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サンダーバード ARE GO 簡易感想(第5~8話)

 

 

 約1か月ぶりとなる『サンダーバード ARE GO』の簡易感想。前回の感想を読んでくれた方もいらっしゃるかと思います。こうして次の感想も開いてくれて、本当にありがとうございます。

 

metared19.hatenablog.com

↑前回までの感想についてはこちらの記事を参照。

 

 さてサンダーバードと言えば現在公開中の『シン・ウルトラマン』で各機体の模型(禍特隊の滝くんのコレクションですね)がチラリと見えたのが記憶に新しいです。このシーンは恐らく、シン・ウルトラマンを手掛けた庵野秀明氏&樋口真嗣氏はどちらもサンダーバードの熱烈なファンということで挿入された小ネタでしょう。樋口氏に至っては今年1月に劇場公開された『サンダーバード55/GoGo』の日本版編集を担当していますし、シン・ウルトラマンを作るにあたってどうしてもいれたかったのかもしれません。

 僕自身あのシーンはとても印象に残っています。メカ要素がほとんどなかった映画において、貴重なSFメカを模型であろうと見られたのはちょっとした感激ポイントでした。今回はその時の興奮を思い出しつつ、5話から8話までの4つのエピソードの感想を書いていきたいと思います。

 

 

 というわけで以下、今回の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

第5話「消えたファイアーフラッシュ」

 原作の方でも人気の高いファイアーフラッシュ号の事件が描かれた回。原作では原子力で動力としていたが故に海が汚染されるなどの被害を出していたのですが、本作のファイアーフラッシュは別のエンジンを搭載しているためまだ安全。(というか本作の世界は原子力技術を国際的に禁止しているようです)その分フッドがその最先端技術を盗むために機長や乗客たちを眠らせる展開が見られました。

 フッドによって墜落の危機に陥ったファイアーフラッシュを如何に着陸させるか、が今回の救助活動のキモでしたが、高速エレベーターカーでの胴体着陸が失敗した時は驚きました。原作ではトラブルがありながらも何とか成功した方法だっただけに、この衝撃は大きかったです。*1そのうえ失敗した後のファイアーフラッシュの救出方法が2号のワイヤーを吊り下げて着陸させる、というやり方だったので余計にびっくりしました。原作にはない、本作ならではの展開にはドキドキしっぱなしでしたね。

 他にもファイアーフラッシュに乗り合わせていたケーヨと機体に乗り込んだフッド(部下がいないからなのか割と現場主義)の対決も見どころでした。機内での戦いは、敷き詰められた電子部品(?)を避けたり飛び乗ったりとどこかアスレチック的な要素が強く、見ていてちょっと楽しかったですね。またフッドが戦いながらケーヨをこちら側に誘うかのような発言をしていたのも印象的でした。2話でも見られたこの発言は、フッドなりの姪への情なのかどうか気になるところです。

 

 

第6話「ロンドン大停電」

 タイトルにある通りロンドン全域が停電するという大事件が展開されたこの回は、トレーシー家のおばあちゃんの貫禄が全面に押し出されていました。2号をはじめとした救助メカや装備が使えなくなって意気消沈するゴードンを叱咤し、道具に頼らずとも人々を救う心構えを教えるおばあちゃんの姿は実に勇ましかったです。同時におばあちゃんが語った旦那、つまりバージルたちの祖父の話に出てきた「助けようとする気持ち」を、孫たちに継承していく内容だったと言えます。

 バージルも最初はヘタレていたものの、おばあちゃんのおかげで即座に立ち直ったのが良かったですね。クレーンに取り残された女性の救助をはじめとして、その場その場の機転で危機を脱していく様子は見ていてスカッとします。何よりヒーローに大切なのは力ではなく精神……そんなベタながら重要な話をキチンとやってくれていましたね。

 ペネロープたちが停電を引き起こした原因を調べるパートも忘れてはいけません。今回の事件の首謀者である集団「ラダイト*2の目的が、反科学的思想を広めるための活動だったという点が興味深いです。当初は意外な集団の登場に戸惑ったものの、彼らがフッドに利用されていたとわかってからはいつものノリになっていたのも特徴的。しかもフッドがお目当てのモノを見つけるや否やその場で本性を表すのがやたら面白かったですね。(そのうえ即座にパーカーたちによって失敗に終わるのが余計シュールでした)

 

 

第7話「高速トレイン大暴走」

 この回ではレスキュー作品では定番かもしれない案件「暴走列車」を扱っていました。(個人的に暴走列車というと『トミカーヒーロー レスキューフォース』の映画を思い出しますね)しかも今回はサンダーバードのメカニック担当「ブレインズ」が珍しく現場に出ていたのが見どころでした。半ば無理やり連れていかれたようなものなので、最初はパニックに陥っていたのが妙に微笑ましかったです。

 そんな状況だったからか、ブレインズ提案の作戦が次々と失敗するぐだぐだぶりが繰り広げられました。最初の1号のワイヤーで引っ張る作戦が失敗する辺りの展開はやたらテンポが良いので面白かったです。しかしスコットの信頼の言葉を貰ってから一転、ブレインズが本格的にその頭脳を発揮し始めたのでテンションが上がりましたね。落ち着いていれば誰よりも頼もしいブレインズの底力が垣間見えた回だったと思います。

 そして今回の事件の犯人が、ジョンが造った人工知能だったと判明したシーンは衝撃的でした。電子の海で彷徨っていた人工知能が遊び感覚で列車のコンピューターを乗っ取ってしまったというのは、何ともゾッとする話です。強力故に危険なこの人工知能にどう対処するのか、それは次の回で描かれました。

 

 

第8話「人工知能の反乱」

 この回はジョンが主役。前回列車の暴走を引き起こした人工知能イーオス」にジョンが向き合っていく展開が見られました。自分を探していたジョンに「私を消そうとしている」と警戒心を露にしながら殺しにかかるイーオスにこれまた恐怖を覚えました。それでいて都合の悪い言葉はワーワー叫んで耳を塞ぐなど、どこか幼い面が見られるのが興味深いです。前回の遊び感覚の話といい、この人工知能は精神的にまだ子どもなのかもしれません。(それはともかく、イーオス役の佐藤みゆ希さんの演技はとても可愛らしいです)

 対してジョンがイーオスに5号を乗っ取られて宇宙に締め出されてしまう様子には終始ハラハラさせられました。イーオスが作ったフェイク映像で地上の兄弟たちには無事だと誤認されるダメ押し付きで、人工知能の殺意と宇宙空間の過酷さがこれでもかと伝わってきましたね。異変に気付いた兄弟たちにジョンが助けられた後も、彼が体を張ってイーオスを説得する様子が展開されたおかげで心が休まりませんでした。(「おばあちゃんの料理」が映像が偽物だと判明する決め手になったシーンには笑ってしまいましたが)

 しかし最終的にはジョンの決死の態度を見て、イーオスが彼に心を開いてくれて見ているこちらもホッとしました。いざという時は5号を破壊することも辞さなかったものの、自分が死にそうになるギリギリまでイーオスに寄り添おうとしていたジョンの粘り勝ちといったところです。この回はもしかしたら、人工知能にも人間的な誠意が伝わる希望や可能性を示してくれたのかもしれません。

 

 

 シン・ウルトラマンを観に行った人は数多くいると思いますが、その中の何割が上述のシーンに目が留まったのかが少しだけ気になっています。恐らくは全体の視聴者数から見てかなり少ないでしょうし、そこからサンダーバードを思い出した人はさらに少ないでしょう。

 しかしあのシーンを見て、サンダーバードに興味を持ったであろう人は確実にいると僕はにらんでいます。その人がサンダーバードを見たいと思う中、最も手頃に見られるARE GOに手を出す可能性も少なからず存在するかもしれません。そうしてARE GOを楽しんだ人たちが、この感想を読んでくれたら嬉しいですね。そうでなくとも、シン・ウルトラマンをきっかけにサンダーバードを何かしらの形で楽しんでくれたらサンダーバードファンの1人としては幸いです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:この辺りは現代の科学的考証に即しているのではないか、と筆者は予想している。

*2:名前の由来は1811~1817年のイギリスで発生した「ラッダイト運動」であると思われる。