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ポケットモンスター リコとロイの旅立ち 第18話「そらとぶピカチュウ、どこまでも高く!」感想

まだ見ぬ空へ飛び上がれ!!

大人の視聴者ほど共感を覚えるであろう、フリードとキャップの物語に感動が止まらない

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  • そして彼らは新たな夢と情熱を得る

 今回のアニポケはライジンボルテッカーズ結成秘話。ずっと気になっていたフリードとキャップ(キャプテンピカチュウ)の出会いがついに描かれました。前回のロイのバトルでキャップが飛んだ謎から始まり、何故ピカチュウに船のキャプテンを任せているのか?といった疑問も見事に解決してくれて本当に嬉しかったです。

 最初に驚いたのはやはり回想シーン序盤の憂鬱気味なフリード。本編での快活な彼とは似ても似つかないテンションにまず面食らいました。その理由もポケモン博士としてポケモンのことを調べ尽くした、という一種の燃え尽き症候群だったのが意外でしたね。ただ一方で、やりたいことをやり尽くして燻ぶってしまった構図にはある程度共感が出来ます。この時のフリードは天才ポケモン博士を自負していましたが、その才能故に目標を早々に達成してしまい、その先を見出せずにいたのでしょう。若い頃抱いた夢や情熱を維持し続けることの難しさ……大人になるほど自覚していくものを、フリードはこの時味わっていたのかもしれません。

 

 そんなフリードが恩師のルッカによって「そらとぶピカチュウ」と出会い、情熱を取り戻していくくだりには不覚にも感動させられました。調べ尽くしたと思ったピカチュウの知らなかった一面を知り、世界の広さを知っていく展開はベタながらかなりグッときます。(それまで冷めていたフリードが本編のテンションに近くなっていくのもあって興奮もひとしおです)何よりフリードがこれまで重視していたデータではなく、目の前のピカチュウ自身と向き合うことで彼のことを知っていく流れが見事。リコとニャオハが互いのことを知ろうと一歩を踏み出していった過程を、フリードも経験していたことがよくわかりました。

 そうしてピカチュウをキャプテンとしたライジンボルテッカーズ結成に至る経緯も素敵でした。(ランドウのじっちゃんやオリオといった初期メンバーを巻き込んでいく様子がここすきポイント)新たな相棒をキャプテンに据えるシーンが印象的で、フリードにとって新しい景色を魅せてくれたピカチュウはまさに自分を導いてくれた「船長」そのものライジンボルテッカーズという名前が「ボルテッカーでどこまでも高く飛び上がるキャップ」から来ていることが判明した時にも思わず膝を打ちましたね。まさしくキャップはフリードの新たな夢の象徴であることがわかり、キャップ導かれることで彼の新たな物語が始まったことが伝わってきました。

 

 

  • 空高く舞い上がる黄色い稲妻

 今回フリードの心を動かしたピカチュウ・後のキャプテンピカチュウですが、彼の空を飛ぶ方法が明かされたのもちょっとした見どころ。何と言ってもボルテッカーを利用した竜巻戦術には度肝を抜かれましたね。ボルテッカーで電撃を纏いつつグルグル回りながら雷雲と上昇気流を発生させて飛び上がるという理屈は何となくわかるものの、いきなり黒い竜巻を作っていく絵面の衝撃は半端なかったです。(ピカチュウ系列の専用技であるボルテッカーを利用しているというのも、特別感がありました)他にも体の軽さや尻尾でスクワットするなど、これまで度々見せていたキャップの特徴が伏線だったことにも驚いたり。

 そうして高く舞い上がる理由が「まだ見ぬ景色(日の出)を見る」というのが何ともいじらしこといじらしいこと。本人の弱音を見せないストイックさもあって、その眩しい目的のために自分を鍛え続ける姿にギャップ萌えを覚えます。キャップにギャップ萌え……なんちゃってキャップがフリードを突っぱねていた気難しい態度が軟化して、打ち解けてからは頼もしい毅然としたキャラクターに昇華していく流れにも感心させられました。登場当初からサトシのピカチュウとは異なるテイストだったキャップですが、今回の回想でそれが本格的に形になったと感じましたね。これまでのピカチュウのイメージと独立した「キャプテンピカチュウ」の誕生を、この目で見届けた気分です。

 

 

 そんなこんなでライジンボルテッカーズの第0話とも言うべき内容だったわけですが、演出もいつもとは大きく異なっているのが印象的でした。まず画面のアスペクト比が上下の黒帯になっていたのが特徴的。他にもフリードが居酒屋(?)に向かう場面転換などはまるで映画を観ているかのような錯覚に陥りそうになります。作画のクオリティも高く、まさに映画を1本堪能したかのような満足感を覚えましたね。

 何よりフリードのような大人の立場のキャラに新しい可能性を示す物語が素晴らしかったです。普段子どもの冒険を扱っているアニポケだからこそ、それを支えてくれる大人たちにも夢と情熱があることを教えてくれるストーリーに心が震えます。大人もまた子どもと同じように夢を見て熱くなったりしていける」そんなメッセージが込められているようにも思える今回のエピソードは、まさに大人ほど元気付けられて感動させられる内容だったかと思います。個人的にもかなりの神回!!として推していきたいですね。

 

 

 さて次回からは舞台はいよいよガラル地方に。前作では描かれる機会にあまり恵まれなかったこともあり、その分本作でガラルの隠れた魅力がアニメで見られる可能性に期待してしまいます。何よりリコのおばあちゃんがどこにいるのかも気になりますね。

 しかし次回はマードックが主役の模様。かつてのパティシエ仲間の確執や相棒のマホイップとの関係など、次は彼の過去が明かされそうでワクワクしますね。スイーツの料理対決というアニポケでは久しく見られなかった形式のバトルもありそうでその辺りにも注目したいところ。

 

 

 ではまた、次の機会に。