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ポケットモンスター めざせポケモンマスター 第11話(147話・最終話)「虹とポケモンマスター!」感想

つぼみがいつか 花ひらくように

少年の夢と冒険の世界は、これからも続いていく───

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  • 帰還と再会、サトシの夏休み

 ラティアスラティオスの兄妹を救出したサトシがマサラタウンに戻ってくるシーンから始まったアニポケ最終回。まず初っ端からカスミとタケシの2人と別れていく様子にウルっとさせられましたね。1クール分の短い同行でしたが、この3人の組み合わせにはやはりノスタルジーを覚えます。それ故3人が別々の道に分かれていく過程には寂しさを抱くこともありますが、悲壮感はそこまでないので案外爽やかに見ることで出来ました。

 そうしてマサラタウンに戻ってきたサトシとピカチュウですが、その後の彼らの日常はさながら「夏休みの小学生」を思わせるものだったのがポイント。オーキド研究所のヒトカゲを探したりする話もありましたが、基本はゆったりと自然の中で遊んでいる様子を描いていました。何かと勇敢だったり心優しい面が目立つものの、本来サトシは年相応にはしゃぐ少年であることが伺えますね。慌ただしい旅から帰ってきた少年の小休止を見ることで、視聴者がサトシを見つめ直していく時間とも言うべき内容だったと言えます。

 

 また舞台がマサラタウン周辺ということもあり、懐かしのキャラやポケモンたちが次々出てくるのも印象的。マスターズエイトの際にチラリと姿を見せていたケンジが喋ってくれた時は驚きましたし(しれっとコンパンモルフォンに進化していてびっくり)、その他のサトシのポケモンたちが揃っている光景も実に素敵でした。共に遊んでいる様子を少しずつでも見せられるだけでほっこりさせられます。

 中でもトキワの森でまさかの登場を果たしたピジョットには衝撃を受けました。長いことその存在に触れられないままだったピジョットですが、最後の最後にサトシとの再会を果たしてくれたのは本当に嬉しかったです。バタフリーに次いで古参メンバーであるピジョットがついにサトシの旅に加わることになった展開は、ファンとしては感涙モノのファンサービスでしたね。

 

 

  • 始まりの夢が形になる時

 そして今回最も見逃せないポイントになったのが「ポケモンマスター」について。目指す目標であるものの詳細が一切わからずじまいだった、サトシにとっての夢とは何かが本格的に触れられたことにまずテンションが上がりました。

 何と言ってもシゲルとの再会で「どこまでポケモンマスターに近づけたのかな」という言葉を受け、サトシ自身がポケモンマスターについて考えだすような描写が印象的でしたね。ポケモンマスターの定義について当の本人がそこまで深く考えていないのは以前から明白でしたが、ここにきてそれがようやく表面化してきたように思えます。この辺りのシーンで子どもの漠然とした夢に過ぎなかったものが、ダンデに勝利してチャンピオンになったことで形になっていることをサトシ自身が認識しだしたのかもしれません。

 そして子どもの憧憬が現実に近づく中で、サトシが大自然に暮らすポケモンたちを見て「世界中全部のポケモンと友達になりたい」という答えを出すシーンにもグッときました。彼にとってポケモンは不思議な友達であり、そんな友達との触れ合いが何よりの喜びであることには納得しかありません。恐らくはバトル&ゲットもそのポケモンと一緒に過ごしたい想いからくる副次的なものなのでしょう。ようやく自分の夢を形に出来たサトシの姿にはどこか晴れ晴れとしたものを感じますね。

 はじめは他愛のない夢・憧れが多くの出会いや別れを経て成長し、ポケモンマスターというはっきりとした実体を得た……サトシがピカチュウに夢について話すシーンは、そんな感覚を覚える光景でもありました。個人的にはそのように成長した中でもまだまだ進むべき道があることを、サトシ自身がわかっているのが素敵だと思いましたね。チャンピオンになってもチャレンジャー精神を忘れず、好奇心旺盛な少年のままでいてくれることに何よりも嬉しかったです。夏休みのようなゆっくりとした空気で、自分自身を見つめ直したサトシの物語に感激しっぱなしでした。

 

 

 とまぁそんな感じでポケモンマスターの答えを出したサトシに感動し、その後のエンディングでさらに泣かされることになりました。これまでのボロボロ靴を履き替えて心機一転、新しい旅に出ることで終わるラストはシンプルながら実に美しかったです。懐かしの「タイプ:ワイルド」を流した点も含めて号泣しっぱなしでしたよえぇ。劇中のサトシと視聴者が共に彼の少年像と夢を見つめ直し、これからもサトシとピカチュウの物語は続く、といった形で締めてくれたのはファンとしても納得のいく終わり方だったと言えます。

 

 またアニポケ初代シリーズ構成である故・首藤剛志氏が構想していたという、最終回の没プロットに関して興味深いものを感じさせてくれるラストでもありました。ざっくりまとめるとポケモンの反乱を止め、虚構の世界から抜け出す「夢への卒業」「他者との共存」を綴った内容であったと言われていますが、本作の最終回はある程度のリスペクトを感じさせてくれましたね。少年時代のノスタルジーを感じさせながらもサトシの卒業という点で夢の卒業を描いていましたし、ポケモンマスターの定義を他者との共存に寄せている点も特徴的。現代らしいものへと昇華しながら、氏の構想になるべく寄り添ってくれたと個人的には考えます。

 

 

 というわけでめざポケ最終回の感想でした。サトシとピカチュウの最終章ということで懐かしさで攻めまくり、サトシ自身が自分の夢について見つめ直していくまでの1クールは本当に楽しかったです。それでいて日常ストーリーを中心に力を入れている点も、現代のアニポケらしくて良かったですね。

 そしてサトシとピカチュウの物語もついに完結。四半世紀に渡り主人公を務めてきたサトシが卒業することにはやはり寂しさを覚えますね。幼い頃にアニポケが始まったころからずっと見てきた身としては、長いこと共にいた友人との別れを味わうかのような感覚を覚えます。(僕だけでなく姉と母もたぶんそう思っていそう)とはいえここで別れを惜しんでいたも仕方ありません。最後にここまでポケモンを盛り上げてくれたサトシとピカチュウに感謝を述べ、今回はここで終わりたいと思います。

 今までありがとうサトシ、そしてピカチュウ!!

 

 

※新無印も含めた総評の記事は後日投稿します。そちらの方も読んでいただければ幸いです

 

 

 ではまた、次の機会に。