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デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編(デュエル・ウォーズ) 第35話「葛藤!戸惑いのカレン」感想

悩むよりも、今を楽しめ

かつてこれほど意味不明な前作主人公の再登場があっただろうか

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  • 先もわからぬ明日ではなく、友と過ごす今を

 カイザの暴走によって中断してしまったデュエル・ウォーズ。というわけで今回のデュエマWINはデュエル・ウォーズ再開の間の日常が描かれたのですが、その中でもカレンにスポットが当たることになりました。以前明かされた忍びの里の頭領を助けるため、とある山に隠された病を治す薬草を探しに行く様子にまずグッときましたね。デュエル・ウォーズ優勝で願いを叶えてもらうことは出来なくなったものの、それに頼らず自力で頭領を救おうとする道を選んだのは個人的にも好感度が高いです。

 また薬草を手に入れるまでのくだりはかなりトンチキだったのですが、その後の帰り道で語られたカレンの悩みは結構真剣なものだったこともあり注目ポイント。普通の女の子のようにみんなと過ごす日々が楽しいものの、いつかそれが終わってしまうことへの寂しさを抱く姿に共感を覚えました。楽しかった時間が大きいだけに、それが失われてしまった時の喪失感について考えてしまうのも仕方ないと言えるでしょう。以前忍びとしての世間とのズレを吹っ切った一方で、やはり自身が一般人とは異なることを実感する様にも何とも言えない哀愁を感じます。

 それだけにそんなカレンに対して「今を目一杯楽しむべき」といった具合に励ますウィンには少々救われましたね。一見問題の先送りのように見えますが、重要なのはカレン自身がポジティブになることなのでこの対応はある意味正解だと考えます。さらにウィンだけでなく、こっそりついてきたデュエマさいこークラブも加えてカレンを心配してくれる仲間がいることを改めて彼女が知っていくくだりもグッド。卒業後のカレンの進路についての不安は付きまとっているものの、当人が明るく笑顔になることを取り戻すための物語として中々にエモかったと思います。

 

 

  • 強烈?激烈?ネタ祭り

 そして今回はカレンとウィンの山での散策をはじめとして、かなりネタ要素が多かったのが特徴的。まず熊が襲ってきた際に喜車の術や怒車の術といったデュエマ忍法*1は実質カレンのコスプレ大会になっており、普段の彼女はどこへ行ったとばかりに演技が変わっているのがシュールでした。というか熊を相手に「同じ哺乳類だから話せばわかる」とコント染みたことをやってのけるのは何ともタイムリと言えなくもないような……

 個人的にも最もショッキングだったのが、ラーメンの池攻略のためにカレンが切札ジョーの顔になったことですね。曰く一子相伝の奥義「大食いの術」とのことですが、ラーメン繋がりで前作主人公の顔を出すとは思ってもみなかったです。ジョー=ラーメンという図式はわかる一方、ヒロインのこんな顔させていいのか?とかこんな客演アリ?といった風に困惑せずにはいられなかったです。(あとこの描写からして、本作の世界ではジョーたちの物語は架空の劇中劇という扱いである可能性がますます高まった点も見逃せません)

 他にも邪神くんがウィンに新たな力を授けるために餅つきをするパートもかなりぶっ飛んでいました。『ウルトラマンタロウ』に出てくる怪獣モチロンに似ている臼で部下のアビスロイヤルたちを捏ねるシーンの意味不明さもかなりキレていたと言えます。(その後出来上がったものに関しては少々批判的な意見を抱いているので、詳しくは後述)前回を通して、いつも以上にギャグのクセが強かった回だったと思いますね。

 

 

  • それは まぎれもなく ヤツさ(ヒューッ!)

忍蛇(にんじゃ)の聖沌(せいとん) c0br4(コブラ) 闇文明 (6)
クリーチャー:メカ・デル・ステラ/シノビ
パワー5000
▪️S・トリガー
▪️ブロッカー
▪️このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から2枚を墓地に置く。その後、コスト5以下のクリーチャーを1体、自分の墓地から出す。
▪️相手のターン中に、このクリーチャーが出た時、このターンに2つ以上自分のシールドがブレイクされていなければ、このクリーチャーを破壊する。

 ウィンがブレイクしたカレンのシールドから登場したS・トリガークリーチャー。メカとシノビの新規クリーチャーですが、今期のシノビの中でも特に異質な細長い姿を持っています。名前からして蛇の仲間のコブラを意識しているようで、胴体部分が平べったい辺りもまたコブラ系統の特徴ですね。闇のシノビは生物的な見た目が多いですが、このカードもそれらに負けず劣らずのビジュアルをしていると言えます。

 上述の通りのトリガー獣であることに加えて、コスト6のパワー5000でブロッカーと基礎的なスペックは及第点といったところ。さらにcipで墓地肥しの後にコスト5以下のクリーチャーのリアニメイトを行い、さらなる展開を可能としています。トリガーで文明制限などがないリアニメイトというと《戯具 ヴァイモデル》を思い出しますが、あちらよりも出せる範囲が大きくなっているので様々なクリーチャーを踏み倒せます。その後は打点としてもブロッカーとしても使えるのも優秀です。

 しかし相手ターンに出た際、自身のシールドが2枚以上割られていないと自壊するという見逃せないデメリットを持っています。(これはS・トリガー・プラスの逆パターンを意識した能力と思われます)1枚ブレイクされた状態で出てもすぐに墓地に行くため、ブロッカーを活かしにくいのは残念なところです。とはいえ上述のリアニメイトは使えるので、場合によっては呪文のような感覚で使うことを割り切るべきでしょう。

 墓地を利用するデッキでも使えて、同時にメカとの組み合わせも見逃せません。中でも《ドラン・ゴル・ゲルス》との相性の良さには光るものがあります。ゴル・ゲルスを自分ターンに出し、シールドからこのカードを出すことで展開出来るほか、メガ・ラスト・バーストで墓地に置かれたゴル・ゲルスを回収することも可能。お互いにお互いの弱点を補完し合っており、《暴龍の記憶》でシールドも増やせるのでかなり粘り強く戦えます。他にもメカには優秀なコスト5が揃っているため、リアニメイト先には困らさないでしょう。メカデッキには貴重な墓地肥し要員&防御札としての活躍が期待出来ますね。

 

 

  • 陰陽より生じたるは、血を啜り喰らう邪なる悪鬼なり

ア:ニーオ:マクア 自然文明 (8)
クリーチャー:ヴェールアビス
パワー12000
▪️T・ブレイカ
▪️各ターンに一度、相手の「このクリーチャーが出た時」で始まる能力を持つクリーチャーが出る時、かわりに、そのクリーチャーを持ち主のマナゾーンに置かせてもよい。
▪️このクリーチャーが離れた時、相手のアンタップしているクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置いてもよい。

 ウィンが《シス=魔=シャル》の終極宣言で墓地より大量に出した新アビス。自然文明を持つヴェールアビスということで日本の妖怪がモチーフになっていますが、このカードのモチーフは多くの人が知る鬼です。デモニオなどでも既に使われている有名な妖怪ですが、こちらはどちらかというとより元ネタの妖怪っぽさが出ているように感じますね。何かの動物の毛皮を羽織り、盃を構えた姿はまさしく酒呑童子といった伝承に残る悪鬼そのものと言えるでしょう。個人的には腹の部分に陰陽のマークが刻まれているのが気になります。

 カードとしてはアビス版《地封龍 ギャイア》といったところ。相手のcip持ちクリーチャーをマナに送る着地置換効果を持っており、能力を使わせる前に封じられるのは言うまでもなく強力です。ターン1限定という問題がありギャイアと比べると封殺性能は低いのですが、その分メクレイドなどアビスという種族を活かした出しやすさではこちらに軍配が上がるでしょう。

 さらにpigで相手のアンタップクリーチャーをマナに送ることも可能。仮に除去されたとしても、相手のクリーチャーをカウンターで巻き込めるので相手への心理的プレッシャーとしても効果的です。またパワーの高さから自爆特攻がしにくいものの、革命チェンジで入れ替えれば能動的に発動することが出来ます。アビスラッシュやマッハファイターを自前で持っていないので、《アビスベル=覇=ロード》などによるサポートなども忘れずに用意しておくべきですね。

 まとめるとギャイアのように相手の行動を封じ続ける蓋として使うのではなく、出したり離れたりを積極的に繰り返すことでボードアドバンテージを取っていくカードと言えます。既に出ている相手クリーチャーにも手が出せるのはギャイアにはない利点なので、その辺りを上手く生かしてみたいところです。幸い上述の通り、アビスにはサポートが豊富なのでアビスデッキでは上手いこと使って活躍させられることでしょう。

 

 

 最後にちょっと批判的な話をば。今回も楽しめた一方で、邪神くんの作ったものに関して色々と思うところがありました。というのも上述の臼のくだりの結果、アビスロイヤルたちが『ムカデ人間』よろしくの見た目になったシーンがあまりにも本作の視聴対象に合っていなかったからです。仮にも朝に放送している子ども向けアニメで下劣要素の強い映画のネタは明らかにアウトだと思います。ある程度のネタも笑って受け入れる身としても、こればかりはどうしても否定的に捉えずにはいられなかったです。ギャグとしてもドン引きものなので、制作側には本作が子ども向けアニメであることの自覚を持ってこうした悪ふざけもある程度自重してほしいと感じました。

 

 

 さて次回はウガタが話のメインになる模様。ここ最近では女神ウィナの声を聞き代弁する様子が目立っていましたが、その声が聞こえなくなったことと長考癖について悩んでいるとのこと。その解決法をウィンから得ようとしているようですが、どうにも心配になってきますね。女神への妄信ぶりといい、ウガタが自身への嫌悪感から周囲に依存する形でおかしくなっているように見えて仕方ありません。闇堕ちフラグも残っている中、彼の悩みがどのように解決していくのか気になるばかりです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:元ネタは会話で相手の心理的な隙を突く「五車の術」(『忍たま乱太郎』などでも扱われている)であり、描写はどうであれ立派な忍術である。