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ウルトラマンブレーザー 第11話「エスケープ」感想

もたらされる恐怖と不和

マン兄さんってハヤタになるべく事情を話してくれたり頑張っていたんだなって……

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  • 悩める隊長の抱え込みがち問題

 前回のデマーガ親子の件もあって、劇中では各所で「ブレーザーは人間の敵か、味方か」という議論に発展。しかし今回のブレーザーは、SKaRDメンバーのいつも通り和気あいあいとした光景とは裏腹にどこか物憂げな表情を見せるゲント隊長の姿がまず目に飛び込んできました。隊員たちの呼びかけに対してもどこか適当な相槌を打つだけなど、いつもの隊長とは様子が明らかに違います。そんな隊長をテルアキ副隊長たちも不審に思っており、事情を知っている視聴者としては色々とヤキモキさせられる場面だったと思います。

 そんな隊長の悩みの根源はやはりブレーザーについて。ゲバルガを迎撃する作戦の待機中に、「自分の中に別の奴がいたら……」という悩みをアンリに吐露するシーンには正直驚かされました。常にみんなを先導してきた隊長でさえ、自分と一体化している存在に動揺を覚えていると思うと何とも感慨深いです。仲間たちの前ではあまり見せない弱みを晒す隊長に、何だかんだで親しみを覚えましたね。それでも肝心の悩みを口に出せない、という状況はシリーズお約束なもののもどかしいのですが……

 そんなゲント隊長ですが、実は「何でもかんでも1人が抱えがち」という欠点を持っていることを今回確信しました。ブレーザーに関する悩みもそうですが、ゲバルガの存在に自分1人で解決しようとする姿勢は何とも危うく見えてきます。思えば隊長はこれまでも合理的に考えた結果、自分1人で出た方が早いと判断を下し行動していましたし、これは仲間を置いてけぼりにする悪癖とも捉えられますね。なまじ自分だけで何でも出来る分、いざという時誰かを頼れない点こそヒルマ・ゲントの弱点なのかもしれません。ある意味で誰よりもコミュニケーションを怠っている隊長が、この問題をどう解消していくのか気になるところです。

 

 

  • 逃げる巨人との対話不全問題

 そして今回最大の目玉であるゲント隊長とブレーザーの不和の様子も見逃せません。今回の戦闘で最初こそ果敢にゲバルガに立ち向かったものの、追い詰められた際にまたもや左半身が勝手に動いたシーンで思わず見入ってしまいました。ただし今回はデマーガの時のように相手を庇ったのではなく、逃げるような動きだったのが大きなポイントですね。ゲバルガという脅威を前にして、恐怖から自らの生存を最優先したように見えました。(その結果「左手が右手を上に引っ張るようなポーズで飛んで逃げる」というシュールな絵面が完成してしまったのですが……)

 さらに直前のアースガロン戦にて、アンリに離脱するよう指示したゲント隊長の行動がブレーザーの意思であるかのような描写もされました。これらの情報から、左半身はほぼほぼブレーザーの意思であると見て間違いないのでしょう。そしてブレーザーがピンチの場合は逃亡も選ぶキャラクターだと判明したのもかなり興味深いです。(今思えばニジカガチ戦の離脱も自分の身を優先したのでしょう)一見するとウルトラマンにあるまじき行動ですが、そもそもブレーザーの目的などがはっきりしていない以上逃げるのが間違いとも言い切れません。何より光の国のウルトラマンのような使命を持っているのかどうかすらわからない宇宙人が、地球人よりも臆病な面を見せるというのはかなり斬新で面白いです。

 とはいえ前回同様、ゲント隊長とブレーザーのコミュニケーションが取れずじまいなのは大きな問題です。ブレーザーが何者なのか伝えきれていないが故に上述の隊長の不安が描かれたわけですし、戦闘でも意思が反目し合って実力を発揮出来ずにいます。前回の感想でも書きましたが、2人はお互いを知り合うべきだと考えられます。これまでのウルトラマンが宿主に対して親切だったことを思うと、今この状況こそ隊長とブレーザーウルトラマンになれるかどうかの正念場なのかもしれません。過去作の主人公たちのように2人が本当の意味で対話が為せるのかどうか、注目していきたいですね。それにしても「ヘッヘッヘ……シンパイスルコトハナイ」とか言っていた初代ウルトラマンがまだマシな方だったと思う日が来るとは……

 

 

  • 宇宙(そら)より落ちたるは電磁纏いし星の怪物

 宇宙から落ちてきた謎の隕石と思われた飛来物の正体「宇宙電磁怪獣 ゲバルガ。1話に登場したバザンガ以来となる純粋な宇宙怪獣です。(バザンガが物語開始時に既に暴れていたのに対して、こちらは宇宙からの襲来の様子もしっかり描かれているのが好印象)隕石のような形状は体を丸めた形態であり、体を開いた本来の姿はヒトデ(あるいは円盤生物)を思わせる見た目をしています。それでいて全身が岩のようにゴツゴツしているほか、太く爪先が鋭い両足などからヒトデとは全くの別物であることがわかりますね。誰が呼んだか「ヒトデマン うちゅうのすがた」。金色に輝く内側の中心部には目と思われる期間が3つ不規則に並んでおり、加えて口と思われる接触部も存在。結構非生物的でおどろおどろしいと感じますね。何よりこのゲバルガ、どのような目的で地球に来たのか現状全く不明なところが最も不気味に感じます……

 戦闘では体を丸めて転がったり、頭頂部と両手で相手を挟み込んだりと意外とトリッキーな戦いぶりを披露。単純な肉弾戦ではブレーザーとアースガロンに押されている描写も見られましたが、その分様々な技で対抗している印象を受けますね。硬い背中で身を守るだけでなく、ぶつかってダメージを与える武器としても使う辺りは中々に賢いと思います。そして最大の特徴が電磁波を操る能力。電撃を発生させて敵にダメージを与えるのはもちろんのこと、EMP(電磁パルス)を発生させることで周囲の電子機器をまとめて機能不全に追い込む現代兵器の天敵ともいえる脅威を発揮してきました。さらにこの電磁力はバリアとしても使えるらしく、背中と合わせて並の攻撃を通さない堅牢な防御力も持ち合わせています。個性的かつ厄介、奇怪な見た目と強さを併せ持ったウルトラマンシリーズらしい強豪怪獣と言えますね。

 

 

 さて次回は対ゲバルガの後半戦。現代兵器が使い物にならず、ブレーザーも戦いを放棄しつつあると状況が地味に絶望的であるとここにきて実感してきました。そんな中でゲント隊長はブレーザーとの意思疎通を図れるのか、そしてゲバルガに対抗出来る手段があるのか、前半クールのクライマックスぶりに早くも興奮させられます。(何より次回のサブタイから想起させられる展開に期待大ですね)いよいよ登場するブレーザーの新武器も楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。