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ゴジラ S.P<シンギュラ・ポイント> 第9話「たおれゆくひとの」感想

破局の狼煙が上がる

李博士・・・・・・猫派だったばっかりに・・・・・・(そういう問題ではない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 地獄の雲が巻き上がる

 全身に炭素を纏ったゴジラを迎撃開始した自衛隊。ここ最近は自衛隊による怪獣への攻撃が加速しており見ている分にも楽しいのですが、一方で明らかに危ないゴジラは放っておくべきではないかと思わなくもなかったり。

 案の定体を覆う炭素から解き放たれたゴジラは「ゴジラ・テレストリス」へと姿を変えていました。若干四足歩行だったアンフィビアから一転、後ろの二足だけで歩行する怪獣らしいスタイルになっていて興奮します。大きく裂けた口はガマガエルを彷彿とさせますが(またウルトラマン作品から取り上げるならガマクジラ、スキューラ辺りに似ていると個人的に思いますね)、よりゴジラらしい風貌に近づいていると言えます。何より多くの人が知るBGMと鳴き声もあってこれはゴジラだわ・・・・・・と認識出来るのも良いですね。

 このテレストリスについて注目したいのが劇中でも言及された「リアクティブアーマー」の存在ですね。空からの爆撃に対し、赤い触手のようなものを出現させ、破裂させることで衝撃を受け止めるシーンには驚かされました。松原一佐とアンギラスの未来予測による跳弾を例にあげていましたが、これはそれとは比較にならない能力だと感じられます。というかこの赤い触手は紅塵を変化させているのは明らかです。ゴジラはシヴァの科学者たちでも困難を極めている「紅塵の形態変化」を自在にこなしていると思うと、他の怪獣とは比べ物にならないくらいの脅威であることがわかりますね。

 そして極めつけは熱線を放とうとしているシーン。残念ながら発射の瞬間は描かれなかったのですが、口から光の輪っかを出現させて何かを撃ちだそうとしている様子*1だけでもう熱線とわかるのが素晴らしいですね。前回の熱戦が煙染みていたのに対し、こちらはレーザー光線みたいになっているのではないかと想像が捗ります。

 またその熱線によって出来上がったであろうキノコ雲も興味深いです。小さい下部が上まで渦を巻く様に行くにつれ、大きく広がる独楽のような形状はダンテの「神曲」に登場する「地獄の図*2そのもの。これはゴジラ自身が地獄、もとい破局を生み出す存在であることを示しているのでしょうか。あまりにも美しく、そして絶望的な絵面に興奮が止まりません。

 

 

 怪獣たちの脅威が描かれている中、銘は前回掴んだ葦原の研究から「宇宙が破局する」という答えにまで辿り着いていました。超計算機も破局を回避するために作られたものであることまで掴んでいる辺りが流石ですね。個人的にはノートに「バガヴァット・ギーター」の詩が書かれていた点に注目したいです。軽く調べてみたところバガヴァット・ギーターはヒンドゥー教聖典の1つ*3であるのですが、1話からずっと謎の1つとして提示されている「インド民謡」と何かしらの関係があるのではないかとつい考えてしまいます。

 そんな重要そうな情報でもシヴァの大人たちは超計算機で紅塵を一掃することを優先する状況で何とも言えない気持ちにさせられました。目の前の破局の重大性を銘以外いまいち理解していないのでこれだから大人って奴は・・・・・・と何様な感想を抱いてしまいますね。中でも破局より手前で何ともループさせればいい」なんてことを言い出すBBに恐怖を覚えます。

 やはり唯一銘の話を聞いてくれる李博士が数少ない癒し・・・・・・などと思っていたら博士がラドンの大群に襲われるシーンのせいで開いた口が塞がりませんでした。しかも女の子の大切な猫を助けようとしてラドンの毒牙にかかってしまうというのだから驚きです。見ず知らずの子どもにまで優しい、最後までいい人としていてくれた博士には涙を禁じ得ません。銘も数少ない理解者を失った今どうなるのか心配でなりません。シヴァの連中の誰かと行動を共にするとしても恐らくは上記の怖い発言をしたBBと一緒になる可能性が高いですし・・・・・・・・・・・・助けてユン!

 

 

  • 炎上工場大立ち回り

 そして前回、クモンガからヘドラが出てくるという衝撃の絵面を見せてきたユンたちのパートですが、こちらは引き続きクモンガの大群との戦いが繰り広げられていました。ヘドラの出現に度肝を抜かされた身としてはヘドラについて全く描かれなかったことは明確に不満を覚えたのですが、その分クモンガが数を駆使した脅威をこれでもかと見せつけてくれたのでまぁ満足です。しかも羽根の生えた「ハネンガ」に前肢が巨大な鎌と化している「カマンガ」といった同種のバリエーション(カマキラスかと思っていたらクモンガの仲間だったのでびっくり)まで出てきたので見ていて楽しかったですね。何より安直なネーミングセンスに心くすぐられている自分がいます。

 そんなクモンガの軍勢相手に立ち向かうジェット・ジャガーの何とカッコいいことか。ラドンの幼体1体にも苦戦していたあの頃と比べると不自然なくらい成長していますが、これもユングが搭載されているが故の性能差でしょうか。縦横無尽に飛び回りながらクモンガを撃退していく様子はCGの動きと美麗さも相まってかなり見応えがありました。釘宮ボイスもメッチャ可愛い(←ここ重要)ですし、ジェットジャガー以外にもハベルら生身の人間たちの頑張りも描かれていて好感が持てます。(クモンガの犠牲になった人たちの遺体に南無するおやっさんが今回のここすきポイント)

 しかしクモンガにすら苦戦してしまう現状では、東京に来たところでゴジラに立ち向かえるのかどうか疑問に思ってしまいますね。ジェットジャガーもボロボロになってしまいましたし、ここらで更なる改修を期待したいところです。

 

 

 今回のゴジラSPは本格的に姿を現したゴジラをはじめとして、相変わらずの凄まじい情報量に圧倒されました。雲が巻きあがるラストで日常は完全に崩れ去ったことを意識させられ、ここから絶望のシーンの連続が始まるであろうと予感させられます。

 そして今回は前述でも触れたとおり、李博士をはじめとした人的被害が本格的に描写されたのが最大の特徴でした。これまで明確な死者が描かれなかった分、クモンガによって干からびたミイラにされた人などの絵面にはショックを受けましたね。ここからドンドン死亡していく人が出ていくのではないかと思うとドキドキしてしまいます。どうなる次回。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:個人的にはアニメ映画『GODZZILA』シリーズを彷彿とさせる。

*2:ちなみにこの絵はルネサンス期のイタリア画家「サンドロ・ボッティチェッリ」が描いたものである。

*3:インドの一大叙事詩マハーバーラタ」に収録されているとのこと。