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ウルトラマントリガー エピソードZ 感想

光はいつも共にある

絆は揺るがない 僕らは1人じゃない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今年の1月にテレビシリーズが放送終了した『ウルトラマントリガー』。その劇場版及び完結編として製作された『エピソードZ』が先月から公開されました。本作は通常の映画とは異なり、配信サイトである「TSUBURAYA IMAGINATION」での配信をメインとしていますが、劇場公開もされているのでツブイマに加入していない身でも安心して観に行けました。

 そうして劇場に足を運んだわけですが、思った以上にキチンとした完結編が見られて感動しました。ケンゴが人間として生まれた理由や過去の秘密、そして光の在り方についてなど、様々な要素を本作で綺麗に回収してくれました。そんなトリガー最後の物語について、今回は書かせていただきます。

 

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • バラエティ豊かな怪獣バトル

 本作はまず様々な要素のてんこ盛りが特徴でした。本編最終話でエタニティコアと一体化したケンゴの救出から始まり、ハイパーキーの回収作業やトキオカ新隊長(ザビル)の裏切り、そこからの激闘と、数々の展開が次から次へとやってくる内容で息つく暇もありませんでした。この詰め込みぶりはある意味でトリガー本編を彷彿とさせます。

 特に戦闘シーンの豊富さは見事でしたね。怪獣もデスドラゴをはじめとして約5体も登場し、それぞれがかなり印象的。中でも面白かったのがゲネガーグパゴスのコンビで、トリガー&ゼット相手にプロレスリング風のバトルを魅せてくれて楽しかったです。(昔ながらのフォントでリングネームを表記する演出も良き)中盤ながらバラエティ豊かなシーンが多かったおかげで、飽きずに見続けられましたね。

 また何と言っても中盤から物語に関わってきたセレブロの存在感も特徴の1つ。劇中の多くの人物、特にハルキに寄生してゼットを暴走させるなど、『Z』本編以上に大暴れしていました。デストルドスまで出してきましたし、本作の影の盛り上げ役としては最高の一言です。

 そんなセレブロの頑張りもあり、ザビルが変身したイーヴィルトリガーとの最終決戦は特にテンションを最高潮にして見ることが出来ました。グリッタートリガーが登場してからのスピード感は凄まじかったです。時間が押していたからか主題歌がサビに入る前に決着してしまったなど惜しいポイントもありましたが、概ね満足のいく内容になっていましたね。約90分という短い時間ながら、ちゃんとまとめ上げていたのもあって最後まで楽しく見られる、アトラクションのような映画だったと思います。

 

 

  • “絆”という名の光

 そして本作はケンゴの出生の秘密や光の意味など、テレビシリーズ本編で提示された伏線を回収しきった点は素晴らしかったです。本編で明かしきれなかった内容も保管されており、かなり具体的な答えに迫っていましたね。

 何と言っても本作における光の解釈が興味深かったです。「どんなに光が強くても、誰かと一緒ではないと輝けない」という答えは、本編で仲間に助けられてきたケンゴだからこそ導き出せたものだと言えます。本編の「光も闇も受け入れる」からさらに発展した、「仲間と共に在ることで意味を成す光」というものにはちょっと感動を覚えますね。それ故にトリガーは「ウルトラマンに変身出来るただの人間」としてケンゴを生みだした件も、本編で未来から来たケンゴに救われたトリガーダークのことを思うと納得のいく話です。

 同時にザビルの「人の力だけで光になろうとした」行為と対になっているのも面白い点ですね。同じように地球を守ろうとしている中、自分だけで光になろうとするザビルでは決して輝き切れなかったのは哀れながら当然の結末と言えます。同時にウルトラマンが昔から抱えているテーマ「人間の手で地球を守らなければならない」に踏み込んでいるところもあり、多くの作品が示した「人間とウルトラマンが肩を並べて戦う」をザビルに見せるラストも良く出来ていました。

 言うなれば“光と闇”、そして“絆”を描くことでトリガーは先輩ウルトラマンと同じ答えを出してくれたのだとも考えられます。そういった意味でも、本作はトリガーの完結編に相応しいものでしたね。

 

 

では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

マナカ・ケンゴ/ウルトラマントリガー

 本作の主人公。序盤であっさりと復活した時は驚きましたが、その後自分の在り方について悩むシーンが挿入されたことですぐに納得しました。一時トリガーに変身出来なくなったことにより、自分が仲間たちと共にいる意味について考える様子は印象的。ウルトラマンに変身出来ることが彼のアイデンティティだっただけに、この辺りの苦悩は結構刺さりましたね。

 それ故に終盤アキトたちに助けられて立ち上がるシーンは最高でした。ウルトラマンであり人間」として戦うことを決意する姿はここまでの盛り上がりもあって非常にカッコよかったです。多くの人たちに支えられてウルトラマンになったという、彼なりのアイデンティティを示せて本当に良かったと思います。

 

 

シズマ・ユナ&ヒジリ・アキト

 ケンゴにとって最高の相棒の2人。男らしいユナとどこかヒロイン要素のあるアキトの対比が今回も見られました。(お化け屋敷で気にせずずんずん進むユナと絶叫するアキトには内心笑い転げましたね)中でもアキトのケンゴのことを想う場面は本編以上に見られて終始ニヤニヤさせてくれましたね。

 そしてそれぞれが大切な人たちのために寄り添ってくれていたのが素晴らしかったです。終盤の決戦で戦うアキトたちが特に印象的で、トリガーではなく、ケンゴとして彼を助けようとしてくれたからこそ、ケンゴは上述の答えに至ったのだと思います。ユナも同じようにザビルを説得し、彼が最後に救われるきっかけをくれたのが良かったですね。

 

 

イグニス/トリガーダーク

 ゴクジョーなトレジャーハンター。本編に引き続き、またもや助っ人として大活躍してくれました。(アキトたちと再会してすぐさま状況を理解してくれるのが素敵)通りすがりと言いながら、ガッツリと人助けをしてくれる辺り本当にいい人です。

 戦闘に関しては目立った活躍はなかったのですが、何だかんだで「いてくれて助かった」と思えるくらいには存在感がありましたね。これは本編で築き上げてきたイグニスのキャラクターあってこそ、だろうと思います。

 

 

ナツカワ・ハルキ&ウルトラマンゼット

 『Z』からのゲスト参戦。毎回恒例の前作主人公枠ですが、彼らにとっては初の劇場版での出番ということもあって中盤から登場しまくっていましたね。ベリアロクの気まぐれ含め、この2人は何とも安定感があります。

 本編での活躍自体はセレブロによって暴走させられていたこともあり控えめ。とはいえケンゴの説得&ハルキ自身の押忍!でセレブロの支配を脱するシーンは素直にカッコいいと思えました。気合でどうにかするのが実にハルキらしくてニヤリときましたね。

 

 

トキオカ・リュウイチ(ザビル)/イーヴィルトリガー

 本作の黒幕兼ラスボス。予告の時点で怪しいと思っていましたが、本編の始まりにも深く関わっている全ての黒幕というさらに一歩いった正体を見せてきた驚きました。(一方予告で裏切ったかのような描写がされていたタツミ隊長は普通に良い人でした。疑ってごめんね隊長)新隊長を演じていた時と本性を表していた時とで別人のように見えるなど、豹変ぶりも凄まじかったです。

 一方で歪んでしまった過去の出来事があまりにも哀れなキャラでもありました。ここまでの所業も全ては「ユザレを守れなかったから」という後悔の念からきており、彼もまた光と闇の存在に振り回された存在と言えます。

 だからこそケンゴたちに光の在り方を教えてもらった最期が印象に残りましたし、本作はサビルを救うための物語だったとも解釈出来ます。本作のタイトルである「エピソードZ」のZとは「ザビル」のことを指しているのかもしれませんね。

 

 

 というわけでエピソードZの感想でした。映画を見たのは大分前だったのですが、色々立て込んでいて中々書けずじまいのまま時間が過ぎてしまいました。しかしこうして書き上げることが出来て一安心しています。

 大分続いたウルトラマントリガーの物語もこれで終わり。そう思うと寂しいですが、キチンと完結したことにまずは拍手を送りたいと思います。

 そして今年の7月からは最新作『ウルトラマンデッカー』がありもこちらも気になるところ。以前も書きましたが、トリガーの地続きの世界観でどのような物語を展開してくれるのか非常に楽しみです。ケンゴたちの出演にも期待しておきたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。