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ウルトラマンブレーザー 第24話「第3波接近襲来」感想

決死の想いと絶望の爆風

最終回1話前の主人公とウルトラマンの分離展開に定番の懐かしさを感じる

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  • 帰るための覚悟を固めて

 いよいよ決戦となった今回のブレーザー。サード・ウェイブことヴァラロンの地球への落下は阻止されたものの、今度は月の軌道を変え地球に多大な被害をもたらそうとする相手に対して月に行くことになったSKaRDの覚悟の過程が描かれました。ハルノ参謀長が責任を取って解任された今、上層部の無茶な命令もこなさなくなったのがまず辛いと感じましたね。この辺りはV99に関する何かしらの証拠を揉み消そうとしているドバシの静かな横暴さも相まって腹立たしくなってくる時ありました。

 そんな生きて帰れる保証のない月での作戦前に、各々の時間の過ごし方が印象に残りました。アンリは9話で登場したツクシのおじさんと出会った公園でジョギング、ヤスノブは6話で出てきたクルルのいるコインランドリーに、テルアキ副隊長は20話の家族への電話をかけるなど……これまで描かれたそれぞれのメイン回を印象付ける場面を再び見せるくれたのが嬉しかったです。彼らの掘り下げに繋がる要素を出すことで、個人個人の日常の過ごし方や決意を固める様子がより実感を得て見ることが出来たと思います。このセリフではなく絵で魅せる演出の趣の深さに何とも惹かれるものがありますね。

 そしてその中でも特に鮮烈だったのがゲント隊長の描写。解任されたハルノ参謀長と会いエミのことと帰還することを命じられたり、家族を背に作戦に向かう姿に何とも言えない切なさを感じました。加えてそんな夫を笑顔で見送りながら、目を潤ませるサトコさんにも胸が締め付けられます。(見送った後にほろりと涙を流すのがまた……)無事では済みそうにない危険な宇宙での戦いを前に、こうした「帰るべき居場所を見定める」ことの大切さを描いてくれるのはとても重要だと改めて考えさせられましたね。

 だからこそ出撃時にて、ゲント隊長がSKaRD各メンバーの名前を呼び掛けるシーン(アーくんもSKaRDの一員として名前を呼んであげるのがここすきポイント)で胸が熱くなるとも言えます。この辺りに「生きて戻る」という想いが込められていると感じられます。まさに自分たちの居場所を再確認し、そこに帰ってくるための覚悟を持って戦いに臨むSKaRDたちの強さが垣間見える回でもありました。

 

 

  • 星を砕き滅びをもたらす爆弾魔王

 前回隕石からその姿を現した怪獣「宇宙爆弾怪獣 ヴァラロン」。バザンガ、ゲバルガと同じ軌道で襲来してきた宇宙怪獣(サード・ウェイブ)にして、本作のラスボス怪獣です。そのビジュアルはオーソドックスなゴジラ体型とは裏腹に、うなぎやミミズを思わせる細長いヌルリとした頭部が目を引きます。顔の上半分が半透明のハッチのようになっており、そこに目と思われる光が複数灯っているのが何とも不気味なものを感じます。さながらエイリアンを彷彿とさせる、地球生物とは別の宇宙生物らしさがありますね。

 その他にも両肩などに生えた触手のような突起物もある中、尻尾の先端に巨大な有機爆弾を持っているのが何よりも特徴的。爆弾怪獣の別名の通りこれを取り外し、月に巨大なクレーターを作り出すほどの爆発を発生させてきます。しかも爆弾の生産スピードも速く爆発を何度も起こすことが可能で、劇中では上述の通り月の軌道を変える所業までやってのけました。爆弾はアンキロサウルスよろしく尻尾に付けたまま振り回してぶつける使い方も披露していましたし、これまでの怪獣と比べてもかなり攻撃であることが伺えます。

 爆弾に限らず腹に回転丸ノコ(ガイガンかな?)や突起物から放つ電撃も装備と全身武器庫のような怪獣ですが、個人的には作戦を即座に切り替えられる知能の高さが恐ろしいと感じましたね。劇中ではアースガロンやブレーザーと戦いながら月の軌道を変えようとしていましたが、ブレーザーによって軌道を元に戻された途端爆風で飛んだ月の破片に乗って地球を目指す行動に出ていました。そもそも前回地球に行くつもりがタガヌラーのビームに邪魔されたので本来の目標に戻っただけとも取れるものの、地球と月で別々の作戦を企て行動出来る点は侮れません。そのうえで絶対に地球の文明を破壊しようという意志も感じられ、知略的かつ狡猾ぶりこそヴァラロンが脅威であることの最大の理由だと感じましたね。

 この時点で十分にヤバいのですが、終盤はブレーザーのエネルギーを吸収してさらなる形態にパワーアップまでやってのけました。この第2形態は全身の突起物が長く湾曲した形状に変化したほか、頭部もツノが生えてより強そうな見た目になりました。まさに本作のラスボスに相応しい、禍々しさを宿した形態になったと言えるでしょう。怪獣兵器が地球でどんな大暴れを見せるのか、楽しみでもあり怖くなってきましたね。

 

 

  • 心を通わせた2人の分離

 そして月での決戦では案の定ヴァラロンに大苦戦するのですが、それ以上にゲント隊長とブレーザーが分離する展開に衝撃を受けることとなりました。いきなりカラータイマーがなるほどの満身創痍で戦ってボコボコにされるだけでも痛々しかったのに、ブレーザーが隊長を解放して1人で月の軌道を戻した時は本当にショッキングでしたね。隊長のように自分を躊躇なく犠牲にする姿勢に、改めて2人は似た者同士であることを感じます。(何より自分と同じような自己犠牲で切り離された隊長の感情も察するにあまりあります)

 ただ、ある意味でゲント隊長とブレーザーの関係性の素晴らしさに胸打たれることになりました。はじめは互いの正体もわからず手探りの状態で戦っていた中、ゲバルガの件をきっかけに似た者同士であることを認識し心を通わせてきた両者。それが今や、お互いのことを想って行動するようになれた辺りに感慨深いものを覚えます。言葉は通じずとも様々な形で心を通じ合わせ、立派な相棒として成長していった2人のコンビには少々感動させられますね。まさに本作のテーマである「コミュニケーション」を体現した存在であると言えるでしょう。

 それはともかく、個人的には「月で戦った後に相棒のために分離する」という『コスモス』の終盤を彷彿とさせる展開となってしまった今回。ボロボロの状態で宇宙を彷徨うことになってしまったブレーザーを救う手立てがあるのか非常に気になりますね。何とかアースガロン共々仲間と脱出出来たゲント隊長は、果たしてブレーザーを助けて叩けるのか?実にウルトラマンらしい大ピンチに人間たちがどのような活躍をしてくれるのかに注目したくなりました。

 

 

 そして次回はブレーザー最終回!!地球に降り立ち破壊を繰り返すヴァラロンに対抗するために、ゲント隊長たちSKaRDの面々の決死の猛攻が描かれる模様です。さらに全ての始まりであるV99の事件もいよいよ全貌が明かされるとのことで、ドバシたちが隠している秘密の判明に期待がかかります。(正直V99の謎をここまで引っ張るとは思ってもみませんでしたが)人類が犯した過ちとは何か?その事実を前に彼らはどんな答えを出すのか?バラエティ豊かなエピソードを描いてきた作品の最終章として、何を描いてくれるのか楽しみで仕方ありません。というわけで最終回も、俺が見る。

 

 

 ではまた、次の機会に。