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仮面ライダーガッチャード 第3話「ブシドー、見つけたり。」感想

今こそ真剣に道を見据える時

見えるぞ、私にもスパナくんが最終的にはデレデレになる姿が見える!!

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  • 戦いと触れ合いの責任を抱いて

 引き続き錬金アカデミーで課されたテスト、ケミーとの対話をクリアしようとする宝太郎から始まった今回のガッチャード。お金にうるさい「銀杏蓮華(いちょう・れんげ)」や人間嫌いの「鶴原錆丸(つるはら・さびまる)」といったやたら濃いアカデミーの生徒たちとの触れ合いから描かれつつ、またもやケミーについての姿勢を見せていく主人公の考えに見入ることになりました。気難しいアッパレブシドーとの対話に一度は失敗するものの、ブシドーだからと剣道の素振りを始める単純さはかえって宝太郎のひた向きさが表れていましたね。

 個人的に注目したいのはマルガムとの戦闘での初の敗北や失敗を経て、宝太郎の中で戦うことへの動機がはっきりしつつある過程。漠然としたまま仮面ライダーになり人々やケミーのために戦っていましたが、苦しむ人々を助けられなかった悔しさから真剣に戦おうとしているように見えました。夢を追うことの楽しさやケミーとの触れ合いばかりに気を取られていた中で、自分が負ければたくさんの人を救えない……そんな責任感を抱いたのかもしれません。ここから楽しいだけではないことを知っていく思春期の成長が垣間見えます。

 上述の素振りも、アッパレブシドーの立場になって考えてみようという彼なりの歩み寄りだと言えるでしょう。(ブシドーが襲い掛かってきたことに「自分の悪意に触れてしまったのかも」と考えて庇う辺りがここすきポイント)未だに粗削りではたから見るとトンチキな行動ですが、本人は真剣そのものなので好感が持てます。今回ケミーとマルガムの恐ろしさを味わってもなお「人間とケミーは友達になれる」と言ってのける点にも感心させられますね。前回に続いて、何だかんだで宝太郎のことを応援したくなる展開にちょっとニヤリとさせられました。

 

 

  • いざ友のために参ろう、滑走と真剣の錬成

 

  スケボーズ

SKEBOWS!

 

アッパレブシドー    

APPAREBUSHIDO!

 

ガッチャンコ!

 

アッパレスケボー!!

 

 前回助けた「スケボーズ」と何とか心を開いてくれた「アッパレブシドー」のライドケミーカードを組み合わせて錬成(ガッチャンコ)して変身したガッチャードの派生形態「アッパレスケボー」。赤い甲冑が特徴的な鎧武者のフォームです。兜など武士らしい重装備な上半身と、スケボーのようにスマートで細身な下半身のコントラストが何ともユニークに感じられます。背中にブースターのような意匠が施されている点も興味深いところ。

 戦闘ではスケボー要素を持った下半身の車輪で動き回り、相手を翻弄しつつ攻撃する機動力と手数の多さをウリにしたバトルスタイルを披露。両刃剣と弓の2つの用途を持つ「ガッチャートルネード」で時に相手を斬りつけ、時に射撃で射貫く縦横無尽な戦いぶりは、想像していた武士道とは大きく異なっていて驚きました。近接だけでなく遠距離からの攻撃も得意としている辺り、距離を選ばない戦いが期待出来るなど使い勝手が良さそうですね。

 他にもスケボーに乗ったSD武者頑駄無鎧武者の姿をした「アッパレスケボーワイルド」になって空中を飛びまわったり、必殺技で竜巻を巻き上げるなど技がとにかく多彩で見ていて楽しいです。必殺技は竜巻の中で何をやっているのかよくわからなかったのですが、中で相手を切り刻んでいるのだろうなぁ……ということは何となく察せられましたね。本作におけるスピード重視の形態といった趣きが個人的にもかなり好みです。

 

 

  • 厳格なる男のちょっと2号っぽいところ

 上述の宝太郎の前に現れていきなり噛みついてきた謎の少年「黒鋼スパナ(くろがね・スパナ)」の本格参戦も今回の見どころですが、スパナが思った以上に2号ライダーらしかったので思わず笑ってしまいましたね。ケミーはあくまで「管理するべき道具」だと断言し、宝太郎からカードを取り上げようとする強引さは往年の当たりが強い平成2号的なテイストを感じました。主人公とは真っ向から意見が対立しており、敵ではないものの決して仲間とは言えない絶妙なポジションにどこか懐かしさを覚えます。
 このように宝太郎への態度が辛辣なスパナですが、こちらはこちらでその言い分に納得出来るのが面白いですね。ケミーの危険性は劇中を見ていると理解出来る範疇ですし、それを道具として管理しようとする姿勢そのものは当然の判断と言えます。宝太郎のカードを奪おうとした件も、裏を返せば一般人である彼をこれ以上戦いに関わらせないための対処なのかもしれません。他にも剣道部屋でわざわざ靴を脱ぐといった、要所要所で出していく律儀な面を見ていると根は悪い人ではないということが伝わってきます。(所持しているケミーが暴走していないことからも悪意を持った人間ではないのがわかりますし)

 とはいえ現状はその厳格さ故宝太郎とケミーに対するスタンスの違いを見せていますし、これから仲間になっていくのはかなりかかりそうな予感がします。しかし一度仲間意識を持ってしまえば、あれよあれよという間に宝太郎にデレて入れ込んでくれそうだとも感じますね。スパナの決め台詞(?)である「笑えないジョークだ」や「美学」が、宝太郎との友情を築くうちにエモい言葉に変わることを期待したいです。

 

 

  • 美学を以て任務を執行する、黒き鋼を纏いし重戦士

 

ガキン!

マッドウィール

MADWHEEL!

ゴキン!

 

ヴァルバラッシュ!

 

TUNE UP!

MADWHEEL!!

 

 黒鋼スパナが「ヴァルバラッシャー」に「マッドウィール」のライドケミーカードを装填、エネルギーを抽出し強化錬成した姿「ヴァルバラド」。本作のサブヒーローです。実質2号ライダーのポジションなのですが、ガッチャードとは異なり名前に仮面ライダーを持たない全く別の強化スーツという扱いの模様。少々ややこしいもののライダーともマルガムとも異なる、あくまで別物のヒーローというのは昨今珍しい気がします。(非ライダーの変身ヒーローとしては『ビルド』のマッドローグ他以来でしょうか)

 そのデザインを一言で表すなら「武骨」そのもの。顔の左半分が巨大なレンチ(スパナ)を模している左右非対称(アシンメトリー)な頭部はもちろんのこと、上半身が赤紫で下半身が真っ白といった全体的なチグハグさが印象に残ります。まるで作業員の装備とヒーローの装甲を継ぎはぎしたかのようなイメージです。他にも全体を通してサビや煤といった汚れが目立っており、そのボロボロな見た目はキラキラしているガッチャードとは見事に対照的と言えます。ただ複眼ではない鋭い目つきやアンバランスなシルエットなど、そういった要素が非常にカッコよく見えますね。ライダーの不文律に乗っ取っていない分、これまでのデザインに縛られないクールなヒーローになっていると思いますね。

 戦闘シーンに関しては変身後すぐに次回予告に映ってしまったので詳しいことは現時点では不明。ただ武器としても使えるヴァルバラッシャーの大きさや「ガッツショベル」のカードでさらに武装した「ガッツショベルカスタム」など、パワー寄りの戦闘力を発揮してくれそうな気がしますね。久々の非ライダーのヒーロー、変身ではなく「鉄鋼」の掛け声など、オタク心をくすぐる要素満載なので次回のバトルを見てみたい!と早くも興奮させられます。

 

 

 そして次回は宝太郎とスパナの関係の続きを描く模様。宝太郎を「お前を仮面ライダーとは認めたわけじゃない」などこれまた2号ライダーっぽいツンケンしたムーブを見せるスパナですが、純粋な宝太郎に如何にして絆されるか気になりますね。(というか予告映像に一瞬スパナ所持のマッドウィールを宝太郎が使うシーンが映っているのですが……)スパナだけでなくりんねも父についての心情を吐露するようですし、気難しい仲間たちが主人公のひた向きさに触れて少しずつ変わっていく様子が見られそうです。

 さらにここまで静観していた冥黒の三姉妹も本格的に動き出すとのこと。2話続けて一般人の悪意が扱われて彼女たちの影が薄かったのですが、ようやく敵組織らしく暗躍してくれそうです。あくまでケミーを自分の都合のいいように利用しようとしている三姉妹の目的は何か、それらについて触れていく展開も一緒にやってほしいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。