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2023年夏アニメ簡易感想 その26

 

 

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な に こ れ

 

 ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のゲーム『インフィニティ ストラッシュ』が本日発売され、その記念として新プロモーション動画が公開されましたが、『日本昔ばなし』でお馴染みの「にんげんっていいな」の直球パロディだったので思わず困惑しつつ吹き出してしまいました。絵柄や歌など全体的に元ネタに寄せてきているほか、クロコダイン役の前野智昭さんにヒュンケル役の梶裕貴さん、バラン役の速水奨さんが迫真の演技を見せてくるので見ていて笑いが止まらなかったです。(他にもポップがきつねさんポジションなの点でツボにハマりました)

 といったようにネタに満ち溢れたこの動画、歌っている3人が人間の強さや尊さを知っていく本編を丁寧になぞっておりただのギャグでは終わっていないのが面白いです。ポップの勇気を見たクロコダイン、マァムの優しさに触れたヒュンケル、そして息子ダイとの親子愛を導き出したバランと、それぞれ「人間っていいな」となっていく過程がわかりやすかったと思います。個人的には「私は帰る」「とてもいい名前だ」といったバランパートが特に涙腺にきますね。そういった意味では、ダイの大冒険への作品愛に溢れている動画と言えるでしょう。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

BLEACH 千年血戦篇ー訣別譚ー

第24話「TOO EARLY TO WIN TOO LATE TO KNOW」

 霊王宮に侵入してきたユーハバッハと零番隊の戦いが勃発。初戦である今回は、和尚率いる零番隊の強さと恐ろしさがこれでもかと強調されていました。あっさり倒されたと思われた「修多羅千手丸(しゅたら・せんじゅまる)」がユーハバッハと親衛隊を欺き、桐生たちが入念に準備した「命の檻」であっさり閉じ込める手腕には舌を巻くばかり。極めつけは王悦が失敗作と称した「鞘伏(さやふし)」で親衛隊メンバーをバッタバッタと斬り倒すシーンが強烈ですね。鞘が作れないほど切れ味が良すぎる刀であっさりねじ伏せていくシーンは、特殊能力重視の本作では珍しいこともあって中々にインパクト抜群でしたこれは勝ったな風呂入ってくるわ。

 そして総大将である和尚も恐ろしいです。終始余裕かつこちらを見透かすかのような態度と、笑みに反して目が笑っていない辺りに底の知れなさを感じます。さらに今回の冒頭で、原作ではなかったユーハバッハとの過去の回想が挟まれたのも印象的。和尚がユーハバッハの“ある力”を封じていた事実に衝撃を受けつつ、霊王や三界の核心に触れる情報を次々と口にする様子に思わず見入ってしまいました。やはり和尚の目的は世界の存続であって、そのためにユーハバッハや一護を利用する気なのでしょうか……?一護パートが久々登場の岩鷲とのコントもあって微笑ましかった分、決して味方とは言い切れない全判隊の暗躍に戦々恐々するほかありません。

 

 

シュガーアップル・フェアリーテイル

第24話(最終話)「新しいかたち」

 ラファルの言いなりだった妖精たちが助けに入るという胸熱展開を交えながら、シャルとラファルの戦いは最終局面に。最終回ということもあってか戦闘シーンの激しさが以前よりも増しており、両者の命の取り合いに数分ながら手に汗握ることとなりました。そしてラファルがどこまでも狂気的にシャルを追い詰めた一方、味方が誰もいない事実に打ちのめされている様子が何とも物悲しかったです。彼が「アンに出会えなかったシャル」というもう1つの可能性として描かれていた節もあり、欺瞞と暴力でしか他人と触れ合えない偽りの王様であることがよく伝わってきました。飛び降りが呆気ない分、どこか後味の悪いものを覚えます。

 その後アンとシャルがペイジ工房の仲間たちの元に帰ってきたのですが、彼らが自力で仕事をほぼ完遂させたことには仰天しましたね。前々回のアンのために自分のやるべきことに没頭し続けたエリオットの決意がキチンと果たされているだけでなく、アン個人に頼らず仲間が成長していることを実感します。ブリジットも前向きになりましたし、2クール目からアンが介入することで立派に持ち直したペイジ工房に子どもの自立を見ているかのような感動に包まれました。そして新聖祭を経て、アンが再び個人で活動する決意を固めるのがこれまた素敵。彼女とシャルの関係は未だに平行線なままだけれど、確実に一歩踏み出せた状態で砂糖菓子職人の物語が続いていくことを思わせてくれることで上述とは一転、実に爽やかな感触で終わりを見届けることが出来ました。

 

総評

 今年の冬アニメから分割2クールで描かれたファンタジーラブロマンス。砂糖菓子職人という料理作品的なテイストもありましたが、それ以上にシュガーのタイトルに反したビターで過酷な展開の数々が目に付きました。人間に奴隷の如く扱われる妖精や女性蔑視が蔓延る社会、何より悪意を持った人物が明確にアンたちを傷つけてくる様子に世界名作劇場のような趣を感じます。登場人物たちの頑張りが上手くいかないことも多く、「こんな社会だからこそアンが頑張らなければならない」という説得力が生まれていた点も面白いところ。

 それ故砂糖菓子職人としての矜持を描きつつ、懸命でひた向きなアンに好感が持てる内容に仕上がっていたと言えます。彼女を支える妖精のシャルとの関係も絶妙で、職人としてのアンの邪魔をせず適度に支える彼のいじらしさに思わず胸がときめいてしまいます。恋愛ものとしての定番を外さず、最初はただの使役関係だった2人が距離を縮めていく過程に目が離せませんでした。(2人の間に割って入らずを貫いたミスリルもグッド)

 アンとシャル以外にも印象に残るキャラが多く、それぞれがこの社会の荒波に揉まれたり折れてしまっているのが特徴的。そんな彼らと妖精たちとの関係も興味深いく、個人的には1クールに登場したフィラックス公辺りがお気に入りのキャラとなりました。終盤では妖精王の謎やラファルの生死など気になる要素が多いのでラファルはあれ絶対来てるでしょその内2期をやってくれたら嬉しいところです。

 

 

あやかしトライアングル

第12話(最終話)「妖の王・花奏すず」

 日喰という強敵を乗り越えて日常が戻ってきた最終回では、何とすずがシロガネの代わりに妖の王をやることに。大丈夫なのか?という心配もありましたが、すず本人が思いのほかやる気満々ですぐに微笑ましさに変わりましたね。妖の側に立って思い遣れる性格なのは知っていましたが、自分が妖側であることに何の躊躇もない辺りが結構驚きではあります。それどころかオモカゲも使いこなすなど、自分の力をあっという間に受け入れていくのが花奏すずの強さであることをここにきて感じました。

 そんな成長著しいすずに対して祭里はどうなのかというと、恋愛に関してはポンコツという弱点を晒してきたので思わず吹き出してしまいました。鈍感主人公はラブコメの定番ですが、見た目が女子ということもあって何とも言えないドギマギを覚えます。(そんな祭里に照れながらも「自分を磨け」と言ってやれる二ノ曲先輩は流石やでぇ……)しかしすずの妖の王としての道を支えようとするなど、男らしい一面は健在で一安心。過去のことで拗れてしまった「タヌマロ」の術を受け入れ、自分が蒔いた種を自分で片付ける姿勢にも好感が持てます。例によってハレンチな展開でしたが紆余曲折あったものの、祭里とすずの2人なら何とかやっていけるだろうと感じられる最終回でしたね。

 

総評

 矢吹健太朗氏の新作のアニメということで、まず主人公が1話で女体化するというインパクトに惹かれましたね。ハレンチ&ダークネスなお色気描写の数々も『ToLOVEる』の頃からある程度引き継がれており、エロラブコメとしての安定感が段違いでした。(その分テレビ放送での規制も激しく正直シュールになりつつありましたが)ヒロインのすずの方が欲望に忠実である点も新鮮で、その本性が徐々に明らかになるにつれて元凶たるシロガネが常識人っぽく見えてくるところにもクスっときます。その他のキャラも何だかんだ強烈でしたが、個人的には二ノ曲先輩の初心な一面が好みだったり。

 そんなエロさの一方で、祭里とすずの関係など他の見どころも多かったのも見逃せません。ただの幼馴染だった関係が、祭里の女体化を経てお互いを意識していく過程にはニヤニヤしっぱなしでした。特に祭里が女子になったことで、すずに対する行為や他の友人など様々なものを得ていくのが微笑ましかったですね。バトル展開もそこそこ本格的で、特に終盤の日喰戦は凝った駆け引きに興奮させられました。3カ月以上の延期など例によって昨今のアニメ業界の苦しさを表していた側面のあるアニメ化でしたが、ひとまず完結出来て良かったと感じています。

 

 

SYNDUALITY Noir(シンデュアリティ ノワール)

第12話「Mirage of the Ideal」

 本命のコアを隠して生き延びたシルヴァーストームとの最終決戦は、ノワールの眠りというまさかの展開を持って呆気なく幕を閉じることに……6話でも一瞬登場した黒いノワールこと「ミステル」に入れ替わり、そのメイガススキルであっさりシルヴァーストームを倒すシーンには思わず唖然となりました。しかもノワールが自分のポンコツぶりから心を閉ざしてしまう過程も描かれており、見ていて何とも胸が痛みましたね。カナタの成長ぶりに対して何も出来ていない自分を恥じていることに共感を覚えるだけに、ミステルに体を譲ってしまった事実にショックを覚えます。

 そんなミステルは一転してカナタへの当たりがキツいのですが、本来のマスターへの重い感情が何とも切なかったです。あの人がいない世界にいたくはないと眠っていたのに起こされた、と思うと彼女が苛立つのもわかる気がしますね。またミステルの口ぶりからして、ノワールとの関係性も何となく読み取れるのが興味深いところ。恐らくミステルが眠っている間のボディを管理するために作られた人格こそが、セーフモードことノワールなのでしょう。ノワールの記憶がないのは元々過去の記憶が存在しないから、とかありそう)

 そうして距離を縮めていたパートナーが一気に引き離されたわけですが、他にも「マハト・エーヴィヒカイト」という本名が明かされた黒仮面の動向など気になる要素が多かったです。中でもトキオが黒仮面のことを知っていたのが驚きでしたね。トキオと黒仮面の関係や、ノワールが眠ったままミステルと組むことになったカナタなど、多くの謎や懸念を残したまま続きは3か月後!という事実にちょっとじれったくなります。

 

 

好きな子がめがねを忘れた

第13話(最終話)「好きな子と約束をした」

 東くんの件に続いてまーた脳破壊されてるよこの主人公……と、ある意味でいつも通りだった最終回。三重さんの髪型変更に見惚れるなど例の如く堪能していた小村くんが、彼女が小学生の同級生男子と再会する瞬間を目撃して一気にドギマギしていく様子に何とも言えない感情を抱きました。しかし今回の彼は嫉妬以上に「いつか三重さんに忘れられてしまうかもしれない」という懸念を抱いていたのが興味深かったですね。自己評価の低さ故に、三重さんにとって自分はクラスメイトの1人に過ぎないと考えているのがいじらしいです。はたから見ると今更何を言ってるんだお前?とツッコみたくなりますが、その危機感には共感を覚えます。(あとめがねを「忘れる」三重さんが自分のことも「忘れる」かも……と繋がっていく展開はお見事

 そのうえで小村くんが三重さんとの見つめ合いにて、「それ以上の関係」を望み始めるのが素晴らしかったです。これまでは三重さんを支えてあげられるだけで満足していたものの、それだけではいけないことをようやく理解したようでホッとさせられます。結局口には出さなかったものの、三重さんとの仲を確実に進展させられたという実感も得られました。さらには幼少期に2人が出会っていた回想シーンも衝撃的で、三重さんとの不可思議な関係性はあの頃から続いていた事実にほっこりさせられます。(「三重さんを好きになって初めて自我が芽生えた」ってそういうこと?)2人ともその時のことは「忘れて」しまったのかもしれませんが、その繋がりは決して消えていないと伝わってきましたね。

 

総評

 近年のスタンダードになりつつある主人公とヒロインの1対1のラブコメ作品。しょっちゅうめがねを忘れる危なっかしい三重さんを、小村くんがドキドキしながら支える構図が面白おかしいポイントでした。三重さんが無自覚に距離を縮めてくる分小村くんが翻弄させられる展開も大分コミカルで、ラブストーリーらしいこそばゆさとコメディらしいおかしさが同時に味わえるのが大きな特徴だったと言えます。

 三重さんと小村くんはそれぞれかなり個性的なキャラクターをしており、特に小村くんは独白や妄想の数々が気持ち悪い思春期として描かれていたのが鮮烈でした。三重さんも本当に学生なのかと心配になるほどドジで、2人揃って良くも悪くもアクが強かったと思います。このように人を選びそうな主人公とヒロインでしたが、本人たちの初々しさもあってあまり気にせず見ることが出来たのは面白いですね。ある意味でバランス感覚が絶妙で、見守っていたくなる作品に仕上がっていたと考えられます。

 ストーリー自体は安定した面白さで楽しめた一方、美麗な作画に関しては少々難色を示すところもありました。間違いなく綺麗ではあったもののカメラワークや光の演出などがクドいと感じる場面もいくつかあり、話に集中できなかった時もありました。(OPとか美しさもありましたが、ぐるんぐるん動くのでちょっと酔ってしまう時があったり)「アニメの作画はただ綺麗なだけでいいわけではない」と少々考えてしまうアニメ化でもありましたね

 

 

贄姫と獣の王

第24話(最終話)「妃と王国の未来」

 魔族としての姿を取り戻した王様とセトとの戦いは、前王の隠された真実とセトの悲しい最期によって切なさに満ちた形で終わることに……母に言い聞かされてきた自分の血が偽りだと知らされて取り乱すセトの姿は何とも哀れでした。前回の感想で王族や種族に縛られていると感じましたが、ここまでくると自分の生まれに翻弄されている彼の人生に同情を覚えます。だからこそサリフィが「生まれた来た理由なんて何でもいいじゃない」と、ありのまま自分を認めてくれて逝けたのがセトのわずかな救いと言えるでしょう。

 その後はアーシャから貰った日記から王様の本当の母親の想いが判明し、生まれに関係なく愛してくれた彼女の愛にウルウルきてしまいました。何よりサリフィと王様よりも以前に、種族に関係なく相手をありのまま受け入れ合った関係があったと思うと心が暖かくなります。その愛を知った王様がレオンハートを名乗り、後に生まれた息子に母がくれた「リチャード」の名前を与えるのがこれまた素敵ですね。(数年後そんなリチャード王子に、両親の馴れ初めを話すアヌビスのシーンがここすきポイント)魔族と人の垣根を越え、お互いの歩み寄りを始めていく物語として実に綺麗でほっこりする結末でした。

 

総評

 以前単行本を購入していた作品のアニメ化ということでとにもかくにも視聴しましたが、非常に手堅くまとまったアニメ化という印象を受けました。原作の細かい部分を端折っているのが気になるものの、大筋をしっかりまとめたうえで2クールで収めたというだけでも評価が高いです。作画も飛びぬけて良いわけではないもののいわゆる作画崩壊といったものは全く存在せず、終始安定した絵柄だったのもあって安心して見ることが出来ました。(それでいてフェンリル戦などここぞという場面でヌルヌル動くのが良き)

 内容に関しても原作の「差別と偏見を乗り越え、自分と他人の“ありのまま”を受け入れる」ことの尊さを説く要素をキチンと魅せてくれたのが好印象。人間と魔族の争いに限らず、魔族同士の差別も根付いた世界でそれに縛られないサリフィが周囲を変えていく過程が実にわかりやすかったです。全体的に予想の範疇を超えないベタな展開だったのですが、だからこそ素晴らしいと感じられるファンタジーだったと言えます。

 まとめると連続2クールで作画も普通、内容もシンプルと実に「ちょうどよい」作品という感触でした。一昔前のアニメのような趣もあり、アニメってのはこういうのでいいんだよと個人的にすごく満足させてくれる理想的なアニメ化だったと思います。この調子で次は『白兎と獣の王子』をやってもいいのよ……?

 

 

 ダイの大冒険と言えばアバン先生が主役のスピンオフ漫画がいよいよ佳境に入っている点も見逃せません。ロカの最期を予感させる覚悟に泣いたり、マトリフVSガンガディアのリスペクトぶりに燃えたりと本編に負けず劣らず心を揺さぶられまくって毎回楽しく読ませてもらっています。(最新話ラストで「あの氷と炎」のプロトタイプらしき奴」が出てきた時はびっくりしましたね)もうすぐ完結することは寂しいものの、こちらも最後まで見届けていく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に。