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ウルトラマンデッカー 第12話「ネオメガスの逆襲」感想

勝てなかった“自分”を超える

ハネジローがどんどん脳筋になっていることに笑いが止まらない

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  • 巨人と機神の最強コンビネーション

 いきなりのスフィアの襲来、そして誕生した「スフィアネオメガス」の襲撃から始まった今回のデッカー。前半から激しいバトルによるデッカーの敗北に衝撃を受け、後半はそこからの再戦でデッカーとテラフェイザーの共闘が燃える内容に仕上がっていました。

 中でも今回初めて明確な敗北を喫したカナタが印象的。ソウマとイチカを守ったためとはいえ、全く歯が立たずに敗れたことにかつてないショックを受けている彼の姿には少々胸が痛みました。後述のアサカゲ博士とのやり取りもあって、色々と自分を見失いつつあるのかもしれないとこの時は感じましたね。

 ただその鬱憤をトレーニングで解消しているシーンでホッとさせられました。じっとしていられない感情をこうして抑えているのはカナタらしくてどこか安心します。何より「負けた理由を探すより、勝てなかった自分を超える努力をしろ」という爺ちゃんの言葉を実行していることが面白かったです。敗北の原因を考えることも大切ですが、そのことでウジウジ悩むのはカナタには向いていないのはこれまでの物語から読み取れます。カナタにとっての最善を知っているからこその爺ちゃんの助言、そしてそれをしっかりと守って“自分”を見定めつつあるカナタのひた向きさには見ているこちらが勇気づけられました。

 

 そんなカナタの姿を見たハネジローがテラフェイザーの起用を提案する過程も大きな見どころでした。「努力」という言葉を多用する辺り、彼らのポジティブな面をしっかりと吸収していることがわかります。カナタをデッカーに変身させるためにグリフォンから落としたりテラフェイザーが倒れた時の土煙を利用するなどかなり荒っぽくなっていますが、それも含めてAIの範疇を超えた成長をしていることに好感を覚えました。それはそれとしてハネジローは乱暴かつ脳筋になりすぎな気もする……

 極めつけはスフィアネオメガスの再戦時。デッカーがスフィアネオメガスを引き付けるなどのサポートをし、テラフェイザーが「TRメガバスター」でトドメを刺す流れにはかなり痺れました。お互いの力を信じて適切な役割分担をこなしていることがこれでもかと伝わってきます。このデッカーのテラフェイザーのコンビは劇中で「まるで旧知の戦友のよう」と表現されていましたが、ここまでの戦いを経てカナタとハネジローがそこまでの評価を受けるほどに成長していると思うと目頭が熱くなってきますね。まさに「友情・努力・勝利」をわかりやすく体現したかのような、見ていて気持ちのいい回でした。(余談ですが、毎回「カナタのウルトラディメンションナビ」でカナタに辛辣なハネジローが、今回は落ち込んでいるカナタを励ましたことにウルっときてしまいましたよえぇ……

 

 

  • 侵食し、創造するは破滅の未来

 10話で大きな衝撃をもたらした怪獣兵器・ネオメガス、それをスフィアが取り込むことで誕生した「新創合成獣 スフィアネオメガス」。何と前々回地面に突き刺さっていたネオメガスのツノのみを取り込んで完成したスフィア合成獣です。ツノだけで本物そっくりの怪獣を生み出してしまうスフィアには舌を巻くばかりで、最早ほぼほぼスフィア細胞のみで出来上がった怪獣と言っていいのではないでしょうか。というかシゲナカ博士がスフィアや怪獣の脅威に対抗して作り上げたネオメガスが、そのまま人類を襲うスフィアの兵器となってしまうのは皮肉としか言えないですね……

 そんな誕生の経緯故か、スフィアゴモラやスフィアレッドキングとは大きく異なり、スフィア細胞で欠損部分を治したり両腕の形状を大きく変えるといった芸当が可能となっていました。特にスフィアザウルスのような巨大な前足を出現させた時のインパクトはかなりのものでしたね。戦闘でも強敵だったネオメガスをベースにしているだけあり、デッカー・ストロングタイプと拮抗するほどの怪力を発揮していたのも印象的です。加えてスフィアソルジャーと共にデッカーに攻撃するなど、これまで以上にスフィアが攻撃的になっているように感じました。

 また前述の巨大な前足を使って地面に根のようなものを張っていたシーンも気になります。スフィアザウルスも似たようなことをしていたもののこちらは何かエネルギーを流し込んでいることが判明しており、これまで以上に不可解な行動を取っていることに不気味な何かを覚えます。地球に自分のエネルギーを注入して、地球を丸ごとスフィアにしようとしているとか……?今もなお目的が見えてこない、スフィアの不気味さを体現したかのような怪獣でしたね。

 

 

  • “善意”を知る博士と衝撃の正体バレ

 今回もう1つ印象的だったのがアサカゲ博士の描写ですね。テラフェイザーとハネジローの調整中にカナタの目標に聞いていたシーンでは、彼の苦い事情のようなものが感じられました。カナタの善意を肯定しつつ「あてのない善意というものは、逆に人を傷つける結果になってしまうこともある」という警告をするなど、曖昧としたものの危険性を説くような様子は実に興味深いです。博士はかつて“善意”の暴走を目の当たりにするといった、苦い経験をしたことがあるのでしょうか。

 一方でハネジローの提案に快く応じたり、今回の戦闘データを役立ててみせることを伝えたりと、前向きな様子を見せてくれたのもポイント。前回に続いて頑張っている仲間たちに応えようとしている姿には好印象を抱きますね。まだまだ不穏なところはあるものの、博士の人の良さが感じられてほっこりさせられました。

 

 …………などと思っていたのも束の間、アサカゲ博士がハネジローの記憶データからカナタの正体を知ってしまうラストには唖然となりました。過去作と比べてもかなり意外な正体バレシーンだと思います。何よりカナタがウルトラマンであることを知ってしまった博士がどのような行動に出るのか、一気に心配になってきました。いきなり『ダイナ』のゴンドウ参謀のような強硬手段に出てしまうのか、それとも別の道を模索してくれるのか……今後のアサカゲ博士の動向には目が離せないことになるでしょう。

 

 

 さて次回は総集編になる模様。話数的にもそろそろだろうとは思っていましたが、上述の通りラストがラストなだけに、ここで話が区切られることにヤキモキさせられてしまいますね。とはいえここ最近の張りつめたような展開の連続を考えると、深く考えずに楽しめる日常回も必要かもしれません。

 それよりも次回はあのマルゥルがゲスト出演するとのことで早速テンションが上がりました。特別編に続いてマルゥルがいよいよ本編でカナタたちと絡むと思うと楽しみで仕方ありません。ナースデッセイ号を襲った謎の停電騒ぎを、彼らがどのように解決していくのかにもワクワクしますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。