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気まぐれ漫画簡易感想 その9

 

 

 久しぶりの漫画感想。今回は『仮面ライダー913』を久々に取り上げていく予定です。913はつい最近打ち切りになってしまったことが記憶に新しく、僕も最初聞いたときはショックを受けました。しばらくして単行本を最後まで読みましたが、色々と複雑な感情が沸き上がってきましたね。

 しかしここでネガティブな感想を書くのは当ブログの方針に反する!ということで、本作を純粋に楽しんだこともしっかり書きながら僕の913への想いを伝えていく所存です。このブログを読んでいる皆様に、その想いが少しでも伝われば幸いです。

 (また今回は本屋で目について買った謎の漫画も取り上げています。良ければそちらの感想もどうぞ)

 

 

 

 

 というわけで以下、漫画の簡易感想です。

 

 

 

 

仮面ライダー913 第3~5巻(完)

 

 

 『仮面ライダー555』の外伝作品にして、草加雅人を主役と据えた特殊な漫画も5巻で完結。実質的な打ち切りで、問題をほとんど解決しないまま終わってしまいました。強敵集団「ラッキークローバー」の一員や最後のデルタのベルトの持ち主など濃い面々が次々と登場し、盛り上がってきたところで終わってしまったのは非常に残念です。

 とはいえここまで楽しく読んできたので残念の一言で終わらせるのはあまりにも悲しいです。なので作品への感謝も兼ねて、最後の5巻までの感想をまとめて書いていきたいと思います。

 

 さてまず3巻は花形前社長の偽物の登場にその正体を引き出した巧の焼きそばなどネタ要素が強めでしたが、その後の流星塾メンバーと草加の戦いが最大の見どころでした。オルフェノクになったことで狂暴になり、仲間さえも平気で傷つけるようになった彼らの変貌ぶりにゾッとさせられます。(心の弱い人間はオルフェノクになってしまうとその力に魅了されてしまう設定とかあるのでしょうかね)

 そんなかつての仲間たちに対し、彼らへの友情を感じながら戦う草加が非常にカッコよかったです。友の優しさやひたむきな姿を知っているからこそ、今の人間でなくなった彼らに引導を渡すという、草加ならではの友情の形が心に響きます。全員倒した後の「俺がお前たちの墓標だ」というセリフは死ぬと灰になって死体が残らないオルフェノクへの鎮魂、何より仲間たちの死を背負う草加の覚悟が感じ取れましたね。

 続けて4巻ではラッキークローバーのメンバー「響銃吾(ひびき・じゅうご)」が大暴れ。カイザ1人はおろかファイズとの2人がかりを前にしてもビクともしない「ピーコックオルフェノク」の圧倒的な強さが目に焼き付きました。やたらとスマートブレインに従う「運命」を重視する銃吾のキャラクターと相まって、1巻丸ごと銃吾無双を見せつけられた気分です。

 何より銃吾がオルフェノクになった経緯が強烈の一言。飛行機事故で生き残ったものの飢えに苦しんでいたまではまだ普通でしたが、親戚家族に生きたまま体を切り刻まれて食料にされる回想シーンにはドン引きしてしまいました。そしてその時味わった死の淵の絶望こそが、銃吾の退廃的な思考を生み出したのだと納得しましたね。このキャラの濃さはラッキークローバーのメンバーに相応しいとも思えます。

 ラスト5巻はさらに濃い「野々村桔梗(ののむら・ききょう)」が登場。やり手の弁護士ながら依頼人が有罪ならば無罪にしたうえで、自分の手で処刑するとんでもないキャラクターにまず唖然となります。「仮面ライダーデルタ」の変身者であり、右腕をオルフェノクのような形に変化させられ(本人曰く「私はオルフェノクではない」とのことですが)、流星塾とはまた別の明星塾出身。そしてあの花形の実の娘と属性がモリモリすぎて胃もたれを起こしそうになります。

 とはいえ例えが独特なところや妙な強キャラ感は読んでいて何とも癖になります。上述の銃吾相手に何とか喰いついていけることからも実際強いのでしょう。(実際本作屈指のキーパーソンになる予定だったのか可能性があります)彼女についてとても惹かれる要素が多かっただけに、ここで本作が終わってしまったことは何度も言うようですが残念でなりません。

 しかし5巻の巻末に掲載された特別編漫画はちょっと嬉しかったです。作中のキャラが5巻発売記念のパーティーに参加するというメタネタを繰り広げてくれていたので、読んでいて悲しみをいくらか紛らわすことが出来ました。極めつけに村上幸平さん*1井上敏樹*2が本人役で出てくるので笑うしかなかったとも言えます。(敏樹氏が草加を「我が子」と呼ぶのが地味にここすきポイント)何より最後の最後、草加たちに「いつかの復活」を宣言するシーンがあったおかげで希望が持てました。いつかまた、本作の続きを何らかの形で読んでみたいですね。

 

 

暁のヨナ 第35巻

 

 

 前巻のラストでヨナが会談に出席することになり当初は心配しましたが、南戒の使節団とまともにやりあう様子に早速驚かされました。本気を出せば割と政治の駆け引きもやれるようになっており、ヨナがだいぶ成長していることが読み取れます。正直もうちょっと脳筋だと思ってた。喰えない態度で相手を揺さぶるやり方は皮肉にもスウォンそっくりになっているのがまた興味深いところ

 そしてヨナもハクも「高華国を守りたい」という意志の元行動していることが判明したのが今回最大のポイント。スウォンたちとはまだ相容れない部分があるものの、その一点だけを共通の目的として協力しようとしていることを明かしてくれたのは大きな収穫です。ヨナたちを警戒しているケイシュクとのいざこざはあれど、精一杯守ろうとしている様子は見ていて応援したくなりますね。(というか南戒との戦争が勃発しそうな時に何ケイシュクは内側で争っているんだってなりますし)

 

 そんな中今巻で登場した新キャラがこれまた強い印象を残してくれました。まず南戒の寵姫「メイニャン」ですが、スウォンと同じ緋龍王の末裔だと明かしたのが何とも衝撃的。同じように緋の病に侵されており、それ故に龍王の力そのものを欲して復讐を狙う野心家ぶりにはかなり驚かされます。それ以外にも元将軍という経歴故か、意外と武闘派な一面を見せていたのが面白いですね。幽閉された直後に自力で見張りをノシて脱獄するシーンは読んでいて非常にワクワクしました。ヨナとはまた別ベクトルでパワフルなメイニャンの今後に期待がかかります。

 そしてもう1人の気になる新キャラ「ヒューリ」も印象的。汚れ仕事担当でスウォンの師の1人とのことですが、初登場時にハクを倒した事実には仰天しました。ジェハ相手にも怯まないなど、本作のキャラの中でもとんでもない強さであることが伺えます。何より無表情かつ言葉も一切発しないまま殺しにかかる姿に恐怖を覚えますね。(恐らくそういう訓練を受けてきたのでしょうが)ヨナにとっても母の仇であることまで判明し、超重要なキャラが突然現れた気分です。スウォンひいてはユホンの命に囚われているこの男は、この先ヨナたちとどう関わっていくのでしょうか。

 

 

デュエル・マスターズ キング 第6巻

 

 

 漫画版デュエマの方は何かと衝撃展開が話題になりますが、この巻でもその展開は健在。前巻の父・勝太がハイドに殺されるショッキングなラストの続き、ジョーの復讐劇がまず目につきました。父を失った怒りと悲しみでジョーが少しずつ狂暴になっていく様子は読んでいてとても辛かったです。(ジョーの口から「お前なんかいなくなれ!!」なんて言葉が出てくるとは・・・・・・)ハイドに復讐を果たしても決して心が晴れていない辺りに当人の苦しみが感じ取れます。

 しかしその後、過去の勝舞&勝太の活躍によってジョーが元に戻っていく展開のおかげでこちらもいくらか心が救われました。特に勝舞が怒りなどの感情を否定せず、その感情を他人のために使うことを諭す姿が印象的です。(ザキラに白凰を殺されても、大好きなデュエマを殺しの道具に使わなかった勝舞だからこそ言えるセリフですね)最終的にジョーがかつての優しさを取り戻し、「本当の強さ」に気付いていく流れにも思わずほろりときてしまいました。

 その後は漫画版特有の展開のジェットコースターが描かれました。ジェンドルが五大龍神を復活させて《Volzeos-Balamord》を誕生させる流れはアニメとほとんど変わりませんが、ジェンドルのテンションの高さがやたら目立ちます。「バラモルドはもっと強いぞー!!」と自慢するように叫ぶコマなどは妙に笑いを誘いましたね。何よりジェンドルが「ただ強い力を手に入れたい」目的を明かすシーンが衝撃的でした。歴史を冒涜し、多くの人を傷つけた男の正体が思想も信念も持たない空虚な存在であるという展開には舌を巻くばかりです。そんな空っぽなジェンドルと、多くのものを背負って戦うジョーの対比も興味深かったですね。

 

 本筋以外も見どころは満載です。まずアバクが主役の特別編は王来学園の真実によってアバクがまた曇らされており、再びアバクに対して同情の念を寄せてしまいました。それ以上にクリーチャーの力を合成し続けた結果、自らの肉体を不死身に変えたジェンドルの狂気が印象に残ります。上述にもある通りただただ力を求めているだけなのに、自分すらも利用してしまう男の存在には恐怖を覚えるほかありません。アバクに何度切られても平然と再生していくシーンはちょっとしたホラーでしたね。その後の突然セメントが流れ込んでくる展開はギャグに片足を突っ込んでいましたが。

 また巻末のデュエマ20周年&小学館漫画賞受賞のお祝いコーナーも良かったですね。様々なコロコロ作家が個性豊かなお祝いイラストを寄稿しているのが特徴的で、松本大先生とデュエマを祝福してくれているのが伝わってきてほっこりしましたね。中でもデュエマへの想いを綴った文章を右半分にびっしりと書いた村瀬範行先生*3と、異様な描き込みでグレートバケツマンを描いてくれたむぎわらしんたろう先生*4のイラストがお気に入りです。

 

 

カードゲーマーズハイ

 

 

 本屋でたまたま見つけた作品。カードゲーマーとしてはちょっと惹かれるタイトルだったので思わず購入してしまいました。調べたところによるとTCG情報雑誌「カードゲーマー」本誌とwebサイトにて連載された短編を集めたオムニバス形式の単行本とのことです。表紙から読み取れる情報からしTCGあるある」を扱っているのは明白ですね。

 そう思いながら本を開いてみたところ、「プレイマットくんとマットプレイくん」という意味不明なエピソードが飛び込んできていきなり目が点になりました。(その後の「3年B組シャカパチ先生」も中々にぶっ飛んでいましたね)しかししばらくページをめくってみればどうやらこちらが想像していた美少女たちのやり取りも掲載されていて一安心しました。どうやら彼女たちのコメディの間に、こういったカオスな内容を挟んでいくスタイルのようです。

 そうとわかれば色々と楽しめるもの。上述の作品群もあるあるネタをしっかり取り込んでおり、普通に面白かったですね。登場キャラはみんな一癖も二癖もあり、仲良し女子の日常やメガネの女性カドショ店員とのニヤリとするやり取りなどもあって見ていて飽きません。個人的に印象深いエピソードをピックアップしておくと・・・・・・

 

  • カードギャルやえちゃん:弟がやっているカードゲームに興味を持って始めるギャルのお姉ちゃんが可愛いの一言。ルールもレアリティもスリーブ事情もわかっておらず「光っているお気に入りのカードをスリーブでデコる」スタイルなどにどこかフフッときます。弟との仲も良好で、色々と詳しい弟に教えてもらいながら対戦していく様子にほっこりさせられました。
  • カードゲームドクター:カードに関する様々なことを診療してくれる医者・・・・・・らしい。真面目に診断しているようで割と投げやりな診断をかましてくるので読む度に爆笑してしまいました。中でも初登場回の「あそこで倒れてる白属性っぽい人は放っておいてもいいです」「死んでも赤っぽい人が勝てば生き返りますから」のくだりは笑いが止まらなかったです。(作者は恐らく白凰好きですね間違いない)
  • アドずきん:ストレージ漁りの極意を学べたものの、もっとちゃんとおつかいしろよと思う。
  • トレカお嬢様(お嬢様シリーズ):トレカショップのお嬢様「東堂麗華(とうどう・れいか)」と初心者の「羊田めりの(ひつじだ・めりの)」の交流がメインのお話。麗華はTCGプレイヤーの悪癖をいくつか背負っている一方で、それを相手に押し付けることなく初心者にも優しいキャラクターなので見ていて好感が持てます。それでいて金にものを言わせて悪いプレイヤーを撃退する過激さが実に面白いです。めりのちゃんもめりのちゃんで鋭い指摘をしてくるわ、自爆した親友をよそに鮫トレされたカードを回収する抜け目の無さを見せつけてくるわと妙に強かなのが良き。
  • 下振れクリスマス個人的に最も印象に残ったエピソード。父親がクリスマスプレゼントとして買ってくれた新弾の箱のしょっぱさ、そわそわしている父に優しい嘘をついてしまった少年の姿に胸打たれました。まず一般人にとってTCGの常識は馴染みがないことが伝わってきます。何より劇中の彼のように人は大人になっていくことを実感したりしなかったりする、妙に突き刺さる内容でしたね。でもその後のプロポーズする流れについては爆発しろ!と言いたい。

 

 といった感じです。何だかんだでどのエピソードも楽しく読めました。カードゲームを好きな人が描いていることがわかりやすく伝わってきましたし、着飾らないギャグがツボにはまったので買ってよかったです。

 その他にも巻末に掲載された「作者が考案したゲーム」の紹介もありました。制作した当人曰く「完成していない」とのことですが、ジャンケンを基にしたルールが大変興味深いので是非やってみたいところですまぁ対戦してくれる相手がいないのですが・・・・・・

 

 

 というわけで今回の漫画感想でした。とりあえず913の感想を書けて一安心といったところです。ここまで楽しんで本作を読んできたので、その想いをある程度かけて本当に良かったです。

 上の913のように推している漫画が打ち切られるのは確かに悲しいですが、かといってこれまでの作品への感想が決して無駄になったわけではありません。むしろ終わってしまった作品をどのように見届けるか、これが読み手の腕の見せ所だと個人的には考えています。作品が続くかどうかで一喜一憂しながらも、作品そのものを楽しむ気持ちを忘れずにこれからも漫画を読んでいきたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:俳優。『仮面ライダー555』にて草加雅人を演じていることで有名。本作の企画・担当編集者でもある。

*2:ご存じ『仮面ライダー555』を筆頭に多くの平成ライダー1期に関わってきた脚本家。現在は『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のメイン脚本家でもある。もちろん本作の脚本も担当している

*3:コロコロの代表的な漫画家。代表作は『ケシカスくん』他。

*4:同じくコロコロ出身の漫画家にしてドラえもん』で有名な藤子・F・不二雄の最後の弟子でもある。代表作は『ドラベース ドラえもん超野球外伝』他。