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仮面ライダーセイバー 第47話(最終話)「終わる世界、生まれる物語。」感想

人はいつも

物語を産み出すのさ

過酷な未来も、運命さえも超えて、“想い”という名の物語は紡がれていく────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 運命を超える新たな物語

 ついにやってきたセイバー最終回。前回のラストで謎の穴に飛羽真が落とされたかと思ったら、プリミティブドラゴンが助けてくれるという胸熱展開に早くも興奮させられました。ユーリが自身のみを引き換えに賢人たちを治したり、芽依も文章を書き進めていくなど、追い詰められながらもみんな必死に前に進んでいる様子は見ていて応援したくなります。

 そして合流してきたルナと飛羽真の約束のシーンには見入りました。幼い頃より多くの物語を語ってくれた飛羽真だからこそ紡げる物語をルナが導くという展開は中々に秀逸です。そうして生まれたライドブックこそ新しい物語であるため、全知全能の書の予言から外れた存在として未来に縛られないとも解釈出来るのがグッド。どこまでも物語の可能性を追求する内容は見ていて気持ちが良いですね。

 さらに最終決戦で飛羽真がストリウスに語りかけるシーンも良かったですね。自分の作った詩に絶望していた相手に対し、そもそも何故詩を紡いできたのかと創作者としての問いを投げかける様子は予想通りながら嬉しかったです。前回の感想で「ストリウスが書き手(自分)のことで絶望しているのに対し、飛羽真は読み手(他者)を想っている」といったことを書きましたが、彼の「見聞きする誰かのために創作する」ことの重要性をストリウスもようやく思い出してくれたことに感動を覚えます。ここまで暗躍ばかり続け、終盤になって一気に同情されるようになってきたストリウスがようやく報われて安心しましたね。

 

 

  • 無限の可能性を紡ぎ語る剣豪にして文豪

 

ワンダーオールマイティ!

 

「子どもたちの未来!」

「聖剣の声!」

「強さの果て!」

「大切な誓い!」

「大切な友!」

「大切な約束!」

「全ての想いを紡ぎ・・・・・・」

永遠

 

烈火全抜刀!

 

A NEW STORY IS BORN!!

 

ワンダー! 

ワンダー!!

 ワンダー!!!

 

オ・オ・オ!

 

オー!!

 

 ルナが6本の聖剣と共に創り出した全く新しい全知全能の書ワンダーオールマイテ」ワンダーライドブックを使って変身したセイバーの最終形態「仮面ライダーオールマイティセイバー」。満を持して登場した最終回限定フォームです。昨年の『ゼロワン』最終回で登場した「リアライジングホッパー」と同じく、ベルト以外基本フォームと同じデザインになっているのが特徴的(フォーム名が作品の主題歌を意識している点も同様)で、別ライダー扱いのクロスセイバーに対してこちらは“仮面ライダーセイバーとしての最強フォーム”と言えるでしょう。令和のライダーは今後もそういった方向性で行くのかちょっと気になるところです。

 能力は全ての聖剣の力を使えるクロスセイバーとは対照的にライドブックの力を引き出して戦うという物語寄りの能力。クロスセイバーが「剣豪」ならば、オールマイティセイバーは「文豪」と言ったところでしょうか。さらに驚くべきことにこちらは仲間たちも同じ能力が使えるという他にはない特徴を持っており、仲間と共に戦うほど力を発揮する可能性を秘めています。これは恐らく「物語は読み手・聞き手に伝わることで無限の可能性を発揮する」という飛羽真の考えが反映されたものだと思われます。劇中では様々なライドブックの能力を次々と引き出していく様子が見ていてワクワクしました。(中でも賢人がジャオウドラゴンを使用するシーンが個人的にここすきポイント)物語の可能性を信じて進み続けてきた飛羽真の最終形態に相応しいフォームとして、中々に感動させられましたね。

 

 

  • みんなの“想い”が世界を変える

 ストリウスを倒しても世界の崩壊が止まらず、人も世界も空白が埋まっていくかのように消えていく展開に少々びっくり。特に飛羽真が世界ごと消える瞬間のシーンは中々に怖かったです。

 がその後の「子どもたちをはじめとした人々が「心に残る本の思い出」を語るシーン」に感動させられました。以前「“本”や“物語”についてのエピソード動画」を募集する企画が番組などで告知されていました*1が、それをこうした形で使ってきたことに少々驚かされます。真っ暗な虚無の世界が人々の思い出を得て光を取り戻していく構図はまさに「読者たちがそれぞれ新しい世界を創造していく」様子そのもので、飛羽真の考えが世界を救う形で実現したものとも考えられます。視聴者の募集を見事に使った演出にちょっと泣けてきますね。

 その後飛羽真が世界からいなくなった後も新しいワンダーワールドが作られ、最終的にいなくなった人々共々戻ってくる展開には唐突感がありましたが、これまた人々が紡いだ物語のおかげで救われた展開になっているので何だかんだで心地いいですね。劇中でレジエルたちが「俺たちこそが世界を救うカギだった」という言葉も、「大切なのは物語の“想い”を語り紡いでいく人々自身である」という本作のメッセージとも受け取れます。これまで未来や運命に翻弄されてきたからこそ、それらの過酷な世界に負けない“想い”の強さこそがこの作品を通して伝えられたテーマなのだと思いましたね。最後の最後に見事に感動させられました。

 

 

 というわけでセイバー最終回でした。前回までの詰め込み具合にどうなることかと不安半分でしたが、上手いこと大団円を迎えたことにホッとしました。登場人物もほぼ全員生存し、倒されてきた敵キャラすらも救ってくれる最後に喜びを覚えます。終わり良ければ全て良し!という気概は正直言って大好物です。

 また色々ありましたが、見終わってからは満足感と共に何だか名残惜しい気分にもなりました。そこから僕自身この作品とその世界に生きる飛羽真たちのことが大好きになったのだと確信しましたね。この1年も何だかんだでとても楽しめたと言えます。

 

 そして次回は特別編。本編最終回の後を描くようですが、果たして飛羽真たちに何がまっているのでしょうか。中でも芽依に何かを伝えようとしている倫太郎が気になって仕方ありません。来月から始まる新ライダーの先行登場もあってまだまだ楽しませてくれそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:公式ホームページの「ニュース」ページ参照 https://www.tv-asahi.co.jp/saber/news/0029/