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ウルトラマンブレーザー 第16話「恐怖は地底より」感想

その絆が恐怖を穿つ

CV石田彰とかいうどうしても胡散臭さが出てくるヤツ

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  • 穴から覗くそれぞれの恐怖

 今回のブレーザーはとある工事現場で開いた大穴を作業員たちが覗き込むシーンからスタート。ゲント隊長たちSKaRDがその大穴を調べる中で、大穴に潜む怪獣・モグージョンの幻覚攻撃に翻弄される様子が印象に残りました。後述のモグージョンの能力によって「自分が最も恐れているもの」を見せられたとのことですが、今回描かれた各々の恐怖の対象が実に興味深かったです。モブ作業員も含めてリストアップしていくと……

 

  • 作業員A:デッカイくちばしの鳥(ライバッサー?
  • 作業員B:毛むくじゃらの巨人(M1号?
  • 作業員C:大きなサソリの尻尾(バラバ?
  • 作業員D:タコの吸盤のようなもの(タッコング
  • ゲント:ボロボロのアースガロン=作戦が失敗すること
  • アンリ:タガヌラー
  • ヤスノブ:カナン星人
  • エミ:巨大エミ隊員=自分自身?
  • テルアキ: お は ぎ

 

 といった感じ。これらを見ていたシーンに関しては視聴者側もゾッとさせられる演出がになっていて、彼らの恐怖も何となくですが共感を覚えましたね。またメインキャラの恐怖の理由も納得のいくものが多かったのも面白ポイント。アンリとヤスノブは過去の話を思い返すとそれぞれの怪獣と宇宙人にトラウマを持っているのは当然かもしれません。ゲント隊長に関しては、作戦の失敗が多くの人を危機に晒すことを理解しているからこそのアースガロン=作戦の成否の象徴となっていたのでしょう。あとテルアキ副隊長は…………まぁ今回のちょっとした癒しになってくれたのでおはぎが怖い副隊長は可愛いね♡としておきます。

 

 

  • 仲間の言葉が勝利を導く

 恐怖の演出に関しては巨大エミ隊員が特に印象的。女性隊員が巨大化する例は初代『ウルトラマン』の巨大フジ隊員という前例がありますが、今回はウルトラマン相手に戦い追い詰める絵面まで披露されたので中々に見応えがありましたね。何といってもエミが無表情のまま俯き襲い掛かってくるといった描かれ方だったのが実に意味深かったです。任務の時は無表情で冷静に対処するイメージが強いエミですが、彼女はそんな自分にコンプレックスのようなものでも抱いているのでしょうか。未だに本心を隠しがちなエミの、さらなる一面を覗けた気分です。

 そんなモグージョンが引き起こす恐怖と相対する面々の戦いこそ今回の最大の見どころ。まずエミは上述の通り巨大な自分がブレーザーを叩きのめす光景に動揺して動けなくなっていましたが、病院に運ばれたアンリたちの激励で立ち直るのが良かったですね。自分自身に恐怖を抱いているエミにとって、何よりも信じられるのは仲間たちの言葉だったということでしょう。何だかんだでエミがSKaRDを居場所だと認識していることが伝わってくるので、個人的にもかなりグッとくる克服の仕方でした。

 そしてブレーザー目を閉じるというシンプルな手段に出たのが意外。(しかもウルトラマンの目の光が消える=目を閉じることを初めて知った件)代わりに「心眼」とばかりに心の目で見るつもりでしたが、結局はエミの言葉のおかげで何とかなりました。とはいえ上述のエミの件も含め、仲間たちの絆からくる連携が勝利を掴んだとも取れるので悪くない勝ち方と言えますね。相手を恐怖で翻弄する敵に対する、絶妙なアンサーでした。

 

 

  • 地の底を覗くとき、光が恐れを引きずり出す

 というわけでついに本作でも登場した地底怪獣「幻視怪獣 モグージョン」。その見た目はぱっと見二足歩行になったモグラのようで、両腕の大きな詰めや鼻からもそれらが感じ取れます。一方で頭部にはニワトリのような赤みがかったトサカが生えており、珍妙な組み合わせがどこか可愛らしいです。しかし今回の暴れっぷり、何より後述の生態と能力は決して可愛いなどと言っていられないほど凶悪でもあります。

 その最大の特徴は手のひらから放つ閃光。光と共に発せられる電磁波も合わせて人間の脳の扁桃体を刺激し、対象が自分を恐れる存在だと認識するように仕向ける恐るべき能力です。これにより敵を威嚇して追い払う他、パニックを起こしたり動けなくなった獲物を長い舌で捕まえて捕食するのがこのモグージョンの主な生態とのこと。相手の恐怖を引きずり出すやり方は、野生の生物としてはかなり狡猾だと感じますね。扁桃体を刺激する効果は偶然の産物なのか、はたまた人間にはそういった精神攻撃が通じることを理解しての進化なのか……その辺りの謎もあって不気味な印象を残します。

 この時点で相当厄介な相手ですが、普通に戦ってもブレーザーを押すほどの実力者であった点も見逃せません。ブレーザーの初手レインボー光輪を受け止めて投げ返すテクニカルな一面を見せただけでなく、光でフェイントをかけて攻め立てる様子は策士の一言。(加えてブレーザーが目を閉じたと同時に息を潜めてゆっくり近づく辺り、知能は相当高いと見えます)他にも伸びる腕やチェーンソーのように回転するトサカなど攻撃手段も豊富です。人間を追い詰めるやり方に加えこの手数の多さ故に、本当に野生生物なのかと疑ってしまいます。正直超獣だとしてもおかしくないくらいの強敵だったと思いますね。

 

 

  • 戦士たちを支える健気な機獣の声

 さらに今回大きな衝撃を呼んだのがアーくん”ことアースガロン。新たに搭載されたAI対話システム「EGOISS(イーゴイス)」によって、ついにアースガロンがSKaRDの面々と言葉を交わす時が来ました。(アースガロンに意志らしきものが存在する点は6話で描かれていたので、普通に話せることにもあまり違和感を覚えなかったです

 このように嬉しい情報なのですが、肝心のアースガロンの声を演じていたのが石田彰さんだったことには思わず吹き出してしまいました。(『キングオージャー』で大ボスの声も担当していることもあって)この声質にはどうにも胡散臭さが滲み出ている気がします。一人称が僕と親しみを感じるところもある分、ちょっと警戒してしまいます。そのうえ淡々とした喋り方で実に機械的なのもあって、いつとんでもないことを言い出してしまうのかと気が気でなかったですよえぇ。

 しかしいざエミが操縦した際には作戦の最適解を提示しつつエミの判断を優先したり、彼女が動揺した時には心配するかのように声をかけるなど結構親切機械的な部分は抜けきらなかったものの、終始エミのサポートに徹していた点には好感が持てます。まだまだ活躍には至らなかったものの、健気で信頼に足る存在である確信を得ることは出来ましたね。今後エミだけでない他の隊員たちとのやり取りを通じて、アーくんがどのように成長していくのかも楽しみです。

 

 

 そして次回は再び特別総集編になる模様。そろそろ来るかもとは思っていましたが、予想外のタイミングで少々びっくりしましたね。とはいえ前回の特別総集編は「一般人の目線から見たブレーザーたち」が覗けて意外と楽しかったので、今回もそういった話が出てくるだろうことに期待させられます。予告によるとブレーザーを観察する者が主役とのことですが、その人物とは一体……!?サブタイの「電脳絵巻」とは何を意味するのかも気になるところです。(感想の方は例によって個別でなくなる可能性が高いです。ご了承ください)

 

 

 ではまた、次の機会に。