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ウルトラマンブレーザー 第19話「光と炎」感想

親子の絆が炎竜を呼ぶ

え、ファードランって不死鳥じゃなくてドラゴンなの!?(今回最大の衝撃)

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  • 祝福の言葉が親子を繋ぐ

 前回イルーゴのガス侵略を打破したのも束の間、次なるブルートゲバルガの脅威が迫っていた今回のブレーザー。そんな中V99案件について追うエミ、彼女の父親との関係について描かれたのが大きな見どころとなっていました。まず冒頭ではエミの父「蒼辺樹(アオベ・イツキ)」博士の娘への無関心さが伺える話が印象的。形見のロケットペンダントに書かれたエミの誕生日が「父の憧れの人の誕生日」と間違えられていることから、娘の誕生日を覚えていない薄情な父親像が早くも浮かんでしまいました。エミが半ば諦めたような反応を返していることからも、かつてのこの親子のやり取りを何となく察してしまいます。そのせいでいきなりエミに同情を覚えてしまいましたよえぇ。

 とはいえエミが第66研究所跡地、事故があった爆心地で父親と再会を果たすシーンには驚きました。行方不明だったはずの父が現れたというのもありますが、それ以上に彼がエミに向かって「誕生日おめでとう」という言葉を贈ったのはあまりにも意外でしたね。おかげで上述の父親像が早くも崩れ去り、樹博士がエミの誕生をしっかり覚えていたことに感動させられます。理屈は不明ですが、ワームホールの先から何らかの方法でこちらに一時的に現れたのであろう父が振り絞って伝えたのが娘への愛情……これがエミにとってどれだけ救いだったかは言うまでもないでしょう。ワームホールから出現したファードランをブレーザーの元に送り、不器用だったものの娘とのコミュニケーションを果たした博士に一転して感動させられる回だったと思います。

 

 

  • 第二の災厄、衝撃の集大成

 前回倒したと思われたイルーゴが大量発生する中現れた「宇宙汚染超獣 ブルートゲバルガ」。11話で登場したゲバルガと同種の新たな姿です。(“超獣”とありますがお馴染みのヤプールは恐らく関係ありません)今回で幼体であることが判明したイルーゴの成長しきった状態かと思われますが、まず目を引くのがその巨体。体長は以前のゲバルガから実に2倍以上の約150mにまで巨大化しており、ブレーザーを悠々と見下ろせるほどの圧巻の威圧感を出してきました。他にも体色が赤みがかった茶色に変更されているほか、尻尾の部分にイルーゴの頭部が2本生えているといった違いもあります。まさにゲバルガの純粋な上位種として進化したことが伺えますね。

 その能力もゲバルガから純粋に進化しており、EMP(電磁パルス)による電磁波のネットワーク被害は以前よりもパワーアップ。強化したはずのアースガロンを即座に起動不能に陥らせたほか、ブレーザーを体内に閉じ込めて電磁波で攻撃するエゲつない技まで発揮していました。きさまは電子レンジに入れられたダイナマイトだ!電磁波に限らずともチルソナイトソードを一撃でへし折る膂力、尻尾のイルーゴで相手に噛みついて捕まえる技など単純に手数が増えているのが実に厄介と言えます。そのうえ周囲には生き残っていた多数のイルーゴが蔓延っており、これらをまとめて仕留めるのは至難の業と言えるでしょう。

 そんなブルートゲバルガですが、劇中で予想された役割は「繁殖」とのこと。そもそもイルーゴは最初のゲバルガ来訪時に電波ジャックした通信施設に産み付けられた卵から出てきたのではないかと推測されており、あの時の侵攻がイルーゴの産卵場所の確保のためだった可能性が浮上してきました。電磁波で文明を破壊した後、イルーゴを繁殖させてガスで環境を作り替える……これこそがセカンド・ウェイブの全容だったということでしょう。まだ終わっていなかった事件に衝撃を受けると共に、再びゲバルガの異質な恐ろしさが伝わってきましたね。

 

 

  • 悪鬼羅刹を焼き払う、焔を纏いし竜の鎧

 かつて第66研究所があった爆心地にて、エミが発見した炎の塊。その正体は「炎竜怪獣 ファードラン」でした。名付け方は例によってゲント隊長の謎ネーミングから。全身が炎のように揺らめいており、巨大な翼と小さな頭部が特徴的です。(そのビジュアルはぱっと見不死鳥のようですが、分類的には竜とのこと)そんなファードランは何とブレーザーと同じM421出身の怪獣であり、ブレーザーとは協力関係にある相棒のような存在である模様。実際劇中では外に飛び出すや否やブレーザーの元に駆けつけ、イルーゴたちを燃やして彼を助けていました。救出されたブレーザーが地団太で興奮していた辺りからも、両者の良好な関係が読み取れますね。

 そのファードランの力を宿したストーンを装填することで、ブレーザーはファードランが姿を変えた「ウルトラマンブレーザー ファードランアーマー」へとパワーアップ。通常とは異なるぐんぐんカットが挿入されたことから、これがブレーザーの最強形態にあたる姿のようです。見た目こそ通常のブレーザーと変わりないものの、右腕と胸部の一部にだけ炎を象った鎧が装着されている姿は中々にカッコいいです。エックスのモンスアーマーや超闘士を彷彿とさせる一方、限定的な装甲による強化はウルトラマンでは結構新鮮に感じます

 そうして発揮されるファードランの炎のパワーは非常に強力。炎の槍を大量発生させ、イルーゴたちを焼き尽くす攻撃力はかなりのものです。さらにファードランとチルソナイトソード(2本目)*1を合体させた両刃の剣槍「チルソファードランサー」から放たれる必殺技の数々も大迫力でしたね。炎と雷で攻撃する「チルソファード炎雷斬」でブルートゲバルガを撃破し、街全体に炎の波を放つ「チルソファード炎竜ウェイブ」で地面に潜んでいたイルーゴを根こそぎ焼却するシーンには仰天の一言。唐突な登場となりましたが、終盤になってようやく手に入れた強化形態として、申し分ないお披露目だったと思います。

 

 

  • 実験の真実と残る謎

 そして前回エミが捕まえた西崎さんから話を聞くことで、第66研究所で扱われていた「V99案件」の真実の一端が明らかになったのも見逃せないポイント。そもそもあの研究所では「アメリカから運ばれたワームホールの修復実験」が行われていたらしく、ある時ワームホールが暴走、樹博士を含めた多くの人々が吸い込まれたのが事故の真実とのことです。長いこと気になっていた実験内容がワームホールというのも驚きですし、そもそもそこから何と接触しようとしていたのかという疑問も湧いてきます。

 その接触者に関しては博士の日記から「V99の正体は1999年に飛来した“地球外生命体”(隕石の正体は彼らの宇宙船?)」であることも判明。ワームホールもその地球外生命体によってもたらされたもので、博士は彼らとの対話を試みていたことがわかり色々と腑に落ちましたね。上層部の目的はまだわかりませんが、少なくとも現場の研究者たちは未知なるものとのコンタクト・コミュニケーションが目的だとわかって少々安心しました。途中ドバシ・ユウに日記を回収されたのでこれ以上は明かされなかったものの、ある程度考察の材料が揃ってきたことにテンションが上がります。

 

 さてここまでの情報から、V99はバザンガやゲバルガを地球に送り込んでいる“何者か”、あるいはブレーザーやファードランたちM421出身の存在のどちらかではないかと考えます。現状前者と後者で全く異なる存在かつ関連性は不明ですが、少なくともどちらかに接触したことで事件が動き出したということなのでしょう。特に前者であればあちらが何らかの理由で地球に移住するために、原住民を滅ぼそうとしているのではないか?などといった妄想が捗ります。まだまだわからないことだらけなものの、十分に色々考えられる内容にワクワクが止まりませんね。

 

 

 さて次回はテルアキ副隊長にスポットが当たる模様。農家をやっている実家に里帰りする中で怪獣被害が発生、それに対処していく様子です。どうやら副隊長の父親との確執が描かれるようですが、気が利く彼にどのような過去があるのか地味に気になりますね。ゲント隊長やエミとはまた違った親子の物語が見られそうです。

 さらに次回登場する怪獣・ズグガンは地底怪獣とのこと。しかもモグージョンに続く地の底からの敵に対し、今度はアースガロンが自ら潜って戦うようです。『デッカー』以来となる地底での戦闘シーンが本格的に見られそうでこちらも楽しみですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:ちなみに今回ブレーザーは「チルソナイトさえあればその場で新しいチルソナイトソードが作れる」ことが判明したのも見逃せない。