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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第6話「鬱陶しい歌」感想

祝福の歌はいつまでも……

何と言うか……ガンダムらしくなってきたね!(内心で血反吐を吐きながら)

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  • 取り戻したハッピーバースデー

 エラアアアァァァン!!プロローグ以来のショッキングな結末に思わず内心叫んでしまった今回の水星の魔女。エランの境遇(強化人間のお約束)とこれまでの展開から彼に何かしらの悲惨な結末が待っているだろうと薄々感じてはいましたが、まさかこんなにも早く退場してしまうとは思ってもみませんでした。彼の早すぎる最期、本当にショックです。

 何といってもエランが抱えていた苦悩が今回でさらに補完されたのが印象的。強化人士4号という経歴とはまた別に、オリジナルのエラン・ケネスの影武者でもあったという事実にまず驚愕しました。影武者であるエランの「全てを失った」発言、そして任務をこなすことで(元の顔と)市民ナンバーを手に入れられるという話から、彼の元の生活環境がどれほど過酷だったかも少なからず伺えます。学園にすら通えない貧困出身の少年が、今の道に進むしかなかったという想像も容易につきました。

 それ故にスレッタに対する嫉妬を露にしていた様子が突き刺さります。同じガンダムパイロットでありながら、自分とは違い様々なものを持っている彼女が恨めしく思うのも当然かもしれない、と感じました。誕生日すらないというのがまた悲しい話です。しかし、最終的にはエランが誕生日とそれを祝ってくれた家族を思い出したことには感動しましたね。ずっと空っぽだと思っていた中、自分にもその“欲しかったもの”があったことを知れて本当に良かったと思いました。良かったねエラン……!

 そしてエラン殺処分のラストで急転直下。もしや……!?と期待させておいて、一気に奈落に落とされた気分です。待ち合わせの約束を律儀に待つスレッタと、ビームが照射されるエランが同じハッピーバースデーを歌いながらの演出も相まって本当に辛かったです。ただ一方で、エランは最後の最後に自分が持っていたものを取り戻せたのは救いだったろうとは思います。エラン・ケネスの影武者でも強化人士4号でもなく、本当の自分としてスレッタと友達になった記念日=誕生日を祝う……念願を果たすことが出来たと、そう考えたいです。

 

 

  • その機体に宿るのは……?

 エランの最期に全てを持っていかれたような気がしますが、今回はもう1つ、エアリアルに関して衝撃的な描写がされていた点も見逃せません。決闘中に追い詰められたエアリアルが見せた謎の能力(サイコミュ・ジャック?)に加え、エランが目撃した謎の少女の影にはかつてないほど驚きました。直後白い影が笑うと同時にビットの攻撃でファラクトが破壊される様子もあって、このシーンの心霊的恐怖は計り知れなかったです。

 それ故にあの影は何者だったのか、放送終了後はエランの件とは別にそのことを考えてしまいます。あの幼い子どものようなシルエットを見ていると、どうしてもプロローグの主人公であるエリー(エリクト・サマヤ)を思い出してしまいます。あの影がエリーなのだとしたら、エアリアルの中には彼女が存在していることになるのでしょうか。エアリアルがデータストームの障害を克服しているのも、もしかしたらエリーが関係しているのかもしれません。(そしてあのエアリアルの一人称で描かれた小説の意味合いも大きく変わってきそうです)

 またエアリアルの中にエリーがいるとするならば、スレッタは果たして何者なのか?という疑問も湧いてきます。今回の冒頭でプロスペラがエアリアルの方を「娘」と呼んでいるシーンと「21年前の事件」というセリフから、以前から怪しまれていたエリー=スレッタの図式は崩壊したと見ていいでしょう。あるいは本人が自覚していないだけでスレッタ24歳という可能性も……MSのシステムに子どもを組み込んでいる時点で、クローンだとかそういった技術で造られた子どもであってもおかしくありません。不明瞭がことがまだまだ多いため、妄想がどんどん湧き出てくる気分です。あまりにも闇が深いスレッタ関連に、ゾッとさせられるばかりです。

 

 

  • 頼もしき花嫁、時々グエキャン△

 あまりにも辛かったりエグいと感じる内容が多すぎた今回。それ故悲しい印象ばかりを残してしまいそうになりますが、それ以外にも癒される要素もチラホラありました。個人的に素敵だと思ったのは決闘前にミオリネがスレッタにした叱咤激励ですね。エランに突き放されたことにショックを受けていたスレッタに、いつもの調子を取り戻させたことには感心しました。「鬱陶しい」というエランの心無い一言に対し、それをスレッタのアイデンティティーとして認めてくれるのは素晴らしいことだと思います。やはりスレッタには尻を叩いてくれる相棒(ミオリネ)が必要だと、改めて感じることが出来ました。

 そして今回最大の癒し要素となってくれたのがグエル先輩。前回決闘に敗北したことでジェターク寮を追い出され、このままどうなってしまうのかと心配していた矢先、ちゃっかり野宿しているシーンで思わず吹き出してしまいました。全くめげていないどころか普通にコーヒーブレイクしているのがまた笑いを誘います。1話の時と比べると、グエルは本当に逞しくなったと実感しますね。わずか数秒の出番ながら、視聴者を笑顔にしてくれたグエルには感謝したいです。

 

 

 とまぁガンダムシリーズらしい無慈悲な展開が炸裂し、ここから先はどうなってしまうのかとザワザワさせてくれた6話。しかし次回は1話から6話までをまとめた総集編を送りする模様です。このタイミングで本編がお休みというのはもどかしいですが、裏を返せば心を休める時間が出来た、とポジティブに考えていきたいところ。またYouTubeで配信されるトーク番組の方も気になりますね。(感想に関しては次回個別ではなくなる可能性があります。ご了承ください

 ちなみに本編再開してからのサブタイは「シャル・ウィ・ガンダム」とのこと。ぱっと見何このサブタイは!?と困惑してしまいます。ガンダムしませんか?」って何だよ……この軽薄そうなタイトルからして、次回はシャディクにスポットが当たるのでしょうか。こちらはこちらで謎の多い人物なので、もしそうなら掘り下げが楽しみですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。