2人の関係が黒く染められる
見ていて楽しそうなコンビが多いこと多いこと
- 誰かと組む者たち
ヒロミの退場の悲しみを癒しきれぬ中始まった今回のリバイスは、全体的に「コンビ」がキーワードになっていると思わせる内容でした。デッドマンズの襲撃からお笑い芸人「空気階段」を守るために行動していた一輝とバイスを筆頭に、様々な組み合わせのコンビが描かれていたのが面白かったです。
主人公コンビは後述で触れるとして、他に目についたのはやはりお笑いコンビたちですね。実在する空気階段以外にも、かしわもちやパブロフの犬(こちらの2組は架空のコンビなので注意)といった様々なコンビが出てきましたが、それぞれが2人で1つのキャラクターとして登場していたのが印象深いです。お笑いのコンビとはいえ、完成されている関係というものを感じさせてくれます。一方で他のグループとの仲が微妙なのが特徴的。空気階段への挨拶を誰がするか押し付け合うシーンなどは妙な生々しさがありました。
他にも興味深かったのが相方を変えていくアギレラ。慕ってくれていたフリオを切り捨て(これは彼を巻き込ませないためにあえて突き放したようにも見えますね)、オルテカと手を組もうとするシーンには驚かされました。あれほどまでにオルテカに対して怒りを露わにしていたアギレラが、こうして彼の力を欲しているのは少々意外です。最早手段は選んでられない、とでも言いたげな、彼女の決意が見れ隠れしているようでした。ちなみに捨てられた子犬と化したフリオはさくらを実質的なコンビになっている模様。
仲の良いコンビが出てきたかと思えば、相手を利用せんとする欺瞞のコンビも表れ始める始末。それぞれの思惑が入り乱れながら、それでも誰かと組もうとする人々の様子が見られたかと思います。
- ぶち壊して イケるのは You're the only TWO
ネオバッタ!
Come on!ネ!ネ!ネオバッタ!
Come on!ネ!ネ!ネオバッタ!
バディアップ!
飛躍を誓った!
希望となった!
ネオバッタ!!
リバイスじゃ~ないと!!
50年後の狩崎が作ったものを現代の狩崎が再現した「ネオバッタ」バイスタンプを押印して変身したリバイスの派生形態「ネオバッタゲノム」。昆虫のバッタと『仮面ライダーゼロワン』をモチーフとしたフォームであり、今冬公開された『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』で登場した劇場版限定フォームです。余談ですが変身音の最後のボイスを「お前を止められるのはただ1人~」ではなく「アルトじゃ~ないと」にしたチョイスがじわじわきますね。
何気にスタンプのモチーフ生物が元ネタのライダーのモチーフと一致している珍しい例で、それに合わせてか見た目の方も本作の派生フォームの中でも一際元ネタのライダーに似た姿になっているのが特徴的。リバイの方はスマートなボディが、バイスの方は蛍光イエローの配色がゼロワンと似通っているのが興味深いです。
戦闘ではバッタの跳躍力とスピードを駆使したスピーディーな戦闘を繰り広げていました。さらに面白かったのが動きに合わせて発生する光のラインを思わせるエフェクトで、これまた元ネタのゼロワンを大きく意識しているのがわかります。必殺技を繰り出した瞬間のカットインも相まって、ゼロワンファン垂涎の演出になっていましたね。
また今回は登場しませんでしたが、映画で活躍した際に見せた「リバイスネオバッタ」のリミックス変身もあります。巨大なバッタとしての姿だけでなく、メタルクラスタホッパーを彷彿とさせる小型バッタの大群に分裂するなど、他のリミックス形態よりも明らかに強力だったのが印象深かったです。全体的に元ネタの再現度が高くなっている、ファンサービス要素の強いフォームだったと思います。
- 信頼と絆を塗りつぶす黒き悪魔
Rollng!バイ!バイ!バイ!バイス!
バイスアップ!
ガッツリ!
ノットリ!
クロヌリ!
バイス!
バイス!
バイス!!
狩崎の使いを名乗るフェニックス隊員(?)が届けてくれた「ローリングバイスタンプ」を押印して変身したライダー「仮面ライダージャックリバイス」。まさかのリバイとバイスが合体した強化形態ですが(2人の合体は最強フォームまで取っておくと思っていたので驚きです)、本来なら熱いはずのシチュエーションが不穏な要素によって大きく覆されてしまっています。
その姿たるや一言で言い表すならば「バイスに浸食されたリバイ」といったところ。ベースとなっているリバイのボディの内、左半身がバイスを思わせる刺々しいエフェクトに変化している真っ黒なデザインが特徴的。それも仮面ライダーとしてではなく、悪魔としてのバイスの側面が強いのが少々興味深い点です。
変身シーンもこれまた不穏。奇しくもOPのワンシーンを彷彿とさせる鏡合わせに立つ2人の構図が映し出され、リバイが黒い何かに呑みこまれて変身するシークエンスとなっています。どこか「ヴェノム」*1を思わせる浸食具合が凄まじいですね。
肉体の主導権は完全にバイスが握っているということもあり、戦闘ではバイスらしいルロレススタイルが展開されていました。しかも従来のバイスよりも荒々しくなっており、ただ殴る蹴るだけでデッドマンを次々とブっ飛ばしていくパワーに驚かされます。さらにローリングバイスタンプをメリケンサックのように装着して殴る使い方も、バイスの大暴れっぷりをより高めていましたね。総じて悪魔というよりも獣のような、バイスの激しさを表しているフォームであると言えます。
- 崩れゆくコンビ
さて肝心の一輝&バイスですが、こちらは順調だった中で突然の横槍を入れられたような展開に陥っていました。お笑いコンビになってテレビ局に潜入する作戦然り、デッドマンをけしかけてきた犯人について一緒に考察する様子然り、以心伝心の関係が築かれつつある様子が微笑ましかったです。それだけに、狩崎が作ったと渡されたローリングバイスタンプによって関係の瓦解が始まったかのような後半に衝撃を受けました。
最もバイスのキャラクターを考えるとある意味納得してしまう内容でもあります。おちゃらけているようで油断ならない性格だったバイスが、一輝の支配下から逃れれば自分の恐ろしい行動に出るかもしれない可能性は前々から感じていました。ギフの影響で苦しみ出す点や一輝を慕っている気持ちは本物でしょうが、それはそれこれはこれの精神で暴れてもおかしくないのがバイスの恐ろしいところです。現時点ではどうなるかまだわかりませんが、「一見完璧なようでいて、その実歪んでいるコンビ」として彼らの関係が描かれていきそうですね。
あとはやはり一輝にローリングバイスタンプを渡してきたあの男は何者なのかが気になるところです。「狩崎が開発した」と語りながら当の本人は全く身に覚えのないスタンプに憤慨していたので、彼以外の何者かが開発したのは明らかです。(思えば今回の冒頭に狩崎本人がネオバッタを渡したすぐ後、別のスタンプが代理人によって届けられるのも不自然でしたね)
そしてこのスタンプを開発したのは一体何者なのか。個人的にはウィークエンド辺りが怪しいと睨んでいますが、一輝にスタンプを使わせた意図についてはまだ読み取れません。一輝たちの関係を崩しにかかっている何者かの存在にも要注目ですね。
さて一輝と入れ替わるように実体化したバイスが何をしでかすのか、そのことにドキドキしながら次回予告を見たところ、ボウリングやら太鼓の達人やらを満喫するバイスに唖然。上述のようなシリアスなことになるとばかり思っていたので内心ズッコケてしまいました。とはいえ一輝が普段のバイスのように実体を無くしている状況は十分危険なので、やっぱり心配になってきますね。
また今回の事件の犯人は誰なのか。デッドマンが2体同時に出現した辺り2人組の可能性が高いですが、個人的には空気階段が自分の出番を減らすために自作自演を行っているのではないかと予想しています。(1人ですがマネージャーの「富永真由(とみなが・まゆ)」も怪しいですね)というか本人出演と銘打っておきながら肝心の空気階段の出番が少なく、印象が薄いと感じていたので、彼らには次回派手に暴れてほしいところです。
ではまた、次の機会に。