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ウルトラマンブレーザー 第22話「ソンポヒーロー」感想

きっとあなたも、誰かのヒーロー

テツオとミチコさんの人情的な物語にほっこり

レッドキングとギガスのコミカルなやり取りにもほっこり

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  • 青年と老婆の人情物語

 今回のブレーザーはSKaRDのメンバーではなく、一般人を描いた日常回とも言う内容でした。冴えないサラリーマンの「テツオ」が、1人のお婆さんとの出会いと怪獣被害を前に自分なりの活躍を果たしていくどこかほっこりするストーリーに仕上がっていたと思います。この手のゲストキャラが主役のエピソードは過去のウルトラマンシリーズでも度々やっており、僕個人もこの類の話は大好き(「ガンQの涙」とかがお気に入り)なのでこの回も最後まで思いっきり楽しめましたね。

 

 冴えないテツオの話だけあって、序盤は割としんどいところが特徴的。仕事でもプライベートでも上手くいかず、どこかのんべんだらりとした雰囲気が立ち込めている様子に見ていて胸が締め付けられました。所属している保険会社で後輩に馬鹿にされたり上司に叱られるシーンとか、大人になると特に辛いと感じてしまいますね。同級生が成功している描写もあって、テツオだけが取り残されている感覚を視聴者側も味わわせれました。

 そんな彼がおっとりとした「ミチコ」さんと出会い、彼女の優しさに触れていく辺りで一気に心が暖かくなりましたね。その後の怪獣被害から2人が逃げ出すシーンでも、わずかな触れ合いながら両者が切っても切れぬ関係を築いてることが伝わってきました。実際見ている最中はこの2人の感情移入しっぱなしで、レッドキングたちが暴れている現場で逃亡する様の緊迫感は中々のものだったと思います。最終的に2人とも助かるのはシナリオ上わかっていたものの、かなりホッとさせられましたね。

 

 そんな2人の物語ですが、やはりテツオがサラリーマンからミチコさんのヒーローとして成長していく過程がしっかりと描かれていたのが素晴らしかったです。目標もなく生きていた彼が、他人とのやり取りを持って自信と信頼を育んでいく様子が見てとれました。テツオが保険屋であることや周辺の地理を覚えてしまうほど歩き回ったことが、今回の逃亡劇に役立つ展開もカタルシスがありましたね。自分に自信が持てなかった青年が、1人の他人に認められることで小さな覚醒を果たす……ある意味で本作のテーマである「コミュニケーション」を体現しているのも見逃せません。晴れ晴れとしたテツオで締めたこともあり、実に爽やかな人情エピソードだったと言えるでしょう。

 

 

  • 兄貴な暴れん坊と舎弟な雪男

 今回登場した怪獣は「どくろ怪獣 レッドキング(二代目)」と「冷凍怪獣 ギガス」の2体。いずれも初代『ウルトラマン』に登場した怪獣で、そして同じ25話「怪彗星ツイフォン」にて共演したことのある組み合わせとなっています。ドラコ「俺もその回に一緒に出たのにハブられるとか……」再登場の常連であるレッドキングはともかく、ギガスは『Z』以来の登場となるのでかなり珍しいですね。またレッドキングが二代目なのは劇中で「小笠原諸島の多々利島*1に出現した個体」もあってのことであり、同時に当時のオマージュも兼ねているのでしょう。

 さてこの2体、本編を通して割とコミカルに描かれていたのが印象的。冒頭の日本アルプスにて戦っていたシーンからして、レッドキングの連続岩投げに降参したギガスのひれ伏すポーズが何ともシュールでしたし、勝ち誇るかのように腕を上げるレッドキングにもどこか微笑ましいものを覚えました。その後2体揃っての戦闘ではレッドキングがギガスを従えており、その様子はさながら「兄貴と舎弟」といったところレッドキングに「お前が行け」みたいなジェスチャーを受けるギガスがこれまた可愛らしかったですね。

 一方で敵としては割と厄介でもありました。ギガスは冷凍光線(実はギガスがこの技を映像媒体で使うのは初めてだったり)でアースガロンを凍らせ、動けなくなったところをレッドキングがタコ殴りにするコンビネーションには舌を巻きます。まぁ闘牛士の牛みたいにブレーザーの炎に翻弄されるわドジっ子なギガスは変わっておらず、最終的にはブレーザーとアースガロンの合体技に仲良く爆散したので「どこか愉快な2体」というイメージは最後まで崩れることはなかったです。

 あとは上述のレッドキングとギガスが争ってからのシーンで、2体が上を見上げる姿が確認出来た点が目に留まりました。明らかに空にいる“何か”を補足しているかのような描写からして、宇宙から“何か”が迫ってきていることの示唆かもしれません。恐らく今回住宅地に現れたのも、その危険から逃げ出したからなのでしょう。地球出身の怪獣が逃げ出すほどの脅威が、果たして何なのか実に気になるところです。

 

 

 ちなみに今回の余談として、最初に突然流れた劇中の怪獣災害保険のCMとそれに登場した「劇中CM怪獣にも注目したいところ。このこれまでのウルトラマンでも見たことのないデザインで、かつ巨大な女性と一緒に保険を紹介するシーンのシュールさが実に面白かったですね。調べたところ、この着ぐるみは「ガンキリュウ」という名前で、自主制作の短編映像に登場する怪獣でもあります。 

 YouTube上で投稿されている動画*2でも確認出来る怪獣ですが、まさか自主制作作品がウルトラマンに出てくるとは思ってもみなかったです。ただこのガンキリュウの着ぐるみはぱっと見ウルトラマンの怪獣着ぐるみと遜色ないクオリティですし、本編の怪獣として出ても違和感がなさそうです。これほどの怪獣を生み出し、そして本作に出演させてくれたshin nakuiさんには感謝を申し上げたいですね。

 

 

 さて次回はタガヌラーやデルタンダルといった地球怪獣が世界各地に大量出現する模様。これは今回のレッドキングたちと同じように、宇宙から来たる“何か”が関係しているのでしょうか。地球の怪獣たちが慌てるほどの存在の謎、それが降り立つとき、一体何が起こるのか……?V99案件の真実も明らかになりそうですし、物語がいよいよ佳境に突入してくる予感に興奮が止まりません。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:余談だが初代ウルトラマンに登場した初代レッドキングの出身地は「多々“良”島」である。

*2:ガンキリュウー超特報ー』(https://www.youtube.com/watch?v=0CUvkm2SJmY)を参照。