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ウルトラマンブレーザー 第6話「侵略のオーロラ」感想

誠実な想いは

機械をも動かす

アースガロンはともかく、まさか乾燥機を「可愛い」と思う日が来るとはな……

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  • 機械オタクの憂鬱と誠意

 2週間ぶりとなるブレーザー本編はSKaRDのメカニック担当・ヤスノブにスポットが当たりました。以前から親しみやすいキャラクターとして確立されていた彼ですが、それ故他隊員から頼まれごとをされては引き受けまくるという、何とも言えない状況に陥っていたことに思わず苦笑い。本人もイヤとは思っていないので一言二言でやってしまうのが妙に生々しかったです。SKaRDは家族のような気兼ねのなさがウリですが、今回はそれがもたらす問題がヤスノブに集中していたように感じましたね。

 そんな過労気味のヤスノブですが、さらに機械に話しかけるキャラまで披露していたのが印象的でした。アースガロンはともかくとして、行きつけのコインランドリーの乾燥機を「クルル」と呼んでいるのは中々にシュールの一言。(それでも周囲からそこまでドン引きされてない辺りに彼の人徳を感じます)言うなれば頼られるのが嬉しくて頑張っちゃう、好きな機会に話しかけるオタク。そんな面白いけれどどう反応していいか困る、ヤスノブの意外な一面に笑いつつも見入ってしまいます。あと脱いだ時の筋肉のムキムキ具合がすごぉい……*1

 しかしカナン星人の侵略計画に立ち向かう、カッコいいヤスノブの姿を見せてくれたのはグッド。中でも操られているクルルやアースガロンに必死に呼びかけるシーンに胸打たれました。「君の役目はそんなことちゃうやろ!!」という言葉からは、彼がアースガロンにどのような想いを込めているかが伝わってきますね。それが機械たちに伝わって後述の展開になったのは素敵ですし、最後にゲント隊長がそんなヤスノブのキャラを肯定してくれることにもウルっときます。ところどころ変人染みていますが、誠実かつ真面目なバンドウ・ヤスノブという青年の良さが丁寧に描かれていましたね。

 

 

  • 極光による支配を目指す怪人

 ついに本作でも登場した侵略者「オーロラ怪人 カナン星人」は元々『ウルトラセブン』初出の宇宙人。映像作品としては今回、実に55年ぶりの再登場を果たしました。顔の半分以上を占める巨大な複眼と、蜂のお尻を思わせる黄色と黒のボーダー柄の胴体が何とも不気味な印象を抱かせます。セブンに登場した個体と同じように「オーロラ光線」なるものを使い、機械を操作して地球侵略を狙っているのが特徴的でした。しかも本作で詳しく説明された機械が抱えている「負の感情」を増大させている設定が興味深いです。

 その中でも今回ヤスノブに接触してきた「ハービー」という名のカナン星人は、見た目以上にそのキャラクターに不気味なものを覚えました。突如コインランドリーに現れ洗濯ついでにヤスノブを勧誘する……という少々シュールな絵面(この一連のシーンは『ウルトラゾーン』にありそう、と思いました)を展開していた時点では少々クスっときてしまいました。「(一緒に)来なよ」と「(服を)着なよ」というダジャレかますコミカルな一面は、一見すると憎めない宇宙人というイメージを抱きます。まぁそのギャグはヤスノブには不評だったんですが……*2

 しかしヤスノブが当然の如く断ってからは、非情な宇宙人として侵略活動を再開し出したので一転してビビりました。先ほどのコミカルさが嘘のような、感情を感じさせない声色になったのも衝撃的です。シームレスにキャラが変化する様は正直軽いホラーに感じますね。そしてこの切り替えの早さにからするに、カナン星人が地球人とは根本的に感覚が異なっていることが伝わってきます。(そもそもヤスノブ側に何のメリットも提示せずに仲間になってくれることを期待する辺り、人間の損得勘定というものをまるで理解出来ていない気がします)雪に閉ざされた故郷から移住したい気持ちは本物だったのでしょうが、地球に住む人々を省みない態度は倒すべき宇宙人として強く印象付けたのではないかと思います。

 

 

  • 機械に宿るは恨みつらみだけにあらず

 ヤスノブの素敵なキャラクターを把握したと同時に、彼と心を通わせた機械たちの活躍も今回の見どころとなっていました。上述にも触れた通り、カナン星人によって人間たちに対する「負の感情」を引き出され、意のままに操られる光景は中々にショッキング。特にアースガロンが赤目となって暴れ出した事実に驚かされます。役に立っているアースガロンにも、少なからず人間たちへの不満があったということでしょうか。原典のカナン星人がウィンダムを操ってウルトラセブンにけしかけたように、ブレーザーVSアースガロンが早くも勃発したことに機械たちの恨みつらみが伝わってきました。

 しかしヤスノブの必死の呼びかけに答え、洗脳を自ら解いた機械たちには一転して涙。ハービーたちの居場所を教えてくれたクルル然り、落下するヤスノブを受け止めてくれたアースガロン然り、機械なりに考えて友人を助けてくれた構図にグッときます。それだけ彼ら機械にとって、ヤスノブは特別なのでしょうね。(特に一見ぶっきらぼうのようでキチンと応えてくれるクルルが不思議と可愛く見えてきましたねぇ……)カナン星人が言うように負の感情を持つ機械はいるのでしょうが、彼らが抱えている感情は決してそういったネガティブなモノだけではない……親しく接し大切に想ってくれている人間を友人と思ってくれている機械がいる事実に、何だか胸が熱くなってくる回でもありました。

 

 

 そして今回もトンデモない絵面を見せてきたウルトラマンブレーザー。毎回毎回スパイラルバレードを使った衝撃的な技を披露してきましたが、とうとうブレーザー自身が体を360度捩じらせるという荒業を使ってきた時は思わず唖然となりました。(スパイラルバレードもさらっと三日月形の光の刃に変化していたことにも地味ながら驚かされます)こちらの予想を軽々と飛び越え、ゴム人間みたいな芸当を繰り出すブレーザーの底知れないポテンシャルには最早呆気に取られるばかりです。ここまでくると次はどんなトンデモ大喜利を見せてくれるのか、とかえって楽しみになってきましたね。

 

 

 さて次回はゲント隊長が恩師であるヨコミネ教授と会う模様。教授は怪獣研究の第一人者とのことですが、その人との再会が隊長に何をもたらすのか気になるところです。さらに謎の虹(オーロラの次は虹かぁ……)と共に現れる新怪獣は何者なのか……何より本作始まって以来の前後編が展開されることにワクワクが止まりませんね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:ちなみにヤスノブを演じている梶原颯さんの趣味は「筋トレ」だったりする。

*2:余談だがハービーのギャグに対し「おもんな」と冷めた態度で呟いたヤスノブの反応は、実際の関西出身の視聴者曰く「本当につまらないギャグを見た時の反応」そのものらしい。