惑える片翼と向き合うべきもの
辛い展開続きだっただけにラストには救われましたねはい
- 「正しさ」に堕ちる烏
またもや辛い展開が待っていた今回のリバイス。ここまで少しずつ描かれたきた兄弟の不穏な感情に、いよいよ大きなヒビが入ったという印象を受けました。
何といっても今回は大二の荒みっぷりがとんでもなかったです。前回ヘルギフテリアンにボロ負けしてして心が折れてしまったからなのか、赤石長官のやり方に渋々従うようになってしまった大二の姿にショックを受けてしまいました。ギフを倒す可能性を模索する一輝にも反抗するようになり、現状の維持に意固地になっているように思えます。それどころか一輝たちが朱美さんを殺したと勘違いしてし、兄に殴り掛かるなどドンドン盲目的になっているのが見て取れました。（まぁこの勘違いについては詳しい事情を説明しなかった一輝サイドにも問題があるのですが）
この辺りの大二の焦燥ぶりは不自然なくらい激しかったのですが、同時に彼がこうなってしまったことにも何となく納得するところがあります。大二は良くも悪くも生真面目なせいで様々なことを溜め込んでしまう性格であることは以前からわかっていました。ヒロミの失踪やカゲロウの消滅、そして朱美さんの闇堕ちといった衝撃的な出来事が立て続けに起こったせいで、彼の許容量はとっくにオーバーしてしまったのかもしれません。家族に対しても相談することがほとんどないせいで、余計ドツボにハマっているようにも見えます。
こうして見ると大二の負の感情を背負っていたカゲロウの存在の大きさがわかりますね。恐らくは溜め込んだ感情の吐き出し口であったカゲロウを失ったことで、上述の状態に陥っているのだと思われます。（実際劇中で狩崎が「カゲロウを失ったことで善悪のバランスが取れなくなっている」と大二に警告していましたし）そんな大二からすれば一輝のどこか甘い言葉は自分の考えをイラつかせるものでしかならないのでしょう。「正しさ」に固執するあまり、本来の道を失ってしまった彼を見ているとこちらの胸も痛みます。
このように大二の今後がひたすら心配になっていく内容でしたが、一方で希望を2つ残されたことも見逃してはいけません。1つ目は朱美さんが消滅する寸前、大二に残した「正しさのために1人ぼっちにならないで」という言葉。これは言うまでもなく、現状の彼を的確に表現している言葉ですね。朱美さんが大二のことをここまでちゃんと見ていたことにも驚かされます。問題はこの言葉の意味が大二本人に届いているかなのですが……
そしてもう1つはラストに姿を見せた門田ヒロミ。彼がラストに姿を見せたときは本当に驚きました。生存していたこと自体は知っていたものの、まさか本編に戻ってくるとは思っていなかったです。何よりここまで辛い展開が続いていただけに、本作の癒し要素の1人でもあったヒロミの帰還に大いに喜んだ自分がいます。
そんなヒロミですが、彼が大二の信じる正義のルーツにもなっているのは最早語るまでもありません。一輝の言葉すら耳に届かなくなってきた大二に必要なのは、恐らくヒロミなのでしょう。朱美さんの遺言とヒロミのフォロー、これらで大二が自分の道を正してくれることを願うばかりです。
- 向き合うべき時
大二の迷走の他にも、各キャラが何かに“向き合う”様子が描かれていたのが今回の特徴でした。まず今もなお長官の意向に従うか、ギフに隷属するかで悩む民衆に対し、ウィークエンドが街頭テレビで呼びかけを行う、という中々にシュールなシーンが展開されました。突然のことすぎるうえに言っていることが少々わかり辛い、という問題を抱えていた呼びかけでしたが、ようは「何が正しいのか1人1人がしっかりと考えるべき」ということを伝えたかったんだと思われます。人々がフェニックスのやり方に対して不安を募らせているからこそ、周囲に流されず個人で考える機会を設けようとしているのかもしれません。それでも正直この伝え方はどうかと思いますが……
あとはやはり狩崎親子の対面が最大の見どころでした。不信感を抱いている息子に対し、父・真澄がしっかりと向き合ってみせたのが素敵でしたね。自分がおかした過ち以上に、家族を放っておいたことを謝罪する姿には好感が持てます。（というか真澄に関しては登場してからあまりにも優しすぎて過去のマッドサイエンティストなイメージと一致しないんですよね）そんな父を突っぱねる狩崎の複雑な心情も描かれており、この親子が葛藤しながらも歩み寄ろうとしていることが伺えました。
上述の五十嵐兄弟がぶつかり合っているところと比べても、本音で話し合っている狩崎親子の方が上手くいっているように見えるのは何とも皮肉なものを感じます。それもこれもこの親子が問題から逃げずに向き合っているから、とも取れますね。この2人を見て、一輝と大二も同じようにぶつかり合うべきなのかなぁ、と思う今日この頃でした。
本筋以外のアクションも、今回は個人的に好きな要素が多めでした。何といってもバリッドレックスが久々に登場したのが嬉しかったですね。しかも狩崎が改良を施したものを、朱美さんを解放する手段として使用する展開ということもあって大興奮しました。目に見える改良点として、リバイがバリッドレックスゲノムにフォームチェンジした際にバイスも同じくバリッドレックスゲノムにチェンジしていたのが本当に素敵です。（＃ナイスジョージ）
最終的には朱美さんを救えなかったという残念な結果で終わってしまったものの、こういった形で旧フォームを活躍させる機会を作ってくれるのはとてもいいアイデアだと思いました。今後の作品にも活かせるように、どんどん他のフォームが使われる理由付けを見せていってほしいですね。
そして次回はリバイスの最強フォームがついに登場！今回救出するはずだった朱美さんからギフの細胞が回収出来なかったせいで新しいスタンプを作れなかったはずなのですが、どのようにして制作したのでしょうか。予告を見る限りだと元太父さんが協力しているようですが、同じく倒れた父さんが運ばれる光景が映し出されたせいで嫌な予感ししません。それ故大きな不安はあるのですが、一方で新フォームで今の苦しい状況を打ち砕いてくれるという期待も同じように感じています。さて次回どうなるのか、非常に楽しみです。
ではまた、次の機会に。
