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ウルトラマンデッカー 第21話「繁栄の代償」感想

新しい光があらわれる

かならず

見たか、先輩ヒーローの超ファインプレー!!

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  • 宇宙をまたにかけるダイナミックファイター

 まさかまさかのダイナ登場!!ということで終盤驚きっぱなしだった今回のデッカー。予告やサブタイ、そして話の流れもあってこんなサプライズが待っているとは全く予想していなかったので、これには本当に驚きました。後述のカナタの不調もあって絶望的な状況の中、懐かしのBGMと共に姿を現した「ウルトラマンダイナ」の演出には心が震えるばかりです。

 戦闘シーンに関しても唸らされる点が多かったです。スフィアジオモス&テラフェイザーという強敵2体を相手に当初は苦戦するものの、ストロングタイプにタイプチェンジしてからは同時に相手取る強さを見せつけていたのが感動的でした。『ダイナ』本編でも強力なイメージが強いストロングタイプの活躍をこうして見られただけでも嬉しかったです。(変身シーンとタイプチェンジのシーン共々、当時のCGを意識していることが素晴らしかった、の一言)14話のデッカーとはまた違った形で「熟練の戦士」としての強さが出ていたと思います。

 カナタが調子を取り戻し、デッカーが参戦してからの超ファインプレーも印象的。ダイナ5話で披露したウルトラフォークでテラフェイザーを止めたり、デッカーの防御中に攻撃したりと後輩への熱いサポートが光っていました。現行のヒーローのこともしっかりと立ててくれる先輩ヒーローらしさも出ており、かなり喜ばしい塩梅です。中でも新カードをデッカーに渡す場面は上手い!と思いましたね。(ツノのトサカから通信交換の如く渡すシーンはちょっとシュールでしたが)

 最終的には未来に戻っていったダイナ。結局変身前のアスカの姿は出なかったものの、去り際のサムズアップのおかげでこのダイナはアスカだ……!とわかったので満足度は高かったです。何より今も宇宙を旅しているダイナの客演としてはかなり見事でした。当時ダイナをリアルタイムで楽しんでいた身としても、とても嬉しい回でしたね。

 

 

  • 未来を歪める愚行の象徴

 今回登場した怪獣「スフィアジオモス」は久々に登場したスフィア合成獣。『ダイナ』に登場したジオモス系統の怪獣に似ていますが、その関係性は今のところ不明です。(というかジオモスは元々スフィア合成獣なので、そこにスフィアが付くのはちょっとややこしいです)問題はこの怪獣が「Sプラズマ増殖炉」から誕生したという経緯で、スフィアの死骸を使って発展しようとした人類の愚かしさを戒めるかのような存在となっている点に痛烈な皮肉を感じます。ネオメガスの件しかり、人類が驕り高ぶった時に限ってスフィアがそれらの技術や怪獣を利用してくるのが恐ろしいですね。

 そんなスフィアジオモスの怪獣としての能力として目に入るのは、まず何といっても未来に繋がっているワームホール。ここからスフィアザウルスを呼び出して地球侵攻に乗り出そうとした展開には戦慄を覚えました。しかも何とかスフィアザウルスと倒しても、また別の未来から別のスフィアザウルスを呼び出してくるのでキリがありません。生き残っている限り絶対にスフィアザウルスを呼び出してやる、みたいな意志も感じられましたね。

 エネルギー吸収能力でスタミナも尋常ではない他、強固なバリアで自身の身を守ってくるのがこれまた厄介。ナースデッセイ号やデッカーたちの強力な攻撃でバリアは破れるとはいえ、生存能力は他のスフィア合成獣の中でも段違いに高いと言えます。上述のワープホールも含め、何度でも最悪の未来を引き寄せてしまうかのような強敵でした。

 

 

  • まだ見ぬ未来を切り拓くため

 今回は他にも、カナタにとってちょっとした成長イベントになったのがポイント。スフィアジオモスを生み出してしまった会社の社長たちの身勝手さに憤る中、突如現れたアガムスの言葉に揺さぶられているのが何とも痛々しかったです。そのうえ動揺のあまりデッカーに変身出来ない事態にまで陥ったことには愕然としました。人の愚かしさを前にしてしまったばかりに、「地球人は未来で厄災をもたらす」という話に説得力が出ていたのが何ともエゲつなかったです。

 そんな例によってナイーブなカナタですが、ダイナの登場と彼をサポートするGUTS-SELECTの奮闘ぶりを見て立ち上がる様子もいい意味で相変わらずでした。アガムスの言葉を否定することは出来ないけれど、何もしないでいる理由にはならない……むしろ「何もしないで開ける未来があるか!」と奮い立つのは何ともカナタらしくて安心感を覚えます。

  戦闘後にはダイナ(アスカ)に「未来は誰にもわからない」という助言を貰ったのもカナタにとって大きな成果となっていました。以前デッカー・アスミが言っていた分岐した未来の話故にそうなる可能性が高い、というのもありますが、何より「未来を切り拓くのは今を生きているみんなだ」という激励としてこの言葉を受け取ったようにも思えましたね。未来がどうなるのかという不安を描きつつ、“わからないからこそ希望がある”とも言うべき答えを示したカナタとアスカにちょっと感激する回でした。

 

 

 スフィアジオモスとスフィアザウルスの強敵コンビを前にして、GUTS-SELECTも総力を挙げて立ち向かっていったのも大きな見どころでした。危惧されていたSプラズマをマキシマナースキャノン用のエネルギー生成に使用したり、かつて『トリガー』でも使われたエアーシャトルで迎撃したりと、あるものは全て使って対抗していた光景にはグッとさせられます。何より作戦開始から終盤まで、ムラホシ隊長を含めた全員が果敢に立ち向かっていたのが最高でしたね。本作の熱血要素が全面に出ていたと言えます。

 あとこれは余談ですが、作戦立案時に使用された怪獣たちの折り紙にも目が留まりましたね。これがあまりにも精巧な作りで、一目でどの怪獣なのかわかりやすいデザインだったのでかなり驚きました。誰がこの折り紙を作ったのか気になっていた中、EDクレジットやカナタ役の松本大輝さんのツイートから「制作スタッフに折り紙名人がいてその人が折ってくれた」ことが判明してびっくり。*1こうしたちょっとしたネタにもほっこりさせられましたね。

 

 

 さて次回は引き続きアガムスが登場。しかもムラホシ隊長に話をするため、彼1人だけを呼び出すようです。アガムスがどんな目的で隊長を呼び出したのかも気になりますが、何より隊長の安否に心配してしまいます。単身裏切り者の元に乗り込んでしまったムラホシ隊長や如何に。

 そしてついにアガムスが過去の地球を滅ぼそうとする理由、バズド星が滅びた理由を明かす模様。今回カナタに「未来のバズドにスフィアを連れてきたのは地球人」と語っていましたが、これが何を意味しているのか……こちらが予想しているよりもずっと残酷な真実が待っていそうで怖くなってきますね。次回はかなりの重要回になりそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:今回折り紙を制作してくれた今井雄大氏は京大折り紙サークル出身で、自身の作品の作例を本にまとめて出したりもしている。