青春の酸いも甘いも一緒に
これは、令和ライダー特有「街頭テレビ演説」……!?
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- 楽しいも辛いも受け入れて
サラッと主題歌の映像がもうすぐ公開の夏映画仕様になった今回のガッチャード。序盤から加治木がクロトーたちにボコボコにされ、聖さんが攫われるという急展開が襲い掛かってきました。しかし宝太郎が加治木を連れて早速聖さんを助けに向かう展開の早さあって見応えがありましたね。やられてもめげずに立ち上がるテンポの良さは見ていて気持ちがいいものです。記憶を取り戻してしまった聖さんに関しても、ハラハラしつつも何とかしてくれそうという安心感がありました。聖さん「古き友は言った……」ガエリヤ「まずい前世(ウルトラマン)の記憶まで取り戻してる!?」
そうして繰り広げられたジャングルマルガム&バッテリーマルガム戦ですが、ガッチャード以上に加治木の奮闘が印象に残りました。ガエリヤの精神攻撃と自己嫌悪で、メンタルがどん底に陥っていた聖さんを救い出す様子は本当にカッコよかったです。電撃を喰らっても立ち上がり、怯える彼女を「守る」とまで言い切った時は大いに感動しました。その守る意志については、聖さんから忘れられても実行しようとする姿勢まで見せたので本気なのだと確信出来るのがまた素敵。(無論ガッチャードもクロスユーフォーエックスのブラザーズの活躍もあってカッコよかったです。)
加えて10話のセリフである「楽しかった思い出まで否定するなよ!」と再び口にしたのも胸熱でしたね。自分を醜いと卑下する聖さんに対し、それだけが彼女の全てではないことをしっかり伝えてみせました。さらにその説得を受けた聖さんが、執念深い自分を受け入れられたのも素晴らしかったです。これらの描写に関しては自身から分離したマルガムの動きを止めたシーンも含め、人は自分の悪意(マルガム)を受け入れコントロールすることが出来るのだと考えています。
楽しい記憶や辛い記憶、自分の良いところや悪いところも全てひっくるめてその人自身……そうした事実を受け入れることで、人は悪意やケミーと折り合いを付けられるということなのでしょう。劇中で度々取り沙汰されている「人間の悪意との付き合い方」に対し、1つのアンサーを示してくれた加治木と聖さんに心が震える回でもありましたね。
そして加治木と聖さんの仲を取り持ってくれた錬金アカデミーの面々も大きな見どころ。まず加治木たちの記憶の問題について、消さずに見守ることにしたミナト先生の配慮にグッときました。掟を破ってでも彼らのことを優先してくれた理由として、亡き後輩である錫屋大輝の想いを汲んだという点にも納得がいきましたね。さらにはユーフォーエックスやケミーの花火を使って2人の雰囲気を盛り上げる宝太郎たちなど、ロマンチックなシチュエーション作りに力を入れる青春模様が面白い一幕でもありました。
- ガッチャな彼女を受け入れて
記憶に関してはもう1つ、前回から描かれているラケシスのモデルの記憶についても軽く描かれていました。前回の時点では自分のモデルもきっと性悪かも……とらしくない躊躇いを見せていたラケシスをスパナが励ます様子が少々エモかったのですが、今回もラケシスを見守るスパナ&鏡花さんの絵面に癒されることに。まずラケシスのモデルとなった人物が歌手を目指してたことが驚きのポイント。そのうえで夢に邁進していた彼女に関して、ラケシスが穏やかに語っていたのが印象に残ります。その夢を「ガッチャ」と捉えられる辺り、ラケシスの人間性が育まれていることも読み取れますね。
その後の花火を眺めて食事を取るシーンなども、不思議な家族の団欒のように描かれていて何とも微笑ましかったです。食事を楽しむ余裕を持てるようになったラケシスもまた、人形としての自分とモデルの記憶を自分の一部として受け入れてみせたのでしょう。(途中グリオンの幻覚らしきものを見ていたのが不穏ですが)いつになく優しく映るスパナも相まって、こちらも見ていて心地よい光景だったと思います。
あと余談ですが、ラケシスが今回口ずさんでいた歌も見逃せません。調べたところこちらはラケシス役の坂巻有紗さんの持ち歌である「素直にI love youを」とのこと。坂巻さんがシンガーソングライターとして活動していることから、モデルの人物の歌手という役職も決まったということですね。そしてタイトルと歌詞からわかる通り恋愛要素の強い曲で、今回の加治木の恋愛要素を彩るのにちょうどよいチョイスになっているのがニクいところ。結構素敵な曲なので、是非一度聞いてみることをおすすめします。(こちらのリンク先(https://www.youtube.com/watch?v=e8EKtH4C6-M)を参照。)
- 暴かれた真相は受け入れられるか
とまぁかなりいい感じに終わって読後感も素敵な回でしたが、ガエリヤの企みはまだ潰えていない模様。それどころか聖さんたちの悪意を集めて何かを狙っていることまで示唆されており、彼女が決して油断ならない敵のままであることが伺えます。聖さんが持っていた「連鎖性のある悪意」を手に入れたことで、次に彼女が何を目論んでいるのか気になってくるばかりです。グリオンもまだまだ暗躍していますし、何だかんだ脅威は未だに多いですね。友(ギギスト)よ……お前は今どこで戦っている……?
とか何とか思っていたら「草生フリーダ(くさお・フリーダ)」なる謎の動画配信キャラが突然出てきて度肝を抜かれました。完全にVTuberな彼女がケミーやマルガムについてを暴露してくる絵面のインパクトたるや、ここまでの話の印象を一気に吹き飛ばしてしまったように思えます。(これはガエリヤの仕込みなのか、それとは全く関係ないのかも混乱に拍車をかけてきます)というか令和ライダーでまたもや街頭テレビで謎の演説を繰り広げるキャラが出てきたことに困惑を隠せません。それも超常現象を扱うVTuberという辺りがガッチャードらしいゆるさに繋がっていますが。
さてそんな困惑の種をまいた草生フリーダを演じたのはテレビ朝日の公式VTuberである桜葉ハグ(さくらば・ハグ)さん。ライダーの後番組として以前放送されていた『新世界メタバースTV!!』のパーソナリティを務めていたことでも有名ですが、まさかライダーに登場するとは思っても見ませんでした。大事なバーチャルYouTuberに陰謀論かざすヤベー奴を演じさせるとかテレ朝は何を考えているんだ。冬映画に出演した白上フブキさんの件といい、VTuberの扱い方がおかしい番組だなぁと少々フフッとくる話でしたね。
というわけで次回はガッチャードの民衆によるパニックが描かれる模様。ケミーが人間に取り憑いて怪物にしてくる存在だという情報が拡散され、恐れる人や利用しようと企む悪人たちがごった返してしまうそうです。予告映像では錬金アカデミーに乗り込む迷惑配信者まで出てくるようで……これまで何度も描かれていたガッチャードの治安の悪さ・人々のさり気ない悪意が、最大の敵になる展開にゾクゾクさせられます。
そしてケミーやマルガムの記憶を思い出した人々によって世界が混乱に陥る中で、スパナがある決断を下すようです。これまで厳しい意見を口にしてきたスパナのことですから、非情な選択を取ることは目に見えていますね。とはいえ緊急事態である以上スパナの行動が間違いとは言い切れないですし、宝太郎の夢がドンドン遠ざかっていくことになりそうで歯痒くなってきます。
ではまた、次の機会に。