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ウルトラマンブレーザー 第18話「そびえ立つ恐怖」感想

通じ合う想いを超えて

ちょくちょく出てくるガイア要素は何なのさ!?(歓喜

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  • 言葉が無くても通じ合う

 今回のブレーザーは冒頭いきなり出てきたイルーゴによって街全体が汚染されるところからスタート。イルーゴが放出するガスのせいで避難を余儀なくされた人、さらにはマスクなどでガスを吸わない対策をしなければならない人が続出する光景に胸がキュッとなってしまいました。現実でも新型ウイルスの感染対策のためにマスク等をするのが当たり前になっていた時期があったので、見ていて他人事ではない危機感や閉塞感というものを感じずにはいられなかったです。

 そんな中でゲント隊長は家庭の問題に思い悩まされていたのが今回の見どころでした。妻のサトコさんに「そんなに忙しいの?」と詰められる様子は、上述のガス騒ぎとはまた違った緊張感が走っていましたね。しかしながらこれは隊長が施設課所属という嘘をついてそれが疑われているからなので、個人的には黙っていたツケが回ってきたように思いました。(とはいえサトコさんの詰め方にも引っ掛かるところはありますが)恐らくは危険な仕事だからこそ家族を心配させまいとする隊長の心遣いなだけに、この誰も悪くない状況に言いようのない気まずさを覚えます。

 

 そういった家庭崩壊の危機をよそにイルーゴに吹っ飛ばされた特殊車両の乗組員などを助け、ブレーザーに変身してイルーゴを倒すなど怒涛の展開が続いた後半。救助したカメラマンによってゲント隊長の雄姿が映ってしまう形でサトコさんたちにバレてしまったことに驚きましたね。カメラマンたちからすれば隊長への感謝の気持ちやその活躍を届けたい善意故の行動なのだと伝わってくるだけに、何とも言えない感情にさせられます。(というか被害に巻き込まれていた中でもカメラを回していた報道陣のガッツには感心させられるところがありますね

 最初こそゲント隊長を気の毒に思っていたのですが、受け入れてくれたサトコさんの対応にさらにびっくり。上のやり取りとかも考えるに薄々気付いていたのでしょうが、そのうえで敢えて言及しない聡明さには感動させられました。これは「あの人のことだから何か事情があるのだろう」という、妻としての察しの良さから来ているのかもしれませんね。いずれにしても言葉で上手く説明できずにいたヒルマ家が、“言葉を介さずに通じ合う”形で信頼し合う展開には個人的にグッときました。こういったコミュニケーションもあるのかと感じつつ、いつか隊長が家族に面と向かって話す時が来ることを楽しみになってくる回だったと思います。

 

 

  • 言葉を以て通じ合う

 ヒルマ家の家庭問題以外にも、“言葉による信頼の獲得”とも言える展開が戦闘中に見られたのが興味深いところ。イルーゴのガス攻略のためにフィルターを大量投入したアースガロン今のアーくんは巨大な空気清浄機や!で出撃するテルアキ副隊長たちが、ブレーザーに作戦を伝えるシーンには思わず見入ってしまいました。ブレーザーのチルソナイトソードの電気を操る力を利用して、プラズマによる空気の浄化をお願いする作戦には膝を打ちました。いわゆるプラズマクラスターによる空気清浄を、ウルトラマンの武器で行うというのが何とも面白かったです。

 何より副隊長がブレーザーに口頭で説明する様子が印象的。ウルトラマンが何者なのか・本当に味方なのか未だにわからないのに、信頼を寄せて言葉でコミュニケーションを取ってくれる辺りが何とも凄まじいと思いました。そのうえ言葉が通じるのかわからない相手になりふり構わず喋る度胸も感じられますね。とはいえ視聴者視点だと、ウルトラマンを信じてくれる構図にはエモいものを覚えます。異なる存在でも仲間だと信じてくれる副隊長の行動に、素敵だと胸が熱くなりました。

 そしてブレーザーの剣について言及してくれたアーくんの活躍も今回の注目ポイント。どこかよそよそしい感じでヤスノブに話しかけてきたところも、今となっては微笑ましいです。何よりアースガロンが単独でイルーゴの1体を撃破した点も見逃せません。ここにきて一気に活躍の幅を広げつつあるアースガロンに、今後も目が離せません。

 

 

  • 地に蠢き、空を蝕む奇怪な毒蛇

 今回登場した「汚染獣 イルーゴ」はかなり変わった怪獣で、ヘビを思わせる細長い体を地面から生やすビジュアルは近年の怪獣の中でも特に奇妙です。(地面に直立不動している様子はチンアナゴっぽい)頭部は4対の目と思われる器官が上下にそれぞれ配置されており、さらに口の中には歯が上下に1列ずつ並んでいるというこれまたユニークなもの。さながら2体の怪獣の上顎同士を合体させたかのようです。鋭い目つきと相まってかなり凶暴そうに見えますね。

 そんなイルーゴの最大の特徴が口から出す通称「イルーゴガス」。劇中の説明によるとこのガスは硫黄酸化物や硫酸塩などと近い成分をしているらしく、人間がこれを摂取すると目がチカチカする・喉に強烈な痛みが走るといった症状を引き起こす実に厄介な代物となっています。近隣の住人たちに甚大な被害をもたらす恐るべき怪獣ですが、テルアキ副隊長の分析の結果これはイルーゴが過ごしやすい環境に変えるためのガスであり、イルーゴにとって地球の大気は自身の細胞を傷つけてしまう危険なものとのこと。自分の生存環境を広げようとする点では、ある意味理解出来るところがあります。(後述のバザンガ&ゲバルガとの関わりを考えるに、この能力は「バザンガとゲバルガが文明を崩壊させた後、地球を住みやすい環境にテラフォーミングする」ためのものなのでは……?)

 他にもその細長さを活かして敵に巻き付いたり噛みつくといった攻撃方法を仕掛けてきましたが、正直それほどの脅威ではなかったように見えましたね。厄介なのはイルーゴガスだけで、あとは3体くらい現れて数に翻弄されたくらいしか苦戦要素がありませんでした。防御力もガスの中だけで発揮されており、ガスが無くなった途端あっという間に倒されたのが印象深いです。今回アースガロンが初めて単独で怪獣撃破出来たのも、イルーゴのガスありき故の脆さが出た結果と言えるでしょう。

 このようにこれまでの怪獣と比べるとそれほど強くはなかったという印象を抱くイルーゴでしたが、それでも見逃せない要素がありました。それが交戦中に突如丸まって形態変化するシーン。丸まって変化したその姿は、11話で襲来したゲバルガの丸まった姿と瓜二つだったからです。このことからイルーゴはゲバルガと何か関係のある怪獣であることがわかります。次回登場する怪獣からして、恐らくゲバルガはイルーゴが変態・進化した姿なのかもしれませんね。そう思えば人類への攻撃的なガスの性能にも納得がいきます。間違いなくV99案件に関わっているこの怪獣、ゲバルガ共々その正体が気になるところです。

 

 

 今回はさらにエミが追っているV99案件について少々話が進んでいったのも大きな見どころ。ハルノ参謀長ら上層部からSKaRDの待機命令を下されたことから、今回出てきたイルーゴがバザンガやゲバルガと同じ存在、即ち「サード・ウェイブ」なのではないか?と予想された時は思わず耳を疑ってしまいました。(その前に「イルーゴが宇宙怪獣である疑惑」が出てくるなどの布石も貼られていましたね)さらにエミが第66実験施設にて研究していた科学者の生き残り「西崎勉(ニシザキ・ツトム)」と接触するパートも見逃せません。ついに謎のV99について知っているであろう人物の話が聞けるこの状況、物語が核心へ一気に近づいていく感覚に興奮を覚えます。

 他にも余談として、イルーゴを排除するために防衛隊が投入した特殊車両もちょっとした小ネタが。最初見た時はどこかで見た覚えがある程度でしたが、視聴後に調べた結果ウルトラマンガイア』に登場したXIGのライドメカ「シーガル・ファントップ」だとわかり仰天してしまいました。まだ残っていたことも驚きですが、改造せずにほぼそのまま出してくる円谷の采配にはニヤリとしつつ衝撃を受けるほかありません。この前の総集編といい、ちょくちょくガイア要素を出してくる本作には舌を巻くばかりです。

 

 

 さて次回はまさかのゲバルガ復活!!イルーゴから進化したであろう新たなゲバルガの新ビジュアル、そしてその巨大さには予告の時点で圧倒されます。通常形態の頃からかなりの強敵だっただったゲバルガがさらにパワーアップしてしまうとどうなるのか……!?という脅威を感じずにはいられません。

 その一方でエミが謎の真相に触れようとする中で、次元の狭間から飛び立つ炎を目撃する模様。これがV99案件の真実なのでしょうか?そしてこの炎がブレーザーの新たな力になることにワクワクさせられます。後半の山場の1つであろう次回が今から楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。