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ウルトラマンデッカー 第9話「誰がための勇姿」感想

絶望へのスリーカウントを始めろ!!

グレースとムラホシ隊長の推しにみんなもなろう!

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  • 本当の“強さ”を持つ宇宙チャンピオン

 謎の少女「ミカ」が突然カナタの写真を盗撮し、その正体を看破してきた冒頭。今回はそんな彼女の父親であるグレゴール人「グレース」を描いたエピソードでした。宇宙の格闘家でもある彼ら親子は5話に登場したユウコと同じ宇宙難民として描かれていたのが印象的で、元々は宇宙の格闘家なのに地球で普通に働かなければならなくなったという境遇に晒されている話が何とも可哀想でした。しかもグレースは若い頃無茶をしたせいで体が弱っている描写も悲惨で、宇宙人故にうかつに病院にも行けないのであろう彼らの悲哀が伝わってきますね。

 しかしグレース本人は誠実さや正義感を度々見せて活躍してくれたので、同情よりも素直に応援を送りたくなりました。街の危機に現れて戦うシーンもさることながら、デッカーのピンチを見て加勢に入るなどカッコいい姿をこれでもかと見せてくれたのでテンションが上がりっぱなしになります。格闘チャンピオンとしての誇りも忘れてはいませんが、誰かを助けるためならばその誇りを手放せる辺り、本当に強い人なのだろうと思いますね。(自分の力を誇示するために戦っていた『ダイナ』のグレゴール人とは対照的なところがまた興味深いです*1

 

 あとはやはり格闘チャンピオンとしてのファイトスタイルが面白かったですね。ドロップキックやジャイアントスイングといった、プロレス技をそのまま決めてくれる光景に早速魅了されました。登場シーンも鮮烈で、突如4本の剣でリングを作って上の見出しにもある「絶望のスリーカウントを始めろ!!」といった決め台詞を飛ばしてくれる様子はまさにプロレスのスター登場そのものです。しかもぐんぐんカット付きで登場するなど、ヒーロー扱いの演出付きだったのが嬉しかったですね。

 人間態を演じている中村浩二氏ウルトラマン仮面ライダースーツアクターとしても知られていて、かつてはティガやダイナのスーツを着たこともある有名な人。*2今回はその人が演じるグレースの良さを最大限引き出した回だったと言えます。ラストにTPUの医療施設で治療を受ける形で退場しましたが、また何かしらの形で登場してほしいですね。今回レッドキングを追い払ってくれたことで人々からの声援を受けていましたし、再びこの宇宙チャンピオンがリングに上がってみんなを沸かせてくれると信じています。

 

 

  • 小さな幸せを守りたい

 グレースの他にも今回大きな印象を残してくれたのがムラホシ隊長ですね。5話でも宇宙人に対して優しく接していましたが、今回はミカとグレースの願いを聞き届けて試合をセッティングしてくれる太っ腹な対処を見せてくれました。隊員たちの訓練にもなるという建前もキチンと用意している辺り、デキる男は違います。しかも毎日グレースたちに手料理を振る舞ってくれるなど、家庭的な一面まで見せてくれたから本当に驚きましたね。しかも普段隊員たちに料理を作っているという……隙が無さすぎない?

 何より何故グレースたちにここまで尽くしてくれるのか、カナタに質問されるシーンが素敵でした。怪獣やスフィアと戦うだけではなく、同じ星に暮らす人々の「小さな幸せ」を守ることこそGUTS-SELECTの責務だと隊長が語る様子に感動しましたね。地球人も宇宙人も関係ない、分け隔てなく彼らの日常を守ろうとする気概には素直に尊敬出来ます。元々心優しい隊長としての印象が強かったムラホシ隊長ですが、今回はさらに確固たる防衛隊の隊長としての“信念”を見せてくれました。1話の不穏な言動などまだまだ不安要素は残っていそうですが、ひとまずはこの隊長の想いを信じてみたいところです。

 

 

  • 紅く染まる暴れん坊

 初代『ウルトラマン』以降、何度も登場している「どくろ怪獣 レッドキング」。今回は突然街に現れて大暴れするという3話のゴモラと似たようなポジションで登場しました。前半では街を救うために現れたグレースとGUTS-SELECTの連携によって逃げ出すことになりましたが、従来の暴れん坊としてのイメージに相応しい姿を見せてくれたかと思います。同時に地面を掘って慌てて逃げ出す様子も印象的で、どこか抜けている愛らしさもレッドキングの魅力だと再確認しましたね。

 一方でGUTS-SELECTとグレースの試合中に突如乱入してきた「どくろ合成獣 スフィアレッドキング」は愛らしさの欠片もない不気味な姿が目を引きます。スフィア合成獣特有の生気を感じさせない目はもちろんのこと、体から突き出たスフィアの成分が実に痛々しいです。特にこのスフィアレッドキングは結晶が体を突き破るように出ているデザインに「寄生した生物の体を食い破る寄生虫」のような悍ましさを覚えますね。他には『パワード』版レッドキングのような名前通りの紅いボディに変化しているのが特徴的。(余談ですが、今回はレッドキングがスフィアに体を乗っ取られる描写がないのが余計可哀想に想ってしまいました)

 戦闘ではデッカーフラッシュタイプを押しのけるほどのパワーと同時に、スフィア合成獣が持つ電磁波光線も合わさって非常に攻撃的に変化していました。さらに電磁波を利用したバリアまで使用するなど、意外とテクニカルにデッカーを追い詰めていたのがとんでもなかったですね。今回はグレースが体を張って抑え込んでくれたりその彼を「ディメンションカード怪獣 ウインダム」を含めたディメンションカード怪獣を総動員して救出するなど色々と絵面が忙しかったのですが、それもこれもこのスフィアレッドキングの凶悪さあってこそだと思いましたね。

 

 

 今回は坂本浩一氏が監督を務めていたこともあって、アクションがド派手だったのが印象的でした。特にワンダバを流しつつ特訓シーンを挿入する演出は、この監督の趣味だろうなぁ……と感じましたね。本編のコミカルな部分を見せてくれて本当に楽しかったです。

 一方で不穏な布石を残すシーンの数々も今回のポイント。新兵器「ハイパーソーンレーザー」はスフィアレッドキングを撃破する大活躍を見せたものの、それを見ていたアサカゲ博士が開発中の新兵器の話を怪しい笑顔で語っていたことに何かしらの不安を抱いてしまいました。DG001(ディージーゼロゼロワン)」というその新兵器はどんなものなのかまだ未知数ですが、少なくとも今後の展開に大きな波乱を巻き起こしそうな予感がしますね……

 

 

 さて次回はムラホシ隊長に続いてカイザキ副隊長が主役になる模様。街や人を襲わず他の怪獣を倒して去る謎の怪獣「ネオメガス」の正体を探る中、副隊長の恩師との過去などが明かされていくようです。何故ネオメガスは怪獣のみを狙うのか?をはじめとして、人間と怪獣の関係について、次回は何かしらの重大な秘密が語られそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ただあちらのグレゴール人も、潔く負けを認める面を持ち合わせてはいた

*2:他にも『劇場版仮面ライダーW FOREVERAtoZ/運命のガイアメモリ』や『ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET』など、特撮作品での俳優出演も多い。