという使命故に対立する中で、マザーとの向き合い方に関しての違いを見せてくれました。兄ギャップがマザーに服従し、彼女の思想のままにゼーロや他の者たちを利用してきたのに対し、キャップはジョーとの出会いを経て仲間と力を合わせることを知り、最後にはマザーの思惑すら超えました。またマザーの言いなりとなっていたギャップが最期には自分の意思でキャップを救ったのにもグッときましたね。

 母親の掲げる正義に苦悩するも自分の正義を見つけたキラ、マザーの操り人形にはなることなく自分で行動することを覚えたキャップ、この2人の描写を見るに恐らく本作には「親との決別」というテーマがあったのではないかと思います。前作で「親の愛」を描いた一方で、子どもが親の元から巣立っていくことの大変さと重要性を本作は見せてくれたのだと考えます。

 また本作ではデュエル描写に関しては簡略化しすぎなところはあるものの、要所要所で興味深いプレイングが多く見られました。(一例として45話のキャップがそれにあたります)単純な殴り合いやシールドトリガーによる逆転ばかりにするのではなく、見ていて思わず感心するようなプレイングをやるのはTCGアニメとして至極真っ当な姿勢であり、ド派手な演出や販促ばかりに囚われないのはとても素晴らしいことです。もちろん切り札の活躍自体も相変わらずのハイクオリティなCGでばっちり見せてくれたのもグッジョブです。

 

 

 

 

 

 さてここからは不満点や問題だと思った点です。見たくない方はブラウザバックを推奨します。

 まずは本筋について。ジョーが物語の核心に関わるのが10話と非常に早いなど過去作の不満を解消してくれる展開のスピードは評価点なのですが、一方で水文明の問題やキラとの友情、そしてラスボスであるゼーロとの決着などやるべき展開が多くてとっちらかってしまった印象があります。そのうえ販促を絡めたギャグ回も忘れずにやっていたので、解決すべき問題があっちに行ったりこっちに行ったりとゴチャゴチャしてしまったように感じる点が非常に残念です。またゼーロの回想シーンに登場したプラネッタや伊集院研究所のハカセたちなど、明らかに描写不足のキャラクターが多かったのも残念に思いました。特に伊集院ハカセたちはガイアハザード以上に持て余していた感じが否めません。

 また最近のデュエマアニメシリーズの名物であるドローバンク(スペシャルドロー)をはじめとしたバンクシーンに長く冗長と感じるものが多かったのも問題です。スピード自体ももっさりしたものが多く、デュエルシーンのテンポを阻害しているように感じる場面が多々あったのはかなりもったいないです。それと冒頭のあらすじのシーンがいちいち長いのも尺稼ぎのように感じてしまいました。それ以外の演出やCGに関しては文句がない分、非常に惜しいところです。

 

 

 総評としては「気になるところは多いものの、いつものジョーたちでした!」ですかね。不満に感じたものもあれど面白いと感じたエピソードも多く、3年間の総決算としての役割はキチンと果たせたかと思います。

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

切札ジョー

 我らが主人公。前述の通り本作がこれまでの締めくくりとしての面があった故か、彼の成長物語にもいったんの区切りがつきました。好奇心旺盛で想像力豊かな、どこにでもいる普通の小学生で最初は転んでばかりだったジョーが七転び八起きを繰り返し、最終的にはここぞという場面では立ち続けられるまでに成長したことに感動を覚えます。それでいて誰かのために戦える優しさは最初から最後まで変わらなかったのも素晴らしいです。

 本作ではキラを一度失い、さらにはジョニーやジョラゴンと別れるという辛い場面が多かったものの、それを乗り越えるだけの強さを手に入れられた点も含め、主人公に相応しい存在になったかと思います。

 

 

デッキー

 ジョーの相棒の1人。ジョーカーズを生み出す頼もしい存在なのは相変わらずでしたが、一方で本作ではスマホンに徹底して無視されるわ(最後の最後にスマホンがデレたっぽいけど)知らないうちにジョーに勝手にジョーカーズを作らせられるわ可哀想な場面が気になりました。もうちょっと労ってやってもよかったかなと思います。

 

 

ジョニー&ジョラゴン

 ジョーの永遠の切り札たち。本作はジョニーに関してはあまり語るところがなかったのですが、ジョラゴンの成長には目を見張るものがありました。生まれた当初はわがままで手の付けられなかった暴れ龍がジョーのために強くなろうと決意するシーンは個人的に必見の名場面だったと思います。しかし一方でジョニーとジョラゴンがジョーのもとを離れるまでのやり取りを1話に収めてしまったのは不満に感じました。せめてもう1話使ってじっくり描いてほしかったところです。

 

 

キラ(輝ヒカル)

 ジョーの大親友にして光文明のデュエルマスター候補。前々作から描かれてきた正義に対する苦悩の日々から当初は脱出することが出来ず、本作の中盤では1人で全てを解決しようとするなどむしろ悪化していましたが、最終的に自分の正義を貫けるようになったのは非常に嬉しかったですね。ジョーと同じようにこれまでの成長に区切りがついて本当に良かったと思います。あとボルツやキャップなど、ジョー以外の交友関係を築けてきたのもエモかったですね。

 

 

火の玉ボルツ

 火文明のデュエルマスター候補。割と初期からそのキャラクターが完成していたため本作であまり目立った活躍はありませんでしたが、他の作品なら主人公をはれそうな漢っぷりは相変わらず。要所要所でジョーや仲間たちをフォローしたり主役回での揺るがぬメンタルの強さを見せつけたりと、名脇役としてある意味最も安定した活躍を見せてくれました。

 

 

キャップ

 水文明のデュエルマスター候補。水文明のキーパーソンとも言える人物で造られた存在故か当初はどこか倫理観の欠けた言動や行動が見られたものの、ジョーとの交流を経て仲間との協力や兄と向き合うことを覚えたのは良かったです。兄との別れを経た後にいつも通りの笑顔でジョーのもとに向かうシーンはかなり切なくて、キャップの明るさの内に秘められた精神性を垣間見ることが出来ましたね。(今考えると彼の言う「ブラザー」がすっごく重く感じる・・・・・・)

 

 

ギャップ

 もう1人の水文明のデュエルマスター候補。ゼーロに取り入って水文明のデータ化を図るなどかなり過激なキャラだと当初思いましたが、その裏に秘められたマザーへの想いや弟への態度など、決して冷徹なだけのキャラクターではないと最後にわかりました。彼なりに水文明やキャップのことを考えて行動していただけに兄弟がすれ違うのは悲しかったのですが、最後に兄としての役割を果たせてよかったと思います。

 

 

ゼーロ

 闇のデュエルマスター。1年目の終盤に突如登場し、赤ん坊のような態度から少しずつ成長して闇王に相応しい風格を手に入れた辺り、彼もまたこの3年で成長してきたキャラクターなのだと思います。子どものように無邪気でどこまでも自分本位だったものの、最終的にゼーロを庇って力尽きるという最期にもどこか儚さを感じます。

 一方でプラネッタとの過去などもっとしっかりやっておくべきだった描写がおざなりだったのはいただけませんでした。キラの父との戦いも含めて1話かけてしっかりやってほしかったところでしたね。

 

 

 ここまで色々書きましたが、何だかんだでこの1年も楽しんで見ることが出来ました。ここまで3年間見てきて本当に良かったと思います。

 そして来週から新シリーズとして『デュエル・マスターズキング』がスタート!(ようやくタイトルに『!』以外の名詞が付いて嬉しい・・・・・・)キャラクターデザインが大幅に変更され、ジョーたちのデザインにかなり違和感を覚えますが、新キャラや新展開などワクワクさせる要素も多いので、期待して待ちたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。