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ウルトラマンブレーザー 第14話「月下の記憶」感想

月明りの下、真実を求める

寺田さんが演じる「組織の恐ろしいボスキャラ」がめっちゃ怖いよ~

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  • 真実を探す者と促す者、そして止める者

 今回のブレーザーはエミが主役。前回の時点でやや怪しかった彼女の行動、そしてウェイブの謎について大きく迫る内容となっていました。何といっても序盤からゲバルガたちについて探っているエミのシーンが印象的で、防衛隊のシステムをクラッキングしているのが描写からして丸わかりだったのでビビりましたね。若い頃に同じことをして捕まったというのに、それを繰り返す彼女の胆力にまず恐れおののきます。

 しかしエミが調べている最重要機密事項・V99の秘密、そして謎の実験施設の事故に彼女の父親が関わっていたことを知り納得。行方不明の父について探っている事実に、彼女の仄暗いものを見た気分です。ハルノ参謀長が父との知り合いかつ「おじさん」と呼んでいる仲だった事実も驚きで、この1話だけでエミの様々な一面を見た気がします。そうした独断行動も目立つものの、ラストの必死に声を上げるシーンといいエミの中に抱えた疑問や憔悴に同情を寄せて応援したくなりました。そんなエミの心情を慮って調べ続けることを許可するゲント隊長の判断にも共感を覚えましたね。

 対して真実を求めるエミに釘を刺し、度々止めようとしていたのがハルノ参謀長。今回もSKaRDの面々に叱咤を浴びせていましたが、エミに対してだけは高圧的な態度の中に気遣っているかのような表情が読み取れました。彼女の行動を諫めているようでいて、実際は友人の娘を危険な目に遭わせように止めているように見えましたね。物言いこそ厳しいものの、参謀長なりに苦悩や気遣いを持っていることが薄々読み取れます。(またSKaRDに解散の可能性をチラつかせるのも「今後起こりうる事態のためにSKaRDを存続させたい」と考えての言動なのかもしれません)現状あまりいい感情では見れないものの、決して冷徹とは言い切れない参謀長にも目が離せません。

 

 

  • 秘密を握るは老獪な古狸

 本格的に物語の縦軸になってきた「V99」と秘密の第66実験施設の謎。バザンガたち謎の敵対勢力によって送り込まれたと思われる宇宙怪獣、果ては1999年の隕石まで関わっているとされる施設で何が行われていたのかは現状不明。今回判明したのは2020年に起きた爆発事故にゲント隊長が要人警護と救助に当たっていたこと、そして施設職員だったエミの父親が行方不明になったなど断片的な情報ばかりです。肝心の実験の詳細について何もわかっていないだけに、この辺りの話に妙な不気味さを感じずにはいられません。ただゲント隊長がブレーザーと一体化したのはこの爆発事故の時だと判明したのは大きな収穫ですね。ブレーザーがわざわざこの施設に姿を現すほどの“何か”がこの事故の時に発生していたことだけは察することが出来ます。

 とにかく背筋に嫌な悪寒が走りそうな話ばかりですが、極めつけは当時の施設の管理者だった「ドバシ・ユウ」の登場。探り回っているエミを部下に連れてこさせ、彼女に釘を刺す一連のシーンにはとてつもない緊張が走りました。一見するとスポーツジムで汗を流す気さくなお爺さんですが、エミの質問をのらりくらりとかわしつつ逆に彼女がどこまで調べたのか聞き出す老獪さは中々のもの。加えてエミの父親の話を出しつつ圧をかける話し方にはゾッとするものを覚えました。ウルトラマンシリーズ常連でもある大物俳優・寺田農さんの演技力も相まって、ドバシの底知れない恐ろしさが画面越しにひしひしと伝わってきます。(ジムには他にも一般客がいるのにこんな話をして大丈夫なのか?と思ったらそれら全員SPだったのも怖かったですね……)同時に上層部は確実に何かを隠していることもわかったのも事実。それらの謎をエミたちに暴いてほしいですし、その時は是非この古狸の鼻をあかしてくれる展開を期待したいです。

 

 

  • 空を切り、全てを抜き去るトライアングルの影

 今回の怪獣は「月光怪獣 デルタンダル」。本作でもついに登場した空を飛ぶ怪獣です。しかし過去空中を自在に飛ぶ怪獣は数多くいましたが、デルタンダルはそれらと異なっている要素を多く持っている異質な存在でもあります。まず目を引くのがその見た目で、正三角形に顔が生えたような形状はかなり奇妙。さながら全翼型のステルス機のような姿をしていますが、空中を高速で飛び回るにはこの形が最も最適なのかもしれません。(余談ですがよーく見ると手足のようなものも確認出来、生物らしさも一応残ってはいます)

 積乱雲を巣にして身を隠し、雲が晴れればまた別の積乱雲を探して飛び回る生態も特徴的。ここまでは可愛いものですが、マッハ9という速度から発生する衝撃波で地上の民家などが破壊されることが問題ですね。さらには哨戒中の戦闘機も撃墜するといったことまでしており、人間社会に少なからず被害を出してしまう危険な怪獣と言えるでしょう。戦闘時には胸の発光部分から光弾を連続発射し、牽制しつつ衝撃波で吹っ飛ばす戦法を得意としているようです。防御面でもブレーザーのレインボー光輪にも耐えるほどでしたし、そもそも空中で追いかけることも至難の業ととことん厄介です。

 さて、このデルタンダルの戦闘シーンは全編通して夜の空中戦で描かれるという、シリーズ全体を通しても非常に珍しい構成になっている点も見逃せません。過去作の飛行怪獣戦ではどうにかして空から撃墜、あるいは誘導するなりして地上戦に持ち込むのが通例でしたが、今回は最後まで着地しないデルタンダル相手に激闘が繰り広げられていました。そのうえ約2分30秒に渡ってワンカットでブレーザーVSデルタンダルが描かれており、その映像の凝りようには最早感嘆する他ありません。監督の趣味をとことん突き詰めたような絵作りにやや苦笑しつつも、実際見せてもらった迫力の空中戦は非常に見応えがありましたね。

 


 今回は他にも2クール目突入ということでED変更、さらにはダイジェストPV公開など様々な追加要素もありました。まず新EDはTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. MindaRynさんが歌う「Brave_ Blazar」。前回が穏やかな曲調だったのに対し、こちらは心を湧かせてくれる激しいテンポがやや多い熱い曲となっています。個人的には「誰かを守りたいと思う願いは言葉よりも強い勇気」という、話すよりも行動して人々を守るブレーザーそのものを指しているかのような歌詞がお気に入りです。

 そして14話の放送終了と同時に、第1クールの内容をさっとまとめたダイジェスト映像ウルトラマンYouTubeチャンネルにて公開されました。*1VSバザンガからVSゲバルガまでの激闘、そしてゲント隊長がブレーザーとわかり合う瞬間までをわかりやすくマトンているので振り返りにもちょうどいいです。さらに注目すべきは今後登場する新規怪獣やアースガロンの新装備、そしてブレーザーのアーマー(?)のお披露目。中でも最強形態ではなく半身を包むだけの鎧を纏ってパワーアップするブレーザーの姿には度肝を抜かれました。この形態の詳細についてなど、気になることが多いラスト数秒でしたね。新規怪獣もドンドン出るようですし、この先の放送も俄然楽しみになってきました。

 

 

 そして次回はあのガヴァドンが登場!初代ウルトラマンでも特に珍妙な怪獣として有名なアイツが58年ぶりにテレビに出てくるとのことです。個人的には「アズレンにてアカネちゃんの着せ替えスキンで確認出来る変なぬいぐるみ」という印象が強いのですが……子どもの落書きから生まれた原典と同じく、今回も子どもたちがガヴァドン誕生に関わってくるようです。その中にはゲント隊長の息子のジュンくんもいるそうで、彼が再び物語を引っ張ってくれそうな予感に期待せずにはいられません。「怪獣と子どもの無邪気なふれあい」というシチュエーションが大好物な身として次回が気になるばかりです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:公式チャンネルの動画(https://www.youtube.com/watch?v=r4kSsDx_hSU)を参照。