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2023年秋アニメ簡易感想 その16

 

 

 

 年の終わりの度に話題になる流行語大賞のうち、ネット上で開催されている「SNS流行語大賞」の2023年ノミネート情報が先日公開されました。今回もSNS上で流行った多くのワードが選ばれており、話題作の劇中のセリフや突然生まれた造語など実に様々なものが揃っています。個人的には『王様戦隊キングオージャー』の「スカポンタヌキ」など、好きな作品のワードがノミネートされていることにニヤリとさせられました。

 しかしそれ以上に目に留まったのが上のポスト(旧ツイート)にも掲載されている「待ちなさーい!そんなの許さないわ」。これはクレヨンしんちゃんの映画の1作クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』に登場する敵キャラ・マカオとジョマの劇中セリフです。*1このワードが流行っている状況を僕自身目の当たりにしてきましたが、まさか1996年に公開された映画のキャラが令和になって注目されるとは思ってもみなかったです。それだけマカオとジョマのキャラが魅力的かつ、セリフが改変しやすかったということでしょうか。何はともあれ、昔の作品が突如脚光を浴びることもあるSNSの奇妙な出来事を語るワードと捉えても良さそうな、面白い話だと思いますね。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ラグナクリムゾン

第8話「痛撃」

 ラグナを助けに入ったクリムゾンの智謀策略が火を噴くぜ……となるかと思いきや、むしろ周囲の滅茶苦茶な行動に振り回されるポジションとして描かれていたことに唖然となりました。まさかのラグナとネビュリムが結果的に協力する形で結界を破壊してきただけでも気の毒なのに、「銀装兵団(ぎんそうへいだん)」なる集団に囚われたりと思い通りにいかない様子が可哀想でもあり面白かったです。特に「スターリア・レーゼ」王女の嘘を見抜く力にどう対処するかで、心底面倒くさそうにするクリムゾンに変な笑いが出てしまいました。

 かといってクリムゾンがただの道化ではなく、残虐非道な存在として描かれていたのも忘れてはいけないポイント。アルティマティアの歪みを突きつけたとはいえ、大量爆破で一般人を殺しまくる光景には恐怖を覚えました。普段の態度もあってコミカルな印象が強いものの、この竜が信用してはいけないタイプの外道であることはキッチリと認識させられます。(だからこそ上述の思い通りにならない展開でヘイトコントロールをしているのでしょう

 あとはやはり、クリムゾンの回想らしきシーンが気になるところ。謎の少女との会話もそうですが、廃墟のビル街でミサイルが飛び交う光景は明らかに異質でした。もしや本作はファンタジーと見せかけたSFなのか?以前の銃や車はその伏線?といった疑問が尽きない衝撃がありましたね。

 

 

薬屋のひとりごと

第7話「里帰り」

 園遊会で貰った簪が外出の切り札になるということで、まさかの猫猫の帰郷が描かれた今回。如何にして外に出してもらうか策を張り巡らせて、宦官を翻弄する猫猫に舌を巻きました。彼女に巻き込まれた「李白(りはく)」は遊郭の誘惑にあっさり乗ってしまう俗っぽさがありますが、むしろそういった庶民的感覚に親しみを感じますね。変人主人公にドン引きする常識人よりかつ、いざお目当ての遊女相手にはしゃぐところに好感が持てました。

 そうして叶った猫猫念願の家族たちとの再会ですが、思った以上にあっさりしていたのが意外でしたね。猫猫の父親もまるで何てことのない感じで出迎えていましたし、人攫いに誘拐されてから10カ月もの間離れ離れだったとは思えません。(最も本作の世界ではこれくらいのことは日常茶飯事であるのかもしれませんが)とはいえ親父と対面してからの猫猫の気安い態度にはどこか安心感を覚えました。家族だからこそと言うべき穏やかな光景が、猫猫にとって何よりの安らぎの時間であることが伝わってきます。

 他には今回の壬氏もちょっとした見どころでしたね。前回の毒についての全容把握などに追われ、ヘトヘトになっている様子は何とも可愛らしかったです。そのうえいざ猫猫に会おうと思ったら不在だった時の表情などにはクスっとさせられます。普段彼女を引かせたり振り回す妖艶さが目立つ彼の、苦労人な一面が知れて何よりです。

 

 

アイドルマスター ミリオンライブ!

第7話「ドキッ! 真夏の海のデビューバトル!」

 前回活躍した志保たちTeam1stに続き、今度はTeam2ndとTeam3rdのデビューが始まったのですが、水着での障害物競走というドキっ!女だらけの水着バトル大会!ポロリもあるよ感全開の番組内容に困惑が止まらなかったです。しかも勝ったチームだけが新曲をお披露目というルールもあってちゃんと宣伝する気あるのか?とちょっとツッコみたくなりました。(それらひっくるめある意味で一昔前の危険なバラエティっぽかったです)そのうえ面白いのが各チームメンバーの濃さと彼女たちが繰り広げる競走の様子で、あまりにもカオスな様相を呈していたせいか本作最大のトンチキぶりを味わいましたね。あと小鳥さんは自重しろ

 しかしそんな状況でどちらかが勝つのではなく、チームの垣根を越えて力を合わせる方向性に持っていったのは見事。「大事なのはみんなで繋ぐこと」は本作のテイストとしても正しいですし、何より協力してくれた方が見ていて応援したくなってきます。そうして終盤仲間たちに託された「高坂海美(こうさか・うみ)」とチュパカブラの攻防は実に手に汗握るものとなっていました。いつになくアクションシーンに動きと迫力も入っており、ハイクオリティCGを遺憾なく発揮していたのもポイントでしたね。*2おかげで海美をはじめとした面々が一気に魅力的に映った回だったでしょう。……ところでチュパカブラって結局何だったの?

 

 

でこぼこ魔女の親子事情

第8話「呪われ魔女のお料理事情」「狂気の不死鳥の診察事情」「でこぼこ童話劇場」

 ルーナおばさんお姉さんダルォ?料理下手、を超越した何かに爆笑した前半。普通に作っているはずが気が付いたら得体のしれない物体が出来上がる呪いの強さが衝撃的ながらも実におかしかったです。擬態系といった料理とは思えないワードが飛び交う結果、普通に下手で普通に美味しくない失敗作で褒めちぎられる光景はあまりにもシュールでした。一方でアリッサが動揺するほどだった“あいつ”とは一体……?
 そんなルーナ作の何かを食べてインコなってしまったフェニックスも、後半の診察で結局こいつは何なのか……?という疑問が湧いてくる結果に。そのうえ幻獣大好き「キクラ」先生の強烈なキャラクターにも面食らってしまいました。フェニちゃんのビームを喰らっても喜ぶ辺りマジの変態だと察せられるうえ、ラストのホラーオチには笑いつつもゾッとさせられます。フェニちゃんだけでも意味不明なのに、その幻獣すら怯えさせる存在の登場にこの作品の底知れなさが伺えますね。

 ラストのCパートではアリッサとビオラたちを童話の登場人物に見立てたパロディ物が展開。例え昔話であろうとも全く変わらないノリで、しかも短い尺を勢いだけで乗り切る辺りにこれまた笑いが止まらなかったです。ちなみに個人的には女子の方が勇ましい「筋魚姫」がお気に入り。

 

 

星屑テレパス

第7話「大胆リーダーシップ」

 慧との出会いを経て憧れやワクワクを手に入れた海果会長の「欲張り」が描かれた今回。部長会議で大会の優勝を宣言したり、瞬の誕生日会に積極的になるなどかつてないほど行動的な様子が微笑ましかったです。例によって瞬とのすれ違いから自分のやり方に疑問を覚えたものの、ユウとの触れ合いで徐々に自信を取り戻していく過程もグッド。自分のやりたいことがユウたちを導く“キラキラ”という灯火になるのだと信じ、みんなを引っ張っていこうとする成長ぶりに心が暖かくなってきましたね。

 そんな海果によって瞬も変化していく描写も見どころ。何といっても自分のために多くのことを与えてくれる仲間たちを前に、「勝たせてやりたい」とはっきり思えるほどになったことには驚きつつも感動しました。勝利を優先するあまり全部自分でやろうとする不器用さが目立つものの、興味のないことには無頓着だった頃と比べると確かな前進と言えます。まだまだ自分の我を通してしまう欠点もあるので、ここから如何に海果たちとの協調性を育んでいくのか注目したいです。

本編の大筋以外だとモデルロケットのライセンス云々の話が興味深かったですね。海果たちのライセンス取得があっさり済んだのは意外ですが、これも指導講師ライセンスを持っている瞬の存在あってこそなのでしょう。前々回の説明も含め、モデルロケットへの本格的な話が展開されている様子に見ているこちらも興奮させられました。

 

 

ミギとダリ

第8話「ふたり≠ひとり」

 前回のラストでこれまでの協力から一転、別々の道を進むようになったミギとダリ。ミギが復讐以外の生き方を模索し自分を見つけつつある一方で、ダリは自分1人でも復讐を成し遂げようとする固執を見せてきたのが印象的でした。片や晴れやかな笑顔で秋山との奇行を楽しみ、片や神妙な顔で作戦を練っていく対比はカオスながらもどこか悲しかったですね。特にダリは「ミギがいなくても僕1人で何とかなる」と意固地になっているのが丸わかりで、知らず知らずの内に強がっている姿にどこか寂しいものを覚えます。2人が共に生きてこられた理由でもある信頼関係が儚くも崩れ去ったことを、ここにきて再確認させられました。

 そんなこんなで始まった仮装大会ですが、こちらは最初いつもの本作らしいシュールさが魅力的でした。瑛二を優勝させたうえで罠に嵌めるからと、ダリが周囲に彼の嘘の武勇伝を流すくだりは特に意味不明で面白かったですね。しかし瑛二の優勝辞退やミギを庇って表に出てしまったダリなど、突然の場面展開に呆然とするほかなかったです。双子の存在がついにバレてしまった問題もそうですが、庇ってくれた瑛二が負った重傷など困惑が止まりません。前回のラストに双子の関係崩壊に続き、今度は和やかな偽装生活の崩壊を感じ取る回だったと言ってもいいでしょう。

 

 

 SNSではない、一般的な流行語大賞2023年も公開されましたが、こちらも様々なワードがノミネートされました。主に今年起こった様々な世情が読み取れる趣深い内容となっています。

 

www3.nhk.or.jp

↑ノミネートされた言葉については上の記事も参照。

 

 中でも“X”のノミネートが個人的には印象深いです。多くの人が愛用してきたTwitterの突然の名称変更は、実に多くの波乱を呼び起こしました。僕自身、長年使って染みついたTwitterの名前が失われたのはショックでしたね。あの青い鳥のアイコンも変更された件も含め、否応なしにかつてのTwitterが失われつつある悲しい話だったと言えます。(上のSNS流行語大賞2023でも「Twitterの鳥」がノミネートされていますし)そんな変わりゆくものへの寂しさを覚える中、今後どうするべきなのか考えさせられる年でしたね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:詳細は省くが、しんのすけたち野原一家を追うシーンで発したセリフである。

*2:余談だが今回モーションアクトサポートとしてクレジットされた和田圭市さんは、五星戦隊ダイレンジャー』にメインで出演しておりアクションも得意な人だったりする。